外国人の年末調整における注意点や方法をわかりやすく解説

日本に居住し所得のある人には、所得税が発生します。
1年間を区切りとして、その年の所得に対して適切な納付額を納めることが必要です。

企業に勤めている社員やアルバイト、パートなどは、給与からあらかじめ天引きしておき、年末に計算をし直して決定した所得税の差額を申請して適切な納付額を決定する年末調整をおこないます。

今回は、日本国籍を持っていない外国人に対する年末調整について、注意点や方法をわかりやすく解説します。

更新日:2022.10.24

日本に居住し所得のある人には、所得税が発生します。
1年間を区切りとして、その年の所得に対して適切な納付額を納めることが必要です。

企業に勤めている社員やアルバイト、パートなどは、給与からあらかじめ天引きしておき、年末に計算をし直して決定した所得税の差額を申請して適切な納付額を決定する年末調整をおこないます。

今回は、日本国籍を持っていない外国人に対する年末調整について、注意点や方法をわかりやすく解説します。

外国人は年末調整の対象となる?

外国人であっても日本に居住し所得がある人は、年末調整の対象です。
年末調整あるいは確定申告をおこなって納付額を正しく申告する必要があります。

年末調整の対象となるのは、以下に該当する人です。(※1)

  • 1年以上継続、あるいは年の途中で入社して12月の段階で継続して勤務している人
  • 心身の障害、あるいは死亡によって年の途中で退職したことで、その年の間に再就職が望めない人
  • パートやアルバイトとして働いていたが退職し、その年の給与総額が103万未満の人
  • 年の途中で海外へ転勤して非居住者になった人

2,000万円以上の主たる給与の収入があったり、災害などによって納税が猶予あるいは還付を受けていたりする人は年末調整の対象とはなりません。
これらは、日本で所得がある人全てに適用されるため、外国人であっても同様となります。

それを除いて対象となる場合は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を給与の支払いをしている者を介して、税務署長へ提出して年末調整をおこなう必要があります。

また、外国人は、上記の条件の他にも、居住者・非永住者・非居住者の3つの区分によって年末調整をおこなうかどうかが決まります。
3つの区分については、次の項目で詳しく紹介します。

(※1)No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁

居住者・非永住者・非居住者の区分とは

外国人も年末調整の対象とはなりますが、全員が該当するとは限りません。
外国人の場合、納税者を3つに分類し、年末調整を要するかどうかを決定します。

その3つの分類が、居住者と非永住者、非居住者です。
それぞれについてみていきましょう。

1. 居住者(年末調整の対象)

国内で生活の拠点となる住所がある人、あるいは国内で1年以上居住している人は居住者として分類されます。
居住者は、国内と国外のすべてにおいて源泉所得に対して課税がなされ、年末調整の必要があります。

ただし、その住所に住む期間が1年未満と決まっている場合は居住者には該当しません。

2. 非永住者(年末調整の対象)

日本国籍を持っていない居住者のなかで、これまでの10年にわたって住所あるいは居所を持っていた期間が5年以下だった人は非永住者として分類されます。
なお、5年になったその日の翌日から非永住者以外の居住者となります。

非永住者については、国内で支払われた源泉所得に加えて、海外で支払われた源泉所得のなかで国内に送金されるといったかたちで国内で得られた所得を対象として課税されます。

なお、非永住者以外の居住者については、1の居住者と同様で国内と国外のすべての源泉所得に対して課税されます。
よって、非永住者と非永住者以外の居住者のどちらも、年末調整が必要です。

3. 非居住者(年末調整の対象とならない)

外国人のなかで、年末調整の対象とはならないのが非居住者です。
日本に入国してからの期間が1年未満であり、また国内に住所を持っていない人が当てはまります。

入国してからの期間が1年未満であっても、国内で住所を得たのであれば、その当日から居住者として扱われます。
また、住所が無くても居所があって1年以上日本に居たのであれば、居住者となります。

