コールセンターでのAI(人工知能)活躍シーン6つを詳しく紹介

コールセンターで活用できる6つのAIを紹介!

コールセンターにおけるAIの導入は、2018年頃から進んでいます。矢野経済研究所社の調査報告によると、2020年度のAIサービス市場規模は事業者売上高ベースで前年度比144.4%に拡大する見込みだそうです。(※1)

今後ますます、コールセンターの抱える人材不足、応対品質のばらつきといった課題をAIで解決する動きは加速するといえるでしょう。

まず最初に、コールセンターで導入が進んでいる6つのAIについて解説します。

※1:株式会社矢野経済研究所 | コールセンター事業者が提供するAIサービス市場調査を実施(2020年)

1. IVRシステム

IVRとは、「Interactive Voice Response」の略称で、日本語訳は「音声自動応答装置」です。着信があった際、自動音声により案内を開始します。発信者は、音声ガイダンスに沿ってプッシュ番号操作をすることで、説明を受けたり、担当部署の回線につなげることができます。

自動音声は事前録音だけでなく、生成された音声を使うことも可能です。

24時間365日、自動で音声案内をおこなってくれるため、ネットバンキングやアンケート調査にも利用されているシステムです。コールセンターでは、事前に問い合わせ内容を担当部署に振り分ける際に使われています。

オペレーターにとっては質問を事前に予想でき、お客様は待ち時間を短縮できる点がメリットです。しかしながら、誤った部署を選択すると、回答まで時間がかかってしまう点がデメリットといえます。

2. FAQシステム

FAQとは、「Frequently Asked Questions」の略称です。日本語に直訳すると「よくある質問システム」となります。頻繁にあがる質問と、その質問に対する回答を網羅し、「よくある質問」の作成と検索ができる「コンテンツ管理システム」です。専門的なプログラミングの知識がなくとも、管理が簡単にできる点が魅力です。

利用方法は2つあります。1つめは、顧客向けのWebサイトに掲載し、お客様自身で疑問や質問を検索し、解決してもらう方法です。2つめは社内用Webサイト(イントラネットなど)で利用し、オペレーターからあがる質問への回答を都度掲載することで、マニュアルでは網羅しきれない部分を補完する方法です。

コールセンターで利用する場合、新人オペレーターかベテランオペレーターかを問わず、検索のみで回答を得られる使いやすさがメリットです。しかし、検索ワードが思いつかないような、複雑な問い合わせが多いコールセンターでは、使いこなすのが困難でしょう。また、導入後は定期的に回答内容を見直し、刷新する必要があります。

3. 音声認識システム

音声認識システムとは、人間の発する音声を文字に変換するシステムのことです。多くのサンプルを統計的に処理した「音響モデル」を使うことで、年齢や性別による違い、話し方のクセなどがあっても、正しく音声認識できるようになっています。

音声認識システムが利用されている代表的な例としては、スマートスピーカーやAIアシスタントなど、音声のみでの機械操作が挙げられます。手が不自由な方や高齢者などが、キーボード端末を使わずに文字入力をする方法の1つとしても利用されています。

コールセンターでは、お客様とオペレーターのやりとりを即座にテキスト化し、ログを残すなどの用途で使われています。

4. チャットボット

チャットボットとは、「自動会話プログラム」のことで、会話形式で短文のやりとりをおこなうシステムです。「チャット(chat)」と「ロボット(robot)」を組み合わせたものと考えると理解しやすいでしょう。

チャットボット(AI非搭載型)では、設定したルールや規則に従って、一貫した回答を返すことができます。そのため、「よくある質問」の回答案内や、資料請求、商品説明など、単純で定型的な対応に適したシステムといえます。

ただし、チャットボット(AI非搭載型)は、自立学習機能を搭載していないため、回答を自ら学習し、刷新していくことはできません。

5. AIチャットボット

チャットボットの機能にAIを組み合わせたものが、AIチャットボットです。質問への回答をAIが自ら学習し、身に着けることができるため、定型的ではない複雑な質問への回答も可能になります。

また、ユーザーの質問意図を理解することにも長けています。とくに誤字や表現のゆらぎも学習していくため、最終的には、人為的ミスのある文章も理解し対応できるようになります。運用期間が長ければ長いほど、機械学習の回数が増えるため、回答の精度も上がっていきます。

