オンライン商談で世界の食品を扱うメリット・デメリット
リモートワークの普及でオンライン商談が一般的になるなか、食品業界では未だ対面での商談が広くおこなわれています。食品は現物を確認しないと魅力が伝わりにくい商材であり、オンラインでは商品を選定するうえで重要な「試食」もできません。一方、イ
リモートワークの普及でオンライン商談が一般的になるなか、食品業界では未だ対面での商談が広くおこなわれています。
食品は現物を確認しないと魅力が伝わりにくい商材であり、オンラインでは商品を選定するうえで重要な「試食」もできません。
一方、インターネット上での大規模商談会が開催されるなど、徐々に食品のオンライン商談も広がりつつあります。
何より、オンラインの活用によって世界中の商社や生産者からの仕入れもより身近なものになるでしょう。
この記事ではオンライン商談で食品を扱うメリットとデメリットについて解説します。
オンライン商談に抵抗があるという人はぜひ参考にしてください。
オンライン商談で世界の食品を扱う4つのメリット
オンライン商談には以下のような4つのメリットがあります。
- 商談スペースの確保が不要になる
- 商談の時間を短縮できる
- 商談のための交通費が削減できる
- 商談資料の管理・共有ができる
オンライン商談は食品業界では活用しにくいと考えている人も多いでしょう。
しかし、オンライン商談の活用によって業務効率が大幅に改善されることが期待できます。
1. 商談スペースの確保が不要になる
1つ目のメリットは商談スペースの確保が不要であることです。
PCが1台置けるデスクがあれば、取引先と商談をおこなうことができるので、ほかのバイヤーと商談スペースの取り合いになることもありません。
オフィス、店舗、コワーキングスペース、自宅など、オンライン商談ではインターネット回線さえつながればどこからでも商談に参加できます。
とくに豊富な食材を扱うスーパーマーケットでは、複数人のバイヤーが同時に活動するため、オンライン商談の導入によって業務効率が飛躍的に改善されることが期待できます。
2. 商談の時間を短縮できる
2つ目のメリットは商談時間の短縮です。
オンライン商談では、1回の商談にかかる時間が短くなる傾向にあります。
モニター越しにおこなわれるオンライン商談では商品の魅力が伝わりにくいため、必要な資料は事前に共有されることが一般的です。
商談当日は先方からの商品PRは簡潔に済ませられるので、結果として商談自体の時間も短くなります。
商品説明が短い代わりに、商品を購入する側としては、質疑応答や条件交渉の時間を長く取ることができます。
商品のことを深く理解したうえで仕入れができるので、オンラインでも満足度の高い商談が可能です。
3. 商談のための交通費が削減できる
3つ目のメリットは商談のための移動コスト削減です。
食品バイヤーであれば、自ら地方の漁港や畑に足を運び、生産者から直接買い付けをおこなっている人もいるでしょう。
それこそ海外まで出向くとなると移動コストも高額です。
しかし、オンライン商談であれば、海外の商社が相手でも移動の経費は一切かかりません。
また、現在は生産者とバイヤーをマッチングさせるプラットフォームも多数運営されています。
それらを活用することで、現地に足を運ばずとも個人の生産者と新たな取引関係を結ぶことも可能です。
4. 商談資料の管理・共有ができる
4つ目のメリットは商談資料をオンライン上で管理できるということです。
オンライン商談では基本的に全ての商談資料がデータで作成されるため、商談内容の管理や共有が容易になります。
商談に使用するWeb会議ツールに加え、資料共有や文書管理の機能に特化した社内ツールも合わせて活用するとより効果的です。
商談資料を各バイヤーが紙媒体で管理している場合、内容を見返したいときに迅速に確認することができません。
データとして所定のフォルダ内で管理することにより情報にアクセスしやすくなるだけではなく、上司への商談内容の共有も簡潔に済ませることができます。
オンライン商談での資料について、こちらの記事でも詳しく解説をしています。
オンライン商談で世界の食品を扱う3つのデメリット
食品関連企業にとって、オンライン商談のデメリットには以下の3つが挙げられます。
- 現物を手に取ることができない
- 試食ができない
- 取引先との信頼関係が築きにくい
オンライン商談ではバイヤーの目利きが活かせないことが難点です。
それぞれのデメリットについて解説します。
1. 現物を手に取ることができない
1つ目のデメリットは現物を手に取って確認できないことです。
ほかの製品と違い、食品は数字による性能表示だけで商品の良し悪しが判断できるものではありません。
とくに生鮮食品の場合、鮮度を自分の目で確認することも大切です。
野菜は手で触った感触も大事ですし、香りが重要な判断材料になる食材もあります。
自分の目利きで商品を仕入れたいというバイヤーにとっては、オンラインでの商談に不安が残ってしまうかもしれません。
2. 試食ができない
2つ目のデメリットとして、試食ができないことが挙げられます。
加工食品のような長期保存が可能な商材であれば、商談前にサンプルを郵送してもらうことも可能でしょう。
しかし、鮮度が重要となる生鮮食品ではそう簡単にはいきません。
