IT導入補助金の採択率や採択結果は?数値の推移・不採択理由の例も解説
補助金・助成金
2023.03.20
2023.03.20
IT導入補助金は申請すれば、必ずしも補助金を受け取れるわけではありません。実際に申請したけれど不採択になっている事例もあります。当記事では、IT導入補助金2022の採択率や各申請枠の採択率の推移、主な不採択理由、採択率を高めるコツを解説します。IT導入補助金の申請が採択されるためのポイントについて知りたい方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
IT導入補助金2022の採択率はどのくらい?
IT導入補助金2022の採択率は、申請枠・申請類型によって異なります。また、申請時期によっても採択率は変化します。
平均採択率(%)は、通常枠は1次~7次、セキュリティ対策推進枠は1次~3次、デジタル化基盤導入類型は1次~15次の交付決定数の合計から申請数の合計で除した値で算出しています。
なお、この記事におけるデータは、最終更新日が2022年12月20日の「交付決定事業者一覧」を基にしています。
申請枠 |
通常枠 |
セキュリティ対策推進枠 |
デジタル化基盤導入枠 |
|
申請類型 |
A類型 |
B類型 |
セキュリティ対策推進枠 |
デジタル化基盤導入類型 |
平均採択率 |
55.6% |
47.6% |
96.7% |
82.9% |
各申請枠での過去の採択率の推移
ここでは、IT導入補助金2022の各申請枠における採択率の推移について詳しく紹介します。
通常枠(A類型・B類型)の採択率
通常枠では、自社の課題やニーズにあったITツールを導入するための経費の一部を補助することで、業務の効率化や売上の向上といった経営力の強化を目的としています。補助対象となる経費には、ソフトウェア購入費やクラウド利用料(1年分)、導入関連費が挙げられます。
A類型とB類型では、補助金の上限額・下限額や申請要件に違いがあります。表には、通常枠の1次~7次における申請数と交付決定数、採択率を示します。採択率(%)とは、各申請回の交付決定数から申請数で除した値のことです。
表から、通常枠の採択率は、約40%~約70%で推移していることがわかります。
申請回 | 項目 | A類型 | B類型 |
1次締切 | 申請数 | 2,907 | 80 |
1次締切 | 交付決定数 | 1,615 | 33 |
1次締切 | 採択率 | 55.60% | 41.20% |
2次締切 | 申請数 | 3,344 | 103 |
2次締切 | 交付決定数 | 1,843 | 44 |
2次締切 | 採択率 | 55.10% | 42.70% |
3次締切 | 申請数 | 2,877 | 104 |
3次締切 | 交付決定数 | 1,415 | 43 |
3次締切 | 採択率 | 49.20% | 41.30% |
4次締切 | 申請数 | 3,347 | 107 |
4次締切 | 交付決定数 | 1,465 | 48 |
4次締切 | 採択率 | 43.80% | 44.90% |
5次締切 | 申請数 | 1,957 | 43 |
5次締切 | 交付決定数 | 1,196 | 26 |
5次締切 | 採択率 | 61.10% | 60.40% |
6次締切 | 申請数 | 2,337 | 64 |
6次締切 | 交付決定数 | 1,521 | 38 |
6次締切 | 採択率 | 65.10% | 59.40% |
7次締切 | 申請数 | 1,909 | 45 |
7次締切 | 交付決定数 | 1,336 | 28 |
7次締切 | 採択率 | 70.00% | 62.20% |
セキュリティ対策推進枠の採択率
セキュリティ対策推進枠では、セキュリティサービスの利用料(最大2年分)の一部を補助することで、サイバー攻撃による被害で事業の継続が困難になる事態を回避することに加えて、供給制約や価格高騰、生産性低下のリスクを減らすことを目的としています。
補助対象は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのみです。下記の表には、通常枠の1次~3次における申請数と交付決定数、採択率を示します。
申請回 | 項目 |
セキュリティ対策推進枠 |
1次締切 |
申請数 |
13 |
