ものづくり補助金の提出必要書類とは?採択されやすくなるための書類も解説
補助金・助成金
2023.08.16
2023.08.16
ものづくり補助金は中小企業の設備投資を国が支援する制度です。申請が採択された場合、設備投資にかかった費用に対して最大2,250万円までの補助が受けられます。一方ものづくり補助金の利用を申請するためにはさまざまな必要書類を用意しなければなりません。書類の不備は採択の結果にもかかわるため、申請時は必要書類を漏れなく用意することが大切です。本記事ではものづくり補助金で提出する必要書類について解説します。
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者が生産性向上のために実施する設備投資に対して、国が費用の一部を補助する制度です。補助金額は最大で2,250万円(グリーン枠は最大5,000万円、グローバル市場開拓枠は最大4,000万円)となっており、補助対象となる経費の幅も広範に及びます。
しかしながら、ものづくり補助金は利用を希望する企業の数も多く、適用要件を満たしていても申請が通るとは限りません。公表されている資料によると、公募ごとの平均採択率は50%程度です。(※1)採択の可能性を高めるためにも、事業計画書を始めとした必要書類を過不足なく提出することを心掛けましょう。

ものづくり補助金とは?補助率や類型、申請方法をわかりやすく解説
近年では働き方改革や賃上げ、インボイス制度、被用者保険の適用拡大などの影響により、新しい設備やシステムを導入しなければ事業の継続・拡大が困難な事業者も少なくないでしょう。そこで、補助金制度の活用を検討してみることが大切です。 当記事では、経済産業省中小企業庁の実施するものづくり補助金の対象事業者や申請要件、補助率、類型、申請方法、よくある質問に関してわかりやすく解説します。
ものづくり補助金の申請の提出必要書類
ものづくり補助金には複数の申請枠がありますが、そのすべてに共通する必要書類は5つです。ここではものづくり補助金の申請で提出が必須となる5つの書類を解説します。
なお、必要書類の書式の多くは、ものづくり補助金総合サイトより入手可能です。(※2)あわせて確認しておきましょう。
1. 事業計画書
事業計画書は「補助事業の具体的な取組内容」「将来の展望」「事業計画における付加価値額等の算出根拠」の3項目をA4用紙10枚程度にまとめた書類です。ものづくり補助金の審査では事業計画書の内容が重点的にチェックされるため、時間をかけて書類を作り込んでいきましょう。
採択の可能性を高めるためには、事業計画書の内容について文章だけではなく図や表を用いてわかりやすく示すことがポイントです。また、費用やスケジュールは可能な限り具体的に提示し、客観的に実現可能な取り組みであることをアピールしましょう。
事業計画書の書式は任意とされますが、提出時はPDF形式でのファイル化が必要です。また、事業計画書をPDF変換する際は項目ごとに分割し、計3つのファイルで提出するよう指示されています。
2. 補助経費に関する誓約書
補助経費に関する誓約書は、給付された補助金をものづくり補助金の規定に従って適切に運用することを誓約するための書類です。受け取った補助金はあくまでも申請した補助事業のためにしか使用できないことを覚えておきましょう。
なお、誓約書の書式はものづくり補助金総合サイトより入手できます。
3. 賃金引上げ計画の誓約書
賃金引上げ計画の誓約書は、ものづくり補助金の適用要件の一つである「賃上げ」の実施に関する誓約書です。ものづくり補助金では、補助金の適用要件として申請後3~5年の間に一定以上の賃上げを実施することを定めています。
また、適用要件の最低基準を大きく上回る賃上げ計画を策定した場合は加点が取得でき、審査を有利に進めることが可能です。一方で、採択後に誓約書に記載した賃上げ要件をクリアできなかった場合は、補助金を返金しなければなりません。誓約書そのものの記載は難しくありませんが、賃上げの要件は事業計画に基づいて慎重に設定しましょう。
