インサイドセールスの立ち上げで重要な6つのポイントを解説
Web会議システム
2023.05.29
2023.05.29
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、インサイドセールスに注目が集まっています。インサイドセールスにはコストや時間などを削減し、営業を効率化するため、コロナが収束してもインサイドセールスがおこなわれると見込まれています。そのため、インサイドセールスの立ち上げを検討する企業が増えています。今回は、インサイドセールスを立ち上げる際のポイントや、よくある失敗例、KPIの設定方法について解説します。
インサイドセールスの立ち上げで重要なポイント
インサイドセールスで業績向上や営業業務の効率化を図るためには、立ち上げの際にいくつかのポイントを押さえておく必要があります。
立ち上げ時の基礎がしっかりしていないと、インサイドセールスを始めても失敗やトラブルに見舞われる可能性があるので、重要なポイントはあらかじめ押さえておくことが大切です。
ここでは、インサイドセールスの立ち上げで重要なポイントを6つに分けて説明します。
1. 課題・目的を明確にする
インサイドセールスを立ち上げる理由や目的は企業によって異なります。
まずは自社が抱える課題や問題を洗い出し、その解決方法としてインサイドセールスがどのような役割を果たすのかを明確にしておきましょう。
たとえば、1回目の商談がうまくいかずに終わってしまった場合でも、将来的な受注の可能性を考慮するのなら、引き続き関係を継続してアプローチをかける必要があります。その際、顧客の追跡が不十分だと関係が切れてしまう恐れがあるため、定期的なアプローチで関係を保ち続けることが重要です。
こうした事例では、メールや電話などで関係を保ちつつ、必要な時に必要なアプローチをかけるインサイドセールスを導入すれば、2回目、3回目の商談で契約に至る可能性が高くなります。
このように、現在の課題と目的がはっきりしていれば、どのような機能をもつインサイドセールツールを導入すべきか、どのような営業プロセスを組み立てていくべきか、といった計画や方針も立てやすくなります。
2. インサイドセールスの立ち位置を決めておく
インサイドセールスは、導入の仕方によって営業よりにもマーケティングよりにもなる手法です。
そのため、立ち上げ時にインサイドセールスの立ち位置をはっきりしておかないと、既存の営業(フィールドセールス)部門やマーケティング部門と役割が重複してしまう恐れがあります。
たとえば、商談の発生から受注までにかかるリードタイムが短い商材の営業が主流の企業なら、フィールドセールス部門と密な連携を取りながら商談・契約をサポートする営業寄りのインサイドセールスを立ち上げるのがおすすめです。
一方、商談が発生してから受注までに月単位や年単位の時間がかかる商材を取り扱っている企業なら、メールや電話などを使って定期的にコミュニケーションを取りながら必要な情報を蓄積し、いざという時に適切なアプローチをおこなえるよう、マーケティング寄りのインサイドセールスを立ち上げた方が効果的です。
自社が求めているインサイドセールスの立ち位置はどちらなのか、あらかじめ決めておくと、導入後にどちらともいえない状態になるというリスクを防げます。
3. インサイドセールスをおこなう商材やサービスを決める
複数の商材やサービスを取り扱っている企業の場合、インサイドセールスの対象となる商材やサービスを決めておくことも大切です。
最初からすべての商材やサービスを対象にインサイドセールスを実施すると、案件ごとに戦略を立てるのが難しく、立ち上げまでに遅れが生じる可能性があります。
まずは一つの商材やサービスに焦点を絞ってインサイドセールスを導入し、その結果を踏まえたうえで、ほかの商材・サービスへの展開を検討すると、インサイドセールスをスムーズに浸透させることができます。
また、営業プロセスのうち、どの範囲までインサイドセールスでカバーするかもあわせて決めておきましょう。
たとえばインサイドセールスとフィールドセールスで連携して営業プロセスを組み立てていく場合は、インサイドセールスで顧客の洗い出しやニーズの引き出しまでをおこない、商談やクロージングはフィールドセールスに引き継ぐといったパターンが考えられます。
逆にインサイドセールスのみで見込み顧客のピックアップからクロージングまでおこなうスタイルもあるので、自社のニーズと商材やサービスの特性などを考えながら、適切な範囲を決定しましょう。
4. インサイドセールスの立ち上げに必要な人材を確保する
