ペーパーレス化はSDGsにつながる?取り組み事例を紹介
ペーパーレス
2023.10.11
2023.10.11
昨今、世界では持続可能な開発目標「SDGs」という言葉をさまざまな場面で目にします。 SDGsの一つである環境保護の観点からみても、不要な紙媒体を減らしていくペーパーレス化は重要な取り組みです。 今回は、ペーパーレス化とSDGsの関係性や、ペーパーレス化のメリット・デメリット・注意点、ペーパーレス化によるSDGsへの取り組み事例についてわかりやすく解説します。
ペーパーレス化とSDGsの関係性
ここでは、ペーパーレス化とSDGsの意味を簡潔に説明したうえで、ペーパーレス化がSDGsにどのような影響を与えるのかを紹介します。
ペーパーレス化とは
ペーパーレス化とは紙媒体を電子化して保存や運用をおこなうことをいいます。 これまで、企業の活動には契約書や請求書、領収書などの多くの紙媒体が扱われてきました。
デジタル技術の発展や法改正の影響により、これまでは紙媒体で扱っていたものが、電子データとして保存・運用できるケースが増えています。
SDGsとは
SDGsとは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)のことです。(※1) 2015年9月におこなわれた国連サミットにおいて採択された、よりよい世界を目指すための国際的な目標です。
全部で17のゴールと169のターゲット、231の指標が決められており、日本も積極的に目標達成のための取り組みをおこなっています。
日本国内では、2016年5月にSDGs推進本部が設置され、SDGsへの貢献の可視化を目的に2017年から「SDGsアクションプラン」を策定しています。(※2) SDGsアクションプランは優先すべき8つの課題が掲げられており、達成のための取り組みが求められるでしょう。
(※1)SDGsとは?|外務省
(※2)持続可能な開発目標(SDGs)達成に 向けて日本が果たす役割|外務省
ペーパーレス化はSDGsにつながる
SDGsで挙げられている課題の一つに、環境問題があります。 紙を作るには、木が必要です。 大量に紙を消費することが、森林の破壊につながります。 地球から緑が減っていけば、地球温暖化や大気・水質汚染の深刻化に至ってしまうでしょう。 これからの時代、環境問題を見直すためには、今ある緑を守っていくことが必要です。
そこで環境問題への取り組みの一つとして実践すべきなのが、ペーパーレス化です。 SDGsは17の具体的な目標を挙げていますが、ペーパーレス化はそのうち4つの項目に対して関連性があります。
- 8. 働きがいも経済成長も
- 12. つくる責任つかう責任
- 13. 気候変動に対する具体的な対策
- 15. 陸の豊かさも守ろう
企業の成長には、社会的にみた評価も重要になります。 SDGsに対する取り組みは、社会への貢献として企業イメージやブランディング力の向上が期待できます。
ペーパーレス化のメリット
ペーパーレス化の推進はSDGsに貢献するだけでなく、企業にさまざまなメリットをもたらします。ここでは、ペーパーレス化のメリットについて詳しく紹介します。
多様な働き方の実現
ペーパーレス化によって紙媒体ではなく電子データとして書類を扱えるようになれば、時間や場所を問わずに業務がおこなえるようになります。
たとえば、これまで紙媒体であるタイムカードを使用していたところを勤怠管理システムに変えれば、テレワークにも柔軟に対応することが可能です。 また、会議資料を電子ファイルで作成すれば、場所に縛られることなくビデオ通話を繋いでWeb会議ができるようになります。
コストの削減
紙媒体で書類などを作成しようとすると、紙そのものに対する費用に加えて印刷費が発生します。 その書類を用いて企業間などで取引するのであれば、郵送費用も発生します。
さらに、紙媒体の場合、保管場所やそのための費用、ファイリング、廃棄費、それらに関わる人件費など、多くのコストがかかります。 ペーパーレス化を推進すれば、これら費用は大幅にカットできます。
業務の効率化
帳簿など、紙媒体で一つずつ手作業で計算して数字を入力していると、数え間違いなどのミスが起こってしまいます。
しかし、これらをシステムで管理できるようにペーパーレス化を進めれば、ヒューマンエラーの防止にもつなげることができます。
また、電子ファイルはキーワードを用いて検索したり、作成日や更新日を用いてソートしたりできるため、検索や管理も簡単におこなうことが可能です。そのため、探している資料を素早く探し出すことができます。
セキュリティの強化
紙媒体の書類は、盗難や紛失といったリスクが常に伴います。 紙書類を電子化し、アクセス権限やパスワードを付与するなど、必要なセキュリティ対策を施すことで、情報漏えいや、紛失・盗難といったリスクを軽減することが可能です。
また、バックアップ体制を構築することで、地震や火災、津波といった災害に見舞われたとしても、情報を守ることができます。
ペーパーレス化のデメリット
ここでは、ペーパーレス化を推進する際のデメリットについて詳しく紹介します。
導入のためにコストがかかる
ペーパーレス化を推進することで、紙媒体を扱ううえでかかっていたコストをカットすることができます。一方でシステムを導入して体制を整えるためには相応の手間や費用がかかる点は留意しておかなければいけません。とくに、クラウドサービスなどのITツールを導入するときは、初期コストがかかります。
システム障害が発生する
電子データは、紙媒体と比べて紛失・劣化といったリスクが低く、使い回しに長けている特徴があります。しかし、電子ファイルはシステム障害により閲覧・編集ができず、業務が滞ってしまう恐れがあります。そのため、システム障害が発生したときの対応について事前に考えておくことが大切です。
