インサイドセールスのKPI設定、4つのポイントを解説!
2023.06.08
2023.06.08
インサイドセールスを効果的に運用するうえでもっとも大切なことの1つとして、KPIの設定が挙げられます。インサイドセールスのKPIをしっかりと決めることで、持続的に成果が出るインサイドセールス組織をつくることができるでしょう。 今回はインサイドセールスのKPI設定の方法と注意点、インサイドセールスの役割などを紹介します。
インサイドセールスとは
インサイドセールスとは、顧客と対面せずに営業活動のすべて、もしくはその一部をおこなう営業手法のことを指します。アポ獲得をメインにおこなったり、営業プロセスすべてを置き換えたりなど、企業によってインサイドセールスの導入形態はさまざまです。 従来の営業スタイルを効率化し、より少ない労力で最大の成果を得るための営業手法として近年注目を集めています。
インサイドセールスの3つの役割

DXログ編集部
インサイドセールスの役割は主に「マーケティングとフィールドセールスの橋渡し役」となる場合が多いです。
基本的な営業プロセスとして、まずマーケティングが顧客を獲得します。その獲得した顧客をインサイドセールスが精査して、見込みの高い顧客はフィールドセールスに引き継ぎをします。 そして、インサイドセールスから引き継いだ見込みの高い顧客をフィールドセールスが成約に結びつけるため、訪問をして商談をおこないます。サービスの利用開始後はカスタマーサクセスが顧客と定期的に連絡を取り、サービス利用のサポートをします。 インサイドセールスの主な業務として、見込み具合の精査と顧客の育成が挙げられます。
まず、マーケティングが獲得した顧客の見込み具合を精査して、すでに購買意欲が高い顧客はフィールドセールスに引き継ぎます。 一方、購買意欲が高まっていない場合はインサイドセールスでアプローチを続けて購買意欲を高めていきます。顧客の購買意欲が高まったとき、フィールドセールスに引き継いで商談を設定します。
顧客の見込み具合を精査し、獲得する

DXログ編集部
インサイドセールスの1つめの役割は、顧客の見込み具合を精査することが挙げられます。例えば、マーケティング施策を通じて顧客に対して資料提供やセミナー開催などの情報を発信をし、どのような変化やリアクションが起きたのか、ニーズの状況を直接声を拾って評価します。 このようなニーズの状況から「購買意欲が高い」と判断した顧客はフィールドセールスに引き渡します。
一方で、「購買意欲が高まっていない」と判断した顧客はインサイドセールスで育成します。育成方法に関しては、次の段落で説明します。 合わせて、インサイドセールス部門で顧客の見込み具合を精査する際に、顧客の予算や決裁権の有無など一定のヒアリングをおこなっておくと、後々のフィールドセールスへの引き継ぎがスムーズにおこなえるでしょう。
また、この段階でマーケティングオートメーション(MA)というツールを導入すると、インサイドセールスの業務効率が格段に向上します。 マーケティングオートメーションを導入することでできることを知りたい方や導入を検討している方は以下の記事をご覧ください。
顧客の育成

DXログ編集部
インサイドセールスの2つめの役割は、マーケティング施策で獲得した顧客を引き継ぎ、育成する役割を担うことにあります。 ダイレクトメールで顧客のニーズを高めるような情報を提供したり、Web商談で適宜顧客の情報を把握したり、さまざまな手段を用いて顧客の購買意欲を高めていきます。
そして顧客の購買意欲が高まった状態で次のフィールドセールスに引き継ぎます。 その結果、フィールドセールス部門は購買意欲の高い顧客に集中して訪問や商談をおこなうことができるため、より重視すべき顧客のクロージングに時間を割くことができるようになります。 この顧客を育成し、受注確度を高めるための流れをリードナーチャリングといいます。
受注までを担う

DXログ編集部
インサイドセールスの3つめの役割は、受注までのすべての営業プロセスを担うことにあります。この場合、フィールドセールス部門は存在しません。 従来の営業活動は、顧客獲得のための新規開拓からアフターフォローまで1人の営業担当が担うことが多くありました。
しかし、近年はこのすべてをインサイドセールス部門が代わりにおこなう企業も増えてきており、オンライン商談ツールやCRMなどといったツールを活用して従来に比べて効率よく顧客対応を推し進めることができています。
ただ、顧客との関係性や、取り扱う製品によっては直接顧客のもとに訪問して商談した方が良い場合もあるので、効率化をしても問題のないプロセスから先にインサイドセールスを導入することをおすすめします。
インサイドセールスで設定するKPI
ここでは、インサイドセールスのKPIとして設定する指標とその設定に伴い注意しなければいけない点を紹介します。自社が導入するインサイドセールスの形態によって、設定すべきKPIは異なります。 インサイドセールスチームがうまく機能するには、適切なKPIの設定が必要不可欠なので、ここで一度整理しておきましょう。
インサイドセールスで設定するKPI①:顧客との接触数
