タイムスタンプとは?役割や仕組みと取得方法をわかりやすく解説!
電子契約サービス
2023.12.22
2023.12.22
タイムスタンプとは、電子データがいつ作成されたかを証明する仕組みです。近年、電子契約の普及や電子帳簿保存法の改正などにより、注目を浴びています。この記事では、タイムスタンプとはどのような役割・仕組みなのか、電子署名との違いや関係性、タイムスタンプの使い方、取得方法など、タイムスタンプの基礎知識についてわかりやすく解説していきます。
▼2024年1月から義務化!電子帳簿保存法の対応ガイド
電子帳簿保存法対応ガイド
この資料では、電子帳簿保存法の保存要件について解説しています。電子帳簿保存法の概要や対応方法、文書の適切な管理方法までをわかりやすく紹介しています。
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タイムスタンプとは?
タイムスタンプとは、刻印されている時刻以前にその電子文書が存在していたこと、および当該文書が改ざんされていないことを証明するものです。ここでは、タイムスタンプの役割や、タイムスタンプと電子署名の違いについて詳しく紹介します。
タイムスタンプの役割
電子文書は、直筆の署名や押印のある紙文書に比べるとたやすく偽造できるため、そのままの状態ではセキュリティに大きな問題を抱えています。 タイムスタンプを付与すれば、紙文書が作成された日付や非改ざん性を証明できるので、電子署名法第3条における「真正に成立したもの」として、法的な効力を有することになります。[注1]
タイムスタンプの信頼の基盤となっているのが、タイムスタンプを発行する時刻認証局(TSA)です。 TSAは国から認証を受けた信頼できる第三者機関であり、利用者からの要求に応じてタイムスタンプを発行する役割を担っています。
総務省の定義によれば、タイムスタンプの定義は以下の通りです。
ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術。タイムスタンプに記載されている情報とオリジナルの電子データから得られる情報を比較することで、タイムスタンプに付された時刻から改ざんされていないことを確実かつ簡単に確認することができます。
引用:タイムスタンプとは?|情報セキュリティ関連の技術|基礎知識|国民のための情報セキュリティサイト
[注1]電子署名及び認証業務に関する法律|e-Gov法令検索
電子署名法第3条をわかりやすく解説!要件やQ&Aのポイントも
紙文書の代わりに電子文書を利用する場合、押さえておきたいのが電子署名法です。電子署名法を知らずに脱ハンコやペーパーレス化を進めると、なりすましや文書偽造などのトラブルに発展する恐れがあります。社内でペーパーレス化を進めるのなら、電子署名法の概要や、電磁的記録の真正な成立について定めた同法第3条の内容と要件を押さましょう。今回は、電子署名法の概要と第3条の内容やポイントについて解説していきます。
タイムスタンプと電子署名の違い
電子署名とは、紙文書における署名・サインの代わりとなる署名のことです。タイムスタンプと電子署名は「非改ざん性」を証明するための技術という点では共通しています。
電子署名では電子証明書を利用して本人であることを証明します。しかし、その文書が「いつ」作成されたのか確認できる識別情報は付与されません。そこで利用されるのが、文書を作成した日時を証明できるタイムスタンプです。タイムスタンプと電子署名を併用すれば、いつ・誰が・何を作成したのかを客観的に証明できるので、電子文書の真正性や非改ざん性をより強固なものにすることができます。
電子署名とタイムスタンプの違いとは?仕組みや関係を解説
近年では、ペーパレス化を推進したり、多様な働き方に対応したりするために、電子契約を導入する企業は増加しています。電子契約には、「電子署名」「タイムスタンプ」といった技術が使用されますが、それぞれの意味や違いについて、きちんと理解したいという方は多いでしょう。当記事では、電子署名とタイムスタンプそれぞれの意味や違い、関係性などについて詳しく解説します。
タイムスタンプの必要性やメリット
ここでは、タイムスタンプの必要性やメリットについて詳しく紹介します。改正電子帳簿保存法が2022年に施行された関係でタイムスタンプの対応における変更点もあるので、きちんと把握しておくことが大切です。
電子契約の有効期限を長期化できる
