経費精算で必要な領収書の保管期限やなくした場合は?宛名・貼り方の注意点
経費精算システム
2023.09.04
2023.09.04
経費精算に使用する領収書は、金銭の受け渡しを証明する「証憑書類(しょうひょうしょるい)」として、一定期間保管することが法律で義務づけられています。日々増えていく領収書を長期間保管するのは大変なことですが、証憑書類はどのくらい保管すればよいのでしょうか?今回は、経費精算に使用する領収書の保管期限や、領収書をなくした場合の対処法、経費精算での領収書の宛名・貼り方に関する注意点について解説します。
経費精算の証憑書類である領収書の保管期限はいつまで?
経費精算に使用する証憑書類の保管期限は、法人か、個人事業主かによって異なります。また、その年の確定申告の方法や、控除の利用状況によっても保管期限が変動します。領収書を含む証憑書類の保管期限を確認する場合は、自社の事業形態や確定申告の方法に合った情報をチェックしましょう。ここでは、領収書の保管期限をケース別にご紹介します。
法人の場合
法人税法では、法人は帳簿を備え付け、その取引を記録し、かつ帳簿と取引に関して作成または受領した書類を7年間保存することが義務づけられています。(※1)ここでいう「書類」に含まれるのが領収書で、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日を起算日として、7年間保管する必要があります。
法人の確定申告書の提出期限は、原則として各事業年度終了日の翌日から2カ月以内です。(※2)仮に事業年度の終了日が2021年3月31日だった場合、確定申告書の提出期限は同年5月31日となり、領収書の保管期限は同年6月1日から2028年5月31日までとなります。ただし、以下のケースに該当する事業年度については、保管期限が10年間に延長されます。(※1)
- 青色申告書を提出し、欠損金額が生じた事業年度
- 青色申告書を提出していないが、災害損失欠損金額が生じた事業年度
なお、平成30年4月1日前に開始した事業年度に関しては、保管期限は9年間となります。(※1)
(※1)帳簿書類等の保存期間|国税庁
(※2)確定申告書の提出期限|国税庁
個人事業主の場合
個人事業主の領収書の保管期限は所得税法によって定められています。青色申告の場合、領収書を含む現金預金取引等関係書類の保管期限は原則として7年間です。(※3)ただし、前々年分の所得が300万円以下の場合、保管期限は5年間となります。一方、白色申告の場合の領収書の保管期限は一律5年間です。
個人事業主の場合、領収書の保管期限の起算日は、所得税の確定申告書の提出期限となります。通常、所得税の確定申告の提出期限は毎年3月15日です。たとえば、2020年中に発行された領収書の保管期限は、2021年3月16日から2028年3月15日までとなります。
経費精算で領収書をなくした場合、レシートの写真は使える?
かつて領収書を含む証憑書類は、紙での保存が原則とされていました。しかし、電子帳簿保存法の改正に伴い、証憑書類を電子データ化して保存していれば、紙の書類を保管しておく必要はなくなりました。(※4)
つまり、あらかじめレシートを電子データとして保存してあれば、たとえ紙の領収書をなくしたとしても、電子データを証憑書類の原本として活用することが可能となります。
ただし、領収書を電子データとして保存するためには、撮影時(スキャン時)に以下の要件を満たしている必要があります。(※4)
- 一定水準以上(200dpi相当以上)の解像度で撮影されていること
- カラー画像による読み取りであること
1の「一定水準以上の解像度」とは、具体的には約387万画素以上を意味します。2のカラー画像による読み取りに関しては、赤・緑・青それぞれ256階調(約1,677万色)以上が要件となります。さらに、撮影した領収書の写真を電子データとして保存および管理するためには、以下のシステム要件を満たす必要があります。(※4)
- 書類の受領後、または事務処理にかかる一般的な期間を経過した後、速やかに電子データ化されていること
- タイムスタンプが付与されていること
- 解像度・階調情報・大きさ情報が保存されていること
- 入力者などの情報が確認できること
- スキャン文書と帳簿との相互関連性を保持していること
- 検索機能を確保していること
1の「一般的な期間」は、業務処理サイクルの期間を意味します。業務処理サイクルとは、電子化するまでの業務処理にかかる期間のことをいい、企業によって採用しているサイクルは異なります。
一方の「速やかに」はおおむね7営業日以内を意味しています。仮に業務処理サイクルの期間が2週間かかる企業の場合は、2週間とおおむね7営業日以内に領収書を電子データ化する必要があります。
要件を満たして電子データ化された場合、紙の領収書は破棄できますが、1の期間を過ぎてしまったときは紙の書類も一緒に保存することになります。2のタイムスタンプは、電子データ化された書類が改ざんされていないことを証明するために必要なものです。
以前は領収書を発行した側、受領した側がそれぞれタイムスタンプを付与する必要がありました。しかし、電子帳簿保存法の改正にともない、現在は領収書を発行する側がタイムスタンプを付与していれば、受領側のタイムスタンプ付与は省略可能となっています。ただし、もともと紙の領収書を受領した場合は、受領側が領収書を電子データ化する際、タイムスタンプを付与する必要があります。
経費精算での領収書の宛名・貼り方に関しての注意点
経費精算に使用する領収書には、必ず宛名を書く必要があります。また、領収書を電子データとして保存しない場合や、一定期間を過ぎて電子データ化した領収書については、領収書の原本を保管しなければなりません。ここでは、領収書の宛名の書き方や、保管する際の貼り方の注意点を4つご紹介します。
経費精算する領収書の宛名は会社名で書く
会社の経費を使用する際、従業員が立て替え払いするケースも少なくありませんが、最終的に精算するのは従業員が属する会社です。そのため、その場で誰が精算したかにかかわらず、領収書の宛名には最終的に代金を支払う者、すなわち会社の名前を記載します。
宛名の会社名は正式名称で書く
株式会社、有限会社などは通常、(株)(有)などと略されることがほとんどです。しかし、領収書の宛名では(株)や(有)は使わず、「株式会社」「有限会社」など、正式名称で記載するのがマナーとされています。
なお、領収書の宛名に「上」と記載する例も見られますが、証憑書類には書類の交付を受ける事業者の氏名または名称を記載することが要件となっています。(※5)そのため、宛名に「上」と記載した領収書は、税務処理の上では正式な書類と認められません。領収書の宛名を書いてもらうときは、手持ちの名刺などを見せ、会社の正式名書を記載してもらいましょう。
領収書は日付順に並べて貼る
紙の領収書を保管するときは、発行された日付順に並べて貼るのが基本です。テープは経年劣化しやすいので、面倒でものり付けして貼るのがベストです。また、あとから領収書が出てきた場合に備え、その日付の最後のページにはある程度の余白を持たせておくとよいでしょう。
台紙の右上に日付を振っておく
領収書には発行された日付が印字されていますが、記載場所は発行する事業所・店舗によってバラバラです。あとから領収書をチェックする際、ひとつひとつの書類の日付を確認するのは手間がかかりますので、領収書を貼り付けた台紙の右上に日付を振っておくと便利です。
経費精算で必要な領収書は5~10年の保管が必要
領収書など、経費精算で必要な証憑書類は、事業形態や、その事業年度の状況に応じて、5~10年の保管が義務づけられています。ただし、領収書を電子帳簿保存法に対応した電子データに変換して保存すれば、紙の領収書に代えて保管することが可能です。
紙の領収書は、いちいち台紙にのり付けしたり、ファイリングしてキャビネット等に保管しなければならないため、管理に手間とスペースが必要になります。保管した書類をあとから探して見直すのは簡単ではないため、領収書は電子データ化して保存・管理することをおすすめします。
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