とはいえ正答率を100%にすること難しく、機械学習を繰り返しても、求めているものとは違う答えが返ってくる可能性がある点には注意が必要です。

6. 有人チャットボット

有人チャットボットは、チャットボットの性質を活かしたまま、途中でオペレーターと対応が交代できるシステムです。質問内容が複雑で、チャットボットだけでは対応が難しい時も、オペレーターと交代しチャット機能を使ったままお客様との対応が可能となります。

また、ECサイトに滞在しているお客様にオペレーターからチャットを送り、商品購入率の向上につなげるといった使い方も可能です。

【関連記事】コールセンターの立ち上げ方とは?必要なシステムやポイントを理解しよう

コールセンターでAIを活用する6つのシーン

コールセンターのAI活用シーンは、オペレーターの電話対応前から始まっています。また、SV(スーパーバイザー)業務も、AIを活用することで効率化が期待できます。

ここでは、コールセンターでのオペレーションシーンを例に、AIの活用方法を解説していきます。

1. 電話対応前に「チャットボット」を活用し問い合わせ件数を削減

Webサイトに「FAQシステム」や「チャットボット」を設置すれば、24時間365日、お客様の質問に対応することができます。コールセンターに連絡する前に疑問が解決するため、問い合わせ件数を削減し、業務の負担軽減につながるでしょう。

疑問が湧いたとき、お客様自身ですぐに解決できる方法があれば、顧客満足度の向上にもつながります。とくに定型的な質問が多いコールセンターでは、これらのシステムを活用することで、業務の効率化が期待できます。

また、長期間の運用実績があり、複雑な質問が多いコールセンターでは、自立学習型の「AIチャットボット」の方が相性がよいでしょう。

問い合わせだけではなく、WebサイトやSNS等を通じて商品の営業をおこないたいと考えている場合は、「有人チャットボット」を活用しましょう。必要に応じてオペレーターと対応を切り替えることで、お客様に合わせた商品提案ができるため、売上の増加といった効果も期待できます。

2. 通電待ち時間に「IVRシステム」で問い合わせ内容の振り分け

「IVRシステム」を導入することで、オペレーターにつなぐ前に、問い合わせ内容の振り分けができます。また、商品の再配達や試供品の請求、よくあるお問い合わせなど、有人対応が不要な内容は、IVRシステムのみでも対応が可能です。

オペレーターに繋がる前に担当部署を案内し、ある程度振り分けができれば、質問内容の予想もたてられます。このため、オペレーターのスキルやレベルに合わせた取り次ぎが可能となり、負担の軽減やミスの削減、応対時間の短縮など、品質の担保にもつながります。

オペレーターが全員対応中の場合は、かけなおすように自動案内を入れることで、待ち呼や放棄呼の対策ともなります。

3. 電話対応中は「FAQシステム」や「音声認識システム」で応対品質を均一化

電話対応中は、「FAQシステム」を活用することで、質問に対する回答を瞬時に確認できます。紙ベースのマニュアルはデータ化し、予想される質問と回答を「FAQシステム」にまとめておけば、検索のみで適切な回答にたどり着くことができます。
結果として、マニュアルを探す手間や、SVに回答を確認する時間が短縮できるため、受電率の向上につながるでしょう。

また、アシスタント機能を持った「音声認識システム」を導入すれば、顧客との会話を瞬時に認識し、最適な返答を提案してくれます。そのため、ベテランオペレーターと新人オペレーターの応対品質を均一化することに貢献してくれるでしょう。

さらに、会話内容は即座にテキスト化されるため、通話内容をメモする必要がありません。そのため、会話のみに集中でき、より品質の高い応対が可能となります。また、タイピングスキルの低い人材の活用も期待できるため、パソコンスキルを理由に採用を見送っていた人材の活用にもつなげることができるでしょう。

4. クレームに発展する前に「音声認識システム」で感情の動きを把握

コールセンター業務のなかでも、とりわけ緊張感の高まるシーンがクレーム発生時でしょう。クレームは、「音声認識システム」のなかでも「音声感情認識機能」が搭載されたAIを活用することで、未然に防ぐことができます。

「音声感情認識機能」では、感情を表す言葉の種類で分析する「言語解析」と、声のトーンや強弱から分析する「音響解析」の2つの解析方法を使い、より正確に感情の動きを把握します。「平常」「喜び」「怒り」といった感情の動きをリアルタイムでモニタリングするため、フォローが必要な瞬間を見逃さずに、SVと対応を交代することができます。

