経費精算をキャッシュレス化する方法メリット、注意点を徹底解説
経費精算システム
2024.01.22
2024.01.22
日々の経費を精算するために、現金を手元に置いている企業は多いかもしれません。随時経費精算が可能というメリットがある一方、盗難のリスクや現金管理の手間といったデメリットもあります。現金での経費精算に課題を感じている場合は、経費精算のキャッシュレス化を図ることで、現金精算にかかる時間的コストやリスクを削減できます。本記事では、経費精算のキャッシュレス化の方法やメリット、注意点について解説していきます。
経費精算のキャッシュレス化とは?
ここでは、キャッシュレス化の意味を説明したうえで、経費精算のキャッシュレス化が必要とされる背景について詳しく紹介します。
そもそもキャッシュレス化とは?
キャッシュレス化とは、取引や支払いにおいて現金の使用を減らし、電子的な手段やデジタル決済に切り替えていくことを指します。キャッシュレス化の手段の例として、電子マネーやクレジットカード、スマホ決済アプリ、口座振替などが挙げられます。
少子高齢化による労働力不足の解消、現金決済のインフラコストやセキュリティリスクの低減、インバウンド需要の拡大への対応などを目的にキャッシュレス化は注目を集めています。2022年9月に公表された経済産業省の「キャッシュレス更なる普及促進に向けた方向性」によると、キャッシュレス決済比率を2025年6月までに40%、将来的に世界最高水準の80%を目指すとしています。(※1)
(※1)キャッシュレス更なる普及促進に向けた方向性|経済産業省
経費精算のキャッシュレス化が必要とされる背景
経費精算における課題として、小口現金の扱いに対する業務負担が挙げられます。小口現金を扱って経費精算をおこなっている場合、毎日、毎月小口現金残高のチェックが必要になります。残高があわない場合には、その理由を明確にしなければならず、業務負担の増加につながります。
また、現金は紛失・盗難にあいやすいので、管理体制を徹底する必要があり、コスト負担もかかります。経費精算のキャッシュレス化を進めれば、このような小口現金に関わる業務を減らせるため、業務負担を削減することが可能です。
経費精算をキャッシュレス化する5つの方法
経費精算のキャッシュレス化といわれても、どのように進めればよいかイメージができない人も多いかもしれません。キャッシュレス化の方法としては、おもに5つの方法が挙げられます。ここからは、その方法について詳しく見ていきましょう。
交通系ICカードやプリペイドカードを使う
交通系ICカードやプリペイドカードを使ったキャッシュレス化方法では、あらかじめ金額をチャージしておき、従業員が交通費を払うときや備品を購入するときにカードを使用します。
ただし、いきなりすべての従業員にカードを支給することは現実的ではありません。外出が多い従業員や部署に渡しておき、必要に応じて使ってもらう運用方法であれば、無理なくキャッシュレス化を実現することができます。
交通系ICカードやプリペイドカードの大きなメリットは、支払いの間違いが起こりづらいところです。50円を100円と間違えたり、1,000円札を重ねて出してしまったりすることが防げるため、正確な金額で取引ができます。利用履歴も専用のカードリーダーがあれば簡単に把握できるため、入出金の確認もスムーズにできます。
法人用クレジットカードを使う
法人用のクレジットカードも、経費精算のキャッシュレス化に活用できます。多くのクレジットカード会社が法人用のカードを発行しているため、自社にとってメリットの大きい法人カードを選ぶことが大切です。
たとえば、飛行機での出張が多い企業は、航空会社のカードを使えばマイルが貯まりやすくなります。出張はないが通販利用が多いという企業は、通販会社のカードであれば割引やポイント優待が受けられます。
クレジットカードによる決済をすると、支払った経費は翌月もしくは翌々月に支払うことになります。引き落としまでに資金を用意する猶予が発生するので、キャッシュフローを安定させることが可能です。また、クレジットカードを持っておけば、空港ラウンジの使用や保険など、付帯サービスが利用できるのも大きなメリットといえます。
法人クレジットカード利用時の経費精算の方法や注意点を解説