食品の場合、最終的に食べて美味しいかどうかは商品導入を検討するうえでの重要な要素です。
味の感じ方は人それぞれ異なるので、実際に食べてみないことには正確な情報が伝わりません。
資料や映像だけでは魅力が判断できないことが食品の難しいところです。
3. 取引先との信頼関係が気付きにくい
3つ目のデメリットとして、取引先との信頼関係が築きにくいということが挙げられます。
これは食品業界に限った話ではありませんが、モニター越しではコミュニケーションに制限があり、やりとりが簡素になりがちです。
雑談も生まれにくく、商談の時間だけで相手の人となりを知ることは簡単ではありません。
初めて取引をする相手であれば、いきなり本題に入るのではなく、初めは軽い雑談から入るのも一つの方法です。
また、オンライン商談であればこちらから質問をする時間も十分あります。
なるべく会話のペースを落とし、双方向のコミュニケーションを意識するようにしましょう。
海外商社(生産者)とのオンライン商談のポイント
オンライン商談によって、今後は遠く離れた海外の商社や生産者との取引も身近なものとなっていくでしょう。
ここでは海外の商社や生産者と商談をする際のポイントを紹介します。
1. あらかじめ資料を共有してもらう
商談用の資料はあらかじめ共有してもらえるよう依頼しておきましょう。
事前に商品についての基礎知識を押さえておけば、当日のプレゼンで商品に対する理解をより深めることができるでしょう。
また、必ずしも日本語で資料を作成してもらえるとは限らないので、共有可能な資料は早い段階で手元にあると安心できます。
2. 可能であればサンプルを送付してもらう
商談の前にサンプルの送付が可能かどうかも確認しておきましょう。
食品の商談では、サンプルの有無で商品に対する理解度が大きく変わります。
しかし、食品の場合は全ての商品のサンプルが用意できるわけではありません。
サンプルが手配できない商品に関しては、その魅力がわかる動画などを共有してもらうようにしましょう。
3. Web会議ツール・通信環境を確認する
商談の前には必ずWeb会議ツールへアクセスできるか確認しておきましょう。
当日になって慌ててセッティングするということのないよう、本番を想定したチェックをすることが大切です。
また、インターネットの回線状況についても、十分な通信容量が確保できているかを確認しておきましょう。
安定した通信ができるよう、Wi-Fiではなく有線LAN接続にすることも大切です。
商談途中のネットワークの切断は相手に迷惑をかけてしまうばかりか、最悪の場合そのまま商談が中止となってしまう恐れもあります。
オンライン商談でおすすめのWeb会議ツールについて、こちらの記事でも詳しく紹介をしています。
4. わかりやすい言葉選びを心がける
海外の取引先と商談をする際は、わかりやすい言葉で要点を簡潔に伝えることを心がけましょう。
通訳を使用する場合は、誤訳されないように簡単な言葉を選ぶこともポイントです。
また、通訳にはあらかじめ自社の情報や商談の目的などを伝えておくと、より円滑に商談を進めることができます。
オンライン商談による食品販売サービスやイベント事例
オンライン商談を活用した食品販売の事例を2つ紹介します。
食品分野におけるオンライン商談の推進は、個人の生産者を守るという観点からも重要な課題です。
バイヤーをマッチングさせるプラットフォームや大規模なオンライン展示会は課題解決のための足掛かりになるでしょう。
1. 試食ができるマッチングサイト「タメショク」
2021年3月にサービスを開始した「タメショク」は、試食を通じて生産者とバイヤーのつながりを作ることを目的としたマッチング・プラットフォームです。
K・Pクリエイションズ社とマーケティングセバスチャン社が共同で運営をおこなっています。
カタログ掲載商品で気になるものがあれば無料でサンプルを請求することが可能です。
オンライン商談会のほか、フェア開催に向けた地域の商品集めや取引のとりまとめといったバイヤーのサポートにも対応しています。
2. FOODEX Japanの「バーチャル展」
「FOODEX Japan」は、一般社団法人日本能率協会など5つの団体が共同で主催する日本最大級の食品展示会です。
大規模イベント会場でのリアルブース出展のほか、2021年度の開催ではオンラインを活用した「バーチャル展」も同時に展開されました。
バーチャル展では国内外の約2,000社が出店する6,500品以上の製品の中からお気に入りの食材を探すことが可能です。
それぞれの製品ページには「問い合わせ」ボタンが用意されているので、ワンクリックで出品者にコンタクトを取ることができます。
バーチャル展をきっかけとして、新たな取引先を開拓することができるでしょう。
食品を扱うオンライン商談にチャレンジしよう
オンライン化が進む昨今では、距離の壁を感じることなく地方や海外の商社・生産者とコンタクトが取れるようになりました。
「現物を手に取ることができない」「試食が難しい」といった課題はオンライン商談のデメリットです。
しかし、一方では「業務の効率化」や「仕入れ先の拡大」といったメリットもあります。
生産者とのマッチングサービスやオンライン展示会などを活用して、オンライン商談にもチャレンジしてみましょう。