インサイドセールス担当者の選定方法には、社内の人材を登用もしくは新たに採用するパターンと、外部業者にアウトソースするパターンの2種類があります。
前者の場合、自社の営業担当のなかから適切な人材を選定するか、必要な人材を募集してインサイドセールス部門に配属させるかたちになるため、インサイドセールスに関するノウハウを自社で培っていくことができます。
一方、社内に十分な知識やノウハウがないうちは、インサイドセールスの実績が豊富な外部業者にアウトソースするという方法もあります。
専門的な知識やノウハウを持つ人材がインサイドセールスにあたるので、当初から高い効果を期待できますが、自社でノウハウや実績を積み重ねていけないのがネックです。
どちらのパターンが適しているかは、予算や今後のビジョンによって異なるので、コストの問題や将来の展開を見据えながら慎重に検討しましょう。
5. インサイドセールスツールを選ぶ
インサイドセールスを円滑に進めるためには、CRMやSFA、MA、Web会議ツールといったインサイドセールス向けのツールの導入が必要不可欠です。
どのツールを導入するかは、1のステップで決めたインサイドセールスの課題や目的によって異なるので、ツールの特徴や機能をよく理解したうえで、自社のニーズに合っているものを選定しましょう。
なお、趣旨が同じツールでも、価格や機能、性能は製品ごとに差があるので、ツールごとの比較検討をおこなうことも大切です。
6. 最初は小規模からのスタートがおすすめ
インサイドセールスの立ち上げにあたり、最初から大々的に部門や課を設立すると、多額の予算や時間が必要となります。
うまくいかなかった場合の損失も大きくなるので、最初は少ない人数で始める一つのプロジェクトとして立ち上げるところからスタートするのがおすすめです。
ある程度ノウハウが蓄積されるようになったら、徐々に規模や人員を増やし、インサイドセールスの本格的な導入、稼働を目指しましょう。
インサイドセールスの立ち上げでよくある失敗事例
インサイドセールスは、ただツールや部門を立ち上げれば成功するという簡単なものではありません。
「何となく」「とりあえず」といった感覚で導入を進めると、企業に損失を与える失敗を招く恐れがあります。
立ち上げの段階でつまずかないためにも、インサイドセールスでよくある失敗事例の内容をチェックし、然るべき対策を講じておきましょう。
ここではインサイドセールスの立ち上げ時によくある失敗事例を4つ紹介します。
1.リード数が不足し、有効なアプローチができない
リードとは、自社の商品やサービスを購入する可能性がある見込み顧客のことです。
リードには、企業がテレアポなどをおこなって接触した「アウトバウンドリード」と、顧客自らが資料請求や問い合わせなどをおこなって接触してきた「インバウンドリード」の2種類があり、インサイドセールスはこれらリードに適切なアプローチをおこない、商談や契約に持ち込むことを目的としています。
そのため、リードが少ないままインサイドセールスを始めた場合、アプローチの対象が足りず、手持ちぶさたになってしまう恐れがあります。
とくに事業をスタートしたばかりの企業に起こりやすい失敗例なので、インサイドセールスをの立ち上げにあたっては、必要十分なリードが存在しているかどうかを慎重に検討しましょう。
2.テレアポ代わりに利用した結果、リードを逃す
インサイドセールスは、電話やメール、Web会議ツールなどを使って顧客とコミュニケーションを取り、関係を構築していく営業手法です。
対するテレアポは、リストをもとに顧客へ架電し、アポイントを取り付けることを目的としています。
「電話を使う」「顧客とコミュニケーションを取る」という点は共通していますが、インサイドセールスの目的は必ずしもアポイントを取るだけでなく、顧客のニーズに合わせて商材を紹介したり、現時点で悩みや課題を抱えていないか尋ねたりと、さまざまな角度からコミュニケーションを取っていきます。
そのため、インサイドセールスを「アポイントを取得する手段」として導入すると、将来的に商品やサービスを購入してくれるリードを逃すことになりかねません。
テレアポで接点を持った見込み顧客に対し、継続的にインサイドセールスをおこなっていくのはありですが、インサイドセールスをテレアポ代わりに導入すると失敗のもとになるので注意しましょう。
3.情報共有がうまくいかず、顧客に不信感を抱かれる
営業プロセスには、営業部門だけでなく、製造部門やマーケティング部門など、さまざまな部門が関与しています。