法人カードとは、事業者向けに発行される経費精算用のクレジットカードのことです。法人カードを導入すれば、従業員が出張費や取引先との会食費などを立て替えなくて済むようになり、さらに経理の精算業務も簡略化することが可能です。本記事では、法人クレジットカードで経費精算をする方法やメリット、注意点について解説していきます。
口座振替を活用する
口座振替は、もっとも簡単に始められる経費精算のキャッシュレス化です。定期的に購読している新聞や雑誌、備品の支払いなどを現金で精算している場合は、口座振替を活用しましょう。
自動引落にすれば支払い忘れや経費の精算漏れが防げます。また、通帳に記録が残るため、経費精算業務の効率化にも役立ちます。もしも今支払っている代金の中に口座振替に対応しているものがあれば、まとめて手続きをおこなっておきましょう。
QRコード・バーコード決済を利用する
近年ではQRコード・バーコード決済が普及し、下記のようなさまざまなキャッシュレス決済手段が登場しています。
- PayPay
- 楽天ペイ
- d払い
- au Pay
- メルペイ
- LINE Pay
QRコード・バーコード決済を導入している店舗は増加傾向にありますが、他の決済手段と比べると少ないのが現状です。そのため、QRコード・バーコード決済のみでキャッシュレス化を実現するのは難しいかもしれません。
しかし、QRコード・バーコード決済では、スマホやタブレットなどのモバイル端末とネット環境があれば、簡単に利用できるので、ICカードやクレジットカードなどのように紛失の心配がありません。また、法人カードよりもポイントの還元率が高いケースもあり、使い方によっては、大きなメリットが得られます。
月に1度の立て替え精算にする
ICカードやクレジットカードの導入だけでは、全ての経費精算に対応することはできません。店舗によってはICカードやクレジットカードが使えないことがあります。また、従業員に支給できるカードの枚数は限られてきます。そのため、これまで紹介した方法で完全なキャッシュレス化を実現するのは難しいです。
そのような場合に取り入れたい経費精算のキャッシュレス化手段としては、立て替え精算が挙げられます。立て替え精算とは、日頃従業員が経費を立て替え、月に1度申請と領収書を提出して経費を精算する方法を指します。経費は給与とともに口座へ振り込まれるため、会社内で現金のやり取りをしなくて済みます。法人クレジットカードと立て替え精算などを組み合わせることで、キャッシュレス化を大きく進めることが可能です。
経費精算をキャッシュレス化するメリット
経費精算のキャッシュレス化をすると、企業はどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、経費精算をキャッシュレス化するメリットについて詳しく紹介します。
経費精算にかかる業務が楽になる
キャッシュレス化のもっとも大きなメリットが、経費精算にかかる業務が楽になる点です。実際に企業の経費精算のフローを見てみると、以下の流れで精算が進んでいくことが多い傾向にあります。
- 銀行にて精算用の現金を引き出す
- 従業員が経費精算申請書を作成して提出する
- 管理者や上司が内容をチェックし、押印して経理に上げる
- 経理が確認し、問題点があれば差し戻す
- 問題がなければ経費を精算し、現金を従業員に渡す
- 出金を記帳して領収書を保管する
- 1日の終わりに帳簿と現金の残高をチェックする
- 過不足金がある場合は調査する
- 必要に応じて両替をおこなう
精算フローにおける一つひとつの業務は、決して時間のかかるものではありません。しかし、毎日・毎月このような業務が続けば、結果的に多くの時間と労力を費やすことになります。
経費精算をキャッシュレス化すれば、現金の引き渡しや残高のチェックが不要になり、このフローが簡略化されます。経費精算に必要な手続きが減り、その分コア業務に充てる時間を増やせるようになります。
現金管理をする必要がなくなる
日々の経費を精算するために、部署ごとに「小口現金」を置いて運用している企業も多いのではないでしょうか。小口現金があれば、その場で経費精算ができて便利です。
しかし、小口現金の担当者にとって、毎日の残高確認や両替といった管理業務がほかの業務を圧迫してしまうことも少なくありません。また、現金の紛失・盗難が発生すると、企業の経営状況に悪影響を及ぼす恐れがあります。
