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65歳以上の社会保険料とは?計算方法・必要な変更手続きを解説

給与計算ソフト

2023.08.23

2023.08.23

社会保険料は65歳になると、国民保険の被保険者でなくなるなど今までと違う扱いになります。会社として対応するものだけでなく、社員自身が対応するものが生じるため、明確に理解して必要があれば社員をサポートしていくことが大切です。本記事では、65歳以上の社会保険料の計算方法や注意点もあわせて解説します。

1. 65歳以上の社会保険の加入義務のおさらい

常時従業員を使用する会社に勤務している70歳未満の一定の人は、必ず厚生年金保険に加入しなければなりません。[注1]

ここでいう「一定の人」とは、臨時に使用される人や季節的業務に使用される人を除いて、一般社員の1週間の所定労働時間および1月の所定労働日数の4分の3以上ある従業員すべてです。
上記の要件を満たしていれば、雇用形態に関係なく、パートやアルバイトも含めた事業所に雇用されるすべての人が厚生年金保険に加入することになります。
年金は原則として65歳から受け取ることが可能ですが、受給権発生後も70歳までは厚生年金保険に加入することができるため、社会保険料も継続して支払い続けます。

なお、厚生年金保険のみ加入することはできず、健康保険も合わせて加入する必要があります。従業員が加入を拒んだとしても、企業は手続きを行う必要がありますので、社会保険の仕組みをきちんと説明して納得してもらいましょう。
とくに、加入が60歳までの国民年金と厚生年金を混同する方が多いので、国民年金との違いについても理解してもらうことが大切です。

[注1]「会社に勤めたときは、必ず厚生年金保険に加入するのですか。」|日本年金機構

2. 65歳以上の社員に必要な社会保険料の変更手続き

65歳以上の社員に必要な社会保険料の変更手続きについて社会保険の内容別に紹介いたします。

2-1. 国民年金

国民年金の変更手続きについて紹介する前に、国民年金の仕組みについて理解しておきましょう。国民年金の被保険者には第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類があります。

会社に勤めている場合は、第2号被保険者となり、厚生年金保険の被保険者にもなります。そのため、毎月の給料からは国民年金の保険料と厚生年金の保険料をまとめて徴収していました。

しかし、社員が65歳以上になると国民年金の被保険者ではなくなります。65歳の時点で老齢基礎年金の受給資格を満たすために必要な条件(納付年数)を満たしていなければ、それを満たすまで、最長で70歳まで第2号被保険者でいることが可能です。

条件を満たしている場合は、国民年金から脱退するための手続きを行わなくてはいけません。保険を徴収し続けてはいけないので注意してください。

2-2. 厚生年金保険

厚生年金保険は原則として70歳まで加入することが可能です。今までと同じように保険料は給料から天引きすればいいので、会社側が何かの対応を行う必要はありません。

しかし、65歳以上になると給付面で変更が起こる場合があるため注意してください。例えば、65歳になる前に老齢厚生年金を受け取っていた場合は、65歳以降に受け取るのが老齢基礎年金と老齢厚生年金になります。

手続き自体は社員側で行うものであるため、会社としての対応は必要ありません。しかし、年金の仕組みについて理解していない社員もいるかもしれないので、案内はしてあげた方がいいかもしれません。

2-3. 介護保険

介護保険においては、40歳から65歳までの医療保険加入者が第2号被保険者、65歳以上の加入者が第1号被保険者となります。65歳までの社員はこの第2号に該当するため、介護保険料は給与から天引きされます。そして65歳を迎えて第1号になると、年金の支給が始まるため年金から天引きされる形となり、徴収のされ方が変わるため注意が必要です。

すぐに年金からの天引きが始まるというわけではなく、その体制が整うまでは市区町村から送られてくる納付書や口座振替を利用して納付をしなくてはいけません。

これらが65歳以上になると発生する社会保険料の変更点です。会社として対応が必要なものとそうでないものがあるので、しっかりと区別して理解しておくようにしてください。

3. 配偶者に関する社会保険料の変更手続き

65歳以上となった社員の配偶者についても社会保険料の変更が発生する場合があります。そのケースについて紹介いたします。

3-1. 国民年金

社員が65歳になる前は、第2号被保険者の配偶者という扱いであるため保険料は発生しません。しかし、65歳以上になると国民年金の被保険者ではなくなってしまうので、配偶者の年齢が60歳未満であれば自分で保険料を納める必要があります。

この手続きは会社ではなく、被扶養配偶者本人が役所で行わなくてはいけません。会社として対応する必要はありませんが、保険料の支払いに変更があることは伝えておくようにしましょう。

3-2. 健康保険

健康保険については65歳になったかどうかは関係なく、今までと同じように継続されます。75歳までが対象となるので、配偶者本人が社員より先に75歳以上にならない限りは、配偶者の健康保険は継続されます。

もちろん、退職などが発生した場合は、取り扱いが変わってくるので注意しなくてはいけません。

3-3. 介護保険

介護保険も健康保険と同様に、社員ではなく配偶者の年齢で考えます。配偶者の年齢が65歳未満であれば、配偶者自身が保険料を納める必要はありません。

しかし、配偶者が65歳以上になった場合は、第1号被保険者になるため自分で保険料を納めなくてはいけません。

配偶者の保険料についても変更点がいくつかあります。会社として対応を行う必要はありませんが、社員にアナウンスしておかないと適切な対応ができないかもしれません。保険料の支払いにおいて変更がある旨を伝えておくようにしてください。

