CRM分析とは?顧客分析に役立つ5つの手法を詳しく紹介!
CRM(顧客管理システム)
2023.09.06
2023.09.06
CRM分析とは、LTVを最大化させるために自社顧客を対象におこなう分析のことです。3C分析のように一般的におこなわれる分析とは異なり、CRM分析では対象を自社の顧客に絞っていることで、継続的な購入を促す施策立案につなげることができます。今回は、CRM分析にはどのような方法があるのか、どうすれば成果につなげることができるのかを解説します。
CRMとは
CRMとは、顧客管理をおこなうことで利益の最大化を目指すマネジメント手法のことです。Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメントの略で、日本語では「顧客関係管理」や「顧客管理」と訳されます。
また、CRMは、顧客の購買意欲や接触頻度などを分析して可視化できる顧客管理システムのことも指します。例えば、サービスのお問い合わせをした顧客にはセミナー案内をする、一度商品を購入した顧客には、購入後のアフターサポート連絡をすることで定期購入を促進するといったことができます。
このように、顧客が潜在的に求めているニーズを適切なタイミングでアプローチをすることで、顧客と良好な関係性を築き、顧客ロイヤリティを向上させることにつながります。
CRM分析とは
CRM分析とは、SWOT分析のような「新規顧客を創出するための分析」とは異なり、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化を目指し、「既存顧客を対象にした、自社と顧客の関係を良好に維持し続けるための分析」のことを指します。
CRM分析は、自社の商品・サービスを継続的にリピートしてもらうためにはどうすればよいのか、既存顧客が他社の商品・サービスに乗り換えないようにするためにはどうすればよいのか、といった悩みを解決する糸口になり得ます。
具体的には、顧客の年齢や性別、購入されている時間帯や行動履歴、購入頻度などの分析をすることで、優良顧客やリピーターになり得そうな顧客の情報が浮かび上がってきます。
こういった自社顧客の購買行動をもとに分析することで、優良顧客へと育成するための戦略策定や、単発購入している顧客がリピート購入するためのプロモーションやマーケティング立案ができるようになります。
CRM分析が重要視される理由
CRM分析では顧客行動を予測することができるようになるため、顧客の行動に適した施策を打ち出せるようになります。それにより、顧客のLTVを最大化させることになり、売上の向上につなげることができます。既存顧客のリピート購入を促すことは販売活動をおこなううえで大きな意味を持ちます。
新規開拓営業と既存顧客営業について、「1:5の法則」という考え方があります。これは、新規顧客を獲得するためには、既存顧客を維持するコストの5倍のコストを要する、というものです。つまり、新規顧客を獲得したら、継続的に購入・契約してもらうことで効率良く売上を拡大することができます。
また、リピート率と売上について、「5:25の法則」というものがあります。これは、顧客離れを5%改善すれば、利益が25%改善される、というものです。このことからもわかるように、既存の自社顧客に継続的に購入・契約してもらうことは、販売活動をおこなううえで大きな意味を持ちます。
CRMで顧客分析をおこなう目的
ここでは、CRMで顧客分析をおこなう目的を紹介します。CRMを活用して顧客分析をすることで、どのようなことが可能になるのかをみていきましょう。
さらなる売上を見込むため
さらなる売上を見込むために、CRMで顧客分析をおこなって顧客の満足度度合いを把握し、顧客を維持し続けるための施策を打ちます。
自社製品、サービスを利用してくれた顧客を維持するためにかかるコストと、新たに1人の顧客を獲得するコストとでは、前者の方が多くの場合コストを低く抑えられます。そのため、よりコストパフォーマンスを高く売上を上げるために、CRMを通じて顧客分析をおこないます。
自社製品をブラッシュアップするため
CRMを活用して顧客分析をし、そのデータを読み解くことで自社製品のどこに課題があるのか、どこが好まれているのかを把握することができます。
