【かんたん図解】CRMとは?CRMの基本をわかりやすく解説
CRM(顧客管理システム)
2023.09.06
2023.09.06
昨今、多くの企業で導入が進んでいるCRM(顧客管理システム)。膨大な顧客情報を管理したり、顧客との適切な関係構築に役立てたりすることができるシステムとして注目されています。 CRMとは、そもそも何か。本記事では、SFAやMAとも混同しがちなCRMの基礎を、図を用いてかんたんに解説します。
【かんたん図解】CRMとは何か
そもそもCRMとは何ができるシステムなのでしょうか。一般に「顧客管理システム」と呼ばれていますが、どこまでの顧客を管理できるのか、定義が分かれていることもあります。ここでは、CRMとは何なのか、SFAやMAとの違いは何なのか、図を用いて説明します。
CRMとは
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客管理システムのことです。また、顧客管理業務そのものを指すこともあります。CRMでは、顧客の購買意欲や接触頻度など、顧客の状態に応じて適切なアプローチを実現できます。例えば、商品のお問い合わせをした顧客はセミナーへ案内する、商品を一度購入している顧客には購入後のサポートの連絡をするといったことができます。
このように、顧客が求めているタイミングで適切なアプローチをすることで、顧客と良好な関係性を築くことにつながります。
SFA、MAとの違い
CRMと同時に語られることが多いSFAやMAとは、どのように違うのでしょうか。SFAとMAも、顧客との良好な関係づくりを支援するシステムで、その点ではCRMと同じ目的を果たしています。
しかし、CRMとSFA、MAはそれぞれ活用シーンが異なります。ここでは、これらの違いについて解説します。
SFAとは
SFA(Sales Force Automation)とは、営業支援システムのことです。
SFAでは、営業活動におけるプロセスの可視化や業務の管理をすることで、営業に関する生産性を高めることができます。具体的には、電話対応の記録や商談履歴、相手先企業やその担当者情報、提案書や見積書・発注書などのドキュメントなど、営業活動におけるあらゆる情報を一元してSFAで管理します。
そうすることで、誰がどの企業にアプローチしているのか、いまどの商談のステータスにあるのかといった情報を営業メンバーやマネージャーが確認することができ、今月の受注予測や営業戦略の立案に活用することができます。
このように、SFAでは営業活動を効率化しに貢献し、結果的に企業の売上や成長につながります。
顧客との関係を構築することは営業活動においても重要であるため、SFAとCRMには共通する部分もあります。
しかし、CRMは顧客との関係構築を支援することに特化したもの、SFAは営業活動を支援することに特化したものというように分けられます。
比較項目 | CRM | SFA |
---|---|---|
概要 | 顧客との関係構築を支援 | 営業活動を支援 |
主にできること | ・顧客情報の管理 ・正確な顧客分析 ・プロセスやアクションの自動化 |
・顧客情報の管理 ・営業プロセスの可視化 ・営業業務の管理 ・対応履歴の記録 ・ドキュメント管理 |
導入することで | 顧客との継続的な関係構築を目指す | 営業の生産性を高める |
MAとは
MAとは、マーケティングオートメーションのことです。企業のマーケティング活動をITやAIを活用して支援する仕組みやプラットフォームのことを指します。
マーケティング活動は、まだ自社の商品やサービスを知らない顧客に認知をしてもらうことから始まります。
しかし、サービスを認知してもらっても購入のモチベーションが高まるとは限らず、顧客は段階を踏んで購入意欲を高めていきます。
そのような見込み顧客に対して、購入意欲を喚起させるように情報提供や宣伝活動をして、購入する動機付けをします。MAでは、そのような活動を自動化させることができます。
MAを活用することによって業務の効率化だけではなく、企業のマーケティング活動を可視化、自動化することができ、戦略的なアプローチをおこなうことができます。