相互の連携方法が確立されていないままインサイドセールスをスタートすると、部門間での情報共有がうまくいかず、顧客に対して間違ったアプローチをしたり、顧客の問い合わせをたらい回しにしたりする要因となります。
インサイドセールスツールを利用すれば、部門間で簡単に情報共有することが可能ですが、ツールの使い方の周知が不十分では連携ミスが起こりやすい傾向にあります。
顧客は「自分のことが理解されていない」とわかるとすぐに離れていってしまいるので、ツールの扱い方も含め、部門間や担当者間の情報共有手段はしっかり確率しておきましょう。
4.目標設定が高すぎて効果検証ができない
インサイドセールスに限らず、初めての取り組みをおこなう際は、必ず効果検証を実施し、導入前と導入後でどのような変化があったかを確認、分析する必要があります。
ただ、最初から高い目標を設定すると、導入前後の変化に乏しく、有効な検証結果を得られない可能性があります。
検証結果をもとにPDCAサイクルを回せば、インサイドセールスの内容をよりブラッシュアップすることができるので、最初のうちは実現可能な目標を設定するようにしましょう。
目標達成の度合いを評価する基準となるKPIの設定については、次節で詳しく説明します。
インサイドセールスの立ち上げでのKPI設定方法
KPIとはKey Performance Indicatorの略で、重要業績評価指数という意味を持ちます。
KPIを設定しておけば、企業が特定の目標(ゴール)を達成するために正しい工程を歩んでいるかどうかを確認できるようになります。
当然、企業によって設定すべきKPIは異なるので、インサイドセールスを立ち上げるときは自社の目標やビジョンに合ったKPIを設定することが大切です。
ここでは、インサイドセールスを立ち上げる際のKPIの設定方法を4つのポイントに分けて解説します。
1. 目的に関連したKPIを設定する
KPIは、インサイドセールスによって実現したい目的に到達するための指標となるものなので、目的に関連したKPIを設定するのが基本です。
たとえば、インサイドセールスで新たな顧客を獲得したいのなら、アプローチ回数やリード獲得数などをKPIに設定しましょう。アプローチ回数に対する獲得数を明確にすることで、インサイドセールスの方針や質を正しく評価できるようになります。
2. 項目数は少なめに設定する
一つの目標に対して設定するKPIの数は自由に決められますが、あまりにたくさんのKPIを設定すると、現場が混乱してしまう恐れがあります。
KPIを意識するあまり、現場の負担が増えてモチベーションが低下してしまっては本末転倒です。候補が複数ある場合は、とくに優先順位の高い重要なKPIのみを3~5つ厳選して設定するのがおすすめです。
3. 実現可能な数値に設定する
前節でも触れましたが、目標を高く設定しすぎると有効な効果検証をおこなえないうえ、社員のモチベーションが低下する恐れがあります。
とくに立ち上げ当初は、目に見えて高い効果が現れることは稀なので、十分実現できる現実的な数値を設定しましょう。
ある程度インサイドセールスが軌道に乗ってきたら、少しずつ目標を高く設定し、最終的な目標に向かってステップアップしていきましょう。
4. インサイドセールス立ち上げに強いコンサルに依頼するのもあり
KPIの設定は簡単なようで難しいので、適切な設定方法がわからない場合は、専門的な知識を持つコンサルタントに依頼するのも一つの方法です。
とくにインサイドセールス立ち上げに強いコンサルタントに相談すれば、どんな項目をKPIに設定すべきか、数値をどのくらいにするのが妥当かなど、具体的なアドバイスを提供してもらうことができます。
コンサルへの依頼にはコストがかかりますが、KPIの設定を誤るとインサイドセールスを上手に運用できず、余計な時間と手間を費やすことになります。したがって、最初からプロのコンサルに依頼した方が、結果としてコストの節約につながる場合もあります。
インサイドセールスの立ち上げは初めの準備が重要
インサイドセールスの立ち上げを成功させるためには、単純にツールを導入するだけでなく、課題や目的の明確化や立ち位置の決定、対象となる商材やサービスの選定といった前準備をしっかりおこなうことが大切です。
これらの前準備を怠ると、有効なアプローチができずに終わってしまったり、リードを逃してしまったりする原因になります。
インサイドセールス立ち上げの失敗は、コストや時間を無駄に費やすだけでなく、社員のモチベーション低下も招くので、基本と重要なポイントを押さえたうえで入念に下準備をおこなうことをおすすめします。
企業のみなさまへ
あなたもDXログにサービスを掲載しませんか?
あなたもDXログに
サービスを掲載しませんか?