DX推進における6つの課題と解決策をわかりやすく解説
DX
2023.11.30
2023.11.30
データやデジタル技術を活用した新しいビジネスモデルが次々と誕生するなか、デジタル社会に取り残されないよう、企業のDX推進は急務とされています。しかし、DX推進には課題も多く、「思うようにDXが進まない」と悩んでいる企業も多いようです。そこで今回は、DXの現状を説明したうえで、DXの推進における課題と解決策についてわかりやすく解説します。
DXの現状と課題
ここでは、DXの定義や現状、DXが求められる理由について詳しく紹介します。
DXの定義
DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称で、IT技術の進歩などによる激しいビジネス市場の変化に対応するために、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスなどに変革を起こし、競争において優位な立場を確立することを指します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義やメリットを解説
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、企業においては、デジタル化によるビジネスモデルの変革や、それによる競争力の向上を意味します。この記事では、DXの定義や、DXが必要とされる背景、DX推進の方法など、DXの基本をわかりやすく解説します。
日本のDXの現状
スイスの国際経営開発研究所(IMD)の公表する「世界デジタル競争力ランキング2020」によると、日本の順位は29位です。
1位はデンマーク、2位はアメリカ、3位はスウェーデンと欧米諸国が上位を占めています。また、シンガポールが4位、韓国が8位、中国が17位とアジア周辺の地域と比べても、日本はデジタル競争力において遅れをとっていることがわかります。
(※1)World Digital Competitiveness Ranking|IMD

日本のDXは遅れている?海外と日本のDXの現状の比較や課題を解説
日本のDXは海外より遅れているという話を耳にすることがあります。そのような話を聞けば、日本は本当にDXへの取り組みが遅れているか、遅れているとしたら何が原因なのかが気になることでしょう。本記事では、日本におけるDXの現状や課題・解決策をまた、日本の取り組みと海外との比較も交えて紹介します。
企業のDX推進が求められる理由
日本の現状のDXは海外と比べると遅れていることが把握できました。それでは、DXを進めないとどのような影響があるのでしょうか。2018年に経済産業省が発表したDXレポートのなかの「2025年の崖」という言葉が注目されました。(※2)
DXを進めず老朽化や複雑化したレガシーシステムを今後も使い続けた場合、2025年移行、現在の約3倍にあたる年間最大12兆円の経済損失が生じると示唆されています。そのため、企業のDX推進が急がれています。
(※2)DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~|経済産業省

2025年の崖とは?経済産業省が指摘する問題点と克服方法をわかりやすく解説
「2025年の崖」とは、2018年に発表された経産省の「DXレポート」によって指摘された言葉です。DX化に取り組まないと、人材不足はレガシーシステムの問題から「2025年の崖」に直面する可能性があります。この記事では、2025年の崖」とは何か、なぜ2025年なのかについてわかりやすく解説します。
DX推進における6つの課題
一般社団法人日本能率協会が企業経営者向けに実施した調査によると、DXに取り組む企業は45.3%と半数近くに上っており、企業のDX推進の動きが加速していることがうかがえます。(※3)
一方で、DX推進に取り組むにあたり、さまざまな課題や問題を抱えていることも浮き彫りになっています。ここでは、企業がDXを推進していくにあたって課題となっている問題点を6つ紹介します。
※3:第42回当面する企業経営課題に関する調査|一般社団法人日本能率協会
レガシーシステムの老朽化
経済産業省の発表する「DXレポート」のなかでは、2025年を迎えたとき基幹システムを21年以上稼働させている企業の割合は60%に上ると記載されています。
レガシーシステムが老朽化すると、維持コストがかかります。
また、システムを移行しようとしても、ブラックボックス化してしまったシステムの中身を明確にできず、再構築する際に時間や手間がかかるという課題があります。
ビジョンや経営戦略が曖昧
DXは企業の目標や本来あるべき姿に合わせて展開していくものなので、DX推進に取り組むにあたっては、まず「DXで何を目指すのか」「どのように事業に落とし込むのか」といったビジョンや経営戦略を明確にする必要があります。
しかし、現状の経営陣のDXに対する理解度はまだまだ低いです。DX推進するためのビジョンや経営戦略が曖昧な状態で施策を実施してしまうことで、本来企業が描いているDXの目的を実現できない可能性があります。
関係部署の連携が不十分
従来のシステムは部署や部門ごとに導入・運用されているパターンが多いため、同じ部署・部門内で情報を共有することはできても、部署・部門の垣根を越えて連携を取るのは難しい状態にあります。
DX推進はスモールスタートが基本ですが、ゆくゆくは全社を横断する形で導入する必要があるので、関係各所との連携が不十分な状態だとスムーズにDXを推進できない恐れがあります。
DX推進に関わる人材の不足
DX推進において、多くの企業が「課題である」と感じているのが人材不足です。IT・デジタル後進国といわれる日本では、DX推進で舵を取れるほどの知識・スキルを持つ人材が極めて少ない傾向にあります。
また、少子高齢化による労働人口の減少の影響もあり、DX人材の不足は加速し、外部から確保することが困難になる恐れがあります。
十分な資金を用意できていない
DX推進においては、新たなシステムやツールの導入、必要な人材の確保・育成などに相応のコストがかかります。また、DXは長期的に取り組むものです。
そのため、予算面の問題でDXになかなか着手できないという企業も少なくないようです。
ベンダー企業に依存している
日本のDXが海外と比べて遅れている原因の一つとして、ユーザー企業のシステム開発のほとんどをベンダー企業に委託していることが挙げられます。システムを上手く活用するには、業務とシステム内部の両方を理解している人材が必要です。
しかし、ベンダー企業にシステム開発・運用を依存してしまうことで、自社でシステム内部について熟知している人材を用意できず、システムのブラックボックス化を加速させてしまいます。
それにより、システムトラブルが発生したときや、システム移行をおこないたいときに、システム内部の可視化から始める必要があり、大きなコストや時間がかかってしまいます。
DX推進における課題の解決策
企業のDXをスムーズに進めるためには、障害となっている課題や問題を解決する必要があります。
ここでは、DX推移における主な課題に対する解決策を詳しく紹介します。
既存システムを刷新する
「2025年の崖」問題の大きな原因の一つであるのがレガシーシステムです。このレガシーシステムを刷新して、新しいシステムに移行することが課題解決への一歩となります。
そのためには、既存システムの機能の可視化から始めてみることが大切です。既存システムが可視化されることで、不要な機能や必要な機能が明確になり、システム移行が進めやすくなります。
また、頻繁にアップデートが必要な機能については、クラウドサービスの導入で対応できないか検討してみるのもおすすめです。
経営陣がDXにコミットする
経済産業省がまとめた「DX推進ガイドライン」にも提示されている通り、企業のDXを推進するためには、まず経営戦略やビジョンを提示することが必要不可欠です。
データやデジタル技術の活用によって、どの事業分野でどのような価値を生み出し、それをどのような形で事業に落とし込むのか、それによって企業はどのような姿に成長・発展していくのか、そのビジョンや経営戦略を明確にし、経営陣と関係者の間で意識を共有することが大切です。
特に経営陣は、DX推進によって起こるさまざまな変革(仕事の仕方や組織の仕組み、企業文化・風土そのものの変化など)に対応すべく、強いコミットメントを持って取り組む必要があります。
関連記事:DX推進ガイドラインとは?押さえておくべき3つの要点
DX推進のための社内体制の構築
部署や部門といった垣根を越え、全社横断的に連携を取るためには、情報やデータをスムーズに共有・移行できる体制を構築する必要があります。
そのために、まずは社内の組織体制の整備をおこないましょう。
DXを推進するための組織体制を構築するには、情報システム部門を拡張する方法や、新たにDX推進のための組織を構築する方法など、さまざまな方法があります。
そのため、自社の強みや弱みを明確にし、他社の成功事例を参考にしながら、組織構築を進めるのがおすすめです。