1次締切 |
交付決定数 |
13 |
1次締切 |
採択率 |
100.0% |
2次締切 |
申請数 |
20 |
2次締切 |
交付決定数 |
19 |
2次締切 |
採択率 |
95.0% |
3次締切 |
申請数 |
57 |
3次締切 |
交付決定数 |
55 |
3次締切 |
採択率 |
96.5% |
上記の表から、セキュリティ対策推進枠の採択率はいずれも95%以上であり、他の申請枠と比べると採択率が高い傾向にあることがわかります。
デジタル化基盤導入枠の採択率
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)では、インボイス制度に対応したITツールの導入費用などの一部を補助することで、企業間における取引のデジタル化を推進することを目的としています。補助対象となる経費には、ソフトウェア購入費やクラウド利用料(最大2年分)、導入関連費、ハードウェア購入費が挙げられます。
下記の表には、デジタル化基盤導入枠の1次~15次における申請数と交付決定数、採択率を示します。
申請回 | 項目 |
デジタル化基盤導入枠 |
1次締切 |
申請数 |
650 |
1次締切 |
交付決定数 |
566 |
1次締切 |
採択率 |
87.1% |
2次締切 |
申請数 |
1,662 |
2次締切 |
交付決定数 |
1,467 |
2次締切 |
採択率 |
88.3% |
3次締切 |
申請数 |
1,823 |
3次締切 |
交付決定数 |
1,562 |
3次締切 |
採択率 |
85.7% |
4次締切 |
申請数 |
2,131 |
4次締切 |
交付決定数 |
1,855 |
4次締切 |
採択率 |
87.1% |
5次締切 |
申請数 |
1,712 |
5次締切 |
交付決定数 |
1,422 |
5次締切 |
採択率 |
83.1% |
6次締切 |
申請数 |
1,944 |
6次締切 |
交付決定数 |
1,601 |
6次締切 |
採択率 |
82.4% |
7次締切 |
申請数 |
2,149 |
7次締切 |
交付決定数 |
1,759 |
7次締切 |
採択率 |
81.9% |
8次締切 |
申請数 |
3,075 |
8次締切 |
交付決定数 |
2,648 |
8次締切 |
採択率 |
86.1% |
9次締切 |
申請数 |
1,390 |
9次締切 |
交付決定数 |
1,092 |
9次締切 |
採択率 |
78.6% |
10次締切 |
申請数 |
1,666 |
10次締切 |
交付決定数 |
1,299 |
10次締切 |
採択率 |
78.0% |
11次締切 |
申請数 |
2,051 |
11次締切 |
交付決定数 |
1,635 |
11次締切 |
採択率 |
80.0% |
12次締切 |
申請数 |
1,832 |
12次締切 |
交付決定数 |
1,503 |
12次締切 |
採択率 |
82.0% |
13次締切 |
申請数 |
2,012 |
13次締切 |
交付決定数 |
1,577 |
13次締切 |
採択率 |
78.4% |
14次締切 |
申請数 |
2,239 |
14次締切 |
交付決定数 |
1,812 |
14次締切 |
採択率 |
80.9% |
15次締切 |
申請数 |
2,252 |
15次締切 |
交付決定数 |
1,886 |
15次締切 |
採択率 |
83.8% |
上記の表から、デジタル化基盤導入枠の採択率は約75%~約90%で推移していることがわかります。
IT導入補助金の主な不採択理由
ここでは、IT導入補助金の主な不採択理由について詳しく紹介します。
申請要件を満たしていない
IT導入補助金には、各申請枠・申請類型においてさまざまな申請要件があります。
たとえば、補助事業者の条件に該当していない場合には、不採択になってしまいます。また、申請する枠・類型や、導入するITツールが適切でない場合、不採択になる可能性が高まります。
IT導入補助金の申請が採択されるには、申請要件を満たすことが必須です。そのため、申請時には、公募要領を確認してすべての申請要件が満たされているかを一つひとつ確認することが大切です。
申請書類に不備がある
IT導入補助金の交付申請では、会社の基本情報や財務情報、経営状況など、数多くの項目に回答する必要があります。
