DXリテラシーの意味や必要性・向上のポイントを徹底解説

DXリテラシーとは、DXとリテラシーを掛け合わせた言葉で、DXを理解し、活用する能力(リテラシー)のことを指します。近年ではDXリテラシーの獲得が重要となり、経産省が「DXリテラシー標準」を定めるなど、注目されています。この記事では、DXリテラシーの意味やDXリテラシーを高めるためのポイントを解説します。

更新日:2022.7.19

DXリテラシーとは

DXリテラシーとは、DXとリテラシーを掛け合わせた言葉です。DXはデジタルトランスフォーメーションの略で、デジタルを使ってビジネスモデルなど企業全体を大きく変化させ、他社との差別化・優位性を持つことを指します。

リテラシーは、日本語に直訳すると『読み書きができる』という意味を持ち済ますが、ビジネスにおいては『物事を正しく理解し応用する能力』を指します。 DXリテラシーとは、DXに関する知識や必要性を正しく理解し、長い時間を必要とするDXをきちんと遂行していく力で、企業のDXを推進するために欠くことのできないスキルです。 具体的には、DXの必要性を浸透させるスキル、デジタル技術に関するスキル、ビジネスモデルを創造するスキルなどがあります。

DXの必要性を浸透させるスキル

一部の人が、DXの必要性を理解しても、DXは進みません。DXは歴史が浅いので、多くの人が「必要性を理解していない」または「必要性を理解していても、具体的に何をすべきかがわからない」状況だからです。DXの必要性を理解し、その必要性を広く浸透させ、協力体制を築くスキルがあれば、DXを加速させることができます。

関連記事:DXの進め方7つのプロセスや注意すべきことを詳しく解説

デジタル技術に関するスキル

デジタル技術に関する知識を保有しているだけでなく、企業や組織が抱える「課題や問題の解決」「業務の効率化」「事業の拡大」など、テーマに則したしたデジタル技術を提案するスキルが必要です。

新たなビジネスモデルを創造するスキル

課題や問題を解決すれば、業務の効率化につながります。そして効率化の先に新たなビジネスモデルが展開します。課題や問題を好転させ、ビジネスモデルへ発展させる視点や思考が必要です。

DXリテラシーとITリテラシーの違い

DXリテラシーとITリテラシーを同じ意味であると混同される方もいますが、DXリテラシーとITリテラシーは全く持って別の意味を持ちます。DXリテラシーは、情報技術(IT)に関して幅広い知識だけなく、「課題や問題の解決」「業務の効率化」「事業の拡大」など、ビジネスシーンで有効的に活用できるスキルを指します。
DXを推進するために、必要不可欠なのが情報技術(IT)であり、DX推進の一翼を担うのがITリテラシーです。ここでは、ITリテラシーを具体的に紹介します。

ITリテラシーとは

ITリテラシーは、情報技術(IT)を有効活用するために必要なスキルです。

2017年厚生労働省が発表した『平成29年度ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書』では、基礎的ITリテラシーに関して以下のように定義しています。

現在入手・利用可能な IT を使いこなして、企業・業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結び付けるのに必要な土台となる能力のこと。
いわゆる IT 企業で働く者だけでなく、IT を活用する企業(IT のユーザー企業)で働く者を含め、全てのビジネスパーソンが今後標準的に装備することを期待されるもの。

『平成29年度ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書』

ITリテラシーは、大きく分けて以下の3つのスキルを必要とします。

  • 情報技術(IT)に関する幅広いスキル…情報技術(IT)の種類・機能・仕組みを理解する、知識や技術
  • 情報技術(IT)を活用するスキル…情報技術(IT)が、効力を発揮するシーンを理解し、有効に活用する知識や技術
  • 情報技術(IT)を選定するスキル…企業や組織が抱える、課題や問題を解決するために、有効な情報技術(IT)を選定する知識や技術

