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企業におけるコールセンターの5つの役割
企業において、コールセンターは問い合わせの窓口としてだけでなく、システムや使い方などのサポート、サービスの案内・営業、満足度などの調査といったさまざまな役割を担っています。コールセンターの代表的な5つの役割を解説します。
1. 注文受付
コールセンターには、顧客から電話で商品の注文を受けたり、サービスの加入申し込み手続きをしたりなど、注文受付の役割があります。コールセンターで商品の決定から支払い方法の確認、注文の確定、クロージングまで対応します。
注文対応以外にも、他部署への電話取り次ぎや、問い合わせ対応、カスタマーサポートなど、複数の役割を担うこともあります。
2. 問い合わせ窓口(カスタマーサポート)
コールセンターのもう一つの役割は、自社の商品やサービスについての問い合わせ、疑問や相談に対応する窓口です。「お客様相談窓口」などの名称で多くの企業に設置されています。
顧客の疑問や悩みの解決は、顧客満足度を左右する重要な要素です。そのため、自社の商品やサービスに関する詳細で正確な知識が必要なだけでなく、親切で丁寧な応対が求められるポジションといえます。
3. ヘルプデスク
ヘルプデスクも、コールセンターの役割の一つです。操作方法やオフィス機器の使い方など、システム系の基本的なサポートと、一次受けを担当します。一般の顧客だけでなく、社内からの問い合わせを受ける窓口もあります。
機械の操作方法を音声のみで指示するため、思うように理解してもらえない場面もあります。そのため、オペレーターには説明能力の高さだけでなく、丁寧に粘り強く説明する能力も求められます。ヘルプデスクのみで解決できない専門性の高い問い合わせは、「テクニカルサポート」を担当するチームにエスカレーション(※1)することで解決を図ります。
※1:コールセンターなどにおいて、一次対応するオペレータの力量を超える場合に、専任の担当者に対応の引継ぎをおこなうこと。
4. 営業(テレアポ)
コールセンターは、顧客に直接電話をかけ商品やサービスの案内をする、営業の役割も担っています。また、商品のサンプルを提供するアポイントメントを取り、後日営業担当者が対応するといった営業方法などがあります。
詳細については後述しますが、アウトバウンド(架電)型のコールセンターの多くは、営業が主な役割となります。
5. マーケティング(テレマ)
マーケティングでは、自社商品を使った顧客に電話連絡をして、満足度や購入理由などの聞き取り調査をおこないます。架電対象者は、アンケートなどにより事前に選定し、電話連絡のみで調査を終えることもあれば、電話調査を元にインタビューや座談会などを開催し、より詳細な市場調査をおこなうこともあります。
企業のコールセンターはインバウンドとアウトバウンドの2種類がある
コールセンターの種類は、インバウンド(受電型)と、アウトバウンド(架電型)の大きく2つに分けられます。インバウンド型のコールセンターでは「顧客からかかってきた電話を受ける」ことが多く、アウトバウンド型のコールセンターでは「顧客に電話をかける」ことが多いという違いがあります。それぞれの特徴について解説しましょう。
インバウンドは顧客から電話を受けるコールセンター
インバウンド型のコールセンターでは、顧客からかかってきた電話を受けることが主な仕事です。例としては、問い合わせ窓口やヘルプデスクが挙げられます。顧客は明確な目的があって電話をかけてくるため、顧客ごとの状況や要望に合わせた対応力が求められる形式です。
インバウンド型のコールセンターの運営では、応答率の向上や、稼働率の改善、オペレーターの教育が重要となります。そのため、KPIを用いた目標ラインの管理や、マニュアルの整備などが大切です。
また、問い合わせ窓口が細かく分かれていない場合であれば、電話がかかってくるまで、質問内容や顧客情報、もしくはクレームであるか判明しません。そのため、オペレーターには商品知識や応対スキルのほか、臨機応変な対応能力が求められます。
アウトバウンドは顧客に電話をかけるコールセンター
アウトバウンド型のセンターは、顧客に電話をかけることが主な仕事であり、営業電話(テレアポ)がメインのコールセンターといって差し支えないでしょう。突然顧客に電話連絡をするため、当然ながら、話を聞いてもらえるのはごくわずかとなります。
スタート時点では顧客との距離が遠く、その状態から成果に繋げていく必要があります。また、一度の電話で結果を出そうとはせず、興味を持ってくれた顧客に資料を送付する、後日再度連絡し状況を確認するといった粘り強いフォローも必要です。
アウトバウンドコールセンターを運営する際は、商品やサービスの魅力を伝える営業トークのほかに、架電数、処理時間、売上高の管理などが重要となります。そのため、ターゲットを絞ったトークスクリプトの作成や、適切なKPIの目標設定が有効といえるでしょう。
トーク内容はある程度固定されており、練習が容易な半面、1日に何件も電話をかけては断られるため、精神的なタフさも必要となります。
CTIは業務の効率化、CRMは営業活動を最適化するツール
CTIとCRMは、どちらもコールセンターを運用する上で活躍するシステムです。CTIを導入すると、オペレーターは受話器を使わず、コンピューターを用いた電話の発着信、通話ができるようになります。
