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テレワーク導入にあたって就業規則は変更する?その必要性と手順を解説

Web会議システム

2023.08.22

2023.08.22

テレワーク導入する際、就業規則の変更を検討する担当者も多いでしょう。ただ、いざ変更しようにもなぜ必要なのか、どのような内容にするのか、具体的な手順はどうするのかなど、不明な点は数多くあります。そこで、本記事ではテレワーク導入時の就業規則の変更方法や、注意点や手順を解説します。

テレワーク導入にあたって就業規則の変更は必要?

テレワーク導入時に就業規定の変更が必要となるかどうかは、テレワークを実施する規模によって異なるでしょう。就業規則でテレワークの定めがなくても、個別の労働契約でテレワークを実施することは可能です。たとえば、労働者の妊娠や持病などの事情を受け、会社側でテレワークの実施を認める場合は、就業規則の改定を待つ必要はないでしょう。

しかし、新型コロナウイルス対策などの目的で、大規模にテレワークを実施する場合は、共通のルールである就業規則で明確に定めるべきです。なぜなら、個別労働契約の対応では、労働者間の不公平や不平等を生じかねないからです。

就業規則は個別労働契約の共通の最低限のルール

まず、就業規則とは何かを確認しておきましょう。労働契約は、労働者が労働を提供し、会社がそれに対して賃金を支払うという契約です。個別の労働契約書などで労働条件を細かく定めるのは煩雑なので、労働契約の基本的内容は就業規則としてまとめられています。

10人以上の労働者を雇う会社なら就業規則の作成は必須となっており、基本的な記載内容や、監督官庁への届け出などが法律で定められています。[注1]

個別の労働者との間で、就業規則より労働者に有利な労働契約を結ぶことは差し支えありません。逆に、就業規則の基準に達しない条件を定めた労働契約は無効になり、就業規則の基準が適用されます。つまり、就業規則は個別の労働契約に共通の最低限の条件をまとめたものなのです。なお、就業規則は労働基準法などの法令に違反することはできません。[注2][注3]

労働基準法では、労働契約で就業の場所を明示することが義務付けられています。[注4]この点からも、テレワークを本格的に実施するためには、就業規則の定めが必要ということがわかります。

テレワーク導入にあたって就業規則や別規程として定める事項

テレワークを導入するにあたって、就業規則などでどのような事項を定めるべきか確認していきましょう。方法としては、就業規則そのものを改定するか、テレワーク勤務規程などといった個別の規定を設けるといった手段が考えられます。なお、厚生労働省では「テレワークモデル就業規則〜作成の手引〜」を公開しています[注5]。

本稿では、以降「モデル規則」として扱います。テレワークの導入時に必要となる重要な項目としては、以下が挙げられます。ここでは、それぞれについて詳しく説明します。

  1. テレワーク勤務の定義
  2. テレワーク勤務の対象者
  3. テレワーク勤務時の服務規律(情報セキュリティ、職務専念義務など)
  4. テレワーク勤務時の労働時間や休息(中抜け時間の扱い方なども含む)
  5. 費用の負担(通信費、水道光熱費、備品、事務用品費など)

 

1. テレワーク勤務の定義

テレワークは一般的に、在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務などがあります。テレワーク勤務の定義では、自社で導入するテレワークが、どの勤務形態にあたるのかを示します。以下は、3つの具体的なテレワーク勤務の定義の例です。

テレワーク勤務規定(在宅勤務の定義)
第2条 在宅勤務とは労働者の自宅、そのほか自宅に準じる場所(会社指定の場所に限る。)において、情報通信機器を利用した業務をいう。

テレワーク勤務規定(サテライトオフィス勤務の定義)
第2条 サテライトオフィス勤務とは、会社所有の所属事業場以外の会社専用施設(以下「専用型オフィス」という。)、又は、会社が契約(指定)している他会社所有の共有施設(以下「共有型オフィス」という。)において情報通信機器を利用した業務をいう。
テレワーク勤務規定(モバイル勤務の定義)
第2条 モバイル勤務とは、在宅勤務及びサテライトオフィス勤務以外で、かつ、社外で情報通信機器を利用した業務をいう。 

