年末調整の電子化は義務?電子化のやり方やメリット・デメリットを紹介!
労務管理システム
2023.11.06
2023.11.06
従来は紙の書類で申請をおこなうことが一般的だった年末調整ですが、令和3年1月提出分からは、条件に該当する企業に電子申請が義務付けられました。すべての企業で義務化されたわけではありませんが、年末調整の電子化には多くのメリットがあるため、対象となっていない企業においても導入することが推奨されています。本記事では、年末調整を電子化する手順・やり方やメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。
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この資料では、年末調整の必要書類や書き方、源泉徴収の計算方法、年末調整後におこなうべき対応など、年末調整の手続きについて解説しています。2023(令和5)年の年末調整に向けての準備にご活用ください。
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年末調整の電子化とは?義務?
ここでは、年末調整の電子化とはどのような仕組みなのか、年末調整の電子化は義務なのかについて詳しく紹介します。
年末調整の電子化とは
年末調整の電子化とは、文字通り年末調整の手続きをデータで処理し、提出することを指します。電子化をおこなうと、具体的に以下のように手続きを効率化できます。
- 従業員は、保険会社などから控除証明書をデータで取得する
- 従業員が「年調ソフト」にデータを取り込んで、控除申告書などを作成する
- 控除額が自動計算された申告書データを勤務先に提供する
- 勤務先は、提供されたデータをもとに年税額を自動計算する
- 提供された情報はデータのまま提出や保管をする
年末調整の電子化は、平成30年度におこなわれた税制改正により定められました。(※1)これにより、令和3年1月提出分の年末調整から電子データによる情報提供が可能となっています。

年末調整のペーパーレス化とは?メリットや年末調整電子化の流れを解説!
近年では、IT技術の発展や、法改正の影響もあり、さまざまな業務のペーパーレス化が進んでいます。ペーパーレス化が進む業務の一つが、年末調整です。国税庁は年末調整の手続きの電子化を進めています。 当記事では、年末調整のペーパーレス化とはどのようなものかについて徹底解説します。年末調整の電子化の流れ・メリットなどについて知りたい方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
年末調整の電子化は義務化される場合あり!
年末調整における控除書類提出の電子化は、現時点で義務化されていません。あくまで任意の取り組みとして位置づけられています。ただし、令和3月1月の申告分より「年末調整で作成する法定調書の電子申請」が条件によっては義務付けられているため注意が必要です。(※2)
電子申請の義務化は、すべての企業が対象となるわけでなく、2年前(前々年度)に発行した法定調書が種類ごとにみて100枚以上である企業に限られます。
たとえば、令和4年度の年末調整においては、令和2年度に発行した源泉徴収票が150枚あった場合、源泉徴収票の作成や提出を電子化する必要があります。なお、上記の条件に当てはまらない企業の場合、法定調書の申請を電子化することは義務付けられていません。
(※2)法定調書のe-Tax等による提出義務化の概要について|e-Tax国税電子申告・納税システム
年末調整の手続きを電子化する手順・やり方
ここでは、年末調整の手続きを電子化する手順・やり方について詳しく紹介します。
1. 承認申請書を作成・提出する
年末調整の電子化を実施するには、事前に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を税務署に提出して承認を受ける必要がありました。
しかし、令和3年度の税制改正により、令和3年4月1日以降に従業員から年末調整に関係した書類をデータで受け取る場合、承認申請書の作成・提出は不要になっています。承認申請制度の廃止により、年末調整の電子化を始めやすい環境が整備されつつあります。
2. 年末調整電子化の目的を明確にして実施方法を定める
年末調整の電子化の実施方法は企業によってさまざまです。年末調整に関するすべての手続きを電子化する方法もありますが、部分的な電子化でも十分に効果があります。そのため、まずは自社でどのような年末調整の電子化を実現したいのか目的を明確にすることから始めましょう。
3. システムを導入・改修する
年末調整の電子化の目的を明確にし、具体的な実施方法が定まったら、システムの導入もしくは改修をおこないしょう。
たとえば、年末調整に関連した機能の搭載されたシステムがない場合には、新しく年末調整ソフトを導入する必要があります。また、年末調整の計算を自動化する場合、既存の給与システムを改修して、申告データや証明書データを入力できるようにしなければなりません。
システムの導入・改修には時間やコストがかかります。場合によっては、年末調整の時期までにシステムを導入できず、年末調整の電子化に失敗してしまう恐れがあります。そのため、スケジュールに余裕を持って、料金・機能・サポートなど複数の観点から自社のニーズにあう年末調整システムを構築・選定することが大切です。
4. 社内ルールを整備する