非居住者は、国内で得られた収入に対しての源泉所得にのみ課税されます。
その税率は一律20.42%となっており、納付額が決定したらその翌月の10日までに納めなければいけません。(※2)(※3)

非居住者の所得税は、源泉徴収で確定するため、年末調整の必要はありません。

(※2)No.2884 源泉徴収義務者・源泉徴収の税率|国税庁

(※3)No.2885 非居住者等に対する源泉徴収のしくみ|国税庁

外国人従業員の年末調整の方法

外国人従業員の年末調整をおこなうのにあたって、その方法や必要な書類について紹介します。
基本的な方法は、日本人従業員と同じですが、異なる点はいくつかあります。

以下4点について覚えておきましょう。

  • 年末調整の対象を左右する3つの分類(居住者、非永住者、非居住者)を正しくおこなう
  • 外国政府や外国企業との契約による保険証については控除できない
  • 国外に居住している親族がいる場合、扶養控除が適用される
  • 租税条約による特例の適用

続いて、必要な書類についてですが、外国人従業員から最低でも以下3つの書類が必要です(※4)

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書

次に、控除や特定の条件によって必要となる書類や日本人従業者の年末調整とは異なる点について解説します。

まず、社会保険料といった控除についてです。
国内で利用している社会保険制度については控除を受けられます。

しかし、外国企業と契約しているものについては、年末調整で控除は受けられません。

また、その外国人従業員の出身国と日本とで租税条約が結ばれていると、所得税などが免除される場合があります。
2022年9月の時点で150カ国と租税条約が結ばれており、アメリカやドイツ、カナダ、ブラジルなどが挙げられます。(※5)

(※4)日本における給与に係る源泉徴収制度の概要 令和3年版|国税庁

(※5)我が国の租税条約ネットワーク|財務省

外国人従業員の年末調整の注意点

外国人従業員の年末調整の際には、居住者および非居住者の分類について、とくに気をつけることが必要です。
誤った区分では、必要な年末調整を怠ったり、逆に不要な納税をしてしまったりする可能性があります。

また、そのほかの控除についても注意しなければいけません。
外国人従業員の場合、日本人従業員よりも書類を準備するのに時間や手間がかかります。

当然、不備があれば控除が適用されないので、外国人従業員については制度の説明を徹底して、理解してもらえるように努めましょう。

加えて、外国人従業員に対して支給している費用についても、給与所得の際に正しく計算する必要があります。
住居費や水道光熱費、教育費、養育費といった費用が該当します。

もし、年末調整を誤っておこなってしまうと、多額の追加税金が発生する可能性があります。
とくに区分や所得額についてはとくに気をつけましょう。

国外に住む親族の扶養控除は?

外国人居住に国外で住んでいる親族がいる場合でも、扶養控除は適用されます。
この親族の範囲は、民法で定められている通りです。

国外に住んでいる親族の扶養控除には、親族関係書類と送金関係書類がそれぞれ必要です。(※6)
それぞれ確認していきましょう。

親族関係書類とは、申請するにあたってその扶養家族が確かに親族であると証明するための書類です。
また、送金関係書類とは、その外国人従業員が親族を養っていると証明するための書類となっています。

これら2種の書類は、提出するタイミングが異なります。
親族関係書類は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出する際に合わせて必要です。

一方で送金関係書類は、年末調整をおこなう際に提出しなければいけません。

(※6) 国外居住親族に係る扶養控除等の適用について|国税庁

日本人とは異なる外国人の年末調整について正しくチェック

日本国籍を持っていない外国人についても、日本で収入があるのであれば所得税を正しく納める義務があります。
居住者と非永住者については、年末調整が必要となるので、外国人従業員を雇用する際は覚えておきましょう。

一方で非居住者については源泉徴収のみで正しく所得税を納められるので、年末調整は不要です。
このほか、年末調整のために受けたい控除がある場合は必要な書類が複数あるので、外国人従業員の理解を含めて、正しく納められるようにしましょう。

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