どれだけの顧客数と話すことができたか、アプローチすることができたかを示す接触数をKPIとして設定します。 必要最低限、行動量を目標として掲げる企業において、多く設定される目標です。 この目標を設定する際は、KGIである受注金額や受注数から逆算して適切な行動目標を設定することが肝要です。
インサイドセールスで設定するKPI②:アポ数、商談設定数
次に、インサイドセールスが設定するKPIとしてアポ数や商談設定数が挙げられます。顧客から問い合わせがきた際にその顧客にアプローチをしてアポを取ったり、商材説明のための商談を設定したりなど、直接顧客と自社商材に関して話すことができた回数がKPIとして設定されます。
インサイドセールス部門が上で述べたどの役割を果たしていたとしても、アポ数や商談設定数のいずれかはKPIとして設定されることが多いでしょう。
インサイドセールスで設定するKPI③:フィールドセールスへの案件パス数
インサイドセールスとフィールドセールスを厳密に分けていて、インサイドセールスが顧客の見込み度合いの精査や見込み顧客の育成を担っている組織の場合ではこの目標が設定されます。 フィールドセールスは、受注見込みの高い顧客に集中して営業活動をおこなうため、インサイドセールスから質の高い案件が供給され続ける必要があります。
そしてそのためには、インサイドセールスからフィールドセールスに渡される案件の見込み度合いに厳密な定義づけがなされている必要があります。 定義づけとは、決裁者と接触できているのか、商材の購入を前向きに検討している企業なのかなど、商材や商品によって異なりますが、これまで培った営業経験から「アツい案件」をそのまま定義づけすればいいでしょう。
そして、何らかの定義を設けたうえで、インサイドセールス部門はその定義を満たす案件を育成し、フィールドセールスへ渡します。 このパスした案件数を目標として設定することで、インサイドセールスをうまく機能させることができるでしょう。
インサイドセールスで設定するKPI④:受注数、売上金額
インサイドセールス部門が受注までの一連の営業プロセスをすべて担う場合には、KPIの指標は受注数や売上金額になるでしょう。 売上金額をKPIに設定したときの注意点として、見込みが高い顧客を営業同士で取り合ってしまうことが挙げられます。 営業同士で見込みが高い顧客を取り合うことになると、複数の営業担当が1人の顧客にアプローチしてしまうことが考えられます。そうすると、顧客からのイメージが悪くなり、とれたであろう契約を失うことにもつながります。
また、複数の営業担当が見込みの高い顧客を取り合うことで、見込みが高まっていない顧客をないがしろにしてしまう可能性もあります。そうすると、見込みの高い顧客しか契約につながらないため、中長期的な売上見込みを立てにくくなってしまいます。
こういった問題を未然に防ぐため、インサイドセールス部門内で営業活動の細かいルールを決めておくと良いでしょう。 また、インサイドセールスとフィールドセールスを分けている企業で、インサイドセールス部門にこの受注数や売上金額をKPIとして設定した場合でも同様の問題が起こるので、注意が必要です。
インサイドセールスのKPI、適切に設定するには?
新たにKPIを設定する際には、これまでのKPIと難易度のずれが起こったり、他組織から不満が出るようなKPI設定をしないか注意が必要です。 そこで、この段落では新たにインサイドセールスのKPIを設定する際に、注意しておくべき3つのポイントを紹介します。緻密な作業が必要になる箇所もあるので、慎重にKPIを設定するようにしましょう。
フィールドセールスのKPI実績を参考にする
新たにインサイドセールスのKPIを設定する際には、すでに営業活動を通じてノウハウや知見が貯まっているフィールドセールスのKPIや実績を参考にすると良いでしょう。 受注率はどのくらいなのか、商談設定率はどのくらいなのかなど、これまでの実績は残っているはずなので、その数値を基準にKPIを設定してみましょう。
他社のKPIを参考にする
フィールドセールスのKPIを参考にして設定したとはいえ、Web会議を活用することによる実績のぶれや、直接訪問しないことによる影響などはこれまでの知見がないと把握できません。 そこで、他社でインサイドセールスを導入している企業の事例を参考にして、フィールドセールスとインサイドセールスのKPIの違いを把握してみましょう。
フィールドセールスとインサイドセールスで実績に多少の乖離があるはずなので、その乖離を他社事例から読み解き、自組織のインサイドセールスのKPIに当てはめてみましょう。
SMARTなKPIを意識する
上記2つの注意点を押さえたあとは、SMARTな目標になるように修正しましょう。SMARTとは、以下の5つの英単語の略です。
- Specific(具体性)
- Measurable(測定可能性)
- Assignable(割当設定)
- Realistic(現実性)
- Time-related(期限)
それぞれのポイントをきちんと把握して押さえておくことで、適切な目標を設定することができます。これまでの営業目標とずれがなく、難易度的にも大きな差を生まないために、上記3つのポイントを意識して目標設定をしてみてはいかがでしょうか。 SMARTな目標設定について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