引用:テレワークモデル就業規則〜作成の手引〜|厚生労働省


上記で、自宅のほか「自宅に準ずる場所」を定めているのは、労働者の働きやすさを配慮してのことです。たとえば、労働者が親の介護をおこなっており、親の家などを勤務場所として認めるケースを想定しています。

そのほか、労働者から「自宅近くのファミリーレストランで勤務したい」「コワーキングスペースを利用したい」といった希望が出ることもあるでしょう。こうした場合、労働者の事情やセキュリティー面の安全性を考慮し、例外として認めるかどうかを判断すべきです。

2. テレワーク勤務の対象者

テレワークの対象者については、さまざまなパターンが考えられるでしょう。例としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 全労働者を対象とする
  • 業務の内容や性質にあわせて対象者を絞り込む
  • 育児、介護、傷病などの事情がある労働者に限る

新入社員や若手などは対象から外す、といった例外もあるかもしれません。ただし、正社員と非正規社員といった雇用形態の違いのみを理由としてテレワーク対象者から除外することは許されません。

3. テレワーク勤務時の服務規律(情報セキュリティ、職務専念義務など)

次に、情報セキュリティー上の注意点、職務専念義務、秘密保持義務などを明確にします。なお、厚生労働省が事業委託をしているテレワーク相談センターでも、テレワーク勤務時の服務規律について、モデルとなる規則を定めています。[注6]

規定例は以下のような内容になっています。

就業規則(遵守事項)
第◯条 従業員は、以下の事項を守らなければならない。
(1)許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと。
(2)職務に関連して自己の利益を図り、又は、他より不当に金品を借用し、若しくは、贈与を受ける等不当な行為を行わないこと。
(3)勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと。
(4)会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと。
(5)在職中及び退職後においても、業務上知り得た会社、取引先等の機密を漏洩しないこと。
(6)許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。
(7)酒気を帯びて就業しないこと。
(8)その他従業員としてふさわしくない行為をしないこと。
2 テレワーク勤務者(「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」及び「モバイル勤務」に従事する者をいう。以下同じ)の服務規律については、前項各号に定めるもののほか別に定めるテレワーク勤務規程で定める服務規律による。

引用:テレワークモデル就業規則〜作成の手引〜|厚生労働省

4. テレワーク勤務時の労働時間や休憩時間(中抜け時間の扱い方なども含む)

テレワーク勤務時、会社側には労働者の労働時間を把握する義務があります。個々の労働者が始業終業時刻を決めるフレックスタイム制であっても同様です。なお、在宅勤務固有の問題として、保育園への送り迎えそのほかのプライベートな事情で、労働者が業務から離れる「中抜け時間」をどう取り扱うか、という問題があります。

厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(以下「テレワークガイドライン」)では、中抜け時間について、以下のように記載されています。[注7]

  • 休憩時間と扱う
  • 時間単位の年次有給休暇と扱う
  • 会社で中抜け時間をとくに把握せずに、始業及び終業の時刻のみを把握する

テレワーク中の中抜け時間に関しては、いずれの認識でも差し支えないでしょう。ただし、社員の平等性が保たれないと無用なトラブルを招きかねません。そのため、テレワーク中の労働時間や休憩時間については、ルールを明確にして就業規則で定め、周知することが大切です。テレワークでの勤怠管理について、こちらの記事でも詳しく解説をしています。

 

テレワークの勤怠管理の方法は?事例やツールを紹介!

 

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5. 費用の負担(通信費、水道光熱費、備品、事務用品費など)

労働者に通信費、水道光熱費、備品、事務用品費などを負担させる場合には、就業規則で規定する必要があります。基本的には、テレワークで労働者に過度の費用負担が生じることは望ましくありません。労使での費用負担や、労働者が会社に費用請求する方法などについて、就業規則などで明確にしましょう。

 

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テレワーク導入にあたっての就業規則や別規則の作成手順

就業規則の作成や改定に当たっては、労働基準法の定めに従う必要があります。具体的には、以下2つのポイントに注意しましょう。ここでは、それぞれについて詳しく解説します。

  1. 就業規則の定め方やルールを守る
  2. 就業規則は周知され内容が合理的でなければならない

1. 就業規則の定め方やルールを守る

会社が就業規則を作成し、変更する場合には、労働者の過半数で組織する労働組合、もしくは労働者の過半数を代表する者の意見を聞かなければなりません。なお、労働基準監督署への届出にあたっては、労働者の意見を記した書面を添付します。