4. 65歳以上の社会保険料はいくらになる?計算方法を解説

ここからは、65歳以上の社会保険料の計算方法について解説します。保険料額を間違えることのないよう、令和4年以降の最新の保険料率を確認のうえ、これからお伝えする計算方法にあてはめて算出していきましょう。

4-1. 令和4年以降の健康保険料の計算方法

健康保険料は以下の計算式で求めます。

健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率

会社の健康保険の場合、保険料は事業主と折半になるため、実際に事業主および従業員が負担するのは上記で求めた健康保険料の1/2です。
標準報酬月額と健康保険料率は、加入している保険組合によって異なります。
また、協会けんぽの場合、適用される健康保険料率は都道府県ごとに異なります。

ここでは一例として、協会けんぽに加入している東京都在住の65歳会社員、月収30万円の人の健康保険料を計算してみましょう。
東京都の場合、月収30万円の標準報酬等級は22等級、標準報酬月額は30万円です。[注2]
65歳は介護保険第2号被保険者に該当しないため、健康保険料率は9.81%(令和4年3月分~)になります。
以上のことから、30万円×9.81%÷2=14,715円が健康保険料の折半額となります。

[注2]「令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」|協会けんぽ

4-2. 令和4年以降の厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料は以下の計算式で求めます。

厚生年金保険料=標準報酬月額×厚生年金保険料率

健康保険同様、厚生年金保険料も労使間で折半となります。
厚生年金保険料率は全国一律で18.30%です。[注2]

実際に、協会けんぽに加入している月収25万円の人の例で計算してみましょう。月収25万円の標準報酬等級は19等級、標準報酬月額は24万円です。
以上のことから、24万円×18.30%÷2=21,960円が厚生年金保険料の折半額となります。

4-3. 令和4年以降の介護保険料の計算方法

介護保険料の支払い義務があるのは、40歳~64歳までの介護保険第2号被保険者のみです。65歳以上の方は介護保険第2号被保険者には該当しないため、介護保険料の負担は発生しません。
ちなみに協会けんぽの場合、令和4年3月からの介護保険料率は1.64%です。[注3]
介護保険料率は健康保険料率に加算し、まとめて健康保険料として計算するため、65歳になって介護保険第2号被保険者ではなくなると、標準報酬月額が同じでも負担する健康保険料が少なくなります。

[注3]「協会けんぽの介護保険料率について」|協会けんぽ

5. 65歳以上の社員の社会保険料に関する注意点

65歳以上の社員の社会保険料において注意しなければならないポイントがあります。それを理解しておくようにしてください。

5-1. 誕生日が1日の場合

社会保険料では、誕生日の日にその年齢になったと考えるのではなく、誕生日の前日にその年齢になったと考えます。例えば、5月1日に65歳の誕生日を迎える方がいたとします。一般的には5月1日に65歳になったと考えますが、社会保険上では4月30日に65歳になったと考えるのです。

これによって保険料控除が発生する月がずれてきます。厚生年金や健康保険などの社会保険料は月単位で徴収を行っているのですが、給料から差し引けるのは前月分の保険料となっています。

例えば、5月1日に65歳の誕生日を迎える人がいるとしましょう。社会保険上では前日の4月30日に65歳に到達したことになるため、社会保険料は4月分から控除することができなくなってしまうのです。5月2日に誕生日を迎える場合は、5月1日に65歳になったと考えるため、保険料控除がなくなるのは5月分からです。

このように誕生日によってずれが発生する場合があるため注意をしなくてはいけません。

5-2. 従業員へのアナウンスは必須

社会保険料の取り扱いには複雑な部分もあります。仕組みについて理解している社員もいれば、理解していない社員もいるでしょう。

社員が深く理解をしていなかったとしても、会社が手続きを行えるのであれば大きな問題はありません。しかし、社員が手続きを行わなくてはいけないケースもあります。社員がそれを知らずに手続きを行っていないということも考えられるため、会社としてアナウンスは行わなくてはいけません。

社会保険料に関する手続きもありますが、65歳というタイミングは会社と雇用の関係でさまざまな手続きが発生する場合もあります。各種手続きに追われて、社会保険料について疎かになってしまうかもしれません。

会社としては社員自身が行う手続きに対してまで口を出す必要はありません。何もしなくても問題はないのですが、アナウンスをした方が親切ではあります。長年働いてくれた社員なので、サポートしてあげてください。

6. 65歳以上の社会保険料の変更手続きは忘れないように

社会保険料は65歳になると扱いが大きく変わります。しかし、どう変わるかを理解しておけば会社として対応するのはそれほど難しくありません。定期的に65歳になる社員はいるでしょう。会社としての対応をしっかりと理解しておいてください。

【監修者】涌井好文(社会保険労務士)

 

涌井社会保険労務士事務所代表。就職氷河期に大学を卒業し、非正規を経験したことで、労働者を取り巻く雇用環境に興味を持ち、社会保険労務士の資格を取得。 その後、平成26年に社会保険労務士として開業登録し、現在は従来の社会保険労務士の業務だけでなく、インターネット上でも活発に活動を行っている。

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