タイムスタンプや電子署名には、以下のように有効期間が定められています。この期間を過ぎると、電子契約の証拠としての効力は低下してしまいます。
電子署名法第6条では、電子署名(電子証明書)の有効期間は5年を超えない範囲であることと定められています。そのため、電子契約サービスの多くでは、電子証明書の有効期限を1〜3年に設定されています。
長期間にわたって契約書の有効性を保ちたい場合、タイムスタンプによる「長期署名」という仕組みを使って、電子署名の有効期間を延長します。「長期署名」とは、電子署名に再度タイムスタンプを付与することで、その効力を延長させる仕組みのことです。なお、タイムスタンプにも有効期限(最長10年)が設けられている点に注意しましょう。
このように、電子署名の暗号化の効力が低下する前にタイムスタンプ(保管スタンプ)を施すことで、電子署名の有効性を長期化させることが可能です。これによって、電子署名の有効期限が過ぎたとしても、保管スタンプが有効な限りは、その電子文書の正当性が保たれている状態を作ることができます。
電子帳簿保存法に対応できる
タイムスタンプと特に関連性が深いのが電子帳簿保存法です。電子帳簿保存法とは国税関係書類の電子保存を認めた法律です。文書を電子化することは容易ですが、その電子化された文書が改ざんされてない正しいデータかどうかを判断することは難しく、それを証明するための方法としてタイムスタンプが使用されます。電子署名やタイムスタンプを付与することで、電子帳簿保存法の要件を満たし、文書を電子化して管理することが可能です。
注意:2022年施行の改正電子帳簿保存法でタイムスタンプが不要なケースも
2022年に改正電子帳簿保存法が施行され、スキャナ保存をおこなう場合、下記の要件を満たせばタイムスタンプが不要になります。
⑶ 電磁的記録について訂正又は削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認することができるクラウド等(注1)において、入力期間内にその電磁的記録の保存を行ったことを確認することができるときは、タイムスタンプの付与に代えることができることとされました。
(注1) 訂正又は削除を行うことができないクラウド等も含まれます
また、電子取引についても、タイムスタンプの要件は緩和されています。2020年の電子帳簿保存法改正以降であれば、発行する側がタイムスタンプを付与すれば、受け取り側はタイムスタンプの付与は不要です。
法改正により、タイムスタンプの要件は緩和されつつありますが、すべてのケースに当てはまるわけではありません。そのため、今後も法律の内容に従って、適切にタイムスタンプを扱うことが大切です。
電子帳簿保存法の改正でタイムスタンプは不要?費用や期限についても解説
令和3年の法改正により、電子帳簿保存法の適用要件が一部緩和されました。そのなかには、これまで必須だったタイムスタンプ要件の緩和も盛り込まれています。適用要件の緩和は経理の電子化による生産性の向上などを目的としていますが、この緩和にはどのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、電子帳簿保存法におけるタイムスタンプシステムの概要や、要件緩和のメリット、発行にかかる費用や期限などについて解説します。
電子帳簿保存法対応ガイド
この資料では、電子帳簿保存法の保存要件について解説しています。電子帳簿保存法の概要や対応方法、文書の適切な管理方法までをわかりやすく紹介しています。
この資料では、電子帳簿保存法の保存要件について解説しています。電子帳簿保存法の概要や対応方法、文書の適切な管理方法までをわかりやすく紹介しています。
タイムスタンプ発行の仕組みの3ステップ
タイムスタンプは「要求」「発行」「検証」の3ステップによって構成されています。[注2]
ここでは、それぞれのステップについて詳しく紹介します。
[注2]タイムスタンプのしくみ|日本データ通信協会 タイムビジネス認定センター
①要求
まず、電子文書の作成者(タイムスタンプ利用者)が、電子文書(原データ)に基づいて生成したハッシュ値をTSAに送付しますが、これを「要求」といいます。
ハッシュ値とはハッシュ関数という計算手法により、原本データに対して決められた桁数の数値を発行した暗号のようなものです。
