タイムスタンプ導入の費用や流れとは?電子帳簿保存法対応のポイントも解説
電子契約サービス
2023.11.29
2023.11.29
タイムスタンプは、データの非改ざん性を証明するために重要な役割を果たします。電子契約や書類の電子化には欠かせない技術であり、タイムスタンプを導入することで安全性を高められるのがメリットです。 この記事では、タイムスタンプの導入に必要な費用や流れについて紹介します。タイムスタンプの導入を検討している人はぜひチェックしてください。
▼2024年1月から義務化!電子帳簿保存法の対応についてはこちらもチェック!

電子帳簿保存法対応ガイド
この資料では、電子帳簿保存法の保存要件について解説しています。電子帳簿保存法の概要や対応方法、文書の適切な管理方法までをわかりやすく紹介しています。
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タイムスタンプの役割とは
タイムスタンプは、作成した電子データが正当であることを証明するものです。ここでは、タイムスタンプの役割について詳しく解説します。
ある時点でデータが存在していたことを証明する
タイムスタンプの役割の一つ目は、いつからそのデータが存在していたか証明するというものです。データの証明にはいくつかの要素が求められますが、その一つに「いつ」という要素があります。
電子契約などでは、タイムスタンプと一緒に電子署名が用いられますが、電子署名では「いつ」を証明することができません。そこで日時の証明ができるタイムスタンプを用いることで「いつ」からそのデータが存在しているのかを証明します。
電子署名では補えない部分をタイムスタンプで補うことによって、より書類の証明を完全なものにすることができます。
データが改ざんされていないことを証明する
タイムスタンプのもう一つの役割が、データの非改ざんの証明です。タイムスタンプによりデータの時間軸が証明されると、この日時からデータが不正に変更、削除されているものではないことを証明することができます。
電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの要件
データを書類の形でまとめておく場合、それを改ざんされないように管理・保管することは比較的容易でした。
しかし電子データになると、書類の形でまとめておく場合よりも改ざんが容易なので、電子データ保存には本物だと確認できる「真実性の確保」と、誰でも視認できる「可視性の確保」が必要とされています。 その役割を担っているのが、タイムスタンプなのです。
電子帳簿保存法の改正によるタイムスタンプ要件の変更内容
電子帳簿保存法は1998年に施行されましたが、それ以来法改正による要件緩和を繰り返しています。 そして2022年にも、改正電子帳簿保存法が施行されましたが、その中においてスキャナ保存におけるタイムスタンプの要件が緩和されています。 要件緩和の具体的な内容は、以下の通りです。
- スキャナ保存の場合、国税関係書類への自署が不要になった
- 最長で概ね約2ヵ月と7営業日以内にタイムスタンプを付与すればよくなった
- 電子データの修正や削除をした場合でも、その事実と内容を確認することができる、もしくは入力期限内に電子データを保存したことが確認できるクラウドシステムなどであれば、タイムスタンプは不要
また、電子取引における電子データ保存も義務化されました。 インターネット取引や電子メール取引などの電子取引において、電子データで受け取った電子書類の紙への出力とその保存が、原則不可になったのです。
そのため、受領した電子書類には原則としてタイムスタンプを付与して保管しなければなりません。 システムに関しては、データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム、もしくはそもそも訂正削除ができないシステムを利用しなければなりません。
なお、改正電子帳簿保存法ではほかにも以下のような項目が変更になっています。
- 事前承認制度の廃止
- システム要件緩和と優良保存認定制度の新設
- 電子書類の検索項目を「日付」「取引金額」「取引先」に限定 ・適正事務処理要件の廃止 ・罰則規定の強化
タイムスタンプのメリット
タイムスタンプの利用には、さまざまなメリットがあります。ここからは、タイムスタンプのメリットについて3つ紹介します。
有効期限の長期化ができる
電子署名にもタイムスタンプにも、有効期限があるのが特徴です。電子署名は最短で1年、最長で5年ですが、タイムスタンプの有効期限は10年となっています。
電子署名のみの書類の場合、期限が切れた書類は有効性を証明するのが難しくなります。しかし、署名した際にタイムスタンプを付与していると、電子署名の有効期限が切れたとしてもタイムスタンプの有効期限が切れない限りは、データの有効性を証明できます。
更に書類の有効期限を延長させたいなら「長期署名」という仕組みを利用します。長期署名はタイムスタンプを追加して暗号をかけ直すことで、電子署名の有効性を延長することが可能です。
電子帳簿保存法に対応している
前述の通り電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存するときのルールを定めた法律です。電子帳簿保存法に則って書類を保存するためには、タイムスタンプの使用が必要となります。
