DX推進におけるロードマップの必要性や作り方のポイント

DXの推進は、業種を問わずあらゆる企業に必要不可欠といわれます。とはいえ企業の根本を変えるような大改革は着手さえ難しく、「どのように進めていけばよいか分からない」という経営者・担当者も多いのではないでしょうか。

DXの推進に悩む企業は、ゴールまでの道しるべを示した「ロードマップ」を作成しましょう。DXをどのように進めていくべきか分かりやすくなり、息切れせずにゴールを目指せるようになるはずです。

本記事では、DXの推進におけるロードマップの必要性や、作り方のポイントを紹介します。DXに最適化されたロードマップを作成し、自社の目指すゴールを明確化してください。

DX推進におけるロードマップ作成の必要性とは

DXは全社的に行うものであり、綿密な計画が必要です。とはいえ詳細なロードマップを作成するのは手間が掛かるため、気が進まない経営者・担当者もいるかもしれません。ロードマップの作成について懐疑的な人は、「DXではなぜロードマップを作るべきなのか」を考えてみましょう。

1. DXのゴールを明確化するため

ロードマップを作成するのは、「DXによって企業が目指す姿」を明確化するためです。「とりあえずデジタル化すればよい」と安易にDXに着手すると、「業務のデジタル化」がDXのゴールになる恐れがあります。

実際のところ、DXで企業が目指すべきは「デジタルデータ・システムを活用して市場における優位性を確立すること」です。ただ何となく業務プロセスをデジタル化しても、利益に結び付かなければ意味がありません。

ロードマップで「企業が目指す姿」「新しいビジネスモデル」をはっきりと示すことで、全社員が目的意識を持ってDXを推進できるようになります。

2. 現状を適切に把握するため

ロードマップがあれば、自社の現状や解決すべき課題が明確になります。どのようにデジタイゼーション・デジタライゼーションを進めていくべきか分かりやすくなり、DXの推進スピードがアップします。

無計画に業務プロセスのデジタル化に着手しても、業務効率向上や目覚ましい成果は期待できません。DXは、自社の「アナログとデジタルのすき間がどのくらいあるか」「自社の課題は何か」を見極めながら、一つひとつプロセスを踏んで進めていく必要があります。

3. 方向性をブレにくくするため

DXを実現するには、業務プロセス・システムだけではなく、企業組織そのものや企業風土・企業文化まで、幅広い改革が必要となります。取り組むべき課題は非常に多く、全体像が見えないままに進めると改革の方向性がブレやすくなるでしょう。

例えば新システムは、他部門との連携や既存システムとの親和性等を考慮して、計画的な導入が必要です。各部門が勝手に「ベンダーに進められたから」「評判がよいから」と無計画な導入を行えば、部門間の分断が発生してしまいます。

DXは、全社員が同じ方向を向いて取り組んでいかなければなりません。ロードマップを作成し、情報共有・意識共有を適切に行う必要があるのです。

DX推進のためのロードマップの作り方

全体を最適化しながらDXを推進していくためには、ゴールを見通した設計図が必要です。自社が進むべき道を記したロードマップを作成し、確実にゴールを目指しましょう。DXを推進していくためのロードマップの作り方を紹介します。

1. ゴール・目標を設定する

まずはDXによって実現したいビジネスモデル・事業戦略を明確化します。現行のビジネスモデル・プロセスと親和性があり、提供中のサービス・製品の質向上を目指せるものが好ましいでしょう。

例えば、「顧客データを活用してサブスクリプションサービスを実施する」「顧客ニーズを分析してパーソナルな購入体験を提供できるようにする」等のビジネスモデルが考えられます。

ゴール・目標を決めるときのポイントは、関係する各部門からの参加を募ることです。DXは全社的に取り組むため、なるべく多くの意見が必要となります。意見がまとまらないときは調整を繰り返し、時間をかけてじっくりと最終ゴールを策定してください。

2. 現状分析・把握

自社の現状・課題を適切に把握します。競合・市場分析を行って、自社の立ち位置を明確化しましょう。自社の課題や弱点を洗い出すのはもちろん、競合に勝っている点やアピール性の高い強みを探すことも必要です。

マイナスとなる弱点があった場合は、DXで「ゼロ」「プラス」転換を目指します。一方すでに強みとして考えられる特徴は、DXでさらに強化・拡大していきましょう。自社の強みを見つけることが競合との差別化につながり、DXの効果をより大きなものにするのです。

またDXでは、既存のシステムが改革の進行を妨げるケースが少なくありません。現状の自社システム・データについても調査を行い、「今後も使えるか」「レガシー化していないか」などをチェックしておきましょう。

3. KPIの設定

KPI(重要業績評価指標)は、最終ゴール(KGI)を目指して設定される短期・中期目標です。ゴールを目指すための過程を評価する目的で設置され、達成状況によってDXが適切な方向に進んでいるかを確認できます。

KPIを設置するときのポイントは、数値で具体性を持たせることです。「最終ゴールに到達するためにはどのような数値をクリアしておくべきか」を見極め、フェーズごとに適切なKPIを設定しましょう。

関連記事:DX推進指標とは?提示された背景や活用のポイントを解説

4. システム・データのデジタル化

現状アナログで処理している業務を、デジタルに置き換えて行きます。業務ごとに最適なデジタルツールを選定しましょう。

近年は経理・人事・営業・マーケティング・法務業務等を効率化するツールが多数登場しています。各部門のニーズ・既存システムとの連携・拡張性を考慮して、業務効率向上につながるシステム・ツールを見極めましょう。

デジタル化は全社的に行う必要がありますが、全ての部門が同じタイミングで「一斉に」というのは困難です。部門ごとに目標を設定し、最終ゴールで帳尻が合うようにプランを設定してください。

