領収書を電子化するのは義務?必要性とは?

経理部門の生産性を高めるには、領収書の電子化に取り組み、デジタル化を推進する必要があります。
2021年度の税制改正により、領収書などを電子データで保存するための条件が大幅に緩和されました。電子データで受領した領収書を保存する場合も、紙の領収書をスキャンする場合も、以前より経理部門の負担が軽減されています。この記事では、領収書を電子化する必要性や、電子化するメリットとデメリットについて解説します。

領収書の電子化とは

電子データとして発行や保存された領収書を電子領収書といい、「デジタル領収書」とも呼ばれます。

例えば、電子領収書は
・PDF形式の電子データとして発行された領収書
・紙で発行された領収書を撮影もしくはスキャンしたファイル
などが当てはまります。

紙の領収書での経費処理対応の工数は相当かかっておりましたが、電子領収書を導入すると業務効率を大幅に向上できます。
新型コロナウイルスの影響や働き方改革でリモートを取り入れている企業も多いと思いますが、電子領収書を使うことで、出社を行う必要がなくなります。

電子領収書の有効性

領収書は、国税関係書類のうちの取引関係書類にあたります。
もともと、領収書は紙の保存のみが法律で認められておりました。
しかし、電子帳簿保存法によって電子データによる保存が認められるようになりました。改正電子帳簿保存法が2022年1月に施行され、電子領収書の発行や保存に関する要件が変更されています。

領収書電子化は必要?税制改正で電子データの保管条件が緩和された理由とは

領収書の電子化を行うことで経理部門の生産性を高める目的があります。
そのために、ICTを積極的に導入し、領収書を始めとした帳簿類をペーパーレス化する必要があります。

総務省が発表した令和3年版情報通信白書によると、日本の労働生産性(GDPを就業者数で割ったもの)はG7各国で最下位にとどまります。(※1)労働生産性の改善をおこなうために、クラウドサービスなどのICTソリューションの導入です。

総務省によると、2010年から2020年にかけて、クラウドサービスの利用企業の労働生産性は未利用企業よりも一貫して上回ることがわかっています。(※2)経理部門においても、経費精算システムなどのクラウドサービスを導入し、労働生産性の改善に取り組むことが大切です。

2021年度の税制改正により、領収書などの電子データの保管条件が緩和されました。
オンラインでやりとりした領収書を電子データのまま保存する場合も、紙の領収書をスキャンして保存する場合も、これまでより経理部門の負担が大幅に軽減されます。
経理部門の業務効率を改善したい企業は、領収書の電子化やペーパーレス化を検討しましょう。
(※1,2)令和3年版情報通信白書|総務省

2021年度の税制改正により紙の領収書を電子化する際の事前承認制度が廃止

これまで、紙の領収書を電子化する場合は、あらかじめ所轄の税務署に事前届出をおこなう必要がありました。しかし、2021年度の税制改正により、紙の領収書をスキャンする際の事前承認制度が廃止されました。

2022年1月1日からは、顧客から受け取った紙の領収書をそのままスキャナーで読み取り、電子データで保存することができます。その場合、スキャンする前の領収書は廃棄しても構いません。

前述の通り、紙の領収書をスキャンする場合は、取引から2カ月と7営業日までに処理を完了させる必要があります。それでも、領収書のスキャナ保存の事務負担が軽減された結果、以前よりも多くの企業が領収書のデジタル化を実現できるようになりました。

関連記事:【2022年1月】電子帳簿保存法改正4つの要点をわかりやすく解説

電子帳簿保存法の改正内容とは~電子領収書で保存は義務?~

2022年1月施行の改正・電子帳簿保存法では、電子取引でもらった電子領収書は従来行っていた紙での保存ではなく、電子データのまま保存を行うことが義務化されていました。
これは、電子取引を行う全ての企業が対象となるため、電子化を考えていない企業でも行う必要があるため、注意が必要です。

2021年12月に発表された税制改正大綱では、この2022年1月施行の改正電子帳簿保存法について❝やむを得ない事❞がある場合、2年の猶予期間が設定されることがわかりました。
今回の改正では電子取引における電子データ保存の義務化が予定されていましたが、猶予期間を設けることで、2022年1月から2年間は紙での保存も認められます。

経費精算に使う領収書を電子化する6つのメリット

経費精算に使う領収書を電子化するメリットは、大きく分けて6つあります。それぞれのメリットについて詳しく解説します。

  • 領収書の発行や管理をWeb上で完結できる
  • 収入印紙などのコストを削減できる
  • 経費精算業務を効率化できる
  • 領収書の保管スペースを削減できる
  • 領収書をすぐに取り出すことができる
  • 領収書の紛失防止につながる

関連記事:領収書を電子化するメリット・デメリットや導入時のポイント

1. 領収書の発行や管理をWeb上で完結できる

領収書を電子データ化するには、経費精算システムなどのクラウドサービスを導入するのが一般的です。経費精算システムを導入すれば、領収書の発行や管理がWeb上で完結します。たとえば、これまで手間がかかった領収書への押印や、領収書の送付作業もオンラインでおこなうことができます。テレワークやリモートワークを導入している企業も、時間や場所に縛られず領収書の発行や管理が可能です。

2. 収入印紙が不要になる

電子取引をおこなう場合、領収書の電子データに収入印紙を貼付する必要はありません。国税庁によると、領収書が印紙税法上の課税文書となるのは、「金銭又は有価証券の受取書」に該当する場合です。(※3)

