オンプレ型のWeb会議システムとは?メリット・デメリットを解説
Web会議システム
2023.08.25
2023.08.25
オンプレ型Web会議システムは自社サーバー使用による堅牢なセキュリティに特徴があります。一方で高額な初期費用や保守点検の人員確保といった点がネックとなり、導入には慎重な判断が必要です。この記事ではオンプレ型Web会議システムの特徴について詳しく解説します。
オンプレ型Web会議システムは自社サーバーに設置する
「オンプレ型」は、自社サーバーに専用のシステムを構築して運用するタイプのWeb会議システムです。反対にZoomやGoogle MeetのようなWeb会議システムは「クラウド型」や「ブラウザ型」と呼ばれ、ベンダーが管理するサーバーを経由して利用します。
オンプレ型Web会議システムの特徴はセキュリティの高さです。クラウド型はベンダーが管理するサーバーで運用されるため、常に情報の流出や第三者によるサーバー攻撃の危険性があります。
一方、オンプレ型は、独自の環境を構築することができるため、自社の基準に見合ったセキュリティ環境を構築スことができます。オンプレ型は限られた端末しかアクセスできないクローズドなネットワークを構築できるため、クラウド型に比べて高い安全性が期待できます。
働き方改革が推進される現代において、Web会議システムはビジネス上必要不可欠なツールです。Web会議の普及に伴いそのセキュリティ面に疑問を持つ声も大きくなり、安全性を求めてオンプレ型への注目が集まっています。
Web会議システム選びの5つのポイント
Web会議システムを提供しているベンダーは多く、その性能もさまざまです。ここでは導入するWeb会議システムを選ぶうえでの5つのポイントを紹介します。
1. セキュリティ対策は万全か
真っ先に確認したいことはセキュリティに関する性能です。企業活動では顧客の個人情報や経営戦略上の機密事項など、外部に漏れると問題のある情報を多く扱います。情報漏洩やハッキングによる被害を防ぐためにも、強固なセキュリティが施されているツールを利用しましょう。Web会議でのセキュリティについて、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
2. 安定した通信ができるか
Web会議では通信の安定性も重視したい項目です。画面のフリーズや断線による強制ログアウトが頻発すると、会議を円滑な進行させることができません。通信の安定性に優れたシステムであれば、会議における余計なストレスを軽減できます。
3. コストが適切か
ビジネス使用に適したWeb会議システムでは相応の導入・運用コストが発生します。運用目的や利用シーンを事前に想定し、費用対効果を意識して採用するツールを選びましょう。一般的にオンプレ型は導入コストが高く運用コストが低い、クラウド型は導入コストが低く運用コストが低い傾向があります。
4. 運用開始までの期間
Web会議システムには契約後すぐに運用開始できるものから、半年程度の時間を要するものまであります。いつからシステムを運用するのかという前提を踏まえて、計画的に導入を検討しましょう。
5. パソコンが苦手な人でも使えるか
Web会議システムは使いやすさを重視して選ぶことも大切です。自社の社員が一様にパソコンを使えるとは限りません。機能面だけではなく、パソコンが苦手な人の目線で使用方法を確認しましょう。
「オンプレ型」と「クラウド型」の比較表
項目 | オンプレ型 | クラウド型 |
---|---|---|
使用回線 | 専用ネットワーク | インターネット |
システム構築場所 | 自社管理のサーバー | ベンダー管理のサーバー |
導入費用 | 高額 | 低額 |
運用コスト | 低額 | 基本的に高額 |
導入までの期間 | 数カ月~半年 | 契約後すぐ |
セキュリティ | 高い | ベンダーに依存 |
カスタマイズ性 | 高い | ベンダーに依存 |
通信の安定性 | 高い | 環境に左右される |
オンプレ型Web会議室システムの4つのメリット
オンプレ型Web会議システムを導入する主なメリットは以下の4つです。
- セキュリティが厳重
- 使用環境に合わせてカスタマイズできる
- 運用コストが抑えられる
- Web会議の品質が安定する
それぞれについて詳しく解説します。
1. セキュリティが厳重
先述したように、オンプレ型Web会議システムの大きなメリットは厳重なセキュリティ環境が構築できる点にあります。専用サーバーへのアクセスに使用するのはVPN、もしくは社内LANといったクローズドなネットワークに限定することができます。そのため、第三者によるアクセスは容易ではなく、情報漏洩やハッキングのリスクを最小限に留めることができます。また、自社のセキュリティポリシーに合致させやすいこともオンプレ型の特徴です。