DXリテラシーはITリテラシーに加えて以下のスキルが必要

DXリテラシーは、上述した「ITリテラシー」に加えて、以下の2つの能力を必要とします。

  • 情報技術(IT)を活用して解決するスキル…選定した情報技術(IT)を活用して、必要な情報を収集・分析・結果をアウトプットし、解決へと導く知識や技術
  • 情報技術(IT)を活用して推進するスキル…情報技術(IT)や情報を安全に活用するため、セキュリティやコンプライアンスに関する知識や技術

経産省「DXリテラシー標準」での定義

「DXリテラシー標準」とは、2022年3月に経済産業省が定めた「DXリテラシー」の基準や獲得のための指針です。ここでは、経済産業省の「DXリテラシー標準」について、目的や概要をわかりやすくまとめます。

経済産業省は、以下のように「DXリテラシー標準」策定のねらいを説明しています。

社会環境・ビジネス環境の変化に対応するために、企業・組織を中心に社会全体のDXが加速する中で、人生100年時代を生き抜くためには、組織・年代・職種を問わず、働き手一人ひとりが自身の責任で学び続けることが重要です。「DXリテラシー標準」は、働き手一人ひとりがDXに参画し、その成果を仕事や生活で役立てるうえで必要となるマインド・スタンスや知識・スキルを示す、学びの指針として策定しました。

引用:デジタルスキル標準 (METI/経済産業省)

DXリテラシーの全体像

また、「DXリテラシー標準」において、経済産業省は、DXリテラシーの獲得のために以下のスキルや知識、マインドセットの獲得を必要としています。「DXリテラシー標準」の全体像は以下の通りです。
このように、DXリテラシーを獲得するには、DXが必要とされる背景の理解に始まり、DXで活用される技術に対する理解や、その実際の活用方法を学ぶことが必要です。
また、これらのスキルの土台となるマインドセットの獲得も重要です。デジタル技術に関する表面的な知識やスキルだけではなく、変化する社会の中で新たな価値を創造するための姿勢や行動などの獲得があってこそ、「DXリテラシー」を身に付けることができます。

Why(DXの背景)DXの重要性を理解するために必要な、社会、顧客・ユーザー、競争環境の変化に関する知識
What(DXで活用されるデータ・技術)ビジネスの場で活用されているデータやデジタル技術に関する知識
How(データ・技術の活用)ビジネスの場でデータやデジタル技術を活用する方法や留意点に関する知識
マインド・スタンス社会変化の中で新たな価値を生み出すために必要な意識・姿勢・行動

※経済産業省資料より、編集部作成
参考:DXリテラシー標準|経済産業省

関連記事:DX人材とは?必要なスキル・知識・マインドセットを紹介

DXリテラシーが求められる理由

DXリテラシーが求められる理由としては、競争力の強化やレガシーシステムからの脱却、変化する消費者ニーズへの対応、事業継続性の確保などが挙げられます。それぞれについて詳しく解説します。

競争力の強化

現在、あらゆる業界で、IoTの活用、AI×ビッグデータなどにより、新たなビジネスやサービスが加速度的に生まれています。ビジネスのデジタル化が急激に進み、市場での企業間競争が激化する中で、武器となるDXリテラシーの必要性が高まっています。

レガシーシステムからの脱却

数十年前に開発されたレガシーシステム。長年続いた場当たり的なメンテナンスで、システムが巨大化し難解なものとなっています。また、限られた人がメンテナンスや運用を行うため、属人化したシステムになっており、柔軟性や拡張性がありません。

外界から孤立した巨大で難解なシステムは、維持管理に膨大なコストがかかります。レガシーシステムに掛かるコストを削減するため、DXが推奨されています。

関連記事:DX推進の必要性とは?導入するメリット・デメリットを解説

変化する消費者ニーズへの対応

DXは、デジタル技術を通じて、消費者の生活を変化させてきました。例えば、キャッシュレス決済やスマートフォンを利用して移動しながら楽しむデジタルコンテンツ、実店舗ではなくインターネット上で買い物ができるネット通販などです。