一方、CRMは顧客情報を管理し、営業活動や顧客対応をサポートするツールです。これら2つを統合することで、業務をより効率的におこなえるでしょう。
CTIとはコンピューターと電話回線の統合
CTIとは、「Computer Telephony Integration」の略称で、「コンピューター電話統合」とも訳されます。コンピューターと、FAXやモデムなどの電話回線周辺装置を統合する技術、またはその技術を使ったシステムを指します。
これらの装置を統合することで、オペレーターは受話器を使わず、コンピューターに接続されたヘッドセットから電話の発着信、通話ができるようになります。企業のコールセンターシステムを構成する要素の1つです。
CRMは顧客情報の管理システム
CRMは「Customer Relationship Management」の略称で、「顧客関係管理」などと訳されます。CRMはマネジメント手法の1つとして語られることもありますが、現在では「顧客情報を管理するシステム」を指すことが多くなっています。
CRMで管理できる代表的な情報は下記の通りです。
- 顧客情報管理(住所・氏名・購入履歴など)
- アナリティクス(売上に繋がる活動の分析)
- 問い合わせ管理(問い合わせ内容の把握)
- メール配信(メルマガや新商品、セール情報の自動配信)
このほかにも多くの機能がありますが、CRMは企業の営業活動や顧客対応などの顧客との関係構築を円滑に進めるためのデータを一元管理し、分析などによりサポートするツールです。
CTIとCRMを連携すれば業務の効率化と顧客満足度の向上が期待できる
CTIは業務の効率化を、CRMは最適な顧客管理を目的として利用されます。そのため、CTIとCRMは連携させることで、コールセンター業務を効率化できるだけでなく、顧客満足度を高めることも可能となるでしょう。
例えば、インバウンドでは、顧客情報や購入履歴を即座に表示できるため、顧客を待たせることなく、迅速で的確な回答が可能となります。
また、アウトバウンドでは、顧客への架電履歴をリアルタイムでほかのオペレーターと共有できるため、日に何度も同じ顧客へ連絡するといった失敗を避けられます。さらに、3カ月おきなど、適切なタイミングでの連絡が可能となります。
さらに、連携可能なCTIとCRMを使うことで、通話内容のモニタリングや営業電話の採点など、より幅広い機能を利用できます。
コールセンターの運営に求められる5つのスキル
一般的に、コールセンターには数十人から数百人もの人員が所属します。そのようなコールセンターを運営し、業績を伸ばしていくためには、運営者のスキルも重要です。ここではセンター長やSVといった、コールセンターの管理者に求められる5つのスキルについて解説します。
1. 経営スキル
コールセンターの業績を伸ばしていくためには、経営者目線での判断が必要です。過剰にオペレーターを動員しては、コストがかさんでしまいます。
反対に、少ない人数で現場を回せばオペレーターの負担を増やすことになり、品質の低下だけでなく、離職の増加も招いてしまうでしょう。そのため、生産性を最大化するための最適な人員配置を判断できる能力が必要となります。
2. リーダーシップ
コールセンターの規模によっては、何百人も部下を抱えることになります。部下の目指す方向を統一するためには、組織の一体感を高めるリーダーシップも欠かせません。
オペレーターの教育やモチベーション維持、作業を効率化するための施策を検討するなど、幅広い業務に対応できる能力が必要です。
3. コミュニケーション能力
企業内部のコールセンターであれば、他部署や他社と意見を交換する場面もでてきます。また、運営者は、オペレーターなど、大勢の部下の状態や働き方の把握も必要となります。このように、仕事において多くの人と関わる必要があるため、コミュニケーション能力は必要不可欠です。
また、難易度の高いクレームの処理が必要な場面もあるでしょう。会話が円滑に進められるだけでなく、交渉能力や説得力も必要となります。
4. 分析・解決スキル
コールセンターでは、応答率や平均処理時間など、数値を用いた現場管理を徹底しています。そのため、客観的な指標による現状分析能力も欠かせません。KPIを設定するだけでなく、目標を達成できなかった場合の現状と課題を分析することも大切です。
また、分析だけで終わらず、目標達成のためになにが必要か、解決策を考え、実行する能力も求められます。
5. 人材育成スキル
コールセンターの管理者は、オペレーターだけでなく、SVやマネージャーなど役職者の育成も課題となります。人材育成は、生産性を向上する最も現実的な手段の一つです。
マニュアルなど基本的な教育はもちろん、個々の人員が何を苦手としているかを把握して、一人ひとりに合わせた最適なフォローをすることで、サービス品質の向上や、モチベーション低下による退職を防止することにつながります。
そのためにはロールプレイングによる教育やノウハウの共有など、適切な育成方法を選んで実施する能力が必要です。
コールセンターの種類と役割を理解し、適切に運営しましょう
コールセンターを運営するうえで必要となる基本的なスキルは変わりませんが、インバウンドかアウトバウンドかによって、目標とする指標は異なります。運営するコールセンターが担う役割を理解し、その役割を達成を補助するツールを上手に活用することで、効果的な運営をおこなうことができます。
また、以下の記事では、CTIシステムとCRMシステムを幅広く紹介しています。システムの見直しや導入を検討されている方はぜひチェックしてみてください!