MAもCRMやSFAと同じく顧客との関係構築に関わっていますが、MAはマーケティング活動の支援に特化しています。
比較項目 | CRM | MA |
---|---|---|
概要 | 顧客との関係構築を支援 | マーケティング活動を支援 |
主にできること | 顧客情報の管理 正確な顧客分析 プロセスやアクションの自動化 |
顧客情報の管理 情報提供、宣伝 マーケティング活動の自動化 ・可視化 |
導入することで | 顧客との継続的な関係構築を目指す | 戦略的なマーケティング活動 |
【かんたん図解】ERPとの違い
ここまで解説したSFAやMAのほかにも、CRMと混同しやすいシステムとして、基幹業務システム(ERP)が挙げられます。ERPとは、会計管理や販売管理など、さまざまな基幹業務を一元管理し、企業経営のムダや非効率を解消するシステムです。
ここでは、ERPの特徴や活用シーン、CRMとの違いについて解説します。
ERPとは基幹業務を統合したITシステムのこと
ERP(Enterprise Resources Planning)とは、企業経営の要となる基幹業務を統合したITシステムです。
基幹業務には、以下のようなものが挙げられます。
基幹業務 | 概要 |
---|---|
顧客管理(CRM) | 顧客情報を分析し、顧客との関係を向上させる手助けをする |
営業管理(SFA) | 営業活動に役立つツールを提供し、業務効率化を実現する |
人事管理 | 採用活動から人材育成まで、企業の人事業務をサポートする |
物流管理 | 物流サービスを効率化し、発注から納品までのリードタイムを短縮する |
会計管理 | 経営業務を効率化し、企業の経営状態を「見える化」する |
在庫管理 | 在庫量を適正に保ち、入出庫や棚卸しといった業務を効率化する |
生産管理 | 経営計画や販売計画を立案し、生産工程を合理化する |
販売管理 | 仕入れや出荷といった販売業務を効率化し、売上増加に貢献する |
ERPがあれば、これらの基幹業務をワンストップで一元管理できます。
ERPのなかでも、CRMは顧客との関係構築に特化したシステムです。CRMツールには、そのほかのERPツールと連携できる製品も少なくありません。多くの成功企業が、CRMをふくめたERPを導入し、業務効率化や生産性向上を実現しています。
マーケティングにおけるCRMの役割
マーケティングにおけるCRMの役割を確認する前に、CRMが生まれた背景にある消費者行動の変化について確認しておきましょう。
CRMは1990年代、アメリカで誕生しました。それ以前の販売活動では、消費者ニーズの多様化が進んでいなかったことから、企業は大量に商品を製造して販売する手法が主流でした。しかし、次第に人々の生活にモノがあふれ、企業主導の販売活動が通用しなくなっていきます。そのため、結果として顧客ニーズが多様化し、顧客が欲しがっているタイミングに合わせて販売活動をおこなうことが求められるようになりました。
それぞれの顧客に合わせてアプローチを変えるためには、膨大な業務をこなす必要があり、従来のやり方で対応することはほとんど不可能になっていました。それでも顧客に合わせてアプローチするためには、ITを活用した効率化が必要になります。CRMは、こうした消費者行動の変化によるマーケティング活動の変化に伴って生まれたシステムといえます。
CRMの5つの基本機能
CRMツールの基本機能は、大きく分けて5つあります。
基本機能 | 概要 |
---|---|
マーケティング支援機能 | 顧客情報を活用し、顧客にアプローチするための機能を提供する |
営業支援機能 | 営業活動に必要な顧客情報の管理をサポートする |
顧客サポート機能 | 顧客と良好な関係を築くための機能を提供する |
顧客分析機能 | 顧客情報を分析し、顧客ニーズを知るのに役立つ |
基幹業務連携機能 | 導入済みの基幹システムと連携し、顧客管理を一元化する |
それぞれの機能について、詳しく見ていきましょう。
「マーケティング支援機能」で顧客に合わせたアプローチを
CRMのマーケティング支援機能は、顧客情報をデータベース化し、顧客と良好な関係を築く手助けをします。顧客の年齢、性別、地域、職歴といった属性データだけでなく、顧客の購入履歴を活用し、顧客の特性に合わせたアプローチが可能です。