現金精算をやめて経費精算のキャッシュレス化を進められれば、社内で現金の管理をする必要がなくなります。そのため、レス化を進められれば、社内で現金の管理をする必要がなくなります。そのため、従業員の業務負担を削減し、現金の紛失・盗難のリスクを減らすことが可能です。
小口現金を廃止するには?システム化のメリットやデメリットを解説
小口現金は交通費や消耗品購入、急に発生する慶弔費などに使用されます。便利に見えるかもしれませんが、経理業務の負担増加や横領などの不正利用といった観点から小口現金を廃止する企業も増えています。 当記事では、小口現金を廃止するメリット・デメリット、小口現金をなくす方法、システムの選び方について解説します。小口現金を廃止してキャッシュレス化を進める方法を確認していきましょう。
計算ミスや金額の不一致を防げる
企業会計においては、正確性が重要とされています。しかし、お金を人が管理する以上、どうしてもヒューマンエラーは防げないものです。
現金を置いて頻繁に精算をしている場合、計算ミスや記帳ミスにより、現金の金額が合わなくなってしまうリスクがあります。万が一、計算ミスや記帳ミスで帳簿と残高の不一致が見つかれば、正確な現金管理をするために、原因が判明するまで追求し続けなくてはいけません。
そうでなくとも、盗難や不正利用がないように、現金は随時管理しておくことが求められます。日常業務に追われる担当者にとって、これらの作業は非常に大きな負担になります。
経費精算をキャッシュレス化すれば、システム上に取引の履歴が残るので、計算ミスや金額の不一致を防ぎ、小口現金係や経理の負担を大幅に削減することができます。
使用履歴が確認できる
クレジットカードやICカード、QRコード・バーコードなどを使用して経費精算をキャッシュレス化すれば、使用履歴が残るようになります。経理処理にミスがあった場合でも、取引内容が利用明細に残っているので、容易に修正することが可能です。
また、法人カードやICカードなどと連携できる経費精算システムを導入すれば、利用明細を直接取り込んで帳簿に反映させることも可能です。金額や日付を自分で入力する必要がなくなるため、計上漏れや入力ミスを防げます。
ポイントや付帯サービスが利用できる
ICカードやクレジットカードを使用する場合、使うたびにポイントが加算されたり、付帯するサービスを無料で利用したりすることができます。出張する従業員が多い場合、法人カードなどでポイントを貯めて消耗品や備品を購入することで、必要経費を減らすことが可能です。
また、ホテルやレンタカーの割引サービスが受けられることもあります。経費精算のキャッシュレス化は経理業務の削減だけでなく、経費節約にも役立ちます。
経費精算をキャッシュレス化する際の注意点
経費精算のキャッシュレス化には、多くのメリットがあります。しかし、いくら業務が簡略化するとはいえ、いきなりキャッシュレス化をしてすぐにうまく運用ができるようになるわけではありません。
ここでは、経費精算をキャッシュレス化する際の注意点について詳しく紹介します。
運用ルール周知のために移行期間を用意する
運用ルールを周知していない段階でキャッシュレス化を進めると、従業員の混乱やミスが発生し、かえって業務に手間がかかってしまう危険性があります。
そのため、周知には十分な期間を設け、徐々に運用をスタートすることが大切です。段階的な運用としては、以下のようなものが挙げられます。
- 役職者にだけキャッシュレス化を取り入れてみる
- 経費精算の多い部署だけで運用してみる
まずは、上記の運用方法で問題点や改善点を十分に洗い出します。洗い出した問題点を解消して準備が整ってから、少しずつキャッシュレス化を取り入れる従業員の範囲や部署を広げるのがおすすめです。
盗難や不正利用リスクに備える
ICカードやクレジットカードを使ってキャッシュレス化を進める際は、カードの盗難や不正使用には十分に注意しましょう。とくに、従業員の裁量でクレジットカードを使用できるようにしてしまうと、本来経費に計上できない飲食費などの会計に使われてしまう危険性があります。
不正利用が生じないように、利用明細をこまめに確認したり、社内規則を変更するなど、管理を徹底することが大切です。
また、クレジットカードは盗難された際のリスクも大きいです。カードの在り処を常に管理し、異変があればすぐに使用を停止できるよう体制を整えておきましょう。
全社でキャッシュレス化の方法を統一する
