DX戦略におけるフレームワークの重要性や5つの活用ポイント

デジタル化社会といわれる現代で企業を成長・発展させていくためには、デジタル変革(DX)の推進が不可欠とされています。

DXをビジネス戦略に導入すると、時代のニーズにすばやく対応できる、業務の効率化が進むなど、さまざまなメリットがあります。しかし、ただアナログ業務をデジタル化するだけではDXとはいわず、データやデジタル技術を駆使して新たなサービスやビジネスモデルを生み出さなければなりません。

そのためには、自社の現状を分析し、今後どのような方針でDX戦略を進めていくべきかをきちんと整理する必要があります。

今回は、DX戦略における自社の分析・今後の目標を可視化するフレームワークの重要性や、基本的な使い方、活用時の注意点について解説します。

DX戦略におけるフレームワークの重要性

DX戦略を立案するにあたり、フレームワークが重視されるのには3つの理由があります。

1. 自社の現状と今後の在り方を分析できる

DX戦略は、現在抱えている課題を解消し、本来あるべき姿(目標)に一歩でも近づくことを目的としています。

そのためには、自社の現状を分析すると共に、今後どのような企業でありたいのか、その目当てを明確にする必要があります。

フレームワークを活用すれば、自社が抱える課題や、あるべき姿が可視化され、どのような方向でDXを推進していくべきか考える基準となります。

2. 時間を節約できる

日本のビジネス界において、DX戦略はまだ歴史が浅く、他の戦略に比べると実例も乏しいのが現状です。

そのため、DX戦略の必要性や重要性を理解しつつ、「何から始めればいいのかわからない」と入口から立ち往生してしまうケースは決して少なくありません。

既存のフレームワークを活用すれば、既存の枠に情報を追加するだけで、DX戦略に必要なデータを入手することができます。一から戦略を立てるよりも効率が良く、時間を節約できるところが大きなメリットです。

3. 社内でDX戦略を共有できる

前述の通り、DX戦略は歴史の浅い施策ですので、DXの基礎知識を持たない役員や社員からは「なぜ必要なのか」「現場の混乱を招くだけではないか」といった反感を買うおそれがあります。

フレームワークを活用すれば、自社の課題や将来あるべき姿、顧客や社会のニーズ、それに応えるために活用できる技術などを可視化できるため、DXの有効性をわかりやすく説明することができます。

社内でDX戦略の内容や目的を共有していれば、実際に現場に導入した際、どのようにシステムやツールを活用すればいいのか、周知しやすくなります。

「DXレポート2」に記載されたDXフレームワークとは

DXレポート2とは

DXレポート2とは 経済産業省は、日本の企業がDXを推進するために、2018年5月に「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設置しました。
その研究会では、日本企業がDXを行う中で、現状の課題の整理と課題を議題に行った。 同年9月に『DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~』レポートを発表しました。

掲載産業省は、DX実現に向けたシナリオや、日本の現状の課題やをまとめて、同年12月に「DX推進ガイドライン」が策定され、DXを推進するために必要な、経営戦略やビジョン、全社的な体制構築のポイントがまとめられています。

「DX推進ガイドライン」が発表された2年後の2020年12月に「DXレポート2」を提示しました。
「DXレポート2」では、コロナの情勢も踏まえ、どのようにDXを行うべきか日本の現状と課題、そして対策がまとめられてます。

企業がどのようにDXを行えば成功になるのか、「DX 成功パターン」の策定について具体例を挙げて、DXフレームワークを説明しています。

DX に向けた戦略を立案のフレームワーク

DXレポート2では、DXの成功パターンの策定として、

経営者は、経営と IT がきっては切り離せない関係であること理解して、次の二つの視点に基づい
て DX に向けた戦略を立案する必要があると述べている。

● ビジョンや事業目的といった上位の目標の達成に向けて、デジタルを使いこなすこ
とで経営の課題を解決するという視点
● デジタルだからこそ可能になる新たなビジネスモデルを模索するという視点

