年末調整は税理士に依頼すべき?メリットとデメリットを紹介

年末調整では、所得金額の再計算や源泉徴収票の配布、所得税の納付(還付)など、さまざまな手続きが必要です。そこで、自社の経理担当者のみで年末調整をおこなうのではなく、手続きを税理士に委託する方法もあります。
年末調整は税理士に依頼すべきなのでしょうか。また、税理士ではなく社会保険労務士に委託することは可能でしょうか。

この記事では、年末調整を税理士に依頼するメリットや注意点、料金相場を解説します。

更新日:2022.10.24

年末調整では、所得金額の再計算や源泉徴収票の配布、所得税の納付(還付)など、さまざまな手続きが必要です。そこで、自社の経理担当者のみで年末調整をおこなうのではなく、手続きを税理士に委託する方法もあります。
年末調整は税理士に依頼すべきなのでしょうか。また、税理士ではなく社会保険労務士に委託することは可能でしょうか。

この記事では、年末調整を税理士に依頼するメリットや注意点、料金相場を解説します。

年末調整は税理士に依頼すべき?

年末調整は手間がかかるため、毎年11月から12月にかけては急速に業務量が増加します。そのため、年末調整業務を自社の経理担当者のみでおこなうのではなく、税理士に委託する企業も存在します。
ただし、年末調整業務などの税務は税理士の独占業務に該当するため、社会保険労務士に委託することはできません。

ここでは、年末調整は税理士に依頼すべきかどうかや、税理士に依頼するときの流れを解説します。

年末調整は手間がかかる

年末調整は11月上旬から翌年1月末にかけておこなう手続きです。従業員に配布した年末調整書類の回収から、精算した所得税の徴収、還付まで、さまざまな手続きが必要になります。

年末調整業務のスケジュール

10月~11月扶養控除等(異動)申告書などの年末調整書類の配布や回収
11月~12月各種控除額や年調年税額の計算
12月源泉徴収票の交付
翌年1月31日まで所得税および復興特別所得税の納付や、過不足が発生する場合の徴収や還付

このように年末調整手続きは手間がかかるため、入力作業や書類作成の簡略化を目的としたクラウドサービスなども登場しています。
しかし、中小企業やスタートアップ企業など、経理部門の人員が乏しい企業では、年末調整業務が現場の負担となっているケースもあるようです。

年末調整などの税務は税理士の独占業務

年末調整業務は、自社の経理担当者でおこなうのではなく、外部の税理士に依頼することもできます。注意が必要なのが、「年末調整などの税務は税理士の独占業務」である点です。
社会保険労務士など、税理士以外の人に年末調整業務を依頼した場合、税理士法第2条第1項および第52条に違反する可能性があります。(※1)

第二条 税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十条の四第二項に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。第四十九条の二第二項第十号を除き、以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 税務代理(税務官公署(税関官署を除くものとし、国税不服審判所を含むものとする。以下同じ。)に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て(これらに準ずるものとして政令で定める行為を含むものとし、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二章の規定に係る申告、申請及び審査請求を除くものとする。以下「申告等」という。)につき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること(次号の税務書類の作成にとどまるものを除く。)をいう。)

引用:税理士法|e-Gov法令検索

第五十二条 税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。

引用:税理士法|e-Gov法令検索

年末調整業務は、税理士法でいう「税務代理」に該当し、税理士の独占業務とされています。
したがって、税理士法第52条の通り、税理士以外の人が他者から依頼されて年末調整業務をおこなうことはできません。

(※1)税理士法 | e-Gov法令検索

年末調整を税理士に依頼するときの流れ

年末調整を税理士に依頼するときの流れは次の通りです。

11月扶養控除等(異動)申告書などの年末調整書類を作成し、漏れがないように提出する
11月~12月税理士が年末調整書類をチェックし、各種控除額、年調年税額、過納額や不足額などを計算する
翌年1月31日まで税理士が税務署に法定調書を提出した後で、所得税の納付や還付などをおこなう

年末調整を税理士に依頼するメリット

年末調整を税理士に依頼するメリットは2つあります。
年末調整業務では、扶養控除や配偶者控除などの各種控除額の計算や、所得税の過不足額の計算などを人数分おこなう必要があります。税務の専門家である税理士に業務を委託することで、計算ミスや控除漏れなどを防ぐことが可能です。
また、税理士から専門的なアドバイスを受けることが可能です。

計算ミスや控除漏れを防止できる

税理士に年末調整業務を依頼すれば、年調年税額の計算ミスや、扶養控除や配偶者控除などの漏れを防止できます。
とくに各種控除を適用する場合、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書や給与所得者の基礎控除申告書など、さまざまな申告書を人数分用意し、チェックしなければなりません。(※2)
税務業務のプロである税理士に依頼すれば、年末調整時のミスや漏れの防止につながります。

具体的な控除としては、以下が挙げられます。

申告書控除
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除
給与所得者の基礎控除申告書基礎控除
給与所得者の配偶者控除等申告書配偶者控除、配偶者特別控除
所得金額調整控除申告書所得金額調整控除
給与所得者の保険料控除申告生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書住宅借入金等特別控除

(※2)令和3年分年末調整のしかた|国税庁

年末調整を税理士に依頼するデメリット

年末調整を税理士に依頼するデメリットは、依頼料などのコストの問題です。
一般的に、税理士に年末調整業務を委託する場合、所定の基本料金に加えて従業員数に応じた手数料が発生します。年末調整が必要な従業員数が多い場合、高額な依頼料が発生し、費用負担が大きくなるリスクがあります。

ただし、費用対効果の点で考えると、年末調整を税理士に依頼することが必ずしもマイナスになるとは限りません。年末調整業務を委託すれば、その分の人件費を節約することが可能です。
年末調整業務にかかる人件費は、「年末調整に必要な業務時間×従業員の給与(時給)×従業員数」の計算式で求められます。

年末調整業務を社員のみでおこなう場合の人件費が、税理士への委託費用を上回る場合、年末調整業務を税理士に委託しても十分な費用対効果が期待できます。

年末調整を税理士に依頼した場合の料金相場

それでは、実際に年末調整業務を税理士に依頼する場合、どのくらいの料金がかかるのでしょうか。
税理士への依頼料は税理士事務所によって異なるものの、おおよその相場は、基本料金が1万円から3万円、従業員数に応じた手数料が1人あたり1,000円から3,000円となっています。
たとえば、基本料金が1万円、従業員数に応じた手数料が1人あたり1,000円、従業員数が30人の場合、税理士への依頼料は以下の通りです。

  • 1万円+1,000円×30人=40,000円

なお、急な依頼の場合や、源泉徴収票などの法定調書の作成も依頼する場合、オプション料金が発生する可能性があります。

年末調整における税理士選びのポイント

年末調整を依頼する税理士選びのポイントは3つあります。

  • 税理士または税理士法人など、税理士資格を有しているか
  • 年末調整業務の実績が豊富かどうか
  • 雇用関係助成金など、新型コロナウイルスに関する助成金の知識が豊富か

もし年末調整のアウトソースを業務内容として宣伝していても、実際には税理士業務の資格のない業者である可能性もあります。税理士資格の有無はもちろん、サービスサイトやコーポレートサイトなどを確認しましょう。

年末調整を税理士に依頼する際は、費用対効果を考慮しよう

年末調整は税理士に依頼することが可能です。ただし、年末調整は税理士の独占業務に該当するため、社会保険労務士など税理士以外の人に委託することはできません。
税理士に年末調整を依頼すれば、計算ミスや控除漏れの防止などのメリットがあります。人件費の節約も期待できるため、年末調整の業務委託を検討しましょう。

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