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雇用保険料の端数処理方法は?2つの具体例・注意点もあわせて解説!

給与計算ソフト

2023.08.23

2023.08.23

雇用保険料の計算には小数点以下の数字を使うため、端数が発生しやすいです。企業には適切に雇用保険料を納める義務があるため、正しい端数処理方法を確認しておきましょう。端数処理業務は数字が細かく計算や記入ミスが生じやすいため、注意が必要です。

1. 雇用保険料の計算に端数がでる理由

企業が加入する各種保険のうち、雇用保険においては企業だけでなく労働者からも保険料を徴収する必要があります。企業側には、従業員から徴収する保険料を適切に計算する責任があります。

雇用保険料の計算ではしばしば端数が生じることがあります。端数が出るときには、定められたルールに従って適切な端数処理を行いましょう。

そもそも雇用保険料は従業員の給与に雇用保険料率をかけることで求められます。給与額が20万円や30万円などキリのいい数字であれば、計算をした際に端数が発生することはありません。しかし給与額には手当などが含まれるため、多くの場合は半端な金額となります。

給与額によっては、雇用保険料の計算がときに小数点以下にまで及ぶことがあります。そのため、雇用保険料に端数が生じる可能性も少なくありません。
雇用保険料率はこれまで、一般の事業で労働者負担分が0.3%、事業主負担が0.6%とされてきました。

しかし令和4年度には雇用保険料率の段階的な引き上げが行われています。令和4年4月文からは事業主負担分を0.6%として計算します。さらに令和4年10月以降には労働者負担分を0.5%、事業主負担分を0.85%として計算しなければなりません。

例えば月収310500円の従業員の場合で考えます。この従業員が10月以降に負担する雇用保険料率は、310500×0.5%で1552.5円となります。こういったケースで端数の扱い方を間違ってしまうと混乱が生じてしまう可能性もあります。

なお、一般の事業に該当しない業種では、雇用保険料率のルールが異なります。農林水産・清酒製造の事業や建設の事業では一般の事業と異なる雇用保険料率を使って計算することになるため、正しい負担率を必ず把握しておきましょう。

2. 雇用保険料に端数が生じた場合は、法令に則って処理する

雇用保険料の計算で端数が生じたときには基本的に「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」に従って処理をすることになります。厚生労働省もこのルールに従って処理するよう周知しているため、正しい方法を把握しておきましょう。

「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」の第2条第2項には、一円未満の金額を銭や厘という単位で扱うことが明記されています。銭は円の100分の1、厘は銭の10分の1となります。
さらに第3条には、支払いにおいて50銭未満の端数があるときや支払いの合計額が50銭未満になるときには、これを切り捨てて計算すると定められています。

また、金額が50銭以上1円未満となるときには、その端数を1円として計算すると記されています。

「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」の第2条第3条には「特約がある場合にはこの限りではない」という文言があります。つまり、労使協定などで雇用保険料率の切り捨てや繰り上げに関する特約があるときにはそちらに従っていいということになります。

例えば企業が長期間にわたって1円未満を切り捨てている場合や、労使の間で繰り上げることが合意されているときには、その処理方法を採用し続けても問題はないのです。

3. 雇用保険料の端数処理方法

雇用保険料の端数に関する社内のルールが特にない場合には、法令に従って端数を処理することになります。
雇用保険の被保険者負担額の処理方法には、源泉控除と現金徴収という2つの方法があります。それぞれのケースにおける適切な対応方法をチェックしていきましょう。

① 源泉控除で雇用保険の負担額を徴収するケース

従業員の雇用保険料は多くの場合、源泉控除という形で徴収されます。源泉控除は、企業が従業員に対し、賃金を債務という形で弁済する対応にあたります。つまり、このケースでは、弁済の費用にあたる給与を従業員に支払う時点で端数処理をする必要があります。

