会計ソフトとは?メリット・デメリットや選定ポイントについて解説

帳簿の入力や伝票の作成など、企業の会計業務ではやるべきことが多々あります。とくに年末調整の時期や決算シーズンは、経理担当者の業務量が増加します。会計業務の効率化なら、「会計ソフト」の導入がおすすめです。クラウド対応の会計ソフトであれば、テレワークの導入企業も在宅で会計業務をおこなえます。この記事では、会計ソフトの主な機能やメリット、導入効果が期待で

更新日:2022.5.26

会計ソフトとは?会計業務を効率化するためのツール

会計ソフトとは、企業の会計業務を効率化するためのツールです。日々の売上や経費を集計し、帳簿書類を作成するのは時間や手間がかかります。会計ソフトがあれば、仕訳や記帳などの作業を自動化し、経理担当者の業務負担を軽減できます。社内向けの会計資料を作成するための「管理会計」から、株主や取引先などの利害関係者向けの会計資料を作成するための「財務会計」まで、さまざまなシーンで活躍するのが会計ソフトです。

会計ソフトの代表的な7つの機能

伝票入力や入出金管理、帳簿や決算書の作成、税務申告など、会計ソフトは経理担当者の日常業務をサポートするためのツールです。一般的な会計ソフトには、以下7つの機能があります。

1. 伝票入力

商品の仕入れや支払いなどの取引が発生した際に、それぞれの取引内容を起票する機能です。金額や勘定科目の仕訳を支援し、入金伝票や出金伝票などの作成を効率化します。人工知能(AI)で勘定科目を推定することで、伝票入力が自動で完了する会計ソフトもあります。

2. 帳簿の作成

作成した伝票を会計帳簿に転記する作業をサポートする機能です。一般的な会計ソフトでは、伝票データと帳簿データが連携しているため、伝票入力をすれば自動で帳簿の作成も完了します。たとえば、総勘定元帳や現金出納帳の作成を自動化することが可能です。電子帳簿保存法に対応しているソフトであれば、導入によってペーパーレス化を促進することもできます。

3. 決算書の作成

貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの決算書の作成を自動化する機能です。会計帳簿の作成と同様、一般的な会計ソフトでは伝票データと決算書データが紐付けられています。そのため、伝票データを入力すれば、決算書への数字の転記が自動で完了します。

4. 入金管理

売掛金や未収金の管理をサポートする機能です。入金予定日の確認や、入金が完了した売掛金の消込、遅延や未入金の確認など、多くの経理担当者が人力でおこなっている作業を効率化します。なかには、未収金の回収予定や回収遅延に関する情報を確認できるソフトもあります。

5. 支払管理

買掛金や未払金の管理をサポートする機能です。支払予定日の確認から、仕入先への振込処理まで、入金管理とセットで事務処理の業務負担を軽減します。交通費などの経費精算を管理できるソフトもあります。

6. 経営分析

会計ソフトで作成した決算書を分析し、企業の経営状況が健全かどうかをセルフチェックする機能です。月次試算表や損益分析などを確認できるソフトもあります。自社の資金繰りの状況などを簡易的にチェックし、経営判断に活かすことが可能です。

7. 税務申告

企業の税務申告業務をサポートする機能です。法人税申告書などの申告書類の作成から、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用した電子申告まで、税務申告に必要な機能が備わった会計ソフトも存在します。各税目の申告書を作成し、電子申告することでコスト削減につながります。

会計ソフトを導入する5つのメリット

会計ソフトを導入すれば、会計業務の効率化や、テレワークやリモートワークへの対応など、さまざまなメリットが得られます。会計ソフトの導入によって費用対効果が得られるかどうか、あらかじめ会計ソフトのメリットとデメリットを比較しておくことが大切です。ここでは、会計ソフトを導入するメリットを5点紹介します。

1. 伝票入力や帳簿作成などの会計業務を効率化できる

会計ソフトを導入すれば、手間のかかる伝票入力や帳簿作成などの会計業務を効率化できます。会計データがシステム内で共有されるため、帳簿や決算書への転記が自動化され、ほとんど人力の作業が発生しません。

また、勘定科目を検索して入力したり、仕訳を自動でおこなったりと、会計ソフトには経理担当者の業務負担を軽減するためのさまざまな支援機能があります。

2.入力ミスや計算ミスなどのヒューマンエラーを減らせる

会計業務に多いヒューマンエラーを減らすこともできます。会計ソフトでは税率の計算やデータの集計などが自動でおこなわれるため、「入力ミス」「転記ミス」「計算ミス」などを減らせます。

内容に間違いがあったり、未入力の箇所があったりした場合に、作業者にお知らせする機能のある会計ソフトもあります。会計業務のヒューマンエラーを減らすだけでなく、ミスをその場で修正することも可能です。

3. 簿記の知識が乏しくても記帳できる

会計ソフトには計算や仕訳入力をサポートする機能があります。そのため、簿記の知識が乏しい経理担当者でも会計ソフトがあれば記帳できます。ある程度の会計知識は求められるものの、会計ソフトなら誰でも安心して会計業務をおこなうことが可能です。