100%のペーパーレス化は難しい
近年では電子帳簿保存法の改正の影響もあり、紙書類を電子化しやすい環境が整備されつつあります。しかし、電子化するには要件があったり、そもそも電子保存が認められていなかったりする場合もあります。
そのため、すべての紙媒体の書類をペーパーレス化できるわけではありません。 ペーパーレス化に取り組む前に、e-文書法や電子帳簿保存法など、文書の電子化に関係した法律をきちんと確認しておくことが大切です。
ペーパーレス化を効率よく進めるためのポイント・注意点
ここでは、ペーパーレス化を効率よく推進するためのポイントや注意点について詳しく紹介します。
段階的に進める
業務に支障が出るなどを理由に、いきなり全社的にペーパーレス化を推進するのは難しい場合もあります。また、社内全体にITツールを導入しようとすると、初期コストが大きく、なかなか導入に踏み切れないこともあるかもしれません。
そのため、電子化に取り組みやすい業務や部署などから、ペーパーレス化を段階的に進めていくのがおすすめです。小さな範囲からペーパーレス化を進めることで、問題や課題が見つかっても素早く対応することができます。
従業員や取引先の理解を得る
ペーパーレス化を進めるには、従業員の協力が必要です。ペーパーレス化ツールを導入したとしても、現場の従業員が積極的に活用しなければ、定着せず導入に失敗してしまう可能性があります。従業員から理解を得られるように、研修やセミナーを開催し、ペーパーレス化の目的・メリットや、ITツールの操作方法などをきちんと周知することが大切です。
また、ペーパーレス化の取り組みは、取引先に影響を与えることもあります。たとえば、電子契約を導入する場合は、契約書を電子化して管理することになります。
取引先が紙の契約書しか取り扱っていない場合、いきなり電子契約を持ちかけると契約を断られる恐れがあります。そのため、ペーパーレス化の施策が取引先に影響を与える場合、あらかじめ取引先の電子化に関する意向をきちんと確認しておくことが重要です。
自社のニーズにあうペーパーレス化ツールを活用する
ペーパーレス化を効率よく進めるうえで、ITツールの活用が不可欠です。これまでに企業内で紙媒体として扱っていたものは、ツールやシステムの導入によってペーパーレス化が望めるものがあるかもしれません。
下記のように自社の課題にあったITツールを活用することで、ペーパーレス化を大きく進めることができます。
- 業務日報作成システム:日報の作成や管理をツール上でおこなう
- ワークフローシステム:紙媒体だった申請書や伝票を電子化
- 電子契約システム:企業間の契約書のやりとりを電子化
- 給与支給票システム:給与明細の発行や配布を電子化
- 請求書発行システム:請求書を電子化してやりとり
- 経費精算システム:領収書などの経費精算に必要な書類を電子化
まずはITツールを利用してどのようなペーパーレス化を実現したいのか明確にしましょう。ITツールにはさまざまな種類があります。そのため、自社の規模や従業員のITリテラシーの観点から、料金・機能・セキュリティ・サポートなどを比較して、ニーズにあったITツールを選定することが大切です。
ペーパーレス化によるSDGs取り組み事例
ここでは、ペーパーレス化によるSDGsの取り組み事例を紹介します。
ペーパーレス会議の実現により紙の会議資料を削減
ペーパーレス会議を実現して、紙の会議資料を削減し、SDGsに貢献した事例があります。
会議で紙媒体の資料を利用する場合、大量の紙が必要になります。また、印刷・製本といった手間や、資料の使用後の廃棄コストもかかります。
そこで、注目されているのがペーパーレス会議です。会議室に大型ディスプレイを設置して資料を表示することで、会議資料を削減することができます。また、事前にメールで資料を共有し、参加者のノートパソコンで資料を映し出せば、紙の資料が不要でも効率よく会議をおこなうことが可能です。
ノンペーパーを推進してオフィスを有効活用
ノンペーパーを推進して、紙の使用量を減らしてSDGsに貢献するだけでなく、オフィスの有効活用に成功した事例があります。
紙媒体の書類を扱って業務をおこなっている場合、必要な書類を見つけるのに時間や手間がかかることもあります。また、管理が徹底されていないと、紛失・盗難に見舞われ、セキュリティ被害が発生する場合もあるかもしれません。
紙にとらわれないノンペーパーを推進すれば、紙の使用量を削減し、コストを減らすことができます。また、紙から電子データに切り替え、不要な書類を廃棄することで、オフィスを整理整頓し、省スペース化を実現することが可能です。
取引先への紙資料を電子化してコスト削減に成功
社内書類だけでなく、取引先への紙資料も電子化して、紙の使用量を減らし、顧客満足度の向上とコストの削減に成功した事例があります。
社外文書を電子化するには、取引先の了承を得なければなりません。そのため、社内文書よりも社外文書のほうが、ペーパーレス化は難しい傾向にあります。
資料の電子化と同時にサービスの割引を提案するなど、取引先にもメリットがある仕組みを構築することで、ペーパーレス化に協力してもらえる可能性は高まります。社内文書だけでなく、社外文書も電子化できれば、データの管理効率は高まり、これまで以上に生産性向上やコスト削減が期待できます。
ペーパーレス化は企業ができる社会貢献の一つ
環境問題は、社会が一丸となって取り組まなければ解決できない大きな課題です。ペーパーレス化を実施するとSDGsに貢献できるだけでなく、コスト削減や業務効率化、セキュリティ強化など、あらゆるメリットが得られます。まずはできる部分からペーパーレス化を始めてみましょう。
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