企業のDXにおける4つの課題と解決策を分かりやすく解説

データやデジタル技術を活用した新しいビジネスモデルが次々と誕生するなか、デジタル社会に取り残されないよう、既存企業のDX推進は急務とされています。

しかし、DX推進には課題も多く、「思うようにDXが進まない」と悩んでいる企業も多いようです。

そこで今回は、企業のDX推進における課題点をご紹介すると共に、それでも企業のDX推進が求められる理由や、DX推進における課題の解決策について解説します。

企業のDX推進における課題点

一般社団法人日本能率協会が企業経営者向けに実施した調査によると、DXに取り組む企業は45.3%と半数近くに上っており、企業のDX推進の動きが加速していることがうかがえます。(※1)

一方で、DX推進に取り組むにあたり、さまざまな課題や問題を抱えていることも浮き彫りになっています。

ここでは、同調査の回答をもとに、企業がDXを推進していくにあたって課題となっている要素を4つご紹介します。

※1:一般社団法人日本能率協会|第42回当面する企業経営課題に関する調査

1. DX推進に関わる人材の不足

DX推進において、多くの企業が「課題である」と感じているのが人材不足です。

IT・デジタル後進国といわれる日本では、DX推進で舵を取れるほどの知識・スキルを持つ人材が極めて少ない傾向にあります。

そのため、システムやツールを導入する際はベンダーに丸投げするケースが多いのですが、DXは企業の強みや弱み、顧客ニーズ、現在抱えている課題などに合わせて進めていくものなので、外部の人間に任せきりにすると、「ニーズと合致しない」「目指している企業のあり方とマッチしない」といった問題が発生する原因になります。

DXはトライアンドエラーを繰り返しながら少しずつ進めていくものなので、自社に優秀なDX人材がいないと思うようにDXが進まず、計画が頓挫してしまう可能性があります。

2. 具体的なビジョンや経営戦略を描けない

前述の通り、DXは企業の目標や本来あるべき姿に合わせて展開していくものなので、DX推進に取り組むにあたっては、まず「DXで何を目指すのか」「どのように事業に落とし込むのか」といったビジョンや経営戦略を明確にする必要があります。

特に経営陣がDXについて正しく理解していないと、部下に対して「AIを使って何か作れ」「RPAを業務に採り入れろ」といった無茶な指示が横行しやすく、本当の意味でのDX推進を阻む要因となります。

3. 関係部署の連携が不十分

従来のシステムは部署や部門ごとに導入・運用されているパターンが多いため、同じ部署・部門内で情報を共有することはできても、部署・部門の垣根を越えて連携を取るのは難しい状態にあります。

DX推進はスモールスタートが基本ですが、ゆくゆくは全社を横断する形で導入するため、関係各所との連携が不十分な状態だとDXの推進も遅々として進まなくなります。

4. 予算が足りない

DX推進においては、新たなシステムやツールの導入、必要な人材の確保・育成などに相応のコストがかかります。そのため、予算面の問題でDXになかなか着手できないという企業も少なくないようです。

それでも企業のDX推進が求められる理由

企業のDX推進にはさまざまな課題や障害があり、実現するのは容易なことではありません。それでも企業のDX推進が求められるのには主に2つの理由があります。

1. 「2025年の崖」問題

「2025年の崖」とは、2018年に経済産業省が発表したDXレポートで提起された経済問題のことです。[注2]

中小企業を中心とする日本企業の多くでは、老朽化、複雑化、ブラックボックス化した既存システム(レガシーシステム)を依然として利用し続けています。

しかし、レガシーシステムでは今後膨大に増えていくデータの処理に対応しきれず、技術的負債が積み重なって業務基盤そのものの維持・継承が難しくなってしまいます。

また、レガシーシステムではサイバーセキュリティや事故・災害への対策が十分に行えず、システムトラブルやデータ流出などによって多大な損害を受けるおそれがあります。

DXレポートでは、こうした問題が解決されないまま2025年を迎えた場合、それ以降、現在の約3倍にあたる年間最大12兆円の経済損失が生じると試算しています。

一方で、企業のDXが実現すれば、2030年の実質GDPは130兆円超の押し上げが可能になると推測されており、日本経済を活性化するためにも、企業のDX推進が急がれています。

