雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書の書き方を詳しく解説
給与計算ソフト
2023.08.23
2023.08.23
雇用保険被保険者資格取得届の提出が遅れたら、遅延理由書が必要です。遅延理由書の提出は、手続きに大幅な遅れが生じていても可能です。書き方や例文をご紹介します。適切に対処しましょう。遅延理由書があれば遡って被保険者資格を取得できます。
1. 雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書が必要なケース
雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書は、期日までに雇用保険被保険者資格取得届を提出できなかった際に必要な書類です。
どのようなケースで必要になるのか、詳しく解説します。
1-1. 雇用保険被保険者資格取得届が大幅に遅れる場合
雇用保険被保険者資格取得届は、従業員が被保険者になった日の翌月10日までに提出しなければいけません。
この期日は一律で決まっているもので、雇用した日や働き始めた日による変動がないものです。
そのため、月末に被保険者資格を取得した従業員の場合、雇用保険被保険者資格取得届の提出期限まで10日ほどしかないケースもあります。
何らかの原因によってこの提出期限を守れず、大幅に提出が遅れた場合は雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書が必要になります。
「大幅に」というのは、6ヵ月ほどの遅れとして考えられることが多いです。しかし、これはあくまでも目安です。
雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書の提出に法的な定めはないため、ハローワークの判断次第という状況になっています。雇用保険被保険者資格取得届の提出が遅れてしまった場合は、あらかじめ管轄のハローワークに相談しておくとよいでしょう。
1-2. 遡って被保険者資格を取得したい場合
雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書を提出し、認められた場合は最大で2年前まで遡って被保険者資格を取得できます。
ただし、これはすでに雇用保険料が給与から天引きされていた場合に限ります。
給与から雇用保険料が天引きされているのにもかかわらず、手続きを忘れていたり、何らかのトラブルにより加入できていなかったりした場合に、被保険者資格を取得できる制度です。
はじめから雇用保険に加入する予定がなく、雇用保険料の支払いもしていない場合は認められません。
2年以上遡って被保険者資格を取得したい場合は、賃金台帳をはじめとした雇用保険料を支払っていたことを証明できる資料が必要です。手続きをする際は、雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書と一緒に提出できるように準備しましょう。
2. 雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書の書き方
雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書を書くときのポイントと例文をご紹介します。
なお、フォーマットは、厚生労働省や管轄のハローワークのホームページからダウンロードできます。[注1]
2-1. 遅延理由書に必要な項目
雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書には、必ず以下の項目を記載します。
フォーマットを利用する場合は、すべての項目を埋めましょう。
- 宛名(管轄ハローワークの名称を正確に記載する)
- 被保険者名
- 被保険者の生年月日
- 資格取得日
- 被保険者番号
- 遅延理由
- 事業主の企業名
- 事業主の代表者名
- 事業主の所在地
2-2. 遅延理由書を書く際のポイント
遅延理由書を書く際は、必要事項を網羅して簡潔でわかりやすくまとめましょう。
とくに、遅延理由の項目は再発防止や謝罪の気持ちを伝えながら、長くなりすぎないようにまとめるのがポイントです。
遅延理由書は、手続きが遅れた事業主に対しての再発防止喚起の意味を持つ書類です。
事務員や従業員の対応の遅れが主たる原因だったとしても、細かい部分までは記載せずに潔く謝罪することが大切です。
理由をあまりにも細かく書きすぎると、言い訳のように受け取られて心象が悪くなる恐れがあります。
2-3. 遅延理由の例文
遅延理由はできるだけご自身の言葉でまとめるのが望ましいです。
しかし、なかなか適した文章が思いつかない場合は、以下の例文を参考にしてみてください。
弊社事務処理上の遅延により、雇用保険被保険者資格取得届の提出が遅くなってしまいました。再発防止のために対策を行いますので、資格取得の受理をお願い申し上げます。 |
事業主の不注意で、雇用保険被保険者資格取得届の提出を忘れたことが原因です。以後同じことが発生しないように、管理を徹底いたします。資格取得の受理をお願い申し上げます。 |
提出が遅くなった理由と、再発防止に対する考えをまとめ、資格取得の受理をお願いする言葉で締めくくっています。
難しい表現や堅苦しい言葉を使う必要はありませんが、丁寧な文章で気持ちが伝わるように意識しましょう。真摯な態度が求められるため、誤字脱字には十分に注意してください。
3. 雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書を書くときの注意点
雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書を書くときは、以下の点に注意しましょう。
3-1. 遅延理由は責任を認めて簡潔にまとめる
遅延理由書の中で悩む人が多いのが遅延理由です。正確に遅延理由を伝えることは大切ですが、長くなりすぎたり、言い訳じみた内容になったりしないように注意しましょう。
「多忙のため提出が遅れた」「失念していた」「事務手続き上のミスがあった」など、遅延した最大の理由がわかれば十分です。
どんな手続きで誰のミスにより遅延したのかという点までは必要ありません。
3-2. 虚偽や大袈裟な表現はしない
遅延理由には再発防止対策や謝罪の言葉を書くことが望ましいです。
しかし、できない対策や大袈裟すぎる謝罪の言葉は、担当者が不信感を持ってしまう恐れがあります。
必ず実施できる対策をすることと、遅れたことに対する謝罪の気持ちが伝われば十分です。
3-3. 遅延理由書の提出期限はない
雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書には、提出期限はありません。
従業員に被保険者資格が発生してから、1年以上経過してから問題が発覚した場合でも、必ず遅延理由書を提出しましょう。
どのような状況でも雇用保険料を徴収していたことが証明できれば、被保険者資格を取得できる可能性があります。
雇用保険被保険者資格取得届の遅れや提出忘れが発覚した場合は、できる限り早くハローワークに相談しましょう。
3-4. 2年以上遡る必要がある場合は資料を用意する
遅延理由書を提出すれば、従業員が雇用保険料を納めている場合に限り遡って被保険者資格を取得できます。
ただし、遅延理由書のみで遡って加入資格を得られるのは2年までです。
2年以上前から雇用保険被保険者資格取得届が申請できておらず、その期間の加入資格を取得したい場合は、該当従業員から雇用保険料を徴収していたことを証明できる書類が必要です。
4. 雇用保険被保険者資格取得届の遅延理由書は、雇用保険被保険者資格取得届の提出が遅れた場合に必要です。
何らかのトラブルにより正しく加入できていなかった場合も、遅延理由書によって遡って被保険者資格を取得できます。2年以内であれば、遅延理由書のみで遡って加入資格を得ることが可能です。
雇用保険被保険者資格取得届の問題は、従業員が退職した際に大きな影響が出ることもあります。万が一提出忘れや遅れが発生している場合は、必ず手続きを行いましょう。
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