4. 会計業務に必要なデータをバックアップできる

一般的な会計ソフトなら、会計業務に必要なデータをバックアップして保存できます。誤って伝票や帳簿のデータを消してしまっても、バックアップから復元することが可能です。

5. テレワークやリモートワークに対応できる

総務省の令和3年版情報通信白書によると、2021年3月の民間企業のテレワーク実施率は38.4%に上ります。(※1)テレワークやリモートワークに対応するには、会計ソフトの導入と会計業務のデジタル化が必要不可欠です。会計ソフトを導入していない場合、経理担当者が出社せねばならず、テレワークの浸透につながりません。働き方改革の推進や、新型コロナウイルスの感染予防対策としてテレワークを導入したい場合は、会計ソフトの導入を検討しましょう。

(※1)令和3年版情報通信白書|総務省

会計ソフトを導入する4つのデメリット

会計ソフトは上記のようなメリットがある一方で、「一部の仕訳は自動化できない」「ソフトの操作に慣れるまで時間がかかる場合がある」などのデメリットも存在します。ここでは、会計ソフトを導入する際のデメリットを紹介します。

1.会計事務所が会計ソフトに対応していない可能性がある

会計事務所によっては、会計ソフトを導入していないか、自社が導入したソフトに未対応のものを使っている可能性があります。事業規模の大きな法人の場合、税理士や会計事務所と連携しながら会計処理をおこなうことが大切です。

会計ソフトを導入するときは、依頼先の会計事務所とデータの連携が可能なものを選びましょう。

2. 一部の仕訳は自動化できない場合がある

会計ソフトによっては、金額や勘定科目の仕訳を自動化できるものもあります。
しかし、いわゆる「自動仕訳」が可能なのは、インターネット上で利用明細のデータを取得可能なネットバンキングやクレジットカード決済、POSレジの売上データなどに限られます。

紙の領収書やレシートの場合、多くの会計ソフトでは「自動仕訳」に対応していません。

3. ソフトの操作に慣れるまで時間がかかる場合がある

経理担当者のITリテラシーによっては、会計ソフトの操作に慣れるまで時間がかかる可能性があります。
会計ソフトを導入する際は、デモや無料トライアルなどを利用し、事前に操作感を確かめておくことが大切です。

また、会計ソフトの操作に慣れるため、経理担当者向けの研修や操作説明会を開催する方法もあります。

4. セキュリティ意識を高める必要がある

ほとんどの会計ソフトは、SSL(Secure Socket Layer)を用いた通信の暗号化や、マイナンバーなどの個人情報の暗号化など、セキュリティ対策を実施しています。
しかし、安心安全に会計ソフトを運用するには、ユーザー企業のセキュリティ意識も高める必要があります。

たとえば、情報セキュリティ事故につながりやすいのが「IDやパスワードの使い回し」です。
会計データの漏洩や、社内システムへの不正アクセスを防止するため、自社のセキュリティ対策も強化しましょう。

会計ソフトの種類は?2つのタイプを紹介

会計ソフトは大きく分けて「パッケージ型(インストール型)」「クラウド型」の2種類があります。
パッケージ型の会計ソフトは、PCへのインストールが必要なタイプのソフトです。

一方、クラウド型の会計ソフトには、インターネット環境があればソフトをインストールせずに利用できるという特徴があります。

パッケージ型

パッケージ型の会計ソフトは、スタンドアロン(単独で動作可能)のため、インターネット環境がなくても業務を遂行することができます。また、買い切り型のサービスが多く、利用年数が長くなるほどお得になる点も魅力です。

ただし、パッケージ型は初期費用が高額なサービスが多く、導入する際は一定の予算が必要となります。さらに、買い切り型のサービスであっても、税制改正への対応などのアップデート費用が発生する可能性もあるため、注意しましょう。
インストールが必要で、利用端末の故障によって使えなくなる場合があることもおさえておかなければなりません。

クラウド型

クラウド型の会計ソフトは、インターネット環境があれば、場所や時間を問わず会計処理をおこなうことが可能です。スマホやタブレットに対応したソフトもあります。
給与計算ソフトや経費精算システムなどと柔軟に連携できる点や、法律の変化やユーザーのニーズに対応して迅速に仕様が更新される点が大きなメリットです。

ただし、クラウド型の会計ソフトは安定したインターネット環境がなければ業務を遂行できません。また、月額料金制や従量課金制が多く、ランニングコストの管理が必要となる点にも注意しましょう。

会計ソフトの導入がおすすめな2つのケース

会計ソフトはどんな企業に向いているのでしょうか。
会計ソフトの導入がおすすめなケースとして、まず「会計業務の効率化」が課題である企業が挙げられます。

とくに経理業務の属人化が進行し、特定の担当者にしか業務の進め方がわからない状況の企業は、会計ソフトの導入が急務です。
また、インターネットバンキングを利用するなど、電子取引をメインとしている企業は、会計ソフトの導入効果を強く実感できます。