なお、賃上げ計画の誓約書の書式は、同様にものづくり補助金総合サイトより入手できます。常時従業員を雇用する事業者は【書式2-1】、従業員を雇用しない個人事業主は【書式2-2】を使用しましょう。
4. 直近2期分の決算書類一式
決算書は審査員が申請事業者の経営状況、財務状況を把握するために必要となる書類です。法人以外の個人事業主の場合は確定申告書を提出します。なお、設立が2年に満たない事業者は直前1期分の書類で構いません。
5. 法人事業概況説明書の写し
法人事業概況説明書の写しは従業員数の確認のために用いられる書類です。なお、法人事業概況の書式は国税庁のホームページから入手できます。(※3)
個人事業主の場合は、法人事業概要説明書に替わって青色申告決算書または白色申告収支内訳書の写しの提出が必要です。
※3:[手続名]法人税及び地方法人税の申告(法人税申告書別表等)|国税庁
ものづくり補助金で特定要件に該当する場合の必要書類
ものづくり補助金の申請では、特定の要件に該当する場合や特定の申請枠を利用する場合に追加提出が必要となる書類もあります。自社の申請に必要な書類を事前に確認し、書類の抜けがないようにしましょう。
労働者名簿
労働者名簿は「応募申請時の従業員数が21名以上」で「法人事業概況説明書の写しにおける期末の従業員数が20名以下」の場合に提出が求められる書類です。所定の書式はないため、「事業者名」「従業員数」「従業員氏名」「生年月日(西暦)」「雇入れ年月日(西暦)」「従事する業務の種類」の記載がある名簿を作成し、提出しましょう。
再生事業者であることを証明する書類
ものづくり補助金申請時に再生事業者に該当する場合は、自社が再生事業者であることを証明する書類の提出が必要です。証明書類は事業再生の支援機関に発行を依頼できます。
大幅な賃上げ計画書
2023年の第14次公募より新設された「大幅な賃上げによる補助上限引上の特例」を申請する場合は、大幅な賃上げ計画書の提出が必要です。書式はものづくり補助金総合サイトより入手できます。
なお、大幅な賃上げに該当する要件は以下のとおりです。 事業計画期間において給与支給総額を年平均6%以上増加する 事業計画期間内の毎年3月、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上とする 事業場内最低賃金を年額+45円以上、毎年増額する
課税所得の状況を示す確定申告書類(回復型賃上げ、雇用拡大枠のみ)
回復型賃上げ、雇用拡大枠の申請では、課税所得の状況確認のために前年度の確定申告書類控えの提出が必要です。また、e-TAXで確定申告を実施した場合は、電子申告の日時と受付番号確認のために「受信通知(メール詳細)」の添付も必要となります。
炭素生産性向上計画及び温室効果ガス排出削減の取組状況(グリーン枠のみ)
グリーン枠の申請では、今後3~5年の事業計画期間における炭素生産性向上のための計画や、温室効果ガス排出削減に向けた具体的な取り組みを示す報告書の提出が必要です。書式はものづくり補助金総合サイトより入手できます。
海外事業の準備状況を示す書類(グローバル市場開拓枠のみ)
グローバル市場開拓枠で申請する場合は、海外事業の準備状況を示す書類の提出が必要です。なお、申請の類型によって提出すべき書類が異なります。類型ごとの必要書類は以下のとおりです。 海外直接投資類型:海外子会社等の事業概要、財務諸表、株主構成がわかる資料 海外市場開拓類型:具体的な想定顧客がわかる海外市場調査報告書 インバウンド市場開拓類型:具体的な想定顧客がわかるインバウンド市場調査報告書 海外事業者との共同事業類型:共同研究契約書または業務提携契約書
ものづくり補助金の加点を狙う場合に提出する書類
ものづくり補助金では特定要件を満たした事業者が加点を取得できる仕組みがあり、加点を多く取得するほど審査が有利になります。自社が狙える加点は積極的に取得していきましょう。ここでは加点取得のために必要となる書類を紹介します。
成長性加点|経営革新計画承認書
成長性加点は「経営革新計画の承認を得た事業者」が取得できる加点項目であり、加点取得のためには経営革新計画承認書の提出が必要です。 経営革新計画の承認を得るためには新規の事業活動を実施し、かつ付加価値額と給与支給総額について一定以上の増加を目指す計画書を都道府県知事などに提出する必要があります。
