領収書の宛名の必要性とは?名前なしで金額のみのケースについても解説

収書の宛名は、取引の事実を証明するために必要な要素の一つです。領収書の宛名が空欄だったり、「上様」になっていたりする場合、税務調査に影響が出る可能性があります。この記事では、領収書の宛名の必要性や、経理業務や税務調査の観点からみた宛名なしの領収書の扱い、宛名を空欄のままにするリスクについて解説します。

更新日:2022.5.25

もし領収書に宛名がなく、金額のみ記載されていたら、経費精算にどんな影響が出るのでしょうか。領収書の宛名は、取引の事実を証明するために必要な要素の一つです。領収書の宛名が空欄だったり、「上様」になっていたりする場合、税務調査に影響が出る可能性があります。この記事では、領収書の宛名の必要性や、経理業務や税務調査の観点からみた宛名なしの領収書の扱い、宛名を空欄のままにするリスクについて解説します。

関連記事:領収書の宛名|自分で書くとどうなる?宛名なしのリスクや個人名の書き方を解説

領収書とは

領収書とは、商品やサービスを購入した際に、売り手が代金を受け取ったことを証明するための書類のことで、おもに会社の経費精算や法人税の申告をおこなう際に利用されます。

消費税法上の決まりで、領収書には「宛名」「取引日付」「取引内容(但し書き)」「金額」「書類の受取人」の5項目が必要です。

(参考:消費税法 | e-Gov法令検索)

上記5項目が記載されていれば、レジから印刷される「レシート」も領収書の代わりに使用できるケースもあります。

しかし、一般的なレシートは宛名欄がないため、領収書として使えるシーンが限られてしまいます。

また、商品やサービスの取引額が税込みで5万円以上で領収書を発行する必要がある場合、収入印紙が必要になります。

なお、領収書は代金を受け取った方が手書きで記入するケースが多いですが、手書きの領収書の場合でも証憑書類として効力を発揮するため、特に問題はありません。

領収書の宛名の必要性とは?

そもそも、なぜ領収書に宛名が必要なのでしょうか。実は、消費税の仕入税額控除を受ける場合をのぞいて、領収書に記載すべき項目を定めた法律は存在しません。しかし、経理業務上のトラブルを避けるためには、領収書の宛名に「会社名の正式名称」を記載したほうが安心です。ここでは、領収書の宛名の必要性や、消費税法における規定について解説します。

領収書の宛名は必要

税務上は領収書の宛名は必須ではないものの、企業の経費精算などでは必要になる場合が多いです。したがって、宛名は基本的に必要なものであると考えておきましょう。また、国税庁は経費精算の証拠証書として、領収書のほかにも「受取書」、「領収証」「レシート」「預り書」などを認めています。(※1)

たとえば、一般的な様式のレシートには宛名がないため、この点からも経費精算上必ずしも宛名が必要なわけではないことがわかります。しかし、経理部門の視点からみると、宛名のない領収書は「誰が誰に対して発行したものか」がわかりません。

経理業務を円滑に進めるためにも、領収書には「宛名」「日付」「金額」「但し書き」「発行者住所氏名」の5点がそろっていることが理想的です。同様の理由で、宛名に「上様」と記載した領収書も「誰が誰に対して発行したものか」がわかりません。領収書を発行するときは、なるべく宛名に会社名(正式名称)を記載してもらいましょう。

(※1)金銭又は有価証券の受取書、領収書|国税庁

消費税法上も領収書に宛名の項目が必要

なお、消費税法上は領収書に宛名の項目が必要です。
消費税法第30条9項1号によると、課税事業者が仕入税額控除を受けるためには、次の5つの項目を満たした領収書が必要です。(※2)

  • 書類の作成者の氏名又は名称(発行者住所氏名)
  • 課税資産の譲渡等を行った年月日(日付)
  • 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(但し書き)
  • 課税資産の譲渡等の対価の額(金額)
  • 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称(宛名)

ただし、「小売業」「旅客運送業」「旅行に関する事業」「飲食業」「駐車場業」に該当する業種の場合、領収書に宛名がなくても消費税の仕入税額控除を受けることができます。
領収書の宛名書きは、消費税の仕入税額控除を受ける場合をのぞいて、企業の商慣習によって左右されるのが現状です。

