タイムカードの保管期間は5年?7年?保管期間の起算日や適切な保管方法も解説
勤怠管理システム
2023.11.13
2023.11.13
タイムカードは労働基準法で保管期間と保管義務が規定されています。そのため、タイムカードは集計して終わりではなく、会計書類などと同様に適切に保存しておく必要があります。この記事ではタイムカードの保管が必要な理由や労働基準法で定められた保管期間、保管の起算日などについてわかりやすく解説します。

タイムカードのお悩み解決BOOK
この資料では、紙のタイムカード(打刻機)でよくあるお悩みとその解決方法について解説しています。押し忘れの場合の対処法やタイムカードに関する法律についても紹介。勤怠・人事・給与の担当者におすすめです。
この資料では、紙のタイムカード(打刻機)でよくあるお悩みとその解決方法について解説しています。押し忘れの場合の対処法やタイムカードに関する法律についても紹介。勤怠・人事・給与の担当者におすすめです。
タイムカードとは?保管義務はある?
タイムカードとは、出勤や退勤をするときに、打刻をおこなうために使用される紙のカードを指します。時刻を測る機械であるタイムレコーダーに、タイムカードを挿入することで、打刻することが可能です。なお、タイムカードとタイムレコーダーをまとめて、「タイムカード」と呼ばれることもあります。
出勤簿やタイムカードといった従業員の出勤記録に関する書類は、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」で、保管が必要な書類に定められています。労働基準法でも保管期間や保管方法が定められているため、企業側には、タイムカードを規定に従って保管する義務があります。
タイムカードの管理を誤ると、違法となり、ペナルティとして罰金が課される可能性もあるため注意が必要です。
タイムカードの保管はなぜ必要?
ここでは、タイムカードを長期間にわたって保管が必要な理由について詳しく紹介します。
従業員とのトラブル防止のため
タイムカードは、従業員の労働時間を把握し、勤務状況を適切に管理するための重要な書類の一つです。勤怠管理がきちんとおこなわれていないと、従業員の労働時間や給与の支払いに関してトラブルが発生した際、企業側が不利になる可能性があります。
また、タイムカードは、従業員自身が出勤や退勤などの労働時間を記録するため、労働時間の客観的な証拠書類として活用することが可能です。そのため、万が一トラブルが発生した場合でも、タイムカードをきちんと管理していれば、どちらの主張が正しいのかを判断し、適切に対処できます。
従業員から請求を受けた場合、企業はタイムカードの記録を開示しなければいけないケースがこともあります。法律での規定はありませんが、実際の裁判例で企業側にタイムカードの開示義務が生じているケースがあるため、いざという時には、すぐに記録を開示できるように管理することが必要です。
このように、タイムカードは、従業員の労働時間を客観的に証明するための大切な書類であり、トラブル防止の観点からきちんと保管するようにしましょう。
労働基準監督署への情報開示に対応するため
タイムカードは、適切に保管していれば、情報開示の要求があった場合でも、スムーズに対応できます。従業員の勤務状況の管理や給与の支払いについて、適正かどうかの判断をおこなうために、労働基準監督署から、労働時間に関して、客観的に証明できる書類の提出を求められる場合があります。そのため、タイムカードを使用して勤怠管理をおこなっている場合は、きちんと保管しておくことが大切です。
労働基準監督署の情報開示に対して、必要な書類を提出できないと、企業の管理状況に対してついて指導がおこなわれることもあります。企業の大きな不利益につながる可能性もあるため、法に定められた保管期間を守り、適切にタイムカードを管理しましょう。
タイムカードの保管期間、5年間への延長はいつから?