引用:DXレポート2

上記のことをきちんと認識して、

DX の具体的な取組領域や成功事例をパターン化し、企業において具体的なアクション
を検討する際の手がかりとなる「DX 成功パターン」を策定する。

これを活用することにより、企業は DX の成功事例の中から自らのビジョンや事業目的の実現に資するものを選択することで、DX についての具体的な取組を推進できるようになる。

出所:DXレポート2

DXの構造を理解するフレームワーク

DXを「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「デジタルトランスフォーメーション」の3つの段階に分けることで、それぞれの組織や企業のDXのレベルを把握することができる。

「DXレポート2」では、それぞれを下記のような定義としている。

①「デジタイゼーション」・・・アナログ・物理データの単純なデジタルデータ化
「デジタライゼーション」・・・個別業務・プロセスのデジタル化
③「デジタルトランスフォーメーション」・・・全社的な業務・プロセスのデジタル化、顧客起点の価値創造のために事業やビジネスモデルの変革

引用:DXレポート2
出所:DXレポート2

組領域を整理するDXフレームワーク

次のアクションにつなげるために、現状の段階が上記3段階のうちどこにあるのかを把握することができる。

経済産業省は、DXの目標を設定した上で、目標から現状を逆算して段階ごとに取組のアクションの計画を立てることを推奨している。

また、このDXフレームワークを用いて、DX成功パターンの形式化を行っていくとしている。

出所:DXレポート2

DX戦略に使用できるフレームワークとは

DX戦略同様に、ビジネスの戦略を行う際に、自社の現状や今後どのようになりたいのかを把握する必要があります。
その整理を行う上で、おすすめなのがフレームワークを使った整理です。
フレームワークは、あらかじめ考えるべき観点やテーマが与えられているので、それに沿って情報を当てはめるだけで整理ができます。

DX戦略も今までのビジネスの経営戦略や意思決定、マーケティング・分析などで使ってきたワークフレームを活用することができます。
ここでは、どんなフレームワークがDXにおいて活用できるのか説明します。

1. MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)

MVVとは、Mission(存在意義)・Vision(ありたい姿)・Value(行動指針)の頭文字を取った言葉で、企業にとって経営の指針になる要素です。

MVVを設定すれば、企業として目指すべき姿や、社会の中で果たすべき役割、それらを実現するための姿勢や価値観、行動指針が明確になり、どのようなDX戦略を打ち出すべきかの基準を打ち出すことができます。

ただ、「やりたいこと」「チャレンジしたいこと」を挙げるだけでは経営は成り立ちませんので、まずは顧客や社会のニーズ、および今後の見通しを分析し、現在どんなサービスが求められているのか、将来的にどのような需要が高まるのかを調べる必要があります。

2. 3C分析

3Cとは、Company(自社)、Customer(顧客)、Competitor(競合)の頭文字を取った言葉です。

DXはもともと、データやデジタル技術を駆使し、それまでにない新しいビジネスモデルやサービスを生み出し、競争力を向上することを目的としたものです。

そんなDX戦略を打ち立てるには、自社の強みやウイークポイントの洗い出し、顧客のニーズや思考、脅威となる競合他社の強みなどを分析し、自社ならではのオリジナリティあふれるビジネスモデルやサービスを創出する必要があります。

3C分析では、3つの「C」それぞれに関する以下のような情報・データを収拾するのが一般的です。

Company(自社):企業理念やビジョン、事業の現状、資本力、現在保有する強み、弱みなど

Customer(顧客):市場の規模と成長性、顧客のニーズと消費行動など

Competitor(競合):競合他社のシェア、特徴、新規参入や代替による驚異、業界全体のポジションなど

3. PEST分析

PESTとは、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つの頭文字を取った言葉です。

前述の3C分析は基本的な情報を整理する際に用いるフレームワークですが、PEST分析は3つの「C」を取り巻く環境を分析するためのフレームワークとなります。

たとえば、顧客ニーズを満たすサービスの後押しとなる政策はあるか、自社や業界全体に関連する現在および今後の経済状況はどのようになっているか、社会では今どんなもの・ことがトレンドになっているか、などを分析し、DX戦略が時代の波にうまく乗っていけるかどうかを調査します。