5. ビジネスモデルのデジタル化

企業内のシステム・データがデジタル化された後・デジタルによって新しい価値を生み出すフェーズです。

最終ゴールに合わせて、「企業の製品やサービスに新しい価値を生み出すこと」「現状の製品・サービスをデジタル技術で進化させること」などを目指します。デジタルを用いた製品・サービスで、消費者にどのような顧客体験を提供したいのかを明確にしましょう。

DXはデジタルによって企業のあり方そのものを変えることであり、デジタル化の最終形態です。ロードマップでは「デジタル化の先」までを含める必要があります。

DX戦略にロードマップを落とし込む方法

ロードマップでDXの大まかな流れが決まったら、具体的にどのようなステップを踏むか考えなければなりません。

それぞれのフェーズで「どのようなことをクリアしていけばよいのか」と迷ったら、経済産業省が提案する「デジタルガバナンス・コード」を活用してみましょう。デジタルガバナンス・コードの概要や設定基準を紹介します。

デジタルガバナンス・コードを参考にする

デジタルガバナンス・コードとは、国が企業のDXについて評価・認定する「DX認定制度」の基準となるものです。(※1)

基準をクリアした企業は「DXに優良な取り組みをしている企業」と認定され、経産省から認定を受けられます。

現状ロードマップを作成した「だけ」の企業は、デジタルガバナンス・コードに基づいてDXを進めていくことで、望ましい方向性が見えやすくなるでしょう。

デジタルガバナンス・コードは「ビジョン・ビジネスモデル」「戦略」「成果と重要な成果指標」「ガバナンスシステム」の4つから成ります。それぞれについて簡単に紹介します。

※1:経済産業省:デジタルガバナンス・コード

1. ビジョン・ビジネスモデルの認定基準

認定基準:デジタル技術による社会及び競争環境の変化の影響を踏まえて設計したビジネスモデルを実現するための方策として、デジタル技術を活用する戦略を公表していること

経済産業省:デジタルガバナンス・コード

望ましい方向性としては「強みと弱みが明確化されており、その強化・改善にIT/デジタル戦略・施策が大きく寄与していること」などが挙げられています。

DXを推進する企業は、経営方針や経営計画にDX推進のビジョンを取り入れることが必須です。

2. 戦略の認定基準

認定基準:デジタル技術による社会及び競争環境の変化の影響を踏まえて設計したビジネスモデルを実現するための方策として、デジタル技術を活用する戦略を公表していること

経済産業省:デジタルガバナンス・コード

望ましい方向性の一つとして、「データを重要経営資産の一つとして活用していること」が求められます。

経営状況・事業の運営状況を把握できるシステムの確立や、そこから得たデータを経営・事業の意思決定に活用する取り組みが必要です。

3. 成果と重要な成果指標の認定基準

認定基準:デジタル技術を活用する戦略の達成度を測る指標について公表していること。

経済産業省:デジタルガバナンス・コード

望ましい方向性の一つとして「IT・デジタル戦略・施策の達成度がビジネスのKPIをもって評価されていること」「そのKPIには目標値設定がされていること」が求められます。

DXに関する全ての取り組みにKPIを設定し、KGI(最終財務成果指標)と連携させることが必要です。

4. ガバナンスシステムの認定基準

認定基準:経営ビジョンやデジタル技術を活用する戦略について、経営者が自ら対外的にメッセージの発信を行っていること

経済産業省:デジタルガバナンス・コード

ロードマップを作成してDXを確実に進めよう

DXは一朝一夕で終わるものではありません。企業の根幹に関わる大変革のため、DXの完遂までには数年かかるといわれます。効率的・短期間でDXが進むよう、計画を実施する前に必ずロードマップを作成しましょう。ロードマップがあれば、DXのゴールや道筋が見えやすくなります。進捗状況の把握も容易になり、ブレずにデジタル化を進めていけます。

ただし、どのようなロードマップがあっても、チームに遂行力がなければDXは成し遂げられません。トップが積極的に関与して、強いリーダーシップでデジタル化を進めてください。

関連記事

ピックアップ

新着記事 おすすめ
  1. 領収書を電子化するのは義務?必要性とは?

  2. 納品書と領収書の違いとは?処理できるケースや代わりになる書類は?

  3. 領収書とレシートの違いとは?レシートタイプの領収書のケースについても解説

  4. 領収書の「上様」はダメ?経費上と税務上での違いや対応方法を解説!

  5. 領収書の宛名の必要性とは?名前なしで金額のみのケースについても解説

  6. タイムカードの電子化とは関連する法律やデメリット・メリットも説明

  7. 領収書の但し書きとはどんな項目?自分で書くケースや注意すべきポイントについて

  8. 領収書の書き方・記載事項をケースごとに解説

  9. テレワークでWeb会議を上手くおこなうコツとは?

  10. タイムカードの集計方法とは?

  1. 無料で使えるビジネスチャットツールおすすめ12選|機能やトライアルの比較表あり

  2. Slack(スラック)とは?人気ビジネスチャットの使い方・メリットなど

  3. Appvisor Push(アップバイザープッシュ)の機能・価格・評判を紹介!

  4. Web会議に役立つマイクスピーカー16選!少人数向け、大人数向け

  5. Typetalkの特徴・価格・機能を紹介!

  6. BONX WORKの特徴・価格・機能を紹介

  7. Goalousの機能・価格・評判を紹介!

  8. 名刺管理の目的とは?選び方やおすすめ名刺管理ツールを紹介!

  9. Dr.オフィス LookJOB2の料金や機能は?人数無制限の勤怠管理システム

  10. U ミーティングの機能・価格・評判を紹介!