なぜテレワークは疲れる?子ども・チャット・ノートパソコンなど理由と解消法
Web会議システム
2023.08.21
2023.08.21
政府が推進する働き方改革の影響で、テレワーク導入に積極的な企業が増えていくなか、2020年以降、新型コロナウイルスの感染防止を追い風に、テレワークはポピュラーなワークスタイルの一つとなりました。コロナ禍で初めてテレワークを経験し「テレワーク疲れ」を感じるビジネスパーソンは少なくありません。この記事では「テレワークはなぜ疲れるのか」について、「疲れる理由」を紹介し、疲れの解消法を提案してまいります。
なぜテレワークが疲れるのか
2020年、新型コロナウイルスの感染防止策の1つとして、テレワークの知名度は急速に上がりました。テレワークをするということは、ビジネスシーンが会社から自宅へと移行していくため、仕事環境・生活環境に大きな変化が起こります。ビジネスパーソンに大きな環境変化があるなか、さまざまな報道や同僚との会話で頻繁に登場する「テレワーク疲れ」というキーワード。
働く人々の「テレワーク疲れ」に関するアンケート調査結果を見てみましょう。パーソル総合研究所が2020年11月に実施した調査によると、「テレワークの課題」の中に多くの「テレワーク疲れ」に関連する回答が見られました。特に注目した6つを挙げてみましょう。[注1]
- 運動不足を感じる(1位、60.5%)
- 仕事に適した机や椅子がない(3位、42.1%)
- 腰痛・肩こりが悪化した(5位、37.2%)
- 仕事に集中できない(7位、30.9%)
- 自宅に仕事をするスペースを確保できない(11位、27.3%)
- 労働時間が長くなりがちだ(13位、25.5%)
環境の変化がもたらす、働く人々の体へのダメージ、精神面でのストレス。働く人々が感じる心身の疲労はテレワークのデメリットとなってしまうのでしょうか。しかし、テレワーク疲れの理由を具体的に探り対策を講じることで、テレワークによる心身の疲労を軽減・解消することは可能です。まずは、テレワーク疲れの理由を具体的にみていきましょう。
テレワークが疲れる理由
ビジネスパーソンが「テレワークが疲れる」と感じる理由にはどんなものがあるのでしょうか?
厚生労働省が開設したテレワーク総合ポータルサイトにはテレワークの定義として次の記載があります。
テレワークとは「情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のこと。Tel(離れて)とWork(仕事)を組み合わせた造語です。要するに本拠地のオフィスから離れた場所で、ICTをつかって仕事をすることです。
引用:テレワークとは |テレワーク総合ポータルサイト
こちらの記載の通り、オフィスとは違う環境で仕事をすること、ここにテレワーク疲れの要因があると考えられます。
まず、会社から離れて仕事をすることで働く場所・空間、移動時間、コミュニケーションなどの変化があるでしょう。さらに、オフィスで仕事をする以上にICTを使う機会が増えパソコンと周辺設備、通信ツールにも変化が起こります。これらの視点から、テレワーク疲れの6つの理由を紹介していきます。
子ども・夫・妻などの家族に疲れる
テレワークは、家族と過ごす時間が増えるというメリットがあると同時に、「家族と一緒に過ごしながら仕事をする」ことにストレスを感じている方も多いことが、各種アンケート結果から見て取れます。
厚生労働省が2020年11月16日付けで公開した資料では、テレワークのデメリットとして感じることの第6位(回答者の27.6%)に、Biz Hitsの調査では第1位(163人/n810複数回答)に挙がっています。[注2][注3]
「会議の最中に家族から声をかけられる」「家族の声がうるさい」「気が散ってしまう」など、家でのテレワークは、仕事への集中力を阻害する要因が多くあります。
「仕事に集中できない」と感じながらも業務に取り組むことは、生産性を低下させるばかりか、疲れも溜まっていきます。そうなると、家族間でのトラブルや喧嘩が起こりやすい状況となり、働く環境としても快適な空間とはいえなくなるでしょう。
出社に疲れる
多くの企業がテレワークと出勤の併用を実施しているため、出勤日のあるビジネスパーソンは多数います。テレワークと出勤を交互に行うことで体調・生活のリズムを崩すケースも容易に考えられます。
- 出勤日にはテレワークの日よりも起床時刻が早まるのでつらい
- 久しぶりの通勤そのものが疲れる
- 出勤日ならではの業務が集中し疲れる(対面会議・押印を必要とするペーパーワークなど)