たとえば、業種や住所などの入力間違いや、提出書類と入力内容の不一致などがあると、不採択になってしまう可能性があります。また、事業内容を記述する欄などに不明瞭な内容があると、申請内容の信憑性の観点から不採択になることもあるかもしれません。申請内容にミスがないか、一貫性があるかなど、繰り返し確認をおこないましょう。
必要な書類の提出漏れがある
IT導入補助金の申請手続きをおこなうとき、必要書類を添付しなければなりません。また、法人と個人事業主で必要書類は異なります。
法人の場合は、下記の書類を提出する必要があります。
- 履歴事項全部証明書
- 法人税の納税証明書(その1またはその2)
一方、個人事業主の場合は、下記の書類を提出しなければなりません。
- 運転免許証(運転経歴証明書や住民票で代用可能)
- 所得税の納税証明書(その1またはその2)
- 所得税確定申告書B
このような必要書類の提出漏れがあると、不採択になる可能性が高まります。また、書類の有効期限やフォーマットなどの条件も細かく決められているので注意しましょう。
過去に補助金で導入したツールと機能の重複がある
審査項目のなかには減点措置があり、該当する取り組みをおこなうと、不採択率が高まります。ただし、減点措置により必ずしも不採択になるわけではありません。
たとえば、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)では、過去3年間に類似の補助金(IT導入補助金2019、2020、2021)で導入したツールが会計・受発注・決済・ECといった機能を保有している場合には、減点対象になります。
通常枠とデジタル化基盤導入枠の公募要領には、減点措置の詳しい記載があるため、申請する前に確認しておきましょう。
採択率をあげるためにできること
ここでは、IT導入補助金の採択率を高めるためにできることについて詳しく紹介します。
申請要件や審査項目を満たした申請をおこなう
申請要件を満たしていないと、不採択になる可能性が高いです。また、審査項目をきちんと把握していないと、申請の際に要求されているものと異なった回答をしてしまい、不採択になることもあるかもしれません。なお、申請枠によって審査項目は異なるため注意が必要です。
このように、申請要件や審査項目を満たした申請をおこなうことが大切であり、申請する前に公募要領をきちんと確認しましょう。
申請書類を外部の専門家やIT導入支援事業者に確認してもらう
申請書類を作成したものの、正しい申請枠・申請類型を選べているかなど、自社では判断の難しい項目があるかもしれません。
その際に、外部の専門家やIT導入支援事業者に確認してもらうことで、採択率を高めるために、改善点などの指摘を受けることができます。
加点項目の条件を満たし加点を増やす
各申請枠の公募要領には、審査項目が記載されています。審査項目のなかの加点項目の条件を満たすと、採択率を高めることが可能です。
たとえば、セキュリティ対策推進枠では、セキュリティアクション宣言で「二つ星」の宣言をおこなっていると、加点対象になります。申請要件を満たすだけであれば「一つ星」の宣言でも問題はありません、加点を受けて採択可能性を高めたい場合は、「二つ星」の取得をおこなうことも検討してみましょう。
応募時期を早める
IT導入補助金の予算は年度ごとに固定で決まっているため、想定したいたよりも早いうちに予算がなくなってしまい、申請時期が後半になると不採択率が上がる可能性もあります。
IT導入補助金の申請を考えている場合には、応募時期を早めることで採択率を高めることができるかもしれません。申請に必要な書類の用意や事前準備(gBizIDプライムアカウントの取得)などは、できる限り早めに対応しましょう。
不採択にならないよう、適切に準備したうえでIT導入補助金の申請をおこなおう
IT導入補助金2022の採択率は、申請枠や申請時期によって異なります。主な不採択理由には、申請書類の不備や必要書類の提出漏れが挙げられます。
採択率を高めるには、申請要件や審査項目(加点項目や減点措置など)を正しく把握して申請書類を作成することが大切です。また、外部の専門家やIT導入支援事業者に申請書類を確認してもらうのも一つの手です。
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