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変形労働時間制でも残業代は発生する?残業時間の計算方法も解説!

給与計算ソフト

2023.06.20

2023.06.20

変形労働時間制を導入した場合でも、残業が発生すれば残業代の支払いが必要となります。ただし、変形労働時間制における残業の考え方はやや複雑なので、計算方法を把握しておきましょう。本記事では変形労働時間制における残業時間のルールや具体的な算出方法をご紹介いたします。

企業が変形労働時間制を導入すれば、残業代コストの大幅な削減が見込めます。しかし、たとえ変形労働時間制の運用下であっても、残業が発生した場合には残業代の支払いが必要となるので注意しましょう。

ここでは、変形労働時間制で残業代を支払うべきケースについてご紹介いたします。また、残業代の計算方法についても説明していきます。

1. 変形労働時間制でも残業代は発生する

変形労働時間制でも残業代は発生しますが、変形労働時間制における「時間外労働」は通常と計算の方法が異なるため、注意が必要です。

そもそも変形労働時間制とは、1週間の労働時間を平均して法定労働時間である40時間を超えない範囲で、特定の日や週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。したがって、所定労働時間を法定労働時間よりも長く設定した場合、所定労働時間を超えるまでは時間外労働としてカウントされません。

例えば、ある日の所定労働時間を10時間とあらかじめ定めていたのであれば、法定労働時間である8時間を超えた2時間分は残業ではなく通常の労働ということになり、残業代は発生しません。10時間を超えた時間からが時間外労働となり、割増賃金を支給することになります。

変形労働時間制を導入すれば、繁忙期には法定労働時間を超えて労働させることができ、規定の範囲内であれば残業代の割増賃金がかかりません。これまで繁忙期を残業でまかなっていたという企業にとって、変形労働時間制は残業代を大きく削減できる有効な手段となる可能性があります。

2. 変形労働時間制の残業代を計算する方法

変形労働時間制を導入するときには、1日単位や1週間単位、そして1ヶ月単位でそれぞれ残業代がどれだけ発生するかを計算する必要があります。1ヶ月と1年の変形労働時間制をそれぞれ導入したときの残業代の計算方法を見ていきましょう。

2-1. 「所定労働時間」「法定労働時間」のおさらい

残業代を計算するうえで理解しておくべき重要な概念として「所定労働時間」と「法定労働時間」が存在します。

「所定労働時間」とは、企業が独自で定める労働時間を指します。

「法定労働時間」とは、法律により定められた労働時間を指します。

固定労働制の場合は、「所定労働時間」は「法定労働時間」を超えて定めることはできません。

また「法定労働時間」は原則1日8時間・週40時間と定められており、これを超過した場合に割増賃金が発生します。(特別措置対象事業場においては44時間)

一方で変形労働時間制の場合は、「所定労働時間」を「法定労働時間」よりも長く設定することが可能です。長く設定されたほうの労働時間を超過した際に、割増賃金が発生します。

2-2. 変形労働時間制は「日・週・月・年」で労働時間を集計する

変形労働時間制における労働時間は、日・週・月・年で集計します。

対象期間中における週あたりの平均労働時間が週の法定労働時間(原則40時間)以内であれば、特定の日・週で法定労働時間(原則1日8時間・1週40時間)を超過しても残業(時間外労働)にカウントしません。

2-3. 変形労働時間制を「1ヶ月単位」で導入したときの残業代

月ごとに労働時間を調整する1ヶ月単位の変形労働時間制では、1日単位と1週間単位、月単位に分けて残業代を計算するのが基本となります。

「1日単位」で考えた場合、企業が変形労働時間制で定めた所定労働時間が8時間超なのであれば、所定労働時間を超えた分が残業ということになります。

ただし、1日の勤務時間が6時間や7時間など法定労働時間よりも短く設定されたときには、法定労働時間である8時間を超えて働いた分が残業として計上されます。

「1週間単位」での時間外労働も1日単位と同じく、所定労働時間が法定労働時間よりも長く設定されている場合は、法定労働時間を超えた時間、所定労働時間が法定労働時間以内であれば、法定労働時間を超えた時間を法定時間外労働としてカウントします。ただし、日単位で算出した時間外労働は除外して計算します。