また、CRMにはマーケティングを効率化するための機能もあります。メールDMやメルマガを自動配信する「メール自動配信機能」や、ソーシャルメディア(SNS)の複数のアカウントを一元管理する「ソーシャルメディア管理機能」を活用し、マーケティングの工数を削減できます。
「営業支援機能」で営業社員の生産性アップ
CRMには、営業活動の生産性を向上するためのさまざまなツールがあります。
機能 | 概要 |
---|---|
営業管理 | 顧客情報や案件情報を一元化し、営業戦略立案をサポートする |
リード管理 | 見込み顧客(リード)をリストアップし、優良顧客への育成をサポートする |
案件管理 | 案件の進捗状況を可視化し、見逃しやダブルブッキングを防ぐ |
名刺管理 | 顧客の名刺をデータ化し、データベース上で管理できるようにする |
営業社員の生産性を高め、事業収入を改善するうえで、CRMの導入は欠かせません。
「顧客サポート機能」で問い合わせのリードタイムを短縮
CRMには、顧客の問い合わせ履歴をデータベース化し、サポート対応時に参照できる機能があります。
また、FAQコンテンツやチャットボットの作成を支援し、顧客が疑問や悩みを自分で解決できる機能も役に立ちます。問い合わせの件数を減らし、カスタマーサポート部門の業務負担を軽減することが可能です。
「顧客分析機能」で購買予測に基づくマーケティング戦略を立案
CRMを活用することで、顧客データを分析し、顧客の傾向を予測する「購買予測」が可能です。
購買金額に基づくデシル分析や、顧客をランク分けするRFM分析により、優良顧客を抽出し、最適なマーケティング戦略を立案できます。
「基幹業務連携機能」で企業経営を一本化
CRMには、ほかの基幹業務システム(ERP)と連携し、企業経営を一本化する機能があります。
販売管理システム、売上管理システム、契約管理システム、生産管理システムなど、すでにERPを導入済みの方はCRMとシームレスに連携可能です。
CRMを導入する3つのメリット
顧客との関係構築を強化するため、CRMを導入する企業が増えています。なぜCRMに注目が集まっているのでしょうか。CRMの導入メリットは次の3点です。
- 顧客情報を属人化させず、一元管理できる
- 顧客満足度の向上につながる
- 営業のナレッジを共有し、マーケティングをスピードアップ
それぞれのメリットについて、順に見ていきましょう。
顧客管理を属人化させず、一元管理できる
CRMを導入することで、顧客情報を担当者の垣根を越えて共有し、全社的に活用できます。
たとえば、顧客ごとの問い合わせ履歴をカスタマーサポート部門全体で共有することで、顧客対応の属人化を防ぎ、1つのチームとして問い合わせ対応に当たることができます。
また、顧客ごとの要望や、営業活動の進捗状況をチーム全体で共有することにより、担当者の変更や退社があっても業務に支障が出ません。
雇用市場の流動化により、優秀な人材が外部に流出するリスクが高まっています。顧客管理の属人化を避けるためにも、CRMの導入が効果的です。
顧客満足度の向上につながる
CRMツールを導入する最大のメリットの一つが、顧客満足度の向上です。
顧客満足度を向上させるためには、顧客の心理に寄り添い、顧客の要望やニーズに応えた営業活動を展開する必要があります。タイミングよくクロスセルやアップセルを提案することで、顧客と良好な関係を築きつつ、事業収入を改善することも可能です。
CRMの顧客データベースを活用することで、顧客ごとの特性や過去のやりとりを可視化し、営業活動の際のエビデンスにできます。
また、営業活動の進捗状況をカレンダーやToDoリストで管理できるため、見逃しやダブルブッキングを防止でき、顧客にストレスを与える心配がありません。
企業のカスタマーサポート部門でも、問い合わせ履歴を活用し、サポート対応のリードタイムを短縮するため、CRMツールの導入が進んでいます。顧客満足度の改善が最も重要な課題となっている企業は、CRMツールの導入がおすすめです。
営業のナレッジを共有し、マーケティングをスピードアップ
