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Dynamics 365とは

Dynamics 365は、マイクロソフト社が提供する、CRM/ERP統合型ビジネスアプリケーションです。
シンプルでわかりやすい画面構成で操作性に優れ、拡張やカスタマイズも容易にできる柔軟性が魅力です。また、社内で蓄積されたデータやノウハウを反映させ、一元管理することが可能です。
クラウド型と設置型、2つの導入方法に対応しており、41カ国の言語をサポートしています。全世界で42カ国、42,500社以上の導入企業、440万人以上のユーザー数を誇るCRMのスタンダードといってもいいでしょう。
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Dynamics 365の特徴|ポイントを押さえて解説
Dynamics 365には、さまざまな管理業務に役立つ機能も備わっています。企業内で共有することで、各部門とのスムーズな連携が実現するでしょう。また、Microsoft Officeとの連携が容易で、使い慣れたインターフェースで業務が遂行できるところも魅力の1つです。
以下ではそんなDynamics 365の特徴について、3つのポイントにわけて詳しく紹介します。
1. CRM機能だけでなくERP機能も兼ね備えたツール
Dynamics 365には、マーケティング、セールス、カスタマーササービス、フィールドサービスなどの充実したCRM機能が備わっています。さらに、プロジェクト会計や流通小売、製造管理販売、購買・売掛金管理、販売・売掛金管理、サプライチェーン管理、会計管理といった経営資源を統合的に管理するERP機能も兼ね備えています。
2. Microsoft Officeとの連携
すでにMicrosoft Officeを導入している場合、Dynamics 365とアカウントを併用することも可能です。
Outlookの予定表や連絡帳の同期のほか、SharePointの同期機能を利用すれば、WordやExcel、PowerPointのドキュメントをDynamics 365で一元管理できるので、請求書や見積書などの重要書類をまとめて管理できるようになります。
Outlookで入力したデータは自動的にデータ化され、システムに蓄積されます。従来のCRM導入時にかかっていた習得時間を大幅に短縮できます。
3. 顧客のインサイトに基づいたサービス提供を可能に
Dynamics 365では、顧客からの問い合わせや対応状況、現在のステータスなどを紐付け管理できます。顧客ごとの対応履歴や商談の進捗状況を把握しやすくなるため、顧客に合わせた対応を迅速にとることができます。
また、蓄積された顧客データから、効果的なマーケティングパフォーマンスを抽出し、アプローチリストを作成すれば、顧客インサイトに基づいた、効果的なサービス提供が可能になります。
Dynamics 365の機能・使い方
先述のとおり、Dynamics 365には多くの機能が搭載されています。
さまざまな業務をデジタル化できるので、業務効率化と生産性向上が実現できるでしょう。
Dynamics 365の具体的な使い方について、営業、マーケティング、サービス、財務、オペレーション、商業・小売、人事の7つの項目に分類してそれぞれ解説します。
1. 営業|販売活動をデジタル化
Dynamics 365は、見込み顧客や取引先企業の管理から商談管理、活動管理、ダッシュボード機能といった機能を搭載しており、次のように営業活動をデジタル化することが可能です。
- 見込み客の属性や行動状況を分析し、アプローチの重要度を点数化するスコアリング
- 営業案件や目標達成状況をひと目で確認できるダッシュボード
- フィルタリング機能やグラフ化によって顧客の登録状況をさまざまな角度から分析・管理
また、OutlookやExcelなど、使い慣れたツールとの連携も可能です。営業活動に必要な事務作業を自動化することで、営業担当者の負担を大きく軽減できるでしょう。