2. 広がる企業間格差

現在、データやデジタル技術を活用し、全く新しいビジネスモデルを展開する新規参入者が増加しています。

それにともない、あらゆる産業でビジネスの枠組みやルールが刷新される「ゲームチェンジ」が起こりつつあり、どの企業も時代の変化への柔軟な対応を迫られています。

ところが、経済産業省がまとめたDXレポートによると、「既にレガシーシステムはない」と回答した企業はわずか1割強に留まり、残りの約8割の企業は一部や半分、あるいはほとんどが「レガシーシステムである」と回答しています。(※2)

特に日本の企業の99%を占めるといわれる中小企業では、未だにレガシーシステムが横行している傾向にあり、今後新規参入者や、レガシーシステムから新システムへの移行が完了した大手企業との間に格差が生じることが懸念されています。

企業間格差は日本経済に著しい影響を与えるのはもちろん、個々の企業としても経営の存続が危ぶまれるリスクがあるため、DX実現によるデジタル化の推進およびシステムの刷新は急務とされています。

(※2)経済産業省|DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~

関連記事:中小企業こそDXを取り入れるべき理由と導入する際のポイント

企業のDX推進における課題の解決策

企業のDXをスムーズに進めるためには、障害となっている課題や問題を解決する必要があります。

企業が抱える課題・問題はさまざまですが、ここでは一例として、主な課題に対する解決策を4つご紹介します。

1. 経営陣・関係者の間でDXの目標やねらいを共有する

経済産業省がまとめた「DX推進ガイドライン」にも提示されている通り、企業のDXを推進するためには、まず経営戦略やビジョンを提示することが必要不可欠です。

データやデジタル技術の活用によって、どの事業分野でどんな価値を生み出し、それをどのような形で事業に落とし込むのか、それによって企業はどんな姿に成長・発展していくのか、そのビジョンや経営戦略を明確にし、経営陣と関係者の間で意識を共有することが大切です。

特に経営陣は、DX推進によって起こるさまざまな変革(仕事の仕方や組織の仕組み、企業文化・風土そのものの変化など)に対応すべく、強いコミットメントを持って取り組む必要があります。

関連記事:DX推進ガイドラインとは?押さえておくべき3つの要点

2. クラウドシステムへの移行を検討する

部署や部門といった垣根を越え、全社横断的に連携を取るためには、情報やデータをスムーズに共有・移行できるシステムを構築する必要があります。

システムにはいろいろな種類がありますが、関係部署とのスムーズな連携を行いたいのなら、外部サーバーでデータを保管・管理するクラウドサービスの利用がおすすめです。

クラウドサービスを活用すれば、共通のデータベースやシステムを利用できるようになるため、部署や部門を問わず、スムーズに情報を共有できるようになります。

社内はもちろん、自宅など社外にいても会社のシステムにアクセスできるようになるため、DX推進の一環としてテレワークの導入を検討している企業にとっては一石二鳥です。

3. DX人材の確保・育成に注力する

DXは長い年月をかけて推進していくものですので、外部の人材に頼り切りになることなく、自社でDX人材を確保・育成していくことが大切です。

そのためには、社外から講師を招いて必要な知識やマインドセットの習得を図る、小規模なパイロットチームを形成し、現場で必要な経験を積むといった育成システムを構築する必要があります。

DX推進に取り組んでいる先行企業の人材育成例をチェックすると、自社に合った育成システムを構築する際の参考になるでしょう。

4. 国のDX支援策を上手に活用する

国では企業のDX推進を後押しするため、さまざまな支援策を打ち出しています。

一例を挙げると、ITツールの導入経費の一部を支給する「IT導入補助金」や、IT専門家の紹介およびその費用の一部を補助する「中小企業デジタル化応援隊事業」などがあります。(※3)(※4)

これらの支援制度を上手に活用すれば、DX推進における自社のコスト負担を削減することが可能です。

※3:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会|IT導入補助金2021
※4:中小企業庁|第Ⅱ期 中小企業デジタル化応援隊

自社の課題を洗い出し、企業のDX推進に取り組もう

企業のDX推進は、デジタル競争に生き残るために必要不可欠な取り組みですが、企業によっては人材不足やビジョン・経営戦略の不明瞭さなど、さまざまな課題を抱えています。

こうした課題・問題を解決しないと、企業のDXはなかなか進まず、「2025年の崖」問題に直面したときに多大な経済損失を発生させるおそれがあります。

まずは自社がDX推進にあたって抱えている課題を洗い出し、解決のためにどんな取り組みが必要なのか明確にするところから始めてみてはいかがでしょうか。

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