例えば従業員の給与額が243088円の場合で考えていきます。令和4年10月1日以降は雇用保険料の労働者負担が1000分の5(0.5%)に設定されています。243088円に1000分の5をかけると、1215円44銭という被保険者負担額が算出できます。このときの弁済額は、243088円から1215円44銭を引いた241872円56銭です。

弁済額の端数は50銭以上となるため切り上げの扱いになり、弁済額は241873円となります。被保険者負担額は端数が50銭未満となるため切り捨てます。このケースでは被保険者負担額が1215円ということになります。

② 従業員が被保険者負担額を現金で支払うケース

被保険者となる従業員が現金で負担額を仕払うケースもあります。この場合には、弁済者が事業主ではなく従業員自身となり、弁済すべき金額も被保険者負担額として扱われます。

給与額が243088円、雇用保険料の労働者負担率が1000分の5(0.5%)の場合には、243088に1000分の5をかけ、1215円44銭という金額を算出します。この金額は被保険者負担額であり、弁済額でもあります。

このケースでは弁済額の端数が50銭未満となるため切り捨ての処理を行います。つまり、被保険者負担額は1215円として計上されます。

4. 雇用保険料の端数における注意点

ここからは、雇用保険料の端数を計算する際の注意点について解説します。
ミスを防ぐための対応策、独自ルールの可否について紹介します。

4-1. 計算・記入ミスが生じやすい

雇用保険料を計算する際には、ミスが起こらないよう十分に注意が必要です。
雇用保険料の計算には1円未満の細かい金額が生じるケースが多いでしょう。従業員数の多い企業で、個々の従業員の雇用保険料を計算するのにはかなりの手間がかかります。面倒な計算が必要となるため、ヒューマンエラーが起きやすいという問題点も考えられます。

特に、令和4年度は雇用保険料率が段階的に引き上げられているため、雇用保険料の計算ミスも起こりやすくなっています。

計算ミスなどのヒューマンエラーは、複数の人員によるダブルチェックなどの方法で対処できます。

また雇用保険料の計算をスムーズに進めるために、給与計算システムの導入を検討するという方法も有効です。
給与計算システムのほとんどは、雇用保険料の計算に対応しているほか、端数の処理を自動でおこなえるため便利です。

4-2. 慣習にのっとった独自の処理方法も可能である

雇用保険料の端数は基本的に上記で紹介した方法で処理しますが、労使間に慣習的な取り扱いなどの特約がある場合は、例外として企業の慣習や特約に応じて処理することも可能です。
実際、債務の支払金の端数計算を定めた「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第3条では、「特約がある場合には、この限りでない」という一文があります。[注1]
労使間で合意があり、かつ慣習として長く続いてきた取り決めがある場合は、従来通りの方法を続けても法令違反には当たらないというわけです。
たとえば、会社で「1年未満の金額はすべて切り捨て」という慣習がある場合、50銭以上の端数であっても切り上げは行わず、切り捨て処理しても問題ありません。

[注1]「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」|e-Gov法令検索

5. 雇用保険料の端数処理に関するルールをあらかじめ把握しておこう

法令には、雇用保険料に端数が出たときには50銭未満を切り捨て、50銭以上を切り上げて処理すると定められています。雇用保険料の端数処理は基本的に法令に従って行いましょう。

企業の慣習などに従って端数処理の方法を決めることも可能となっています。ただし状況によっては、月ごとに雇用保険料の端数処理の方法が違ってしまう、担当する人が変わった途端に端数処理の方法も変わってしまったといった問題が起きる可能性も考えられます。

こういった問題を防ぐためにも、雇用保険料の端数処理に関するルールを明確化しておくことが大切です。

【監修者】涌井好文(社会保険労務士)

 

涌井社会保険労務士事務所代表。就職氷河期に大学を卒業し、非正規を経験したことで、労働者を取り巻く雇用環境に興味を持ち、社会保険労務士の資格を取得。 その後、平成26年に社会保険労務士として開業登録し、現在は従来の社会保険労務士の業務だけでなく、インターネット上でも活発に活動を行っている。

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