「音声感情認識機能」を使えば、クレームへの発展を事前にある程度、防ぐことが可能となるでしょう。

5. 電話対応後処理は「音声認識システム」で効率化

応対終了後の処理は、「音声認識システム」を使うことで効率化することができます。通話内容を逐一文章化するため、顧客情報や注文商品の確認のために通話ログを聞き直したり、メモを読み返したりする必要がありません。

さらに、対応履歴の手入力が不要となるため、平均処理時間(AHT)を短縮し、結果として応答率の向上につながります。

6. SV業務は複数のAIを活用することで負担を軽減

SV業務のなかでも、とりわけ品質管理や新人教育の分野でAIを活用できます。

品質管理では、「音声認識システム」により、テキスト化されたオペレーターの通話記録を確認できるため、応対品質の改善や向上が期待できます。音声ログを一つひとつ確認するよりも、作業時間が短縮できるでしょう。

また、クレームにつながったテキストを分析することで、顧客満足度の低下につながる応対を事前に把握できるため、クレーム発生の防止に努めることができます。

新人教育では、「音声認識システム」や「FAQシステム」の活用が有効です。優秀なオペレーターの対応をすぐにテキスト化できるため、わざわざ文字起こしをして、トークスクリプトを作成する必要がありません。

また、「FAQシステム」の回答を整えておけば、マニュアルでは想定していない、実践的な回答への対応が可能です。SVへのエスカレーション(※1)数を減らすことにつながるでしょう。

※1:オペレーターによる一次対応が困難なとき、SVなどの専任者が応対すること

コールセンターでAIが普及している背景

クレームや業務過多など、コールセンターでは、オペレーターにかかる負担が大きくなる傾向にあります。コールセンターでAIが普及している背景には、コールセンターの抱える課題の解決手段として、AIが好相性であることが挙げられます。コールセンターの抱える課題をもとに、普及の背景を解説しましょう。

オペレーターの人材不足が解消できる

オペレーターにかかる負担が大きくなりやすいコールセンターでは、離職率が高い傾向にあります。また、新人オペレーターを採用しても、教育には時間もコストもかかります。本来ならしっかりと教育した後、現場対応ができれば良いものの、人手不足のため、未熟な状態で現場の応対をしなければいけないのが現状です。

不慣れな状態で電話応対をすれば、顧客満足度の低下につながり、新人オペレーターのストレスにもなります。このような状態では、新人オペレーターが早期に離職してしまい、既存のオペレーターで対応するという、人材不足の悪循環から抜け出せない状態となってしまいます。

そこで、24時間365日対応できるAIを導入すれば、問い合わせ件数の削減が可能となります。そのため、現場の業務過多によるストレスを解消でき、新人教育にあてる時間の確保にもつながるでしょう。

オペレーターの応対品質を均一化できる

応対品質のばらつきも、コールセンターの抱える課題の1つです。ベテランオペレーターと新人オペレーターで対応に差が出てしまうのは、ある程度は仕方がありません。しかし、前回と今回の対応であまりに大きな違いが出てしまうと、企業への不信感が増すだけでなく、最悪の場合クレームにもつながりかねません。

とくに、顔の見えないコールセンターでは、応対品質を均一化することが顧客満足度の向上にもつながります。AIを活用すれば、ベテランオペレーターと新人オペレーターの応対品質の差を埋めることが可能となります。

単純な問い合わせは、応対品質が均一なAIが対応し、対人の電話対応については、新人オペレーターをAIがサポートすることで、ベテランオペレーターに近い対応が可能となるでしょう。

オペレーターの負担軽減・業務効率化が期待できる

業務の効率化も、コールセンターでAIの普及が進んでいる理由です。人手不足が慢性的なコールセンターでは、業務を効率化し、既存オペレーターの負担を削減することも課題です。

問い合わせ件数の削減、後処理の時間短縮、品質確認の効率化など、単純な仕事や、大量のデータを処理する仕事をAIに任せることで、人間が対応すべき複雑な業務に専念できます。

対応できる範囲が広がり顧客満足度向上につながる

AIは、24時間365日休むことなく、お客様の疑問に対応できます。そのため、コールセンター終業後の時間帯でも、チャットボットですぐに疑問を解決できる環境を整えることで、顧客満足度の向上が期待できます。