これからも、より便利で快適なサービスが求められていくでしょう。そのため、消費者の細分化されたニーズ・多様化する行動に対応するには、DXが不可欠なのです。

事業継続性の確保

従業員の安全を守りつつ自社の商品やサービスを消費者へ提供するため、また、事業を継続しつつニューノーマルに対応するため、DXの推進が必要になります。

DXリテラシーの教育における課題点

「DXの推進」「DXリテラシーの底上げ」といっても、すべての企業や組織が実績を上げ、成功しているわけではありません。結局のところ、何から始めればよいのか、どこまで突き詰めればよいのか、明確な答えがないのが現状です。ここでは、DXリテラシーの教育における課題点を2つ紹介します。1. 企業や組織が目指すゴールが明確になっていない

まず、課題として挙げられるのは、企業や組織の目指すゴールが明確になっていないことです。デジタル技術を活用すべく、新しいビジネスモデルに着手したものの、ターゲットとなる分野と技術がぼやけたままでは、ゴールや工程が明確になりません。このようなケースは、検討不足が原因です。戦略と教育が並走するため、教育方針も定まらず、教育内容がブレたりズレたりします。DXリテラシーの教育は、企業や組織のゴールに沿ったものでなければ意味がありません。

2. 企業や組織ごとに課題や問題は異なる

DXのトレンドをすべて教育するには、膨大な時間と人手が必要です。また、他社を真似ても必ずしも成功するとは限りません。DXは最新技術とはいえ、企業によって向き・不向きはあります。企業や組織の抱える課題や問題はそれぞれ異なり、すべてのビジネスモデルに適応するわけではないということを念頭に置く必要があります。それぞれの企業や組織が抱える課題解決にフォーカスしたDXリテラシーの教育を実施しなければ、成功につなげることは難しいでしょう。

DXリテラシーを高めるためのポイント

企業や組織のDXを成功させるには、全員のDXリテラシーを底上げする必要があります。DXリテラシーを高めるため、注力すべきポイント5つについて解説します。

1. 課題・問題を発見するアンテナを張る

業務の効率化や、事業を拡大させるヒントは、日常の中にあります。常日頃から現状を把握し、分析するクセをつけ、課題や問題を発見するアンテナを張りましょう。

2. 情報技術(IT)の情報を収集する

情報技術(IT)について情報収集するクセをつけましょう。どのようなツールがあり、そのツールは何ができて、何ができないか。何が得意で何が不得意か。また、業界のトレンドを把握するのも重要です。自分のスキルとなった情報技術(IT)は、課題や問題を解決する武器になります。

3. 当事者意識を持つ

企業や組織に現存する課題や問題を他人事とせず、常に当事者意識を持つことが大切です。当事者意識を持つことで情報の交流が生まれ、他部署からヒントをもらったり、他部署のフォローができたりします。

4. 人を巻き込む推進力を養う

ITリテラシーにしても、DXリテラシーにしても、自分一人では完結しません。常に関係者と情報共有し、人を巻き込みながら進めることが大切です。

5. 柔軟な思考と粘り強いマインドを持つ

DXを推進していると、さまざまな壁にぶつかります。一度や二度の失敗であきらめることなく、発想を転換させる柔軟な思考と、目的を達成するまであきらめない、粘り強いマインドが必要です。

DXリテラシーの成熟度が企業や組織の存続を左右する

デジタルテクノロジーの進化が、消費者の生活やビジネスモデルに、これまでとは比較にならないスピードで変化をもたらします。変化するスピードに対応するため、DXリテラシーの底上げは急務であり、企業や組織の存続を掛けた課題です。DXリテラシーに優れた人材を外部から補完するのか、内部で育て上げるのか、企業や組織の手腕が問われています。

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