会計業務の効率化が課題の場合

「経理担当者の残業が多い」「会計業務に時間がかかり、ほかの業務に支障が出ている」といった課題を抱えている企業は、会計ソフトの導入がおすすめです。会計ソフトを導入すれば、伝票入力や仕訳入力、帳簿や決算書の作成、入金管理や支払管理、決算期の税務申告など、さまざまな会計業務を効率化できます。会計業務をシステム化すれば、経理担当者の業務負担を軽減し、ワークライフバランスを改善できます。また、会計処理を早く完了させることで、よりコアな業務に経理部門のリソースを集中させることも可能です。

電子取引をおこなっている場合

電子取引をおこなっている企業は、会計ソフトの導入効果を強く実感できます。一般的な会計ソフトには、インターネットバンキングの口座やクレジットカード決済の利用明細のデータを取り込み、仕訳を自動入力する機能があります。

記帳や経費精算の手間が大幅に削減できるため、会計ソフトの導入がおすすめです。また、簿記の知識が乏しい経理担当者でも会計業務をおこなえるため、起業したばかりのスタートアップ企業でも活躍します。

会計ソフト選定する4つのポイント

会計業務の課題を解決するには、自社に合った会計ソフトを選ぶことが大切です。会計ソフトの選定が不十分な場合、期待したような費用対効果が得られず、再度システムの乗り換えが必要になる可能性があります。

会計ソフトを選定するときは、「法人向けのソフトか」「必要な機能がそろっているか」「ソフトの使い勝手がよいか」「サポート体制がしっかりしているか」の4点に注目しましょう。

1. 法人向けのソフトか個人事業主向けのソフトか

会計ソフトには、個人事業主向けのソフトと法人向けのソフトがあります。たとえば、個人事業主向けと法人向けでは、勘定科目の名前や出力可能な帳票が違います。企業の会計業務に利用する場合は、必ず法人向けの会計ソフトを選びましょう。

2. 必要な機能がそろっているか

前述の通り、一般的な会計ソフトには「伝票入力」「帳簿の作成」「決算書の作成」「入金管理」「支払管理」「経営分析」「税務申告」の7つの機能があります。しかし、無料の会計ソフトや安価な契約プランの場合、必要最低限の機能のみという場合があります。会計ソフトを選定するときは、価格の安さだけでなく、「必要な機能がそろっているか」という視点を持つことが大切です。会計業務の課題解決につながる機能を持った会計ソフトを選びましょう。

3. ソフトの使い勝手がよいか

会計ソフトの導入前にソフトの使い勝手を確認しておくことも大切です。会計ソフトの操作がしづらい場合、かえって会計業務に時間がかかり、業務効率化につながらない可能性があります。一般的な会計ソフトでは、デモや無料トライアルを用意しています。事前に会計ソフトをテストし、自社の経理部門で運用できそうかを確認しましょう。

4. サポート体制がしっかりしているか

会計ソフトのベンダー企業のサポート体制も重要です。会計ソフトの操作がわからなくなったり、運用中にトラブルが発生したりした場合、サポート体制が充実していればすぐに問題を解決できます。ベンダーの公式ホームページにアクセスし、問い合わせ対応のヘルプデスクが開設されているか確認しましょう。パッケージ型の会計ソフトの場合は、製品の保守サービスもあれば安心です。また、導入支援サービスを提供しているベンダーであれば、スムーズに会計ソフトを運用開始できます。

会計ソフト導入時は「電子帳簿保存法」への対応が必須

会計ソフトを導入し、領収書や請求書などの証憑書類を電子化する場合は、「電子帳簿保存法」への対応が必要です。電子帳簿保存法とは、電子取引に必要な証憑書類を保存する際のルールを定めた法律です。2022年1月1日に電子帳簿保存法が改正され、電子データの保存に関するルールが緩和されました。
しかし、電子データの保存義務に違反した場合、「青色申告の承認の取消し」などの罰則が科される可能性があります。(※2)

電子帳簿保存法に対応した会計ソフトを選ぶだけでなく、自社の会計業務のフローの見直しもおこないましょう。たとえば、改正電子帳簿保存法では、紙で受領した証憑書類を2カ月と7営業日までにスキャンし、タイムスタンプを付与する必要があります。
電子帳簿保存法への対応も視野に入れながら、会計ソフトを導入することが大切です。

(※2)電子帳簿保存法一問一答 【電子取引関係】|国税庁

会計ソフトのメリットやデメリットを知り、自社に合ったサービスの選定を

会計ソフトを導入することで、会計業務を効率化し、経理担当者の業務負担を軽減できます。近年はテレワークやリモートワークへの対応のため、オンラインで利用可能なクラウド型の会計ソフトを導入する企業もみられます。

会計ソフトには、「会計業務を効率化できる」「ヒューマンエラーを減らせる」「会計データをバックアップできる」といったメリットがあります。ただ、デメリットも存在しているので、会計ソフトを導入する場合は、メリットとデメリットをしっかり比較し、費用対効果に見合ったサービスを選ぶことが大切です。

また、サポート体制がしっかりしたサービスを選べば、操作がわからない場合や、運用中にトラブルが発生した場合も対応してもらえるので安心です。

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