年末調整に交通費や通勤手当は含まれる?注意点を徹底解説

企業は毎年度末、従業員から源泉徴収した所得税額に過不足がないかどうか確認する年末調整をおこないます。所得税は給与収入をベースに算出した課税所得額に基づいて計算されるため、毎月従業員に支払っている交通費や通勤手当を給与収入に含めるかどうか、気に

更新日:2022.10.24

企業は毎年度末、従業員から源泉徴収した所得税額に過不足がないかどうか確認する年末調整をおこないます。

所得税は給与収入をベースに算出した課税所得額に基づいて計算されるため、毎月従業員に支払っている交通費や通勤手当を給与収入に含めるかどうか、気になるところです。

そこで今回は、年末調整に交通費や通勤手当が含まれるのかどうかや、交通費の非課税限度額に関する税制改正のポイントについて解説します。

年末調整に交通費や通勤手当は含まれるのか?

年末調整に交通費や通勤手当が含まれるか否かは、それぞれの支給額や利用する交通・通勤手段によって異なります。

ここでは年末調整における交通費や通勤手当の扱いをケース別に紹介します。

1. 公共交通機関のみを利用して通勤している場合

新幹線や電車、バスなどの公共交通機関のみを利用して通勤している場合、1カ月あたりの交通費や通勤手当が15万円までなら非課税扱いとなります。(※1)

たとえば、電車通勤している従業員に、定期券の購入費として1万円を支給している場合、その全額が非課税となるため、年末調整では交通費や通勤手当を含めずに計算します。

ただ、非課税となる交通費や通勤手当はあくまで最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合に限られます。
 
新幹線を利用した場合も、通常の運賃は非課税枠に含まれますが、グリーン料金は「経済的かつ合理的な方法」とみなされないことに留意しましょう。

(※1)No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当|国税庁

2. マイカー通勤している場合

区間ごとに料金が固定されている公共交通機関とは異なり、マイカー通勤にかかる費用は距離もさることながら、利用している車の燃費やその時のガソリン代などによって異なります。

そのため、マイカー通勤の非課税枠は、片道の通勤距離(通勤経路に沿った長さ)に応じて、以下のように定められています。(※2)

片道の通勤距離1カ月あたりの限度額
2km未満全額課税
2km以上10km未満4,200円
10km以上15km未満7,100円
15m以上25km未満12,900円
25km以上35km未満18,700円
35km以上45km未満24,400円
45km以上55km未満28,000円
55km以上31,600円

(※2)No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当|国税庁

3. 公共交通機関とマイカーの両方を使って通勤している場合

従業員の中には、家から最寄り駅まで距離があるため、マイカーや自転車で駅まで行き、そこから電車や新幹線を使って通勤している人もいます。

その場合、以下2つを合計した金額のうち、1カ月あたり15万円以下に含まれる部分が非課税枠になります。(※1)

  • 公共交通機関を利用する場合の1カ月間の金額
  • マイカーや自転車などを使って通勤する片道の距離で決まっている1カ月あたりの非課税限度額

4. 自転車通勤している場合

自転車は、法律上ではマイカー通勤と同じ扱いとなります。(※2)

自転車は自動車と違ってガソリン代がかかりませんが、交通費や通勤手当が支給された場合はマイカー通勤と同じ非課税枠が適用されます。

5. 徒歩通勤している場合

所得税法第9条の5では、給与所得のある者のうち、「その通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の仕様のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当」を非課税所得とみなすことを定めています。(※3)

徒歩の場合、交通機関も交通用具も使用していないため、たとえ会社から交通費や通勤手当が支給されていても、その全額が課税対象となります。

(※3)所得税法|e-Gov法令検索

年末調整では交通費や通勤手当の非課税限度額に注意

年末調整では、一定の限度額までは交通費や通勤手当を含めずに所得税を計算します。
ただし、1カ月あたりの交通費や通勤手当が非課税限度額を超えた場合、超過分は課税の対象となります。

たとえば、新幹線を使って通勤している人の1カ月あたりの定期代が16万円で、その全額を通勤手当として支給したとします。

公共交通機関を利用した場合の1カ月あたりの非課税限度額は15万円なので、16万円-15万円=1万円は課税対象となります。

この1万円は給与扱いになり、年末調整では給与所得に含めて計算することになるので要注意です。

一方、マイカーで片道10kmの距離を通勤している従業員に毎月1万円の交通費や通勤手当を支給したとします。

片道10km以上15km未満の通勤距離に対する1カ月あたりの非課税限度額は7,100円なので、10,000円-7,100円=2,900円が課税対象となります。

従業員に支給する交通費や通勤手当が非課税枠内に収まっている場合は、交通費や通勤手当を一律除外して計算すれば良いので、さほど混乱する心配はありません。

ただし、交通費や通勤手当に制限を設けず、実費支給としている場合、従業員によっては非課税限度額を超えるケースも出てきます。

その場合、年末調整では従業員ごとに非課税限度額を超えた部分を計算し、給与所得に含めるという作業をおこなわなければなりません。

そのため、企業によっては最初から従業員の通勤状況をもとに非課税限度額を算出し、それを超えない範囲で交通費や通勤手当を支給しているところもあります。

交通費の非課税限度額に関する税制改正のポイント

交通費の非課税限度額について定めた所得税法は昭和40年(1965年)に制定された法律ですが、時代に合わせてたびたび改正されています。

平成28年度(2016年度)の税制改正では、給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が引き上げられました。
具体的には、平成28年1月1日以後に支給される通勤手当の上限が、1カ月あたり10万円から15万円に増加しています。(※4)

この改正により、交通費や通勤手当の取り扱いに変更が生じるのは、公共交通機関を利用して通勤しているケースです。

マイカー通勤または自転車の片道距離に応じた非課税限度額の値は、改正前と比べてとくに変更はないため、従来通りの計算方法となります。

(※4)通勤手当の非課税限度額の引上げについて|国税庁

年末調整に交通費や通勤手当が含まれるか否かは通勤手段や状況によって異なる

年末調整に交通費や通勤手当が含まれるかどうかは、通勤手段や通勤状況によって異なります。
公共交通機関を利用している場合、1カ月あたり15万円までなら非課税扱いとなり、年末調整では給与所得に含めずに計算されます。

一方、自転車やマイカーなどの交通用具を利用して通勤している場合は、片道距離に応じて非課税限度額に差があります。

非課税枠を超過した額については給与所得に含めて年末調整しなければならないので、交通費や通勤手当に制限を設けずに支給している場合は、従業員ごとに超過分を管理したうえで年末調整をおこなうようにしましょう。

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