2. マーケティング|カスタマーエクスペリエンスをパーソナライズ化
Dynamics 365には、見込み客獲得のためのマーケティング活動を支援する機能も搭載されています。
主な機能は、見込み客管理やリードスコアリング、統合顧客DB構築、キャンペーン管理、ROI、イベント・セミナー管理、マーケティング分析などです。
具体的には、ウェブイベントやキャンペーン、メールマーケティングといった販売活動を通じて、カスタマーエクスペリエンスをパーソナライズ化し、見込みの高いリードを獲得します。
また、Microsoft Officeとの連携によって顧客情報を一元化し、社内で共有することで、営業チームとの連携をスムーズになります。見込み客(リード)ごとにフォローアップを自動化し、進捗を追跡することも可能です。
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3. サービス|顧客に最適なサービスを提供
Dynamics 365のカスタマーサービスは、コールセンターや問合わせ管理のほか、保守契約管理やナレッジ管理、セルフサービスポータル、フィールドサービス管理、メールルーティングなどの機能が搭載されています。
コールセンター機能、問い合わせ管理は、オペレーターが迅速に顧客からの質問に回答できるよう、シンプルで直感的な画面操作が可能な画面が特徴です。
また、市場で学習したAIフレームワークと連携することで、顧客対応を自動化することも可能です。24時間対応のセルフサービスやボットによってタイムリーかつ迅速に問題を解決できます。顧客が必要なときに必要な回答を素早く提供できれば、顧客満足度も向上するでしょう。
4. 財務|煩雑なプロセスを自動化
Dynamics 365にはCRMだけでなく、ERP機能も搭載されています。複雑で煩わしい財務会計業務のプロセスを統合、自動化し、効率的でスムーズな業務遂行を実現します。
主な機能はプロジェクト会計や会計管理、製造管理、購買・買掛金管理、販売・売掛金管理、サプライチェーン関係などです。世界中で利用可能なため、グローバルなビジネスを展開する企業にも最適です。
5. オペレーション|事後対応から事前対応へ
Dynamics 365では、IoTとAIを活用して、事前対応型のフィールドサービスを提供しています。主な機能は、ディスパッチ、移動経路を自動検索、契約管理などです。
サービスタスクや必要パーツをマスタ化することで、作業手順や作業時間を標準化しています。作業場所やスキル、リソース状況から適した技術者を割り当てることが可能です。専用のモバイルアプリを使ったオンサイト作業で、現地での作業時間を短縮するとともに、ペーパーレス化を実現します。
顧客と締結した保守契約内容は、Dynamics 365のシステム上ですべて管理できます。定期作業の予定や請求データを自動作成できるようになるため、業務の短縮化を図れます。
6. 商業・小売|ブランドロイヤリティを構築
Dynamics 365 Commerceでは、店舗やバックオフィス、コールセンターのほか、Eコマースなどデジタル経験を統合したオムニチャネルソリューションを提供します。
顧客一人ひとりの属性や購買履歴、行動履歴、嗜好に合わせたコンテンツを提供することで、最適な運用の実現が可能です。顧客との信頼関係や従業員の生産性を向上し、ブランドロイヤリティを高めます。
7.人事|従業員の管理作業を低減
Dynamics 365では、人材マスタ管理や組織階層管理、パフォーマンス管理、トレーニング管理、採用管理、福利厚生管理といった機能を搭載し、適切な人材管理を支援します。
データ化した従業員情報(キャリアやスキル管理、目標設定など)のプロファイリングほか、Microsoft OfficeやLinkedInとの連携によって、新たな人材確保や育成までを幅広くサポートし、企業の収益化につなげます。
また、従業員自身がプロフィールの設定を更新したり、休暇申請したりできるよう設定することも可能です。
【関連記事】CRMの機能一覧|職種別に基本機能を徹底解説!