ハッシュ関数は逆算で元データを復元することが極めて難しい「一方向性関数」の性質をもっているため、ハッシュ値を用いることで電子データの機密性を保ったまま手続きをおこなうことができます。
②発行
利用者からの要求を受けたTSAは、送付されたハッシュ値に、日付や時刻といった時刻情報を偽造できないようにして結合したタイムスタンプを発行します。
偽造防止の方法には公開鍵暗号方式を用いるのが一般的で、TSAが生成したタイムスタンプに秘密鍵で署名をおこなったうえで、利用者にタイムスタンプを送信します。 この過程を「発行」といいます。 TSAから受け取ったタイムスタンプは、公開鍵を使って復号することが可能です。 公開鍵は誰にでもオープンされている鍵ですが、秘密鍵は当事者しか利用できないため、安心してデータ通信をおこなえます。
③検証
復合化したデータのハッシュ値と、元データのハッシュ値を比較すれば、データの真正性や非改ざん性を確認できます。 ハッシュ値が一致していればタイムスタンプ時刻にそのデータが確かに存在し、かつ改ざんされていないことの証明となります。
一方、ハッシュ値が不一致だった場合、データの変更または改ざんがあったことの証となります。この作業を「検証」といいます。 以上3つの過程を経ることで、電子文書は真正性と非改ざん性を証明できる法的効力を有した文書となります。
タイムスタンプの取得方法
タイムスタンプを取得するには、TSAとの契約と、タイムスタンプの付与が可能なシステムの導入が必要です。 TSAとの契約方法には、国内に5社(2022年5月現在)あるTSAと直接契約する方法と、これらTSAと間接的に契約する方法の2パターンあります。
後者の場合、直接契約を結ぶのはタイムスタンプ機能を有した会計システムなどを開発しているベンダーです。 タイムスタンプの利用と共に、新たな会計システムの導入を検討している場合は、システムと合わせてタイムスタンプサービスを提供しているベンダーと契約を締結するのが一般的です。
タイムスタンプサービスを提供している認証局
タイムスタンプは、日本データ通信協会から認定を受けた事業者が提供しています。この事業者は「時刻認証業務認定事業者(TSA)」や「認証局」と呼ばれています。2022年6月現在の時刻認証業務認定事業者(TSA)は以下の5社です。
- アマノ株式会社
- セイコーソリューションズ株式会社
- 株式会社TKC
- 株式会社サイバーリンクス
- 三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社
認定事業者一覧は、日本データ通信協会のサイトから確認することが可能です。最新情報については、こちらのサイトを参照してください。
参考:認定事業者一覧 | 認定事業者 | タイムビジネス認定センター
タイムスタンプ取得時の費用
タイムスタンプを利用するには、所定の手数料がかかります。 手数料や料金プランは契約しているTSAやベンダーによって異なりますので、TSAおよびベンダーと契約する場合は利用料の違いにも注意しましょう。 なお、ベンダーの場合はシステム利用料にタイムスタンプ利用料が含まれているケースがほとんどです。
ただ、タイムスタンプの取得数や、1スタンプあたりの秒制限によってプランの利用料が異なります。 そのため、料金プランを選ぶときはタイムスタンプをどのくらいの数やペースで利用するかを考慮することが大切です。
タイムスタンプ導入の費用や流れとは?電子帳簿保存法対応のポイントも解説
タイムスタンプは、データの非改ざん性を証明するために重要な役割を果たします。電子契約や書類の電子化には欠かせない技術であり、タイムスタンプを導入することで安全性を高められるのがメリットです。 この記事では、タイムスタンプの導入に必要な費用や流れについて紹介します。タイムスタンプの導入を検討している人はぜひチェックしてください。
タイムスタンプの具体的な利用の流れ
ここでは、タイムスタンプの具体的な利用の流れについて詳しく紹介します。
1. 環境を整備する
まずはインターネットを利用できる環境を整備しましょう。また、タイムスタンプを取得するため、先述したように、TSAとの契約およびタイムスタンプを付与できるサービスの導入が必要です。
2. 文書を用意する
環境の構築が完了したら、タイムスタンプを付与したい文書を用意しましょう。手書きで作成する方法でも、WordやExcelなどを使ってPC上で作成する方法でも問題ありません。ただし、書類を手書きで作成する場合、次の見出しで紹介するように電子化する工程が必要になります。