最後に「月単位」での時間外労働を算出します。月単位での時間外労働は、実労働時間から法定労働時間の総枠(対象期間÷7日×40時間)を差し引いた数になります。

ただし、この時も日単位と週単位でカウントした時間外労働は差し引いておく必要があります。

2-4. 変形労働時間制を「1年単位」で導入したときの残業代

特定の月に業務が集中するような企業では変形労働時間制を1年単位で導入することがあります。

1年単位で変形労働時間制を運用する場合の残業代ルールは、1ヶ月単位の場合とそれほど変わりません。

1日単位と週単位で見た際に、所定労働時間が法定労働時間よりも短ければ、法定労働時間を超えた時間からを時間外労働としてカウントし、所定労働時間が法定労働時間よりも長ければ、所定労働時間を超えた時間からを時間外労働としてカウントしておきます。

1年単位の場合にはさらに、週の所定労働時間である40時間に対象期間内の週の数を乗じた時間を超えた時間を残業として計上するルールもあります。

全期間の時間外労働は、実労働時間から1週間の法定労働時間である40時間に対象期間の週数をかけたものを差し引くことで求められます。例えば変形期間が8週間であれば、40時間に8週間をかけた320時間が実労働時間になるため、これを超えた分が時間外労働時間となります。

ただし、週単位の時間外労働を算出する際は日単位の時間外労働は除き、対象期間内の時間外労働を算出する際は、日と週単位で算出した時間外労働を除かなければなりません。

2-5. 変形労働時間制の残業(時間外労働)のカウント例

ここまで変形労働時間制の残業時間を「1ヶ月単位」と「1年単位」で導入した場合について解説しました。とはいえ文面のみでは、理解しにくい場合もあるでしょう。

厚生労働省が公開している資料では、時間外労働のカウント例が図解とともにわかりやすく解説されています。下記リンクから3ページ目をご参照ください。

参考:1か月単位の変形労働時間制|厚生労働省

3. 変形労働時間制の割増賃金のルールについて

法定時間外労働に対する割増賃金は割増率1.25倍以上で算出されます。ただし、勤務時間が深夜労働に該当するのであれば割増率は1.5倍以上となります。

また、法定休日労働の割増率は1.35倍以上、休日の深夜時間では1.6倍以上で算出します。

この割増率は、通常の勤務体系を採用している場合と変わりません。

残業代を計算する際にはまず時間単位の賃金を計算し、その後残業時間を区分しましょう。割増賃金は、「1時間あたりの基礎賃金 × 割増の対象となる時間 × 割増率」で求めることができます。なお、労働時間は1分単位で記録し、賃金を計算しなければならないと定められているので十分に注意しましょう。

4. 残業代の支払いに関する注意点について

変形労働時間制の導入の際には残業代を正しく算出する必要があります。ルールを誤って理解していると残業代の支払いが適切におこなえなくなり、従業員の不満につながるおそれがあります。

ここからは、変形労働時間制における残業代支払いのポイントを見ていきましょう。

4-1. 残業時間で所定労働時間を相殺する対応は不可能

変形労働時間制を導入すれば所定労働時間を日ごと、週ごと、月ごとなどの単位で柔軟に定めることが可能となります。

しかし、所定労働時間を繰り上げたり繰り下げたりといった調整はできないので注意しましょう。例えば所定労働時間を7時間とした日に8時間働いたからといって、所定労働時間が8時間の日に7時間で退勤し、残業時間で所定労働時間を相殺することはできません。

この場合には、所定労働時間を超えた1日目には1時間の賃金の支払いが必要となります。2日目は1時間早く仕事を切り上げたことになり、早退の扱いになります。

4-2. 残業時間には上限がある

変形労働時間制を導入したときの残業には上限が定められています。通常の勤務体系と同じように、残業上限は1ヶ月45時間年360時間となっており、これを超えて働かせることはできません。なお、特別条項を結んだときには月100時間未満(休日労働含む)、年720時間以内が上限となります。

