DX化とはシステム導入ではない!IT化との違い、意味・定義をわかりやすく解説
DX
2023.09.01
2023.09.01
DX化をシステムを導入することと誤って認識されている場合は多々あります。DX化とはデータやデジタル技術の活用を通じて、ビジネスそのものを変革することです。 この記事では、「DX化」と「IT化」との違いや、DX化を進めるためのステップを解説します。
DX化とは|デジタル技術の活用により、ビジネスモデルを変革すること
DXとは、デジタル技術の活用によって、ビジネスモデルを変革することを指します。DXはデジタルトランスフォーメーションの略称で、読み方は「ディーエックス」です。
経済産業省は「DX推進指標」で、DXを次のように定義しています。(※2)
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
(経済産業省:「DX 推進指標」とそのガイダンス)
つまり、DXとは、ただシステムを導入したりデータやデジタル技術を活用する取り組みを始めたりすることを差す言葉ではありません。データやデジタル技術の活用を通じて、ビジネス環境の変化に対応する力を身につけ、新たなビジネスモデルの創出により、競争優位性の獲得を目指す試みがDXです。
したがって、DX化を実現するには、IT部門やデジタル部門を設置するだけでは不十分です。企業のトップが危機感を持って、企業組織や企業文化を変革し、DXの実現に向けて全社的に取り組みを進めていく必要があります。
実際にIPAの調査によると、「全社戦略に基づいて全社的にDXに取組んでいる」企業ほど、「既存製品・サービスの高付加価値化」「新規製品・サービスの創出」といったDXの成果が出ていることがわかっています。(※3)
(※2)経済産業省:「DX 推進指標」とそのガイダンス
(※3)情報処理推進機構(IPA):デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査
IT化とは?ITシステムを取り入れ、既存の業務プロセスを効率化すること
一方、IT化とは、アナログな業務を刷新して、デジタル技術を取り入れ、新しいITシステムを構築することを意味します。
たとえば、電話・郵便・FAXなどの通信手段を刷新し、Eメールやビジネスチャットツールに代替するのが典型的なIT化の例です。IT化の目的は、既存の業務プロセスを効率化し、生産性を高めることにあります。そのため、IT化に取り組むだけでは、DXのようなビジネスモデルの変革や、新しい製品やサービスの創出にはつながりません。
DX化とIT化の違い
「DX」と「IT化」は一見同じようなものに思えますが、厳密にいえば異なる概念です。
いずれもデジタル技術をもちいておこなうものですが、DX化はデジタル技術を使って製品や、ビジネスモデルなど業務プロセスや組織文化そのものを大元から変革することを指します。
一方のIT化は業務をデジタル技術を使って効率化したり、現状の業務をデジタル化することを指します。DX化を実現するための手段としてIT化が存在すると考えて良いでしょう。
DXとIT化は「目的」と「手段」の関係にある
つまり、DXとIT化は「目的」と「手段」の関係にあります。DXを実現するには、まず古いシステムを刷新し、IT化を進める必要があります。デジタル技術を取り入れ、IT化を進めるのはDXの「手段」に過ぎません。
DXレポート2に書かれているように、「単にレガシーなシステムを刷新する、高度化するといったことにとどまるのではなく」、DXという「目的」を実現するため、業務プロセスのIT化に取り組みましょう。
DX化やIT化が企業にもたらすメリット
DX化やIT化を実現することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。それぞれのメリットを確認しておきましょう。
DX化に取り組む2つのメリット
DXに取り組むメリットは2つあります。
- 新たなビジネスを創造し、競争優位性を確保できる
- 感染症や災害、社会情勢の変化などの事業環境の変化に対応できる
DXの推進により、新たなビジネスを創造し、市場における競争優位性を確保できます。DXは新たなビジネスの創造により、大きな利益を生み出す可能性がある取り組みです。
また、企業全体の意識やマインドセットを変えていくことで、感染症や災害、社会情勢の変化などといった事業環境の変化に強い組織づくりにもつながります。
IT化に取り組む2つのメリット
IT化に取り組むメリットは2つあります。
- アナログな業務を刷新し、生産性を高められる
- 業務効率化や労働時間の短縮につながる
アナログな業務を刷新すれば、情報の共有・管理の利便性が高まり、生産性が大きく向上します。また、ITシステムの導入により、業務効率化を実現すれば、現場で働く人が同じ時間でより多くの仕事をこなせるようになります。業務負担の軽減や、業務時間の短縮につながります。
DX化に向けた4つのステップ
経済産業省のDXレポート2では、企業が直ちに取り組むべきアクションとして次の4点を挙げています。(※4)このステップに従って、DXを推進していくとよいでしょう。
アクション | 説明 |
業務環境のオンライン化 | テレワークやリモートワークへの対応社内外とのコミュニケーションのオンライン化 |
業務プロセスのデジタル化 | OCR製品やクラウドを用いたペーパーレス化SaaSやRPAなどのITツールの活用 |
従業員の安全・健康管理のデジタル化 | ITツールで従業員の安全や健康を見える化従業員の不調や異常の早期発見 |
顧客接点のデジタル化 | 電子商取引プラットフォームを拠点として、ECサイトを活用するAIやチャットボットを活用し、顧客対応を自動化 |
DXを推進するうえで重要な3つのポイント
DXを推進するため、ITツールの導入にとどまらず、企業組織・企業文化を変革していく必要があります。DXを推進するうえで重要なポイントを3つ解説します。
できるところからITシステムを移行していく
まずは、業務のプロセスを見直し、IT化を進めましょう。ポイントは、いきなり全ての業務を刷新するのではなく、できるところからITシステムの移行に取り組むことです。むやみにIT化を進めずに、スモールスタートを意識しましょう。
また、DXにかかる予算という観点からも、スモールスタートが望ましいでしょう。システムの導入費用を抑えるには、クラウドサービスの活用が効果的です。
DXを担う「IT人材」を育成する
また、DXを担う「IT人材」の育成に注力し、企業組織の改革に向けて、組織全体でDXのマインドを醸成していく必要があります。各階層向けのカリキュラムを用意し、全社的にDX研修をおこなうことが大切です。
企業組織・企業文化の改革に取り組む
DXを実現するには、ITシステムの導入だけでなく、企業組織・企業分析の改革が必要不可欠です。IPAの調査でも、DXの成果が出ている企業とそうでない企業では、「リスクを取り、チャレンジする」「多様な価値観受容」「仕事を楽しむ」「意思決定のスピード」など、マインドセットの差異が見られることがわかっています。(※3)
先述したように、「DX」イコール「IT化」ではありません。スモールスタートで少しずつITシステムを構築しながら、全社的な組織風土改革に取り組みましょう。
IT化で終わらず、DXを正しく推進しよう!
DXは「IT化」のその先を見据えた取り組みです。レガシーシステム(古いシステム)を刷新したり、新しいデジタル技術を取り入れたりするだけではDXにつながりません。
データやデジタル技術の活用を通じて、ビジネスモデルを変革し、ビジネス環境の変化に対応する力を身につけるのがDXです。DXの実現のため、DXに必要なスキルやマインドセットを持った「IT人材」の育成や、企業組織の改革に取り組みましょう。
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