3. PDFデータなど電子化する
手書きなどで作成した書類は、スキャナーで読み取り電子化する必要があります。画質などの一定の要件を満たせば、スマートフォンで撮影する方法でも問題ありません。事前に用意したシステムの機能によっては、データ形式が指定されている場合もあります。そのため、スキャンしたデータを、システムの規定に従ってPDFといったデータに変換しましょう。
4. システムにアップロードする
データの変換まで完了したら、作成した文書データをあらかじめ用意した「電子契約サービス」や「会計ソフト」といったシステムにアップロードしましょう。なお、システム上で作成したデータの場合は、この工程が不要になることもあります。
5. タイムスタンプが付与される
システムへのアップロードが完了すると、作成した電子データに対してTSAによりタイムスタンプが付与されます。タイムスタンプの費用については、先述したようにシステム利用料に含まれている場合が多いです。
タイムスタンプを利用する際の注意点
ここでは、タイムスタンプを利用する際の注意点について詳しく紹介します。
タイムスタンプの付与期間を適切に把握する
2022年の改正電子帳簿保存法の影響で、タイムスタンプの付与期間は「最長約2カ月と概ね7営業日以内」と緩和される方向へと変更されました。タイムスタンプの付与期間が長くなったことで、不注意で期限を過ぎてしまうこともあるかもしれません。タイムスタンプの付与期間を適切に把握し、業務フローのなかにきちんと組み込み、タイムスタンプを正しいタイミングで付与できるような仕組みを構築することが大切です。
紙の原本の管理に気を付ける
改正電子帳簿保存法の影響を受け、スキャナ保存したら紙の原本は捨てても問題ありません。ただし、後で電子化したデータがスキャナ保存の要件を満たしていないことがわかった場合、取り返しのつかないことになります。そのため、「一定の保管期間を定める」「原本の処理には上長の承認が必要」といった紙の原本の取り扱いについて社内ルールを設けておくことが大切です。
PDFなどで無料で利用できるタイムスタンプとは
無料でPDFなどにタイムスタンプを付与する方法もあります。 具体的なツールとしてはAdobeが提供するAdobe Acrobat Readerなどです。 他にもいくつか無料で利用できるツールがあります。
しかしタイムスタンプを付与できる回数に制限があったり、タイムスタンプを付与した書類を保管する料金がかかったり、機能が不足したりするケースがあります。 そのため中長期的には有料のツールを契約することを視野にいれておきましょう。 タイムスタンプを導入するときには、認定事業者をチェックしておくことが重要です。
タイムスタンプは無料で作成できる?PDFへの付与方法や無料ソフトの電子帳簿保存法対応を解説
近年ではさまざまな企業で契約書類の電子化が取り入れられています。電子化が進んでいる要因の一つが、電子契約が取引の証拠として扱えるようになった点です。そこで用いることになるのが「タイムスタンプ」です。 この記事では、電子契約を導入する際に必要になるタイムスタンプの目的や使い方について解説し、無料で利用できるソフトやアプリについても紹介します。
タイムスタンプは電子文書の真正性や非改ざん性を証明する大切なもの
タイムスタンプには、電子文書を作成した日付や時刻といった識別情報が付与されており、いつ・どのような電子文書を作成したのか証明することが可能です。
電子文書は署名・押印のある紙文書に比べると偽造や改ざんが容易なので、タイムスタンプを付与し、真正性や非改ざん性を客観的に証明する必要があります。
電子署名だけでは、いつその文書が作成されたのか証明することができません。そのため、契約書など重要な電子文書を作る際は、TSAと契約またはタイムスタンプ機能を搭載したシステムを導入し、タイムスタンプを付与することを心がけましょう。
電子帳簿保存法対応ガイド
この資料では、電子帳簿保存法の保存要件について解説しています。電子帳簿保存法の概要や対応方法、文書の適切な管理方法までをわかりやすく紹介しています。
この資料では、電子帳簿保存法の保存要件について解説しています。電子帳簿保存法の概要や対応方法、文書の適切な管理方法までをわかりやすく紹介しています。
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