また、せっかく会社の人間関係・ストレスから解放されていたのに、出社することでテレワーク以前よりも強い抵抗感を感じて疲れてしまうケースもあるでしょう。afterコロナを想像し、全日出勤の体制に戻ることを想像するだけで、精神的に疲れてしまうこともあり得ます。
イヤホンに疲れる
在宅・移動中・コワーキングスペースなど、いろいろな場所からWeb会議に参加するための必須アイテムの1つが、イヤホンです。
イヤホンは大変便利なグッズではありますが、長時間・大きな音量・高頻度で使用していると耳が疲れるとういうこともあるでしょう。これも、テレワークの疲れの1つに数えられます。
Web会議のようなイヤホンを必要とする場面でなくても、周囲の生活音を遮るために長時間イヤホンで音楽を聞いているという人もいるでしょう。テレワークを推進するためにおこなっていることでも、新たな疲労につながっては元も子もありません。以下の点に留意してイヤホンを使用しましょう。
- 長時間・大きな音量・高頻度での使用は可能な限り避ける
- 耳に入れ込むカナル型よりもオープンイヤー型を使う
- ヘッドホン、スピーカーなどの耳に負担の少ない代替品を使用する
チャットに疲れる
矢野経済研究所が2020年5月に実施したテレワーク関連ソリューションの動向調査によると、テレワークにおいて46.2%のビジネスパーソンがチャットツールの利用実績があると回答しています。[注4]
ビジネスチャットは、メールに比べ、大人数で使う際に便利で、短文メッセージを基本としたスピーディなコミュニケーションを取れることが魅力です。
そんなビジネスチャットも、上手に運用しないとテレワーク疲れの原因になります。たとえば「チャットに疲れた」という人の声として以下のような意見が挙げられます。
- 情報過多になりがちで、いつも仕事に追われている感覚に陥るため疲れる
- 複数の会話が同時進行するため、対応しているレスを見分けるのが大変で疲れる
- 「即レス」が当たり前であるかのような圧力を感じてしまい、常に注意を払わなければならないので疲れる
「チャット疲れ」への対策としては、会社・部署でルールを決めて運用することです。「業務時間外は原則メッセージを送らない」、「同時進行の際にはどのメッセージへの返信か引用する」、「大きな協議テーマはメールへ移行する」「連絡事項などは『返信不要』を付け、無駄なメッセージのやり取りをなくす」などが挙げられます。
ノートパソコンに疲れる
会社では大きいディスプレイに向かって仕事していたのに、テレワークになると会社支給のノートパソコンを使うビジネスパーソンが大半を占めているのではないでしょうか。
ノートパソコンで長時間仕事をすると、目や体に疲れがでてきます。まず、ノートパソコンの形状として画面とキーボードが一体であるため、ラップトップに比べ視線が下へいきます。しかも画面が小さいため目を近づけがちです。必然的に、画面を覗き込むような体勢になり、猫背の状態で仕事をすることになるので、肩こり・首のこり・腰痛などをおこしやすくなるでしょう。
ノートパソコン疲れを解消していくためには、パソコンに向かう姿勢を改善することから始まります。
- パソコンスタンドで、自分の目線の位置にパソコン本体がくるように調整
- 外付けキーボードや外付けディスプレイを使用する
- 部屋を明るくする
このような対策により、ノートパソコン疲れを軽減していきましょう。
座椅子に疲れる
コロナ禍により、自宅の環境を準備する間もなく、テレワークをすることになったという人も多いでしょう。そのような人のなかには、自宅でのテレワークを想定していなかったため、机や椅子がないという人もいます。多くの場合、座椅子やソファ、床に座って仕事をすることになるでしょう。
本来、座椅子やソファは、テレビや音楽鑑賞、読書などリラックスするために使われるため、パソコンでの作業には向いていません。そのため、座椅子やソファに座って仕事をするだけで疲れるというのは、仕方のないことかもしれません。
また、前述したように、ノートパソコンを使用するときにみられる前傾姿勢に、座椅子に座る際のあぐら・横座りによる姿勢のゆがみが加わるため、知らないうにちに体へ大きな負担がかかっていることでしょう。これらが、座椅子で仕事をすると疲れる要因と考えられます。
座椅子で仕事をしていて疲れるという場合、一番の解決方法としては、机と椅子を用意することです。しかし、家具を増やす余裕がないということもあります。その場合は、クッションをおいて腰の位置が高くなるように調整しましょう。また、最近は背もたれの調整機能が充実したテレワーク用の座椅子も数多く出ています。試してみはいかがでしょうか。