そうすることで、良いところはさらに伸ばし、悪いところは改善して、自社製品をブラッシュアップすることができます。また、顧客分析によって新たなニーズや課題が明確になれば、新商品や新規企画などのアイデアを生み出すことも容易になります。
打ち出した施策のPDCAを回すため
自社製品を売るうえで、さまざまなマーケティング施策を打ち出して商品を宣伝しているでしょう。CRMを活用することで、それらの施策に対する顧客の反応を分析することができるようになるため、どの施策がよくて、どの施策が良くなかったのかを把握することができます。
また、CRM上ではデータが一元化されているため施策の評価がしやすく、施策結果のデータ集計も自動で正しくおこなうことができます。正確でスピーディーに施策評価することができるため、PDCAを高速で回すことができると同時にその精度も高まり、目標への到達がはやくなります。
【かんたん図解】CRMでおこなえる顧客の分析方法
ここではCRMでおこなえる顧客分析の方法を複数紹介します。以下それぞれに分析方法を紹介するので、どんな分析でどんなことができるのかを確認してみてください。
RFM分析
RFM分析とは、「Recency(最終購入日)」、「Frequency(購入頻度)」、「Monetary(累積購入金額)」という3つの指標を用いて、自社にとって重要な顧客を見極めるための分析手法です。
3つの指標から、「有料顧客」「休眠顧客」「離反顧客」の3つのグループに分け、グループごとの購買行動を知り、離反顧客以外の顧客グループに適切に投資をおこないます。顧客をグループ分けし、その特徴に応じた施策をおこなうことで費用対効果が期待できるでしょう。
それでは、上記の図を見てみましょう。図では、最終購入日は「最近」で、購入頻度は「少なく」、累積購入金額は「多い」ことを表しています。つまり、購入回数は少ないものの、1回あたりの平均購入金額が高い傾向にあります。このような顧客の場合は、継続的に購入してもらうための施策として、定期的に期間限定のキャンペーンを発信したり、購入された商品・サービスの活用法などのプロモーションを打ったりすることも効果的です。
このように、顧客をグループに分けて適切なアプローチをすることで、費用対効果を高め、全体のLTVを向上させることが可能になります。
デシル分析
デシル分析とは、顧客の購入金額のデータを活用した分析手法です。この分析をおこなうことで、売上貢献度の高い優良顧客を抽出し、特性に合わせてピンポイントに費用対効果の高い施策を立案できるようになります。
デシル分析は、購入履歴データから全顧客を購入金額順に並べ、10等分してグループ分けします。そして、全グループの購入金額合計に対して、各グループの購入金額が売上構成の何パーセントを占めているかを算出します。
それでは、上記の図を見てみましょう。図では、棒グラフで購入金額、折れ線グラフで売上構成比率を表しています。デシル1からデシル6のグループの購入金額合計が、売上全体の8割を構成していることがわかります。
また、1つの対象軸を10等分してグループ分けをするため、扱うデータ数が少なく、比較的簡単に分析ができます。しかし、該当するデータ期間の区切り方によって、結果が異なってくることがあるため注意が必要です。
セグメンテーション分析
セグメンテーション分析とは、年齢・居住地・趣向・行動パターンなど、特定の属性ごとにターゲット顧客層をグループ分けする分析手法です。
セグメントごとにグループ分けするための切り口として、以下の4つの変数があります。
- 地理的変数:国や地域の規模、人口、文化や生活習慣、宗教などの要素で分類される
- 人口動態変数:年齢、性別、職業、所得などの要素で分類される
- 心理的変数:価値観、ライフスタイル、趣向などの感性に関する要素で分類される
- 行動変数:曜日・時間、購買行動などの顧客が実際に購買行動を起こした要素で分類される
これらの変数を踏まえて、図を見てみましょう。
図では、縦軸は高齢と若年、横軸は購入頻度の多い、少ないでグループ分けされています。ある商品では、日常的には購入されていないが、ある程度継続的に高齢者から購入されているということが読み取れます。