電子帳簿保存法は2022年の1月に改正されています。(※1)改正されたことによってタイムスタンプの付与期間がこれまでの3営業日から最長2カ月になり、よりタイムスタンプの付与がおこないやすくなりました。
(※1) 電子帳簿保存法が改正されました|国税庁

電子帳簿保存法対応ガイド
この資料では、電子帳簿保存法の保存要件について解説しています。電子帳簿保存法の概要や対応方法、文書の適切な管理方法までをわかりやすく紹介しています。
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タイムスタンプ導入にかかる費用
タイムスタンプを導入するためには、費用がかかります。ここでは、どのくらいの費用がかかるのか解説していきます。
初期費用+ランニングコストがかかる
タイムスタンプを導入するためには、まずはアカウント発行や会員登録などの導入するための費用がかかる場合があります。サービスや業者によっても異なりますが、アカウント発行なら数千円程度かかることが多いです。更にランニングコストが発生するため、タイムスタンプを導入するときには初期費用とランニングコストを踏まえて検討することが大切です。
従量制と定額制の2種類がある
一般的に、タイムスタンプには従量制と定額制の2種類あります。2種類の特徴を知ったうえでどちらのタイプが自社に適しているか検討しましょう。
従量制とは、付与したスタンプの数に応じて料金が発生する課金形態です。1スタンプ〇〇円や、月に1000スタンプで〇〇円といったかたちで料金が決まっているので、スタンプの発行数に応じて支払う金額が変わってきます。
一方、定額制は、スタンプの付与に関わらず決まった金額を支払うタイプです。上限回数に合わせてプランが分かれていることも多いので、自社でどのくらいスタンプを発行するのかを予め検討したうえでコースを決める必要があります。
機能によっても費用が異なる
ツールによっては、単にタイムスタンプを付与するだけではなく、書類の管理やタイムスタンプが作成されたかを検証できる機能などを備えているものもあります。タイムスタンプ以外にはどのような機能が必要になるかによっても、費用は異なります。サービスの内容や費用、自社のタイムスタンプの運用について検討したうえで、最適なシステムを導入することをおすすめします。
タイムスタンプ導入の流れ
ここからは、タイムスタンプを導入するために必要なステップを紹介します。
時刻認証業務認定事業者と契約
タイムスタンプを導入するためには、まずは時刻認証業務認定事業者との契約が必要です。時刻認証業務認定事業者とは、「時刻認証局」や「TSA」とも呼ばれており、タイムスタンプの付与が可能な業者のことを指します。
タイムスタンプの付与は、誰でもできるわけではありません。一般社団法人日本データ通信協会の承認を得た業者のみが、TSAのマークを表示し、タイムスタンプの付与をおこなうことができます。
現在TSAの認定を受けている業者は以下の5社です。(※2)
- アマノ社
- セイコーソリューションズ社
- TKC社
- サイバーリンクス社
- 三菱電機インフォメーションネットワーク社
タイムスタンプの付与が可能なサービスを導入
TSAとの契約後、タイムスタンプの付与が可能なサービスを導入することで、実際に書類にタイムスタンプを付与することができます。タイムスタンプを付与できるサービスには主に3つあります。
1点目は電子署名や電子契約をおこなうサービスです。大手の電子契約サービスなどはタイムスタンプに対応したサービスを提供しているため、そういったサービスを利用する方法もあります。電子契約でタイムスタンプを使用したい場合におすすめです。
2点目は、クラウドストレージというサービスです。クラウドストレージとはデータを保管するためにインターネット上にある保管場所のことで、タイムスタンプ機能のあるクラウドストレージだと、現在ある書類にタイムスタンプを付与することができます。
3つ目は会計ソフトや経理計算システムを使った方法です。電子帳簿保存法に沿った経理業務をおこないたいという人におすすめとなります。システムによっては電子帳簿保存法の一部にしか対応していない可能性もあるので、業務に必要なシステムを適切に選ぶことが必要です。
タイムスタンプは電子化が加速するこれからに欠かせない存在
タイムスタンプの役割や、導入にかかる費用、導入の流れを解説してきました。タイムスタンプは書類がいつから存在していたかを証明するために必要で、電子帳簿保存法に沿った書類の電子保存にも欠かせません。
2022年施行の改正電子帳簿保存法によって、タイムスタンプの要件が緩和されたので、今後はより一層タイムスタンプを導入する流れが加速していくでしょう。
また、署名の有効性を担保したり、有効期間を延長したりすることができるため、文書の電子化を進めるにあたって、タイムスタンプは重要な役割を持つ技術・機能であるといえます。文書の電子化の際は、タイムスタンプの利用や、タイムスタンプ機能を持つツールの導入を検討しましょう。
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電子帳簿保存法対応ガイド
この資料では、電子帳簿保存法の保存要件について解説しています。電子帳簿保存法の概要や対応方法、文書の適切な管理方法までをわかりやすく紹介しています。
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