システムの改修・導入とともに、年末調整の手続きに関する社内ルールを見直す必要があります。紙媒体から電子データでの申請に切り替える場合、提出書類や申請方法などが変わります。
また、紙媒体と電子データの両方での申請を受け付ける場合、ルールを明確に定めていないと、従業員と人事労務担当者ともに混乱を招く恐れがあります。年末調整の手続きがスムーズにできるように、社内ルールを整備することが大切です。
5. 従業員に周知する
システムの改修・導入および社内ルールの整備が完了したら、実際に年末調整の電子化を始めてみましょう。その際に、従業員が混乱を招かないよう、必要書類や申請方法などをきちんと周知しておくことが大切です。
年末調整システムの操作マニュアルを準備したり、社内に年末調整に関する問い合わせ窓口を用意したりすると、従業員はスムーズに年末調整の手続きをおこなうことができます。
年末調整を電子化するメリット
年末調整を電子化すると、企業のみならず従業員側にもメリットが生じます。それぞれのメリットについて、詳しくみてみましょう。
従業員側のメリット
従業員が得られるメリットは、手書きの効率化による申告簡素化、書類保管の負担軽減です。年末調整を電子化すれば、PCやスマートフォンで必要な情報の回収が可能となります。紙のやりとりが不要となるため、年末調整のために出社したり、郵送したりする必要がなくなり、社員の負担を大きく軽減することが可能です。
また、申告書の入力方法は非常にシンプルなので、今まで年末調整の書類に苦手意識を持っていた人でも、迷わず簡単に申告ができます。
さらに、今まで書面で提供を受けた各種控除証明書は保管しておく必要がありました。しかし、電子化によってデータで提供してもらえるようになれば、保管の負担や紛失のリスクも低減できます。
企業側のメリット
企業が得られるメリットは、年末調整の手作業による計算が不要になることです。企業は、従業員が年末調整ソフトなどで作成したデータを利用することになるため、控除額の合計が自動計算された状態で手続きをスタートできます。
また、年末調整に対応したソフトを活用すれば、その後の税額の計算なども自動化可能です。ほかにも、控除証明書などの書類確認に要する事務の削減、記入や計算間違いなどを防げるというメリットもあります。また、申請書類をシステム上で回収できるため、書類を保管する手間やスペースが必要ありません。年末調整のためにスペースを確保しなくてもよくなります。
年末調整を電子化するデメリット・注意点
ここでは、年末調整を電子化する際のデメリットや注意点について詳しく紹介します。
電子化ルールを明確に定める必要がある
電子データでの申告方法や年末調整システムの操作方法が曖昧だと、従業員によって申請の仕方が異なり、個別に対応せざるを得ない状況を招き、業務負担の増加につながる恐れがあります。そのため、年末調整の電子化ルールを明確にし、スムーズに手続きができるようにしましょう。
サポート・フォロー体制を準備しておく
年末調整は専門的な知識が必要になることもあり、運用体制に問題があると、従業員は間違った申請をしてしまう可能性があります。また、ITツールの操作に抵抗を感じている人がいると、手続きが遅れてしまう恐れもあります。
そのため、年末調整の申請マニュアルを用意したり、ITツールの操作に関する研修やセミナーを開催したりして、従業員のサポート・フォローをおこなうことが大切です。
年末調整の電子化には年末調整ソフトがおすすめ
年末調整の電子化を進めるためにも、年末調整ソフトの導入がおすすめです。ただし、国税庁の提供している「年調ソフト」など、さまざまな種類の年末調整ソフトがあるので、選び方に注意する必要があります。
年末調整ソフトを選ぶ際には、どのような機能が必要かを明確にしましょう。手続きのすべてを電子化したいのか、一部を電子化したいのかで、必要な機能は変わってきます。
また、年末調整ソフトの導入形態には、主にクラウド型とオンプレミス型の2種類があります。それぞれ料金体系や導入スピード、セキュリティなどに違いがみられます。さらに、既存システムと連携できるかどうかも重要なポイントです。導入する年末調整ソフトと既存システムを上手く連携できれば、データ入力・出力などの手間を減らして、より業務を効率化することができます。
このように、機能や料金、スピード、セキュリティ、サポートなどのさまざまな観点から複数のシステムを比較し、慎重に年末調整ソフトの導入を進めることが大切です。

年末調整ソフトとは?メリットやソフトごとの特徴も紹介
年末調整の手続きを電子化するため、国税庁が無料で年調ソフト(年末調整控除申告書作成用ソフトウェア)を提供し始めました。「年末調整業務を効率化できる」と年調ソフトの導入を検討する企業は多いかもしれませんが、じつは国税庁が提供するもの以外にも年末調整ソフトは多く存在しています。本記事では、近年必要性が高まりつつある年末調整ソフトについて概要やメリットを解説します。
年末調整を電子化して業務効率を向上させよう!
年末調整の電子化には、手続きの簡略化や書類保管の負担軽減などメリットが多くあります。従業員と企業の両方にメリットをもたらすため、業務を効率化したい企業はぜひ導入を検討してみてください。
今後、電子申請の義務が適用される範囲が拡大することは十分に考えられるので、今は電子化の条件に該当しない企業も早期から電子化の準備を進めておくことが大切です。
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