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NetSuiteとは

NetSuite(ネットスイート)とは、ネットスイート社によって開発され、現在はオラクル社が提供するクラウドERPパッケージです。
NetSuiteには、販売管理、生産管理、会計管理、顧客管理など、さまざまな基幹業務を効率化するためのシステムがオールインワンで搭載され、1つの管理画面で運用できます。
業務によって異なる業務システムを運用したり、部署によって業務システムがばらばらだったりすると、業務効率が低下する恐れがあります。
数あるプラットフォームのなかでも、NetSuiteはERP、CRM、eコマースの3つのモジュールが結合されたオールインワンパッケージです。
NetSuiteを導入し、これまでばらばらに運用していた業務システムを1つに集約することで、業務効率の大幅な向上が期待できます。
また、NetSuiteは国籍や業種を問わずに導入できることや、導入にあたってのトレーニングプログラムを受けられるのも大きな特徴です。
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NetSuiteの特徴|ポイントを押さえて解説
NetSuiteの特徴は、大きく3つのポイントに分けられます。
ここでは、そのほかのクラウドERPパッケージと比較したNetSuiteの強みを解説していきます。
1.ビジネスを推進するさまざまな製品を提供
多くのITサービスは、販売管理、生産管理、会計管理、顧客管理など、単一の業務システムのみを提供しています。
また、ほかの機能を利用するため、外部サービスやサードパーティの製品との連携を求められるケースも少なくありません。
オラクル社のNetSuiteの特徴は、ERP、CRM、eコマースの3つのモジュールを内包し、複数の業務システムを1つの管理画面で一元管理できる点です。
部署ごとに最適化されたダッシュボード画面が用意されているため、業務システムの組み合わせも自由自在です。
たとえば、CRMからERPへ顧客情報を渡して経営判断に役立てたり、CRMで実施した顧客分析をもとにeコマースをかしこく運用したりと、NetSuiteにはオールインワンパッケージならではの柔軟性があります。
2.企業規模や業種に応じた柔軟なシステム設計が可能
NetSuiteは1997年のサービス開始以来、さまざまな企業規模や業種の企業に導入され、高い効果を上げてきました。
立ち上げから間もないベンチャー企業やスタートアップから、さらなる事業拡大を狙う業歴の長い企業まで、NetSuiteは企業規模や業種を問わず導入できます。
NetSuiteは定期的な機能追加やアップデートがおこなわれるほか、柔軟なシステム設計が可能なため、自社の状況に合わせたカスタマイズが可能です。
また、NetSuiteは20以上の言語と190種類以上の通貨や法規制に対応していることから、グローバル企業や海外進出を目指す企業にも適したクラウドERPパッケージであるといえるでしょう。
NetSuiteを通じて複数の海外拠点を結び、機能を一本化することで、スムーズにグローバル展開を推し進められます。
3.NetSuiteを使いこなすためのトレーニングプログラムがある
ERPを導入したときの課題の1つは、運用体制をどうするかという点です。
管理者にERPの運用経験がない場合、ERPのカスタマイズやメンテナンスがうまくいかず、製品を購入してもなかなか導入効果が出ないケースが少なくありません。
しかし、NetSuiteなら、ERPの運用を学ぶことを目的としたトレーニングプログラムがあるため、初めての方にも安心です。
NetSuiteのトレーニングプログラムは、いずれも2日や3日程度の短期間で受講することができます。たとえば次のようなコースがあります。
コース名 | 目的 | 期間 |
---|---|---|
Administrator Fundamentals | NetSuiteの管理者として、自社に合わせてシステム設計をおこなうための基礎技術を得る | 2日間(9:00~17:00) |
ERP Fundamentals | NetSuiteの基本コンセプトを知り、実際に運用していくうえで必要な基礎技術を得る | 3日間(9:00~17:00) |
SuiteAnalytics | 実践演習を通じ、NetSuiteの分析機能であるSuiteAnalyticsを活用するための基礎技術を得る | 2日間(9:00~17:00) |
SuiteFlow Fundamentals | NetSuiteのワークフローエンジンSuiteFlowを活用し、業務効率化に必要な基礎技術を得る | 2日間(9:00~17:00) |
NetSuite CRMの機能や使い方
さまざまな機能を持つNetSuiteのなかでも、顧客管理(CRM:Customer Relationship Management)のためのモジュールがNetSuite CRMです。
NetSuite CRMを導入することで、どんなことができるのでしょうか。
ここでは、NetSuite CRMにはどんな機能があるのか、どんなシーンで活用できるのかを解説します。
営業支援(SFA)
NetSuite CRMの営業支援(SFA)機能は、さまざまな営業プロセスを統合し、システム上で一元管理できる機能です。
過去の商談を記録し、ベストプラクティスを社内で共有できる「商談管理」や、リアルタイムに売上予測をおこなう「フォーキャスト管理」など、営業活動を可視化し、生産性を高めるための機能がそろっています。
マーケティングプロセスにおける見積もりから受注、クロージングまでのシーンで、幅広く活用できるのがNetSuite CRMの営業支援機能です。
【関連記事】SFAとは?機能やメリットなどを徹底解説!システム比較も!