政策加点|開業届
政策加点は「創業5年以内」など特定の要件に該当する事業者が取得できる加点です。なお、先述した再生事業者に該当する場合も政策加点の対象となります。 創業、第二創業を理由に政策加点を取得する場合は開業届、または履歴事項全部証明書を提出しましょう。
災害等加点|事業継続力強化計画
災害加点は「事業継続協力化計画の認定を受けた事業者」が取得できる加点項目です。加点取得のためには事業継続協力化計画認定書を提出しましょう。 なお、事業継続協力化計画の認定は専用のWebサイトから申請できます。(※4)
※4:「事業継続力強化計画」認定制度|事業継続力強化計画電子申請システム
賃上げ加点|特定適用事業所該当通知書
賃上げ加点は、一定以上の賃上げ計画を提示した場合や、制度の改正に先立って被用者保険の適用拡大に努める事業者に適用される加点項目です。被用者保険の適用拡大による加点取得には特定適用事業者該当通知書の提出が必要となります。
なお、賃上げによる加点は、基本書類である賃上げ計画の誓約書の内容で判断することができるため、追加の資料提出はありません。

ものづくり補助金は加点項目を満たすと採択率アップ!加点取得のポイントを解説
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が設備投資を実施した際にその費用の一部を補助金として受け取れる制度です。 しかし、ものづくり補助金の利用は採択制となっており、要件を満たしていても申請が通らないケースもあります。 申請の採択に大きく関わってくるのが審査における加点項目です。 本記事ではものづくり補助金の採択を左右する加点項目についてわかりやすく解説します。
採択後に必要となる書類
ものづくり補助金では申請が採択された後も「遂行状況報告書」および「実績報告書」の提出が求められます。それぞれの書式はものづくり補助金総合サイトの補助事業の手引きより入手可能です。(※5)最後に事業期間内および事業期間終了後の必要書類について解説します。
遂行状況報告書
遂行状況報告書は、補助事業期間における該当事業の途中経過をものづくり補助金事務局に報告するための書類です。交付決定日が属する月の翌月から3カ月後の月末を基準日とし、その日までの事業の途中経過を専用の書式を用いて報告します。なお、書類の提出期限は基準日の翌月の15日です(基準日が8月31日の場合、報告期日は9月15日)。
なお、遂行状況報告書は事務局から依頼がない限り提出の必要はありません。また、報告の基準日時点で後述する実績報告書をすでに提出している場合も提出は不要です。
実績報告書
実績報告書は、補助事業期間の終了後に該当事業の具体的内容とその成果をものづくり補助金事務局に報告するために提出する書類です。遂行状況報告書と異なり、ものづくり補助金を利用したすべての事業者が対象となります。
なお、書類の提出期限は以下のいずれか早い日です。
- 補助事業の完了後、その日から起算して30日を経過した日
- 交付決定通知書記載の補助事業完了期限日

ものづくり補助金の事業化状況報告書の書き方やマニュアルを解説
ものづくり補助金では、補助金受給後も一定期間は事業化状況報告をおこなわければなりません。事業化状況報告を適切に実施しないと、不正受給とみなされるなど、補助金の返還が求められる可能性もあります。 当記事では、ものづくり補助金の事業化状況報告書の書き方のマニュアルを解説します。また、ものづくり補助金での収益納付制度や返還条件などについても紹介します。
ものづくり補助金の申請は必要書類を揃えることが大切
ものづくり補助金の申請には事業計画書を始めさまざまな必要書類があります。すべての申請枠に共通する書類のほか、申請枠ごとに個別で必要となる書類もある点に注意が必要です。
提出した書類に不備があると審査にマイナスの影響を与える可能性もあるため、必要書類を漏れなく揃えることを心掛けましょう。
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