AIの導入により、オペレーターの対応数が減り、余裕が出来る点も大きなメリットです。オペレーターは難しい質問なども丁寧に対応できるようになるため、顧客満足度の向上につながるでしょう。

コールセンターのAI導入での課題と対策

コールセンター業務はAIを上手に活用することで、業務の効率化や顧客満足度の向上が見込めます。しかしながら、AIは活用できなければ、無駄なコストとなり、導入することで新たに生まれる課題もあります。コールセンターにAIを導入する際に発生する課題と対策を紹介します。

コールセンターの業務とAIの相性を考える

新たにAIの導入を検討する際は、本当にそのコールセンターの業務と相性が良いのか確認しましょう。例えば、定型的な質問が多いなか、一次受付をオペレーターが対応しているなら、チャットボットを導入することで、問い合わせ数の削減が見込めるでしょう。

しかしながら、複雑な問い合わせが多く、営業色の濃い会話が必要となる場合は、AIを導入しても思うような効果は期待できないかもしれません。失敗を避けるためにも、該当のコールセンターの業務内容と、AIのできることを照らし合わせ、本当に活用できるか検討してから導入するようにしましょう。

AI導入のコストを取り返せるかどうかを見極める

活用するAIによって、導入にかかるコストは大きく異なります。月額数千円のものから、オーダーメイドだと数百万円近いものまでさまざまです。

また、月額利用料のみの場合も、件数に応じてプラン料金が異なるオプション機能を追加できるなど、料金体系は多岐にわたります。そのため、AIの導入を検討する際は、費用対効果を見極めることが大切です。

回答データを豊富に用意してAIに機械学習をさせる

機械学習では大量のデータが必要になります。そのため、回答データが蓄積されていないコールセンターでは、AIを導入しても利用範囲が限られてしまうでしょう。

また、AIに機械学習をさせる際は、データセットが統一されていることが前提となります。データは大量にあっても形式がバラバラとなると統一が必要となり、導入前に多くの手間がかかってしまう可能性があります。

AIの判断誤りが発生した際の責任の所在を明確にする

AIの初期設定に誤りがあった、機械学習で「正しい」と判断された内容も実は間違っていた。このように、AIだからといって100%正確に判断できる訳ではありません。とくに、運用の初期段階では予想もしていないトラブルに見舞われ、お客様に迷惑をかけることもあるでしょう。

大きな問題に発展させないためにも、AIが誤った回答をしてしまったとき、だれが対応をするか、責任の所在を明確にしておきましょう。

オペレーターとAIの業務の棲み分けをはっきりさせておく

導入後はAIが担当する業務と、オペレーターが主導となる業務の線引きを明確にすることが大切です。定型的な業務や大量のデータを処理する業務はAIにまかせて、複雑で臨機応変な対応や、深く考える時間が必要な業務は人がおこなうなど、線引きを明確にしておきましょう。

導入後のチューニング・システム管理担当者を決める

AIは導入すればそれで終了というわけではありません。正確な対応や回答をお客様に提示するためには、導入後もこまめなチューニングが必要です。導入後のチューニング担当者と、システムを管理する担当者を事前に決定しておくことが望ましいでしょう。

シーンや目的に合ったAIを選びコールセンター業務を効率化しましょう

AIを活用することで、コールセンターの業務を効率化できるだけでなく、顧客満足度の向上につなげることもできるでしょう。ただし、AIの機能とコールセンターの業務には相性があります。どれを導入すれば良いかわからない場合は、無料トライアルを申し込んだり、相談して無料見積もりを出してもらったりなど、いくつか試してみて相性の良いものを探しましょう。

また、AIを導入することで新たに生まれる課題もあります。とくに、AIのミスはだれが責任を取るか、オペレーターとの業務の棲み分けはどうするのかを事前に決定しておくとよいでしょう。AIは万能ではなく、あくまで補助であり、人間が活用することで業務を効率化する方法の1つであるということを忘れないようにしましょう。

また、AIを導入する前に、自社に合ったCTIシステムをちゃんと導入できているのか確認しておきましょう。
以下の記事ではCTIシステムを幅広く紹介しています。これから新しくコールセンターの立ち上げを考えている方や、システムを見直したい方はぜひチェックしてみてください。

【関連記事】CTIシステム比較33選!価格や機能を紹介【クラウド型もあり】

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