(※2)消費税法第30条9項1号|e-Gov法令検索

領収書の宛名なしの扱いとは?税務調査の視点から解説

「名前なしで金額のみ」など、宛名なしの領収書は経理上、税務調査上どのような扱いになるのでしょうか。経理上は、宛名なしの領収書であっても経費精算に使うことができます。

経費精算業務の観点は、「領収証の支払い内容が、業務上必要なものといえるかどうか」です。領収書の日付、金額、但し書きなどの項目から、業務との関連性が十分にわかる場合、宛名なしの領収書でも問題ありません。ただし、会社の規定として宛名なしの領収書を認めない場合もあるため、あらかじめ社内ルールを確認する必要があります。

注意が必要なのが、税務調査における宛名なしの領収書の扱いです。原則として、少額の経費精算の場合は、宛名なしの領収証が問題視されるケースはほとんどありません。

しかし、領収書に記載された金額が高額な場合、宛名が空欄または「上様」では税務調査の際の心象を悪化させるリスクがあります。領収書を受け取るとき、宛名に正式な会社名を記載してもらうことで、税務調査対応のリスクを避けることができます。

領収書の名前が空欄の場合に起こりうる3つのリスク

領収書の名前が空欄の場合、ほかにどのようなリスクがあるのでしょうか。たとえば、宛名なしの領収書を紛失した場合、第三者が宛名を勝手に書き、不正利用される恐れがあります。

もし不正利用が露見した場合、領収書を紛失した事業者が脱税ほう助の罪に問われるリスクがあります。また、宛名なしの領収書を大量に発行していると、税務署の反面調査がおこなわれる可能性もあります。

1. 紛失の際に悪用されるリスク

もし宛名なしの領収書を紛失した場合、第三者に領収書を悪用されるリスクがあります。宛名の欄が空欄のままのため、拾得者が自身の名義を記載し、経費計上しようとするかもしれません。

領収書を悪用されるリスクを避けるためにも、領収書にはなるべく正式な会社名を記載することをおすすめします。

もし発行された領収書に宛名書きがない場合は、相手方に領収書の再発行を求めましょう。
一般的な商習慣では、領収書の二重発行や不正利用を防止するため、領収書の再発行ができないケースがあります。

しかし、宛名書きや但し書きがないなど、領収書に不備があった場合は、再発行を申し出ることで対応してもらえる可能性があります。

2. 脱税ほう助の罪に問われるリスク

宛名なしの領収書を紛失し、拾得者に悪用された場合、税務署の調査によってすぐに不正が明らかになります。
領収書を紛失した経緯によっては、拾得者の不正利用を手助けしたと判断され、脱税ほう助の罪に問われるリスクもあります。

また、領収書の紛失ではなく、領収書を発行する際に宛名を書かなかった場合も注意が必要です。

たとえば、白紙の領収書(空領収書)を多数提供した企業の事例では、法人税逋脱行為の幇助行為などが認められ、実刑判決に至ったケースもあります。
領収書を受領する側も発行する側も、脱税ほう助のリスクを回避するため、宛名書きがおこなわれたかどうか必ず確認しましょう。

※参考:https://shop.gyosei.jp/online/archives/cat01/0000002319

3. 税務署の反面調査がおこなわれるリスク

宛名なしの領収書を常習的に受け取っている場合、税務署による反面調査がおこなわれるリスクもあります。
反面調査とは、自社ではなく、自社の取引先や取扱金融機関を対象とした税務調査です。

反面調査は文書や電話、訪問などの手段によっておこなわれます。
反面調査は国税通則法上の「質問検査権の行使」に当たるため、当事者が拒否することはできません。

反面調査は「調査員に非協力的な態度をとる」「帳簿の不備が常態化している」など、相当の事由がなければ実施されませんが、税務署の反面調査がおこなわれるリスクがあることを知っておきましょう。

領収書の宛名は正しく書くことが重要!

領収書の宛名は不要な場合もあるものの、経費精算上、あるほうが望ましいです。また、宛名なしの領収書を紛失すると、領収書が第三者に悪用され、領収書の発行者が脱税ほう助の罪に問われるリスクもあります。

さらに、宛名なしの領収書を大量に発行している場合、税務調査の際に指摘されたり、反面調査がおこなわれたりする可能性があります。領収書を発行するときは、宛名を空欄や「上様」にせず、なるべく会社名(正式名称)を記載してもらうようにしましょう。

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