この分析結果から、シニア層に向けて購買頻度を上げるべく、定期的にキャンペーンをおこなうなどのマーケティング施策が効果的であると予測されます。
顧客のグループごとに様々な細かいニーズが隠されているため、適切にグループ分けをし、競合他社より有利な事業展開をするための情報収集と精査が重要です。
行動トレンド分析
行動トレンド分析では、行動のシーズン性に着目して、季節や曜日、時間帯などのシーズンに分けて顧客行動を分析します。主に、シーズンものの商品が多いアパレル業界などで活用されている分析手法です。顧客の購買行動は常に一定ではなく、商品・サービスによっては、季節や時間帯で変動したり集中したりすることがあります。
分析の手順としては、まず、顧客を年代や性別でグループ分けし、そのグループごとにシーズンの売上を集計します。その中で売上に貢献しているグループがあれば、なぜ売上が高いのかを分析するといった流れです。この分析結果から、優良な顧客を選別するだけでなく、売れない商品を洗い出すことも可能となります。
また、シーズンごとに顧客のニーズが変わるため、そのニーズを捉えて顧客に商品を提供することで、顧客からは「ほしい時にをほしい物に売ってくれるサービス、企業」という評価が得られ、顧客満足度を高めることにつながるでしょう。
CTB分析
CTB分析とは、分類(Category)、テイスト(Taste)、ブランド(Brand)の3つの指標で顧客をグループ分けする分析手法です。この分析をおこなうことで、どういった顧客がどんな商品を購入するかを予測することができるようになります。
デシル分析やRFM分析は購買金額を基準として分析をおこないますが、CTB分析は顧客を属性ごとにグループ分けをします。そうすることで、購買行動の予測だけでなく、自社の顧客はどんな商品を購入しているのか、どんな人物像なのかなどのペルソナも設定することが可能となります。
また、グループ分けをすることで顧客の傾向を掴むことができるため、今まで認識していたニーズ以外の潜在的なニーズを掘り起こし、そのニーズに対する新たなマーケティング施策を打つこともできるでしょう。
CRMで顧客分析をして成果に繋げるためのポイント
ここでは、CRMで顧客分析をし成果につなげるために押さえておきたいポイントを紹介します。顧客分析が目的にならないよう、きちんとCRMを活用して売上を上げていきましょう。
なぜ分析をするのか、目的を設定する
CRMで顧客分析をする際には、そもそもなぜ分析するのか、どういう課題を解決するために分析をするのかを整理しておきましょう。CRMを活用するとさまざまな種類のデータをさまざまな角度から抽出することができます。そのため、なんとなく分析を進めてしまうと、データであふれてしまい、結局何を知りたかったのかが不明瞭になります。
したがって、あらかじめ何のために顧客分析をするのかを整理したうえで、そのために必要なデータのみを抽出するようにしましょう。
自社製品のマーケティング戦略の全体像を理解しておく
顧客分析をする際には、そもそも自社製品はどういう製品なのか、どういうマーケティング戦略をとっているのかといった全体像を把握しておきましょう。分析はあくまでも次に施策を打ち出してさらなる売上をあげるための手段でしかありません。
そのため、その製品のマーケティング戦略を理解していないと、分析結果からどういった施策を打ち出すことができるのかを考えることができなくなり、手段が目的化してしまいます。マーケティング戦略の全体像をしっかりと把握して、最適な分析方法を考え、施策立案できるようになりましょう。
CRMを活用して、LTV最大化のための顧客分析を
CRMを活用して顧客分析をするとき、まずは自社商品を購入してもらう顧客についてよく知ることが大切です。顧客についてしっかりと分析をし、その分析結果に紐づいて適切な施策を打ち出すことで、売上を拡大することにつながります。
顧客分析をすることでPDCAサイクルの精度を上げながら、適切な製品戦略、マーケティング戦略を練り直しつつビジネス活動を推し進めましょう。
CRMを導入されていない方はサービスを選ぶうえでのポイントを解説した記事もあるので、ぜひご覧ください。
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