CRMは、営業のナレッジを社内で共有するナレッジベースとしても活用できます。優秀な営業社員の成功法則を活用し、全社的に共有するナレッジマネジメントをおこなううえで、CRMツールは役に立ちます。
CRMツールは、顧客の属性データはもちろん、見込み顧客を優良顧客に育てていく営業活動のすべてのプロセスを保存し、社内で共有できます。日報やレポートを通じ、優秀な営業社員の対応履歴をほかの営業社員が学ぶことで、ノウハウやナレッジを広く共有することが可能です。
ナレッジ共有の仕組みを作り、営業社員全体のパフォーマンスを高めることができます。
4つの業界別CRMの活用方法
CRMツールは、さまざまな業界で活用されています。
業界 | 概要 |
---|---|
コールセンター | 電話やメールの問い合わせを一元管理 |
アパレル | 顧客の嗜好を把握し、欲しい商品を欲しいタイミングで提供 |
不動産 | 顧客の流入経路の多様化に対応する |
通販 | 顧客をセグメントし、ターゲットに合わせた販売戦略を実現 |
ここでは、「コールセンター」「アパレル」「不動産」「通販」の4つの業界を取り上げ、CRMがどのように活用されているのかを見ていきます。
コールセンター:電話やメールの問い合わせを一元管理
コールセンター業界では、電話やメール、SNS、チャットボット、問い合わせフォームなど、さまざまな経路で顧客の問い合わせを受けます。
CRMツールなら、1つの管理画面で異なる経路の問い合わせを同時に処理できます。
たとえば、LINEからの質問を処理しながら、同時に問い合わせメールへ回答するといったマルチタスクも可能です。問い合わせ内容に優先順位を付けたり、「対応」「未対応」などステータスごとに分けたりして、サポート対応を効率化することもできます。
CRMの導入によって、カスタマーサポート部門の業務負担を軽減し、業務効率を高めることができるでしょう。
アパレル:顧客の嗜好を把握し、欲しい商品を欲しいタイミングで提供
アパレル業界では、事業収入を拡大するため、「欲しい商品を欲しいタイミングで」顧客に提供することが大切です。そのためには、顧客のニーズを知り、マーケティング戦略を立てる必要があります。
そこで役に立つのが、CRMを活用した顧客データの分析です。
顧客の購入頻度や購入金額、直近の購入日などを分析することにより、「顧客がどんなアイテムを欲しがっているか」「次に商品を買うのはいつか」といった購買予測が可能です。顧客の嗜好を把握し、一人ひとりに合った商品を提案することで、顧客と長期的に良好な関係を築くことにもつながります。
不動産:顧客の流入経路の多様化に対応する
近年、スマートフォンやタブレットの普及により、不動産業界では店舗来店に加えて、コーポレートサイトや不動産ポータルサイトなどのオンラインから流入する顧客が増えています。
CRMを活用すれば、顧客の流入経路を分析し、「自社の顧客はどんな経路から入ってきているか」を知ることが可能です。
また、CRMはオンラインとオフラインの連携も可能です。賃貸物件情報の閲覧履歴から顧客ニーズを分析し、リアル店舗に来店したときの営業活動に役立てることで、顧客満足度の高いサービスを実現できます。
通販:顧客をセグメントし、ターゲットに合わせた販売戦略を実現
効果的な販促をおこなうには、顧客をセグメントに分け、ターゲットに合わせたプロモーション戦略を展開することが大切です。
CRMツールは、顧客の会員情報や購買履歴を取り込み、顧客データベースを作成できます。グループ単位でのセグメントだけではなく、顧客とユーザIDを紐付け、顧客一人ひとりの嗜好や購買傾向に合わせたキャンペーン設計やセールスシナリオの組み立ても可能です。
CRMの機能やメリットを知り、顧客管理を効率化しよう
CRMは「顧客管理システム」と呼ばれ、顧客情報を管理し、顧客との関係構築に役立つITツールです。顧客の購買予測の分析や、顧客一人ひとりの特性に合わせたアプローチのため、CRMサービスを導入する企業が増えています。
CRMを導入することで、属人化しやすい顧客情報を一元管理し、顧客満足度の高い顧客サービスを展開することが可能です。CRMの機能やメリットを知り、顧客管理を効率化しましょう。
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