クレジットカード決済などの電子取引では、現金を始めとした金銭や有価証券のやりとりが発生しないため、領収書の金額にかかわらず収入印紙は不要です。領収書の収入印紙は、取引金額によってコストがかかります。領収書を電子化すれば、収入印紙の貼付が不要になるため、経理部門のコストカットを実現できます。

(※3)金銭又は有価証券の受取書、領収書|国税庁

関連記事:領収書に貼る収入印紙の使い方や購入方法を分かりやすく解説

3. 経費精算業務を効率化できる

領収書を電子化すれば、経費精算業務を効率化できます。たとえば、領収書への記入や押印の手間や、領収書の内容を帳簿に転記する手間、領収書を相手先へ郵送する手間などがなくなります。経費処理の業務負担を軽減し、既存の人員をコア業務に回すことが可能です。また、「営業担当者が領収書をスキャンし、電子データで本社に送る」「承認者が在宅で領収書の電子データを確認する」など、経理部門以外の生産性向上も期待できます。

4. 領収書の保管スペースを削減できる

法人税法上、領収書などの帳簿書類は7年間(欠損金の繰越控除が適用される場合は10年間)の保管が必要です。これまでは紙の領収書をファイリングし、書類ファイルを保管するためのスペースを確保する必要がありました。領収書を電子化すれば、電子データをクラウドや自社のPCに保管できます。領収書の保管スペースをなくし、賃料などのファシリティコストを削減することが可能です。

関連記事:領収書の保管期間は何年?押さえておくべき基本ルールを紹介

5. 領収書をすぐに取り出すことができる

領収書が必要になったとき、紙の領収書の場合は保管スペースから必要なものを探し出す手間が発生します。領収書をデジタル化すれば、領収書の日付や取引内容などで電子データを検索し、必要な領収書をすぐに取り出すことができます。

6. 領収書の紛失防止につながる

領収書を電子データとして保存すれば、領収書の紛失防止につながります。セキュリティ対策が厳重な経費精算システムを導入すれば、領収書の電子データへのアクセス権限の設定により、外部へ流出するリスクも減らせます。領収書を紙ベースで保管するよりも、安心安全に長期保存することが可能です。

経費精算に使う領収書を電子化する4つのデメリット

一方、領収書のデジタル化にはメリットだけでなくデメリットもあります。経費精算に使う領収書を電子化するデメリットは4点あります。それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

  • 経費精算システムの導入に一定のコストがかかる
  • 紙の領収書を電子化する場合は期限内におこなう必要がある
  • 取引先とのやり取りを電子取引に変更する必要がある
  • 電子帳簿保存法に基づいた保存や管理が必要になる

1. 経費精算システムの導入に一定のコストがかかる

領収書を電子化する場合、経費精算システムの導入に一定のコストがかかります。初めて経費精算システムを導入する場合は、最初に初期費用やランニングコストの見積もりをおこないましょう。領収書の電子化によって削減できるコストと比較し、費用対効果を検討することが大切です。

2. 紙の領収書を電子化する場合は期限内におこなう必要がある

電子帳簿保存法の改正により、紙の領収書をスキャンし、電子データで保存できるようになりました。
改正後の電子帳簿保存法では、紙の領収書を電子データで保存する場合、取引から2カ月と7営業日までの間にスキャンする必要があります。

そのため、これまでのように「確定申告が近づいてから、まとめて経費処理をおこなう」といった運用ができません。紙の領収書を適宜スキャナーで読み込み、すみやかに経費処理をおこなうといった業務フローに変更する必要があります。もし期限までにスキャンが間に合わない場合は、領収書を紙のまま保存しなければなりません。

3. 取引先とのやり取りを電子取引に変更する必要がある

自社の領収書を電子化する場合、取引先とのやり取りを電子取引に変更する必要があります。しかし、従来の取引方法にこだわり、電子取引の導入に難色を示す取引先も存在します。その場合、紙の領収書と電子領収書が混在し、かえって領収書の発行や管理に時間がかかる場合があります。

4. 電子帳簿保存法に基づいた保存や管理が必要になる

紙の領収書を電子化する場合、電子帳簿保存法に基づいた保存や管理をおこなう必要があります。現行の電子帳簿保存法では、「タイムスタンプ要件」「検索要件」の2つの要件を定めています。領収書をスキャナ保存する場合は、電子データにタイムスタンプを付与し、改ざんされていないことを証明する必要があります。

タイムスタンプの付与は、取引から2カ月と7営業日までの間におこなわなければなりません。また、スキャンした領収書のデータは、「日付」「取引金額」「取引先」の3つの項目で検索できるようにする必要があります。これらの課題を解決するためには、経費精算システムの導入が必要です。

関連記事:経費精算アプリ比較8選|無料で使えるアプリや比較のポイントを紹介!

領収書の電子化を推進して経理部門の生産性を高めよう

領収書を電子化すれば、領収書の発行や管理がWeb上で完結します。
経費精算業務を効率化し、経理部門の生産性を高めることが可能です。

一方、領収書の電子化にはデメリットもあります。
経費精算システムの導入コストや、電子帳簿保存法への対応コストを考慮し、費用対効果を見極めることが大切です。

2021年度の税制改正により、領収書を始めとした電子データの保存条件が大幅に緩和されました。
経理部門の生産性を改善したい企業は、経費精算システムを始めとしたICTソリューションの導入を検討しましょう。

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