クラウド型のセキュリティ強度はベンダーに依存する部分が大きく、自社のセキュリティポリシーに沿わない場合は運用ができない可能性もあります。オンプレ型であれば自社のセキュリティポリシーを前提としてシステムを設計することも可能です。
第三者がアクセスしにくいことに加え、独自のセキュリティ対策も施せるため、情報保護に対してより万全な体制を築くことができます。
2. 使用環境に合わせてカスタマイズできる
使用する環境に合わせてシステムのカスタマイズができることもオンプレ型Web会議システムのメリットです。
クラウド型の場合、使用できる機能やデザインはあらかじめ搭載されているものだけに限られます。新しい機能が欲しいと思ってもベンダーがその機能を追加してくれるとは限りません。
オンプレ型であれば、ベンダーに依頼してデザインの変更や機能の追加をすることができます。また、自社にエンジニアが在籍していればベンダーに頼らずともシステムを改修することが可能です。既存の社内システムと連携し、使いやすさの向上を図ることもできるでしょう。
3. 運用コストが抑えられる
オンプレ型Web会議システムはクラウド型に比べて運用コストを安く抑えることができます。初期費用こそ高額なものの、一度納品してもらえば以降の使用料は無料となる場合が多いです。サーバーの保守点検費や年間のライセンス料といった費用は発生するものの、長期運用した場合のコストパフォーマンスはオンプレ型の方が優れています。
クラウド型ではベンダーに対して毎月一定の使用料を支払う必要があります。料金形態はさまざまですが、1アカウントにつき1,500~5,000円ほどの費用を想定しておきましょう。基本的には事業規模や使用人数が多ければ多いほど月額費用が高額になる傾向があります。
オンプレ型であっても保守点検やシステム改修の費用は支払いが必要です。また、ベンダーによっては年間のライセンス使用料の支払いを請求される場合もあります。しかし、いずれも支払い頻度は少なく、クラウド型の年間使用料と比べれば少額です。
4. Web会議の品質が安定する
オンプレ型Web会議システムの通信環境は外的要因に左右されにくく、常に一定の品質でWeb会議をおこなうことが可能です。通信環境が安定しているので画像や音声が途切れにくく、応答も早いのでスムーズに会議を進行させることができます。Web会議を高品質でおこなうためには高性能なカメラやマイクも大切ですが、最も影響を及ぼすものが通信環境です。
クラウド型は、1つのサーバーに対し多数の企業の膨大な数のアカウントが集中するため、サーバー負荷が高くなりやすく、情報処理の遅延が発生することがあります。また、個々人のインターネット環境もまちまちであり、画面のフリーズや音飛びが発生することもあります。
オンプレ型は社内にサーバーがあり、かつ回線の使用者は社内の人間に限られます。最大同時接続人数を見越したシステム設計をしておけば、通信環境が乱れて会議が進行できないといった事態も防ぐことができるでしょう。
オンプレ型Web会議システムの4つのデメリット
セキュリティ性やカスタマイズ性に優れるオンプレ型Web会議システムですが、一方でデメリットもあります。主なデメリットは以下の4つです。
- 初期費用が高額
- 導入に時間が掛かる
- 保守やシステム障害への対応が必須
- 社外の人を交えた会議で使用できない
これらのデメリットについて1つずつ解説していきます。
1. 初期費用が高額
オンプレ型Web会議システムの初期導入費用は非常に高額です。事業規模やシステム内容によっても金額は変わります。100〜300万円ほどの費用を想定しておきましょう。
初期費用の内訳は以下のようなものが一般的です。
- ハードウェアやソフトウェアの購入費
- ライセンス使用料
- ID追加費用
- サーバールームの家賃(※社外にサーバールームを借りる場合)
- 電源、回線などの付帯工事費用
- 災害対策費用
一方でクラウド型の場合は特別な設備を必要とせず、初期費用は10万円から20万円ほどで済みます。初期費用自体発生しないサービスもあるので、とにかく安く始めたいという場合はクラウド型がおすすめです。
2. 導入に時間がかかる
オンプレ型Web会議システムの導入には準備に時間を要し、契約から実際に稼働させるまでは数カ月から半年程度は見込んでおきましょう。クラウド型のようにプランがパッケージ化されていないので、ベンダー担当者との打ち合わせや見積りの作成も必要です。
システム構築やサーバー設置のための時間がかかるので、導入は早い段階から計画的に進めましょう。一方、クラウド型の場合はアカウント作成のみで、追加設備の設置はおろかパソコンのセットアップすら不要のサービスもあります。
3. システム障害への対応が必要
