領収書の分割発行は違法?2枚に分けるのが認められる場合や注意点を解説
経費精算システム
2023.11.29
2023.11.29
取引先に領収書を発行する際に、領収書を分けて発行するように依頼されたり、食事代を割り勘した際に領収書を一人ずつに分けて発行したりするケースがあります。領収書は購入した商品やサービスの代金を支払ったことを証明する書類ですが、支払いの証明となるのであれば、領収書を分割することは問題ないのでしょうか。そこで今回は、領収書の分割について詳しく解説します。
▼領収書の対応はどうなる?電子帳簿保存法ガイドブック

電子帳簿保存法対応ガイド
この資料では、電子帳簿保存法の保存要件について解説しています。電子帳簿保存法の概要や対応方法、文書の適切な管理方法までをわかりやすく紹介しています。
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領収書を分割発行することは可能か?
結論から言えば、領収書を分割して発行することが可能です。
パターンとしては、支払金額を複数枚に分けて発行することも可能ですし、支払った代金のうちの一部に対してのみを発行することも可能です。
ただし、領収書を分割して発行することは、場合によっては違法とみなされることもあるため、正しい知識を持って発行する必要があります。なお、領収書の分割発行が違法となるケースについては後半に詳しく解説します。

領収書発行の流れとは?発行義務や領収書発行を簡単にする方法
領収書は何らかの取引がおこなわれた際に発行される書類です。経理担当は、必須事項や収入印紙などのルールをはじめとして、領収書がどのような流れを経て発行されるのかについてもきちんと把握しておかなければなりません。実務担当としては、容易に領収書を発行をは気になるところでしょう。本記事では、領収書を発行するまでの流れや現金以外で支払う場合の領収書発行の義務、領収書の発行の簡単な方法などについて説明します。
領収書を2枚に分けて発行する理由
そもそも、領収書を2枚やそれ以上に分けて発行することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。考えられるメリットとしては、発行する側、発行される側に、それぞれ次のようなケースがあります。
収入印紙が不要になる(発行側のメリット)
領収書を発行する側が領収書の分割を希望する場合があります。これには印紙税が関連しています。
一般的に取引金額が5万円以上になる場合、領収書を発行する側は領収書に収入印紙を貼る必要がります。
たとえば、仮に8万円の商品やサービスを提供した場合でも、領収書を4万円ずつに分けて発行することが可能であれば、収入印紙を貼る必要はなくなります。この場合、収入印紙の不要がかからないため、分割発行をすると発行者にメリットがうまれます。
ただし、これは税法違反になったり、実際の商品とは異なる領収書を発行したとして商法に違反しているとされる可能性があります。企業側も、領収書の分割発行が収支の偽造をみなされるリスクがあるため、発行側と受領側それぞれの理解が不十分と思われる場合、領収書の分割は避けたほうが無難です。

収入印紙とは?金額や種類、正しい貼り方、購入場所などをわかりやすく解説
課税文書を作成したときは、収入印紙の添付により印紙税の納付が必要です。 印紙税額は課税文書に記載された額により決定するため、事前にいくら必要か確認し収入印紙を購入しましょう。郵便局や地方自治体の役所などで取り扱っています。 本記事では、収入印紙とはなにか、添付が必要な金額や不要なケース、正しい貼り方、購入できる場所を解説します。