2020年4月1日の労働基準法の改正にともない、タイムカードの保管期間は3年から5年変更されました。そのため、2023年6月時点での保管期間は5年です。ただし、改正前の2020年3月31日以前のタイムカードであれば、保管期間3年間でも違法とはなりません。
現在は移行のための経過措置として、当分の間保存期間は3年に据え置かれることになっています。経過措置の終了時期はまだ決定していませんが、いつ終了になっても対応できるよう、早いうちから保管方法や保管場所の確保など必要な対応をおこないましょう。
また、退職金請求権や賃金請求権の消滅時効についても2年間から5年間に改正されました。従業員から未払い賃金の請求訴訟などを受けた場合、タイムカードのように勤怠記録を証明する書類が存在しない場合、企業は裁判で不利な立場となる可能性があります。
そのため、法改正前の2020年3月31日以前のタイムカードも、5年間保管しておくのが得策といえるでしょう。
労働基準法の改正がおこなわれたにもかかわらず、社内のタイムカードなどの保管ルールが更新されていない場合には、この機会に見直しや新規作成をおこないましょう。
タイムカードの保管期間7年となるケース
タイムカードの保管期間は、一般的に5年間ですが、例外もあります。賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねる場合のタイムカードの保管期間は、7年間です。そのため、「タイムカードの保管期間は7年」は誤りではありません。
このように、場合によってはタイムカードの保管期間が異なることがあります。
そのため、タイムカードを管理するときは、年単位および月単位で管理するのがおすすめです。年単位や月単位で保管すれば、確認や廃棄が必要なタイムカードを迅速かつ適切に取り出すことができます。また、監査がいつ入っても混乱が生じにくくなるでしょう。
なお、2019年に労働安全衛生法が改正され、高度プロフェッショナル制度対象労働者のみ、タイムカードの保管義務の対象外となります。高度プロフェッショナル制度対象労働とは、年収1075万円以上で、専門的かつ高度な能力を有する労働者のことです。この要件を満たす場合でも、指定されている業務・職種に携わる人に限定されます。
たとえ、高度プロフェッショナル制度対象労働者でも、企業による勤怠管理が必要ないとう意味ではありません。労働基準法ではタイムカードの保管が義務付けられていないものの、一定期間は保管しておいたほうがよいでしょう。
アルバイトや派遣社員もタイムカードの保管対象
労働基準法が指す「労働者」には企業で雇用されるあらゆる雇用形態の従業員が含まれているため、タイムカードの保管は正社員だけでなく、アルバイトや派遣など非正規雇用の従業員に対しても発生します。
また、退職者に関しても同様に、退職者の賃金請求権の消失時効に基づいて、規定の期間はタイムカードを保管しておく必要があります。
タイムカードの保管期間の起算日は?
労働基準法施行規則の改正により、2023年4月1日以降は、タイムカードの保管期間の起算日は、以下の2つのいずれかの遅い日と規定されました。
- 記録が完結した日
- 賃金の支払日
たとえば、タイムカードの最終記録日が1月31日、賃金の支払い日が翌月2月28日の場合、保管期間の起算日は2月月28日となります。ただし、この規則の対象は、2020年4月以降に賃金の支払いが発生した分からです。そのため、2020年3月分の給与であっても、支払いが2020年の4月以降の場合は、改正後の起算日で保管しなくてはなりません。
タイムカードの起算日を正しく把握するために、厚生労働省労働基準局が公表しているタイムカードの起算日に関する資料をきちんと確認しておきましょう。
なお、派遣社員の場合は、他の雇用形態と起算日が異なり、派遣契約が終了した日となります。派遣社員の勤怠は、派遣元が作成する「派遣元管理台帳」で管理され、台帳の最後に記録するのは派遣契約が終了した日です。そのため、派遣社員のタイムカードの起算日は、派遣契約終了日となります。
タイムカードの適切な保管方法
タイムカードは月、年ごとにまとめて保管することが推奨されます。もし過去の記録を見返す必要があった場合にもすぐに欲しい記録を見つけることができ、監査の時もスムーズに対応できます。
また、高温になる場所や直射日光が当たる場所で保管すると、紙が劣化により打刻記録のインクが揮発し、記録を確認できなくなってしまうリスクがあるため、日光を遮断できる涼しい場所で保管するようにしましょう。
輪ゴムやクリップでまとめると、紙が破れる原因にもなるのでできるだけ使わずに保管しましょう。専用の保管ボックスに入れて箱の外にタイムカードの記録期間を記入したラベルを貼っておくと、過去の勤怠記録のデータを見返す際にも便利です。
また、現在はタイムカードを電子データとしてスキャナ保存することも認められています。
以上の要件を満たした保存方法であれば、タイムカードをスキャンした後、原本を処分することが可能です。
- 法令で定められた要件を見たし、かつそれを画面上に表示し印字できること
- 労働基準監督官の臨検などがあった場合、直ちに必要事項を明らかにし、提出できるシステムであること
- 誤って消去されないこと
- 長期にわたって保存できること
ただし、膨大な数のタイムカードを一枚一枚スキャンして保存するのは簡単なことではありません。
e-文書法では、法に基づく要件を満たしていれば、自ら作成した電子データを紙の文書に代えて保存することを認めています。