インサイドセールスで設定したKPIを運用する際の注意点
インサイドセールスを効果的に運用するために、いくつか押さえておくべき注意点があります。 問題や不満の発生を未然に防ぐためにしっかり押さえておきましょう。
商談の質を定めておく
1つ目は、商談の質についてです。 あくまで商談は売上を増やす手段であり、最終的な目的ではありません。しかし、商談設定数や商談金額がKPIとして設定されると、とにかく商談を取り付けることが目的になってしまい、見込みの低い商談もフィールドセールスに引き渡してしまう可能性があります。
それにより、フィールドセールスの営業効率が下がってしまうという問題が生じます。 こうした問題を未然に防ぐためには、商談を設定するために必要なヒアリング項目をあらかじめ決めておくと良いでしょう。
具体的なヒアリング項目として、以下のようなものが考えられます。 これらの項目を参考にして、自社に合った商談設定の基準を決めておくと良いでしょう。
- 抱えている課題
- 導入を検討している時期
- 他社サービスとの比較検討状況
- 予算の有無・金額
- 商談での決裁者同席の有無
商談の対象期間に期限を設けておく
2つ目は、商談の対象期間についてです。 取り付けた商談がいつおこなわれるものなのか、「商談」としてカウントする対象期間を決めておかなければいけません。
商談予定日の対象期間を決めずにKPI設定をおこなうと、今月・来月の売上に貢献しない、数カ月先の商談設定もインサイドセールスの実績としてカウントすることになります。 つまり、フィールドセールスが今月や来月の売上目標の達成のために活動しているにも関わらず、インサイドセールスはそれに貢献することのない、商談を提供しているという構図になってしまいます。
これでは、適切なKPI設定ができているとはいえません。 そのため、商談から受注までの標準的な日数を割り出し、インサイドセールスが商談を設定すべき適正な対象期間を定める必要があります。
適切な人員配置と社内共有
インサイドセールスを新たに立ち上げる際は、適切な人員配置と社内の情報共有が必要です。
インサイドセールスの人員配置では、直接の訪問は伴わないといえ、顧客との接触では高いコミュニケーションスキルが必要であり、経験が問われます。既にある営業組織から人員をアサインする場合、ある程度の実績を残している社員が好ましいでしょう。
また、社内で新しく立ち上がった部門は成果が出るまで一見何をしているのかわからず、他部署から怪訝な目で見られてしまう可能性もあります。 したがって、インサイドセールス部門の役割や責任範囲も社内で明確に示す必要があります。
情報共有のツールを導入する
インサイドセールスが顧客を育成してフィールドセールスに共有するまでの接触履歴は、事細かに記録しておくことが重要です。 顧客が何を課題にしていて、どのようなサービスを必要としているのかなどの情報を把握し、フィールドセールスに共有することで、その後の商談をスムーズに進めることができるでしょう。
また、重複してアプローチさせないためにも、顧客との接触状況を記録しておくことは有効です。 しかし、このような作業を手作業でおこなうとかなりの工数がかかってしまいます。 情報共有を効率化するためのシステムとして、SFA(Sales Force Automation)という営業支援システムがあります。SFAについて詳しく知りたい方は以下の記事を読んでみてください。
インサイドセールスのKPIを管理する方法
インサイドセールスのKPIは、SFAやCRMなどのツールを活用することで、効率よく管理することが可能です。 ツールを活用することで顧客の状況を一元管理・共有することができ、それぞれの顧客に合わせた質の高い対応を取ることができるでしょう。
また、ツールを活用する際も、ダッシュボードなどの常に目にする箇所に数値を可視化して表示するといった工夫も大切です。せっかく設定したKPIも、メンバーが意識していなければ意味がありません。常にKPIを確認できる状況にしておくことで、KPIを意識してインサイドセールスに取り組むことが可能です。 そのため、必要に応じてツールの選定をおこなうことが重要となります。
インサイドセールス部門のメンバーのリテラシーに応じた操作性や、顧客状況を把握し共有可能な機能など、自社に必要な機能性を備えているか事前に確認し、ツールを採用しましょう。
インサイドセールスのKPI設定は入念に
いかがでしたか。インサイドセールスを立ち上げるには、KPIを入念に作り込んで設定する必要があります。 KPIを入念に作り込むことは、インサイドセールス部門が持続的に効果を発揮することにつながります。
また、設定したKPIを運用した後も、きちんとそのKPIが機能しているのかチェックを怠ってはいけません。ほかの組織から「インサイドセールスの目標は簡単だ」といった不満が多く出てしまうと、結果として組織間のハレーションにつながります。 そのため、適切な目標設定を心掛けると同時に、運用後のチェックもしっかりするようにしましょう。 インサイドセールスの円滑な立ち上げに役立ててください。
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