Web会議システムに障害が発生した場合、オンプレ型では自社で復旧対応にあたらなければなりません。そのため、自社内で専門知識を持ったエンジニアを確保するか、開発元のベンダーに復旧を依頼するといった対処が必要になります。システム障害は何時如何なるときに発生するか予測が付きにくいので、いざという時に備えて対応マニュアルを作成しておくようにしましょう。
クラウド型の場合はサーバーを管理しているのはベンダーなので、利用者は復旧に関与する必要はありません。システム障害発生中は会議を開催できなくなりますが、復旧に伴う費用は発生しないので企業としてのダメージは少ないでしょう。
4. 社外の人を交えた会議で使用できない
オンプレ型のWeb会議システムは社外の人を交えた会議には不向きです。これはオンプレ型の大きなデメリットといえるでしょう。無線LANを利用して専用サーバーにアクセスするためには、サーバー側と端末側双方に事前のセッティングが必要です。取引先やプロジェクトの関係企業であったとしても、自社外の端末からアクセスすることはできません。
社外端末からのアクセスが絶対にできないという訳ではなく、特別な方法を用いれば外部アクセスを許可することはできます。しかし、システムのセキュリティ低下を招く可能性もあり、運用には注意が必要です。社外との連絡用としてクラウド型のWeb会議システムを併用する企業もあります。
オンプレ型Web会議室システム導入の注意点
最後にオンプレ型Web会議システムを導入するうえでの注意点を解説します。セキュリティの高さから注目されるオンプレ型ですが、決して万能ではありません。注意点を踏まえて効果的に運用しましょう。
システム対応ができる社員を確保する
自社でオンプレ型Web会議システムを導入するのであれば、それに合わせてシステム管理をおこなう人員を配置する必要があります。日々の保守点検やシステムのアップデートに加え、突発的に起こるシステム障害にも迅速に対応できる体制を整えておきましょう。
社内での人員調整が困難な場合は、アウトソーシングも視野に入れながら対応する必要があります。外部に委託した場合は当然コストも増加してしまうので、オンプレ型かクラウド型かの判断も含めて慎重に導入計画を立てましょう。
長期運用を前提に導入する
オンプレ型Web会議システムを導入する場合は長期的運用が前提です。既に説明している通り、オンプレ型は初期費用が高額であり、長期運用でコストを下げないとデメリットの方が大きくなる恐れがあります。
Web会議システムの運用を開始までにも時間と手間が生じるため、費用対効果を考えた場合、短期での使用は推奨できません。特定のチーム内だけで使用したい、期間限定のプロジェクトで使いたいなど、短期的での運用を目的とする場合はクラウド型の方が運用しやすいでしょう。
セキュリティ対策も合わせて実施する
オンプレ型Web会議システムのセキュリティ性を過信せず、情報漏洩やハッキング被害への備えは怠らないようにしましょう。クローズドな回線を使用しているとはいえ、ネットワークを介したシステムである以上は100%安全といい切ることはできません。
会議内で経営戦略や顧客情報などの機密事項を扱う場合は、対面での会議をおこなうなど、自社のセキュリティポリシーに沿って適切な情報管理をおこないましょう。また、各社員に対してはカフェのような公の場から会議へ参加しないよう教育を徹底することも大切です。
初めはクラウド型で運用することも検討しよう
オンプレ型Web会議システムの導入で失敗しないよう、初めはクラウド型で運用を開始するという方法もあります。特に会社として初めてWeb会議を導入するのであれば、まずはクラウド型で契約し使用感を確かめておくとよいでしょう。
Web会議システムのベンダーでは、オンプレ型とクラウド型両方のサービスを提供している場合も多くあります。まずはクラウド型で運用を始めれば、その時点でベンダーの担当者とのつながりが生じます。Web会議システムを運用して感じた課題を担当者に相談することで、自社に最適なオンプレ型Web会議システムの構築を依頼することができるでしょう。
オンプレ型の特徴を踏まえてWeb会議システムを導入しよう
Web会議システムに高いセキュリティ性を期待するのであれば、オンプレ型がおすすめです。ほかにも、既成のWeb会議システムが使いにくい、会議の品質を安定させたいといった悩みも解決してくれるでしょう。
一方、自社でエンジニアを確保しなければならない、社外の人間を交えた会議では使用しにくいといったデメリットも忘れてはなりません。オンプレ型にもクラウド型にもそれぞれメリット・デメリットがあるので、その特性を踏まえたうえで導入するWeb会議システムを選択しましょう。
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