したがって、タイムカードのスキャン・保存の手間を省きたいのなら、自動で打刻情報を電子データとして記録できる勤怠管理システムを活用すると良いでしょう。
参考:厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令|e-Gov法令検索
タイムカードの保管義務を怠った場合の罰則とは
タイムカードの保管義務を怠った場合は、30万円以下の罰金が科される可能性があります。従業員が自らの判断でタイムカードを破棄してしまうなど、企業側に直接的な原因がない場合も処罰の対象となります。
この場合、企業にも従業員も処罰が適用される可能性があるため、従業員にもタイムカードの保管義務があることを周知しておきましょう。
また、従業員と勤怠に関するトラブルが生じた場合に、裁判で客観的な勤怠情報を提示できなければ罰則の対象となります。
例えば、残業代の未払いにより、裁判で賃金の支払いが適切でないとの判決が出た場合は、未払金に加え、未払額と同額の付加金を支払わなくてはなりません。
タイムカードは勤怠状況を把握したり、給与額を決定したりすること以外にもさまざまな役割を持ちます。保管期間を厳守し、適切な方法で管理することが大切です。
保管期間中に紛失したタイムカードを場合の対処法
タイムカードを保管期間中に紛失した場合も、保管義務を怠ったとして30万円以下の罰金が科される可能性があります。
タイムカードを紛失したのが従業員であっても、企業であっても、まずはタイムカードを再発行しましょう。その後、以下のいずれかの方法で、紛失したタイムカードに記録されていた勤怠時間を確認します。
- PCのログ記録
- メールなどの送信履歴
- 会社の入退室記録歴
- 防犯カメラの映像記録
- 従業員本人や同じ職場の従業員からの証言など
いずれの方法でも構いませんが、できるだけ早急に、正確な記録を集めることが大切です。また、現在使用中のタイムカードであっても、保管中のタイムカードであっても、二度と紛失が起きないための対策を講じる必要があります。
例えば、タイムカードを紛失した従業員に始末書を提出させる、万が一に備えてタイムカードの記録をExcelなどに転記しておくなどです。
これを機に、すべての従業員がタイムカードの重要性を再認識できるような研修などを設けるのもよいかもしれません。
勤怠データの保管には勤怠管理システムもおすすめ
タイムカードには保管期間があり、雇用形態や役職、タイムカードの用途などによって保管期間が異なります。また、近年では、働き方改革の影響を受け、テレワークや時短勤務など多様な働き方が推進されています。そのため、タイムカードを使用した勤怠管理は複雑化しており、集計担当者の業務負担の増加が懸念されます。
勤怠管理を効率化させたいと考えている方や、勤怠データの管理を簡素化させたいと考えている方は、勤怠管理システムの導入がおすすめです。
勤怠管理システムは、一般的に、勤怠データをPCやクラウド上に保管し、いつでも出力できるような仕組みが構築されています。また、勤怠管理システムを使用すれば、PC・スマホ・ICカード・生体認証など、自社のニーズにあわせて打刻方法を選択することが可能です。
さらに、自動集計・ワークフロー・スケジュール管理・多言語対応・外部システム連携など、勤怠管理を効率化する機能が数多く提供されています。
ただし、すべてを勤怠管理システムに頼るのではなく、労働基準法の規定に対応しているかをきちんと確認することも大切です。場合によっては、法改正の対応を自社でおこなわなければならない可能性もあります。そのため、事前にシステムを提供するベンダーに問い合わせたり、システムの紹介サイトを確認したりして、必要であれば法改正の内容を自動でアップデートできるシステムを選びましょう。

勤怠管理システムを導入するうえでのメリットやデメリットとは
近年では、働き方改革での労働時間の見直しなどもあり、従業員の勤務時間を正しく管理することへの重要性が増しています。そのため、勤務時間をより正しく、効率的に管理することができる勤怠管理システムが注目を集まっています。そこで今回は、勤怠管理システムを導入するメリットや注意点、導入手順などについて解説します。
タイムカードの保管期間に注意しよう!
2020年4月1日の労働基準法の改正により、一般的なタイムカードの保管期間は3年から5年に変更されています。また、賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねる場合は7年間の保管が必要です。
そして、タイムカードの保管期間を厳守するためには、起算日を正しく把握することが重要といえます。雇用形態によって起算日が異なることもあるため、注意が必要です。また、今後の法改正にともない、保管期間や起算日の算出方法が変更される可能性もあるため、定期的に確認しましょう。
タイムカードを適切に保管すれば、企業と従業員の間のトラブルを防止したり、労働基準監督署への情報開示にスムーズに対応したりすることができます。そのため、保管期間に注意して、適切な方法でタイムカードを管理することが大切です。勤怠管理をより効率化させたいと考えている方は、勤怠管理システムの導入を検討してみましょう。

タイムカードのお悩み解決BOOK
この資料では、紙のタイムカード(打刻機)でよくあるお悩みとその解決方法について解説しています。押し忘れの場合の対処法やタイムカードに関する法律についても紹介。勤怠・人事・給与の担当者におすすめです。
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