これらの上限を超えて働かせると罰則の対象となるため、十分に注意しましょう。

4-3. 年単位の変形労働時間制では、慎重な従業員管理が必要

年単位の変形労働時間制は、繁忙期が長期にわたる可能性があるため、労働者に負荷がかかりやすいという特徴があります。そのため1ヶ月を超過する変形労働時間制を導入する場合は、従業員の体調を含めてマネジメントすることが求められます。

4-4. 勤怠管理には工夫が必要

このように変形労働時間制は、所定労働時間が法定労働時間を上回ることもあり、残業代の計算が煩雑化しやすい特徴があります。また適正な労働時間の管理がおこなえていないと、労働基準法に抵触し、罰則が科される可能性があるため注意が必要です。

健全な労働環境を整え、適切な給与を支給するためにも、実労働時間は正確に把握しなければならないでしょう。従業員が打刻さえすれば、労働時間を自動集計してくれる勤怠管理システムを活用することも、有効な手段の一つです。

5. 変形労働時間制と残業に関するよくある質問

変形労働時間制を導入した際に、残業にまつわるよく発生する質問について解説します。

5-1. 変形労働時間制で半休を取得した場合の残業について

半休を取得した場合、その日の実労働時間で時間外労働が発生したかどうかを考えます。

例えば、所定労働時間が6時間である場合、半休を利用して3時間の勤務になったとします。その日に9時間労働した場合は、法定労働時間である8時間を超えた1時間分が時間外労働となります。

また、所定労働時間が9時間で、半休を取得したため勤務時間が4.5時間の日に10時間労働した場合は、所定労働時間である9時間を超過した1時間分が時間外労働となります。

5-2. 変形労働時間制における休日出勤と残業の関係?

休日出勤の割増賃金を計算する際は、休日出勤した日が「法定休日」なのか「所定休日」なのかを考える必要があります。

法定休日である場合は、労働基準法で定められた休日労働となり、その日の総労働時間に対して35%の割増率で割増賃金を支払う必要があります。

一方、所定休日であった場合は「休日労働」とはならず、35%の割増賃金は発生しません。ただし、所定休日に労働することで時間外労働が発生した場合は、25%の割増率で残業代を支払う必要があります。

例えば、その週の所定労働時間数が30時間であった場合、所定休日に9時間の労働をしたとします。この場合、法定労働時間である週40時間は超えませんが、1日8時間の上限は超過するため、25%の割増率で1時間分の残業代が必要になります。

また、その週の所定労働時間が45時間であった場合、所定休日での労働は全て時間外労働となるため、25%の割増率で5時間分の残業代が発生します。

所定休日の労働は、単純に労働日が1日増えたと考えて時間外労働を計算するとわかりやすいでしょう。

5-3. 変形労働時間制とみなし残業制との併用は可能?

変形労働時間制とみなし残業(固定残業制)は、併用可能です。

みなし残業は、実際の残業時間にかかわらず一定時間分の残業代を最初から給与に含めて支給する制度です。残業代を毎回計算しなくて済むため、給与計算にかかる工数を削減することができます。

ただし、みなし残業を採用したからといって、勤怠管理をしなくてよいわけではありません。なぜなら、実際の残業時間がみなし残業として設定している残業時間を超えた場合は、超過した分の残業代を追加で支払わなければならないためです。

また、そもそも勤怠管理は企業の義務であるため、みなし残業を採用したとしても、しっかりと勤怠管理をおこないましょう。

6. 変形労働時間制は残業代の正確性を重視した運用を!

変形労働時間制を採用する場合であっても、残業が発生したときには残業代の支給が必要となります。

制度導入にあたってのトラブルを防ぐためにも、あらかじめ残業代の計算方法を十分に理解しておきましょう。特に、年単位の変形労働時間制では残業時間の考え方が複雑になるため、間違った方法で運用しないよう注意が必要です。

【監修者】小島章彦(社会保険労務士)

 

大学卒業後、某信用金庫にて営業と融資の窓口業務に関わる。 現在は、某システム開発会社に勤務。 会社員として働きながら、法律系WEBライターとして人事労務関係や社会保険関係のライティングを4年半以上行っている。 また、金融知識を生かした金融関係のライティングも含め、多数の執筆案件を経験している。 その他保有している資格は、行政書士、日商簿記3級など。

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