また、DX戦略を成功させるために活用できる技術(ICTやデジタル技術など)にはどんなものがあるか、MVVを実現するにはどういった技術を活用すればいいか、などTechnologyの視点による分析も必要です。

4. SWOT分析

SWOTとは、「Strength(強み)」「Weekness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threats(脅威)」の頭文字を取った言葉です。

3C分析のCompanyをさらに細分化して分析する手法で、現在の事業状況をより詳しく整理することができます。

さらに、前述のPEST分析と組み合わせることで、自社の強みを今後も活かしていけるかどうか、自社の弱みがさらなる脅威を生む可能性はないか、などを分析することが可能になります。

DX戦略では特に近年のデジタル化の流れや、今後整備されると予測される施策や規制などを考慮すると、時代の変化に柔軟に対応していけます。

5. バリューチェーン分析

バリューチェーンとは、直訳すると「価値連鎖」という意味のビジネス用語です。

企業の生産活動には、原材料の調達や商品の製造・加工、出荷配送、販売などさまざまなプロセスが関わっていますが、バリューチェーンではこれらをひとくくりにするのではなく、価値(Value)が連鎖(Chain)していると考えます。

バリューチェーンにおける個々の活動を分類し、それぞれの強みや弱みを洗い出して分析する方法をバリューチェーン分析といい、主に競合他社との差別化を図る手法を模索する際に使用します。

新たなビジネスモデル、サービスの創出を目的とするDX戦略において、バリューチェーン分析は重要な情報・データを割り出す有効な手段となります。

DX戦略におけるフレームワーク活用の注意点

DX戦略にフレームワークを活用する際、注意したいポイントを2つご紹介します。

1. 正確なデータ・実績をもとに活用する

DX戦略では、フレームワークを使って自社や業界全体、競合他社の現状をしっかり把握する必要がありますが、もとになるデータや情報に誤りがあると、正しく状況を判断することができなくなってしまいます。

フレームワークに用いるデータや情報には「たぶんこうだろう」といった憶測や推測は一切入れず、正確なデータや実績のみを活用するようにしましょう。

2. 組織全体で意識を統一するための手段を講じる

フレームワークは「なぜDX戦略が必要なのか」「どのような効果を見込めるのか」といった説明を行うのに有用な手段ですが、肝心の内容が会社全体に周知されていなければ意味がありません。

DX戦略の作成やフレームワークの活用に全社員を参加させるのは難しいですが、DXの推進に欠かせないクラウドサービスなどを活用すれば、リアルタイムに情報を共有することは可能です。

DX担当者だけでなく、社員全員に対し、自社におけるDX戦略の意義や有効性を情報発信していれば、実際にDX戦略を現場に導入したときでもスムーズな浸透を実現できます。

DX戦略の立案にはフレームワークの活用がおすすめ

DX推進の目的は、データやデジタル技術を活用して新しい価値やビジネスモデルを生み出し、自社の競争力を高めることにあります。

とはいえ、新しい試みであれば何でも良いというわけではなく、自社のあるべき姿や社会・顧客のニーズ、時代の流れに沿ったビジネスモデルやサービスでなければなりません。

そのためには、自社の強みや業界の動き、競合他社の脅威などを細かく分析し、自社に必要なもの、足りないものを冷静に見極めることが大切です。

今回ご紹介したフレームワークを活用すれば、DX戦略を立案するために必要な情報やデータを効率的に入手できますので、積極的な活用を検討してみましょう。

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