収入印紙における割り印を解説
この資料では、収入印紙と割印の対応方法について解説しています。収入印紙と割印の基礎知識のほか、よくある疑問をQA形式で解説しています。領収書発行で収入印紙の対応をする担当者におすすめです。
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社内稟議にかける手間が省ける(受領側のメリット)
領収書を受け取る側が、社内稟議にかける手間を省くことを目的として、領収書の分割を希望する場合もあります。
これは、一定額以上の備品を社員が購入する際、企業によっては事前の社内稟議と承認が必要となるためです。
つまり領収書の分割は、社内稟議の承認に時間がかかる場合など、社内稟議を通さず精算をおこなう手段として選ばれることがあるようです。
領収書を分けて発行できる場合
領収書を分割して発行しても違法とならないケ―スとしては、以下のような例が挙げられます。
分割払いの場合
取引金額を分割で支払うケースにおいては、1回の支払い金額ごとに領収書の発行が可能です。
たとえば工事費用などの場合、総額は1,500万円であっても、契約締結時に500万円、工事着工時に500万円、引き渡し時に500万円など、分割して支払うケースがあります。この場合、それぞれの領収書の日付は異なるものの、500万円の領収書を3枚に分けて受け取ることができます。
割り勘の場合
取引先と飲食をした場合などに飲食費を割り勘で支払うというケースは少なくありません。割り勘の場合は、事実としてその金額を分けて支払っているため、支払い金額に応じた領収書を受け取ることが可能です。
たとえば3社で各社1名ずつが参加して会食をし、その合計金額が15,000円だったとします。割り勘をして1人5,000円ずつ支払った場合には、領収書も割り勘した金額の5000円分の領収書で3名それぞれが受け取ることができます。
支払い金額の一部のみ経費として計上する場合
支払金額の一部のみを経費として計上する場合には、その一部の金額のみを記載した領収書を受け取ることが可能です。
たとえば、業務で個人的に使用する物品を7,000円で購入するケースについて考えます。このとき、経費では5,000円までしか計上できない場合、2,000円を自己負担し、5,000円の領収書を発行することになるのです。
ただし、領収書を発行する側は売上金額と領収書の記載金額に整合性を持たせなければなりません。したがって、領収書の但し書きに「7,000円のうち5,000円分」などと記載することがあります。また、個人事業主が私物と一緒に経費で計上する物品を購入した際にも、同様の方法で領収書を発行することができます。
領収書を分けると違法になる場合
次に、領収書を分割すると違法となるケースを紹介します。「気づかないうちに脱税していた」という事態を避けるためにも、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。
固定資産を購入する場合
たとえばPCやオフィス家具など、一つあたりの金額が10万円を超えるものについては、原則として固定資産とみなされます。
固定資産の場合は、その購入金額全てをその年の経費として計上することはできず、それぞれの物品に対して決められている耐用年数に応じて原価償却費として計上しなければなりません。
したがって、16万円のPCを購入する際、領収書を8万円ずつに分けて発行してもらい、固定資産ではなく消耗品としてその年の経費に計上しようとすると、脱税行為に該当します。この場合は、4万円ずつを4年にわたって減価償却費として計上する方法が正しい処理方法です。
接待交際費を分割しようとする場合
一般的に多くの企業では、取引先との会食費の上限を5,000円としています。なぜなら、5,000円以下の飲食に関しては接待交際費ではなく、飲食費として全額を経費計上することができるためです。
反対に、飲食代の1人あたりの金額が5,000円を超える場合は、超過分だけが接待交際費に該当するのではなく、全てが接待交際費に該当することになります。
たとえば、2名で会食をした飲食代の合計金額が12,000円で、1人あたりの金額が6,000円だったとします。
この場合、2000円を自己負担し、残りの10,000円を5000円×2人として経費で計上しようと領収書を10,000円と2,000円に分割して発行すると、脱税行為とみなされる可能性があるのです。
領収書を分ける際の注意点
領収書を分割して発行する際は、ほかにも注意すべきポイントがあります。とくに注意しなければならないのが、社内稟議の手間を省くために領収書を分割するケースです。
しかし、企業によっては領収書の分割自体を禁止していることもあります。仮に領収書の分割が発覚した場合、再度稟議にかける必要が出てきたり、虚偽申告とみなされたりするなどのトラブルに発展する可能性があります。そのため、まずは社内規定において領収書の分割が認められているかを確認しておくことをおすすめします。

領収書で起こる不正とは?不正が起こる理由や対策方法を解説
領収書は経費精算を適切におこなう際に必要な書類ですが、領収書で不正が起こるケースも珍しくありません。しかし、経費の精算をおこなう関係上、領収書を取り扱わないわけにはいきません。そのため、領収書で不正が起きてしまう背景を押さえ、適切に経費精算をおこなうことができる環境を作ることが重要です。 本記事では、領収書で起こる主な不正や不正の原因、領収書の不正への対策方法などについて説明します。
領収書の分割は正しい理解とワンセットで
領収書は分割して発行することが可能で、なおかつ領収書を分割して得ることができるメリットもあります。
しかし一方で、領収書の分割によって将来的に混乱が生じるリスクもあるため、要注意です。また、場合によっては違法行為とみなされることもあります。領収書を扱う際は、領収書に関わる人全てがあらかじめ分割が認められるケースについて、正しく理解しておきましょう。

領収書の記載ミス対処BOOK
この資料 では、領収書の記載ミスが起こった場合の対処方法について解説しています。領収書の訂正方法、訂正する際の注意点などについて解説します。
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