カスタマーサービス管理
顧客と良好な関係を築き、顧客満足度を高めるのに役立つのが、NetSuite CRMのカスタマーサービス管理機能です。
過去のサポートケースを整理し、問い合わせ対応のリードタイムを短縮する「ケース管理」や、顧客にパーソナライズされたサポートの場を提供する「カスタマーポータル」など、カスタマーサービスの効率化に役立つ機能がそろっています。
サービスコストを削減しつつ、既存の顧客を手厚くケアし、新規顧客開拓コストを抑えられるという利点もあります。
マーケティングオートメーション(MA)
見込み顧客(リード)をリストアップし、優良顧客へ育成するマーケティングプロセスに役立つのが、NetSuite CRMのマーケティングオートメーション(MA)機能です。
高精度なターゲティングに基づき、メール送信やキャンペーン実施を効率化する「キャンペーンとEメール管理」や、目に止まりやすいランディングページやWebフォームを作成する「ランディングページとフォーム」により、従来のマーケティングのムダをなくし、リードをすばやく顧客化できます。
パートナー管理
大切なビジネスパートナーとの協力関係を深め、顧客単価の向上につながるのが、NetSuite CRMのパートナー管理機能です。
既存パートナーの登録やリードの追跡をおこなう「リード管理」や、パートナーの活動を追跡し、事業活動をサポートできる「共同デマンドジェネレーション」など、パートナーとのパイプラインを強化し、共同事業の収益性を高めるための機能がそろっています。
【関連記事】CRMの機能一覧|職種別に基本機能を徹底解説!
NetSuite CRMの価格
NetSuiteの料金形態はライセンス契約です。
NetSuiteのライセンスは、サービスの契約に当たって必要な「基本ライセンス」と、NetSuiteを利用するユーザー1人につき必要な「ユーザーライセンス」の2種類です。
たとえば、30名程度の規模のチームでNetSuiteを運用する場合、基本ライセンスの料金に加えて、30名分のユーザーライセンスが必要です。
なお、基本ライセンスにはユーザーライセンスが1つ含まれているため、料金が発生するのは29名分のユーザーライセンスとなります。
そのほか、別途サポート契約を締結する場合は、利用料金の総額の27.5%の料金が発生します。
NetSuite CRMを利用する場合の具体的な価格については、各エディションによって異なるため、利用前に公式サイトからお問い合わせください。
また、オラクル社のホームページから、資料をダウンロード可能です。
NetSuite CRMの評判を3つの導入事例からチェック
ここでは、NetSuite CRMを実際に導入し、業務効率化や経営課題の改善を達成した事例を3つ紹介します。
独自のeコマース流通事業を確立|プリアップ社
eコマースの中間流通会社であるプリアップ社の事例では、同社がメインでプラットフォームとするAmazonでの商品管理を目的として、NetSuiteを導入しました。
販売企業とプラットフォームを結びつけ、膨大かつ多品種の商品を管理するには、効率的な商品管理システムが欠かせません。
また、「どのような商品が消費者のニーズにマッチするか」「どのような色やデザインが好まれるか」といった購買予測をおこない、中間流通を最適化するためには、顧客分析機能や顧客データベースを持つCRMも必要です。
ERP、CRM、eコマースの3つの機能を内包するNetSuiteの導入により、競争力の高いビジネスモデルの構築に成功しました。
参考:eコマース専門の流通業におけるクラウドerp活用事例 – 株式会社プリアップ
煩雑なオペレーションから解放|トムソン・ロイター・プロフェッショナル社
トムソン・ロイター・プロフェッショナル社では、海外企業との取引の増加を受け、販売管理システムの海外対応を進めていました。
他社のCRMを導入したところ、過去の顧客データとの連携ができず、新たに顧客データベースを導入する必要に迫られました。
また、販売管理システム、CRM、顧客データベースの3つのシステムの互換性が低く、手動でのデータ移行が必要になったため、同社はオールインワンパッケージのNetSuiteの導入を検討しました。
結果として、NetSuiteだけで顧客管理(CRM)と販売管理を結び付けられ、業務効率が大きく改善しました。
また、NetSuiteは20以上の言語と190種類以上の通貨や法規制に対応しているため、海外対応という当初の目的も達成しました。
参考:導入事例 – トムソン・ロイター・プロフェッショナル株式会社 トムソンブランディ事業部 | NetSuite
バックオフィス工数を大幅に削減|BoCo社
骨伝導技術の研究開発をおこなうBoCo社は、業務拡大とグローバル展開を見据え、NetSuiteを導入しました。
同社は設立2年のベンチャー企業のため、バックオフィスの人員が少なく、いかに少ない人員で在庫管理、生産管理、顧客管理、財務会計といったバックオフィス業務をこなすかが課題でした。
従来はExcelでバックオフィス業務をおこなっていましたが、クラウドERPパッケージのNetSuiteに切り替えたところ、作業の無駄やロスが減り、少ない人員で効率的にバックオフィス業務をこなせるようになりました。
人、モノ、資金が限られているベンチャー企業だからこそ、ITシステムの導入による経営の合理化が欠かせません。
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NetSuite CRMを導入してマーケティング活動を成功させよう!
ここまで、NetSuite CRMの特徴や機能、料金について解説しました。
NetSuite CRMには、「営業支援(SFA)」「カスタマーサービス管理」「マーケティングオートメーション(MA)」「パートナー管理」の4つの機能があります。
見込み顧客のリストアップから、顧客との長期的な関係構築まで、NetSuite CRMだけで完結するのが強みです。
新しくツールやサービスを導入するときは、自社に合うかどうか事前に検討することが大切です。
本記事で紹介した導入事例を参考にし、自社の経営課題を念頭に置いて、サービスの比較検討をおこないましょう。