DX推進を成功させる組織体制とは?必要な役割や組織変革のポイントを解説!
企業や組織がDXを成功させるには、組織自体が変容する必要があります。なぜなら、旧態依然とした組織では、DXのトレンドに合致しないからです。実際にDX推進組織の編成に成功し、DXを上手く推進している事例も数多くあります。この記事では、DX推進組織の必要性や編成パターン、必要とされる役割と能力、作り方のポイントをわかりやすく解説します。
DX人材の確保・育成に注力する
現代では大きな採用コストをかけなければ、優秀なDX人材を外部から確保するのが難しい場合もあります。そのため、自社でDX人材を育成する方法を採用してみるのも一つの手です。
たとえば、社外から講師を招いて必要な知識やマインドセットの習得を図る、小規模なパイロットチームを形成し、現場で必要な経験を積むといった育成システムを構築するなどの方法が考えられます。
また、リスキリングやリカレント教育といった制度を用意し、自社のDX推進のために従業員の学びを加速させることもおすすめです。

リスキリングとは?メリットや導入のポイント・事例を解説!
近年では、IT技術の急激な発展の影響もあり、DXを推進したり、DX人材を育成したりするために、注目を集めているのが「リスキリング」です。しかし、リスキリングという用語を聞いたことはあるけれど、具体的な意味はわからないという方は多いのではないのでしょうか。 リスキリングとはどのような意味やメリットがあるのかを解説します。また、リスキリングの具体的な実施方法や企業の取り組み事例も紹介します。
国のDX支援策を上手に活用する
国では企業のDX推進を後押しするため、さまざまな支援策を打ち出しています。
一例を挙げると、ITツールの導入経費の一部を支給する「IT導入補助金」(※4)や、中小企業や小規模事業者の今後のビジネス成長を支援するための「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(※5)などがあります。
これらの支援制度を上手に活用すれば、予算を補い、DX推進に取り組みやすくすることができます。
※4:IT導入補助金2023|一般社団法人サービスデザイン推進協議会
※5:ものづくり補助金|全国中小企業団体中央会

DXに役立つ補助金・助成金を紹介!経済産業省が支給する補助金もある?
近年、多くの企業でDXが進んでいますが、なかにはDXを推進したいが、予算がなくてできないという企業も多いのではないでしょうか。そんな企業をサポートするために、国や自治体では、さまざまな補助金・助成金の制度が用意されています。この記事では、DXに役立つ補助金・助成金の一覧や、申請の方法や注意点について解説します
ベンダー企業との関係性を見直す
DX推進のためにシステムを上手く活用するには、業務とシステム内部の両方を理解している人材を自社に用意する必要があります。
そのため、ベンダー企業との関係性を見直し、DX推進において双方がメリットを得られる仕組みを構築することが大切です。
たとえば、要件定義は自社で実施し、それ以降の工程をベンダー企業に委託することで、システムのブラックボックス化を防止することができます。
自社の課題を洗い出しDX推進に取り組もう
企業のDX推進は、デジタル競争に生き残るために必要不可欠な取り組みです。
しかし、企業によっては人材不足やビジョン・経営戦略の不明瞭さなど、さまざまな課題を抱えています。
こうした課題・問題を解決しないと、企業のDXはなかなか進まず、「2025年の崖」問題に直面したときに多大な経済損失を発生させる恐れがあります。
まずは自社がDX推進にあたって抱えている課題を洗い出し、解決のためにどのような取り組みが必要なのか明確にするところから始めてみてはいかがでしょうか。
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