Dynamics 365の価格
これまで、Dynamics 365の特徴や機能について解説しました。
ここでは、Dynamics 365の各プランの価格を紹介します。
さまざまなプランがありますので、まずはビジネスの優先順位にあわせたプランを選び、自社のニーズやペースにあわせて拡張していくことをおすすめします。なお、2つ目以後の価格はこれより安価になったり、別の割引サービスなどが適用できたりする場合もあります。
プラン | 月額料金/1テナントあたり |
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カスタマーインサイト | 163,070円〜 |
カスタマーボイス | 21,740円〜 |
プラン | 月額料金/1ユーザーあたり |
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セール プロフェッショナル | 7,070円 |
セール エンタープライズ | 10,330円 |
セール プレミアム | 14,680円 |
Microsoft リレーションシップセールス | 17,576円 |
プラン | 月額料金/1ユーザーあたり |
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カスタマーサービス プロフェッショナル | 5,440円 |
カスタマーサービス エンタープライズ | 1,330円 |
フィールドサービス | 1,330円 |
リモートアシスト | 7,070円 |
プラン | 月額料金/1テナントあたり |
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マーケティング | 16万3,070円〜 |
プラン | 月額料金 |
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コマース | 19,570円 / 1ユーザーあたり |
フラウドプロテクション | 108,715円/ 1テナントあたり |
プラン | 月額料金 / 1ユーザーあたり |
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サプライチェーン マネジメント | 19,570円 |
ガイド | 7,070円 |
プラン | 月額最低料金 / 1ユーザーあたり |
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ファイナンス | 19,570円 |
プラン | 月額最低料金 / 1ユーザーあたり |
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プロジェクトマネージメント | 13,050円 |
プラン | 月額料金 / 1ユーザーあたり |
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ビジネス セントラル エッセンシャルズ | 7,610円 |
ビジネス セントラル プレミアム | 10,870円 |
カスタマーサービス プロフェッショナル | 5,440円 |
セール プロフェッショナル | 7,070円 |
Dynamics 365の評判
Dynamics 365を導入することで、従来の業務をデジタル化し、これまでの課題を解決できるだけでなく、ビジネスに変革を起こせるようになります。ここでは、Dynamics 365の導入によってスピーディーな経営判断ができるようになった資生堂社の事例と、業務が効率化した本田技研工業社の事例をご紹介します。
国内外でシステム統合をおこない業務を効率化|資生堂社
資生堂社は、日本とタイで提供するヘアサロン向けのプロフェッショナル事業において、基幹系業務システムをDynamics365 for Finance and Operationsに刷新しました。
国内とタイのデータを一元管理することで、日本でもタイの現地の経営状況を随時確認できるようになりました。業務プロセスをスムーズに見直せるようになったことで、スピーディーな経営判断や業務の標準化、物流コスト軽減につながりました。
参考:株式会社資生堂様 Microsoft Dynamics 365 統合ERP構築サービスの導入事例やシステム構築例を紹介|事例紹介|株式会社日立ソリューションズ
営業活動から納入までの業務をDX化|本田技研工業社
本田技研工業社の法人営業部もDynamics 365を導入し、デジタルトランスフォーメーションに取り組みました。
営業活動をポータルで共有・管理することで、実務に使用していた紙帳票すべてをデジタル化することに成功しました。情報共有がスムーズになり、社員の業務品質の標準化・顧客への対応スピードの向上に成功、紙管理にかかるコストも削減でき、業務の効率化を実現しました。
【関連記事】CRMの事例集|EC・通販業界・スポーツ業界での導入効果はいかに
Dynamics 365でCRMを推進しよう!
Dynamics 365の特徴や機能、導入事例などをご紹介しました。Dynamics 365は、CRM機能とERP機能を兼ね備えたビジネスアプリケーションです。Microsoft Officeとの連携がスムーズで、使い慣れた画面から業務が遂行できます。
社内データの一元管理や煩雑な業務プロセスの自動化、顧客インサイトの基づいた効果的なサービス提供、適切な人材配置や新規人材獲得を実現する人材管理機能など、企業のあらゆる業務を効率化し、収益につなげるサポートを提供します。
カスタマイズ性に優れ、多様なビジネスニーズに対応できる柔軟性も魅力です。機能を比較検討し、自社に最適なツールを導入しましょう。