2. 就業規則は周知され内容が合理的でなければならない

就業規則は労働者に周知されなければなりません。事業場に掲示するなどして、社内イントラネットでいつでも見ることができるようにしておく必要があります。就業規則は前述の手続を踏めば変更は可能ですが、内容が合理的でなければなりません。

労働者にとって不利益な変更になる場合は、内容次第などで変更の効力が否定される可能性もあります。どのような定めならば合理的なのか、「モデル規則」「テレワークガイドライン」などをよく見たうえで、労使で十分に話し合うべきでしょう。

よくある誤解とテレワークの就業規則や別規程の作成で留意すること

テレワークの就業規定や別規定の作成にあたっては、とくに以下3つのことに注意しましょう。ここでは、それぞれの注意点について詳しく解説します。

  1. 就業規則は労働法の強行法規に従わなければならない
  2. テレワークを希望しない者への強制は避けるべき
  3. 「事業場外みなし労働時間制」の適用余地はほとんどない

1. 就業規則は労働法の強行法規に従わなければならない

労働時間を適正に把握し、割増賃金を払うのは労働基準法で定められた会社の義務です。したがって、就業規定についても労働法を遵守して作成しなければなりません。「テレワークについて時間外労働は認めない」などとして、時間外や休日労働になっても割増賃金を払わない場合は、深刻な問題となる可能性が高いです。

2. テレワークを希望しない者への強制は避けるべき

テレワーク、とりわけ在宅勤務については、労働者のそれぞれの事情から希望しない人も出てくるでしょう。テレワークガイドラインでは、テレワークの実施について、労働者一人ひとりの事情を考慮した慎重な対応を求めています。テレワークは労働者本人が納得していることを確認して実施する、在宅勤務が難しい場合はサテライトオフィスなどの対応を考慮するといった配慮も必要です。


なお、一部では「労働者の就業場所を指定できる会社側は、在宅勤務を命ずることができる」といった誤解が見受けられるようです。しかし、こうした考え方はガイドラインが求める姿勢とは大きく異なるため、注意しましょう。

3. 「事業場外みなし労働時間制」の適用余地はほとんどない

事業場外みなし労働時間制は、労働者が事業場外で業務に従事し労働時間算定が困難で、かつ会社の具体的な指揮監督が及ばない場合に、一定の時間だけ労働したとみなす制度です。

しかし、ネットに常時接続するテレワークの場合、基本的に会社の管理者はいつでも指示を出すことができるでしょう。事業場外みなしの適用要件は非常に厳格なものです。通常のテレワークで適応できる余地は、ほどんどないと考えたほうがよいでしょう。

テレワーク就業規則に関係する助成金や各種相談窓口

テレワークに関しては、各省庁や地方自治体がさまざまな助成金制度が設けられているほか、各種の相談窓口も設けられています。日本テレワーク協会では、こうした情報を取りまとめています。[注8]

とくに、厚生労働省委託事業の「テレワーク相談センター」では、テレワーク導入についての質問や助成金申請手続、企業への訪問相談などが可能です。[注9]

テレワークは働き方改革の重要なメニュー

テレワークは働き方改革の中で「柔軟な働き方がしやすい環境整備」として盛り込まれているメニューの一つです。時間や空間の制約にとらわれず働くことができるテレワークは、子育てや介護と、仕事を両立する手段となる可能性があります。テレワークの導入によって、優秀な人材が能力を発揮できるようになるかもしれないのです。

現在テレワークは、新型コロナウイルス対策として急速に導入が進んでいます。今後、テレワークという働き方を発展させていくためにも、就業規則を見直し、適切な変更を進めましょう。

[注1][注3][注4]労働基準法|e-Gov法令検索
[注2]労働契約法(第十二条)|e-Gov法令検索
[注5][注6]テレワークモデル就業規則〜作成の手引〜|厚生労働省
[注7]テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン|厚生労働省
[注8]テレワークに関する助成、補助|日本テレワーク協会
[注9]在宅勤務をご検討なら|厚生労働省

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