テレワーク疲れを解消するには
これまで紹介してきたように、テレワークによって自宅で仕事をするようになると、あらゆる場面で「テレワーク疲れ」がみられます。
2020年4月に実施された「緊急調査:パンデミック(新型コロナウイルス対策)と働き方に関する調査」によると、テレワーク/リモートワークの課題として、「自分で自分の時間を管理すること」が1位(42.8%)、次いで「仕事とプライベートの区別がつかないこと」が2位(40.4%)となっています。[注5]
テレワークにおいてストレスを減らしながら仕事の生産性を高めるためには、時間と空間を上手に切り分けてテレワークに適した環境を整えることが大切です。ここでは、テレワーク疲れを解消する方法を3つに分けて紹介しましょう。
テレワークの仕事環境を見直す
会社での時間管理(タイムマネジメント)を自宅用に応用して実行すると、ストレスが軽減され疲れずにスケジュールを運用しやすくなります。
テレワークでは、生活の一部のタスクが入ることを折り込み、起床時間から仕事の終了時間まで自身でタイムスケジュールを決めましょう。スケジュールの中にはWeb会議・外出などのアポイントが決まっていれば予定に入れます。
また、同居している家族にも、自身のスケジュールを共有しておきましょう。そうすれば、会議中は生活音を立てない、忙しい時間帯はなるべく接触しない、家庭の用事を上手に調整するなど家族同士が円滑にテレワークで仕事ができる時間的な環境を作れることでしょう。
一方で、自宅での仕事スペースを確保することも疲れずに仕事に集中するための大切なポイントです。自身の部屋があれば理想的ですが、それが難しい場合は、共同スペースに机と椅子を購入し、パーティションで区切るなど工夫して仕事をする空間を作りましょう。仕事をしないときは、机や椅子、パーティションを片付け、生活空間として利用できるようにすれば、仕事のオンオフの切り替えも明確にできます。
リフレッシュ方法を見つける
テレワークでは、通勤時間がなくなるため、オフィス勤務よりも時間的な余裕が生まれます。そのため、テレワークを始めてからジムに通う時間ができたという人もいるのではないでしょうか。
ジムに通わなくとも、すきま時間に自宅でストレッチや筋トレをしたり、時間を決めてランニングや散歩をしたりするなど、体を動かす時間を作りましょう。運動をすることは心身のリフレッシュに効果があり、テレワーク中の運動不足解消にもつながります。
また、仕事の場所を変えてみることも有効です。お気に入りのカフェやコワーキングスペース、自宅の庭やテラスに移動し仕事をすると、気分転換にもなります。いつもと違う環境で仕事をすれば、新たなアイデアや打開策が浮かぶかもしれません、そうなれば一石二鳥の効果が得られます。一方、ルーティン業務の場合は、場所を変えることで生産性が下がってしまうということもあるので、注意が必要です。
そして、時には、何も考えずにただひたすらぼーっとする時間を過ごすこともリフレッシュになるでしょう。テレビやネット、SNSなどの情報を遮断して自分の時間を楽しむことで、日々の緊張から開放されます。
心身のリフレッシュができれば、またテレワークでの仕事も捗ることでしょう。
テレワーク疲れにリフレッシュを
いかがでしたか。テレワークはニューノーマル時代にふさわしい働き方として、たくさんのメリットを呈示してくれます。そうはいっても、テレワークも万能ではなく、「テレワーク疲れ」という新しい課題が生まれています。
いきいきと仕事をするためには、テレワークの上手な活用を欠かすことはできません。心身ともに疲れが溜まりやすいテレワーク中には、体と心の両方をリフレッシュしましょう。
一番のリフレッシュは、自分に合うようにカスタマイズし、テレワークを楽むことかもしれません。自分にあったリフレッシュ方法を見つけましょう。
記事を参考にして、快適なテレワークライフを過ごしてください。
[注1]第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査|パーソル総合研究所
[注2]テレワークの労務管理等に関する実態調査(速報版)|厚生労働省
[注3]リモートワークで困っていることランキング!男女961人アンケート調査|株式会社ビズヒッツ
[注4]テレワーク関連ソリューションの動向調査を実施(2020年)|矢野経済研究所調査
[注5]緊急調査:パンデミック(新型コロナウイルス対策)と働き方|株式会社NTT経営研究所
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