「この部署はクレジットカード」「この部署は立て替え精算」とキャッシュレス化の方法を社内でいくつも混在させてしまうと、管理が煩雑化し、かえって業務負担を増加させてしまう恐れがあります。そのため、どのような方法でキャッシュレス化を進めるにしろ、全社で方法を統一することが大切です。
還元ポイントの会計処理に注意する
法人カードやQRコード・バーコードなどのキャッシュレス決済を導入すると、ポイントの付与サービスを受けられる場合があります。ポイントを貯めると、商品と交換したり、キャッシュバックを受けたりすることができます。
ポイントが貯まっている段階では、基本的に会計処理は不要です。しかし、ポイントを利用したときに仕訳が必要になります。たとえば、値引きに利用したときは「仕入値引」、キャッシュバックを受けたときは「雑収入」といった勘定科目を使って適切に経理処理をおこなう必要があります。このように、キャッシュレスを導入する場合、還元ポイントの会計処理に注意が必要です。
キャッシュレス決済ができない場合の対応を明確にする
現金決済のみに対応しており、キャッシュレス決済が利用できない店舗もまだまだ多くあります。また、クレジットカードには対応しているけれど、QRコード・バーコードには対応していないという店舗もあります。
そのため、キャッシュレスを導入する場合、取引先がどのようなキャッシュレス決済に対応しているかを確認することが大切です。また、キャッシュレス決済ができない場合の対応を明確にしておくことも重要です
経費精算のキャッシュレス化には経費精算システムがおすすめ
経費精算のキャッシュレス化を進めるには、経費精算システムの導入がおすすめです。ここでは、経費精算システムの特徴やメリット、選び方について詳しく紹介します。
経費精算システムとは
経費精算システムとは、経費の申請・承認から会計処理までの一連の業務を効率化するためのシステムです。経費精算システムを活用すれば、旅費交通費や交際費、仮払金を使用した経費精算など、あらゆる経費精算を一つのシステムで処理することができます。また、ワークフローや請求書処理、外部システム連携など、さまざまな便利な機能が搭載されているので、上手く活用すれば、自社の生産性を向上させることが可能です。
経費精算システムのメリット
経費精算システムを利用することで、申請者・承認者・経理担当者それぞれがメリットを得られます。
経費の申請者は、PCやスマホなどの端末とネット環境があれば、経費精算システムにアクセスできるので、自宅や外出先でも申請手続きができます。また、承認者はシステムで承認や差し戻し作業ができるため、業務負担の削減につながります。通知機能を活用すれば、承認漏れも防ぐことが可能です。
経理担当者は、手作業でおこなっていた業務をシステムで自動化できるので、計上漏れや計算ミスを防止することができます。また、法人カードやICカードと連携できる経費精算システムを導入すれば、自動で利用データを取り込めるので、業務の効率化が期待できます。
経費精算システムの選び方
経費精算のキャッシュレス化をスムーズに進めるには、自社の導入するキャッシュレス手段と連携できる経費精算システムを選ぶことが大切です。既存の会計ソフトや給与計算システムとも連携できると、データ入力の手間を削減し、さらに業務を効率化することができます。まずは導入する目的を明確にし、料金や機能、セキュリティ、サポート体制などの観点から複数のシステムを比較したうえで、自社のニーズにあった経費精算システムを選ぶことが重要です。
経費精算をキャッシュレス化してリスクとコストのマネジメントを
現金を用いた経費精算には多くの手間と時間のコストがかかり、盗難や計算ミスなどのリスクがついてまわります。もしも今、経費精算を手間に感じているのであれば、経費精算をキャッシュレス化することでリスクや時間的コストを削減することができます。
経費精算のキャッシュレス化を実現するには、ICカードやクレジットカード、QRコード・バーコード、口座振替、立て替え精算といった方法があります。どの方法を用いるにせよ、経費精算システムと一緒に導入すれば、より業務が効率化できるようになります。さまざまなシステムをよく比較し、自社に適したシステムを見つけてみてください。
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