社会保険喪失証明書とは?発行の手順や記載すべき項目を紹介
給与計算ソフト
2023.08.23
2023.08.23
社会保険喪失証明書とは、従業員が会社の社会保険の被保険者資格を失ったことを証明する書類です。会社側が発行する書類で、従業員が国民健康保険への切り替えを行うために必要となります。会社側は速やかに社会保険喪失証明書を作成・送付することで従業員に協力できます。
1. 社会保険喪失証明書とは?
社会保険喪失証明書とは、その名のとおり従業員が会社の社会保険の被保険者資格を失ったことを証明する書類です。
従業員の被保険者としての資格を喪失した日、資格喪失手続きがすでに完了していることを証明する書類となります。
同一人物が社会保険と国民健康保険の両方に加入することはできないので、国民健康保険への切り替えでは必ず社会保険喪失証明書が必要です。
社会保険喪失証明書は、従業員自身が作成したり発行したりすることはできず、従業員の退職にともない事業主が発行するものです。
従業員が退職した場合には発行を求められることも少なくないので、すぐに発行できるよう準備しておきましょう。
1-1. 社会保険の資格喪失日から14日以内に必要
社会保険喪失証明書は、社会保険の資格喪失日から14日以内に発行が求められます。
というのも、社会保険の資格喪失日から14日以内に国民健康保険への切り替えが必要だからです。[注1]
あらかじめ所定の書式を用意していないと、発行を求められたときにすぐ対応できません。
すぐに社会保険喪失証明書を発行できるように、準備を整えておきましょう。
1-2. 社会保険喪失証明書の発行方法は企業によって異なる
社会保険喪失証明書の発行方法は法律で決められているものではなく、企業によってルールが異なります。
また、社会保険喪失証明書の発行は義務ではないため、発行しないとしている企業もあります。
ただし、退職した従業員が他の企業に再就職せず、自営業によって生計を立てる場合、社会保険から国民健康保険への切り替えが必須です。
社会保険喪失証明書がないと国民健康保険への切り替えが行えないため、退職した従業員から発行を求められることでしょう。
企業によってルールはあるものの、退職した従業員がスムーズに手続きを行えるよう社会保険喪失証明書の発行をすぐに行うことが重要です。
1-3. 自社で社会保険喪失証明書を発行しない場合の対応
社会保険喪失証明書の発行は会社の義務ではないため、社員からの申し出を受け付けていない場合もあるでしょう。
万が一、自社で社会保険喪失証明書の発行を行なっていない場合は、社員にほかの方法で入手できることを案内しておくとよいでしょう。
全国健康保険協会が管轄している健康保険に加入していた場合であれば、「健康保険・厚生年金保険 資格取得・資格喪失等確認請求書(通知書)」を年金事務所に提出することで喪失証明書を交付してもらえます。[注2]
ほかにも、自治体によっては、離職票や退職証明書に記載されている退職日を元に国民健康保険への切り替えを行なってくれるところもあります。
[注2]国民健康保険等に加入するため、健康保険の資格喪失証明等が必要になったとき|日本年金機構
2. 社会保険喪失証明書を発行する手順
社会保険喪失証明書を発行する手順は、書式の準備、書類の作成、書類の送付の3つです。
社会保険喪失証明書の発行はそれほど難しくありませんが、いくつか注意しておくべき点があります。
では、社会保険喪失証明書を発行する手順をみていきましょう。
2-1. 社会保険喪失証明書の書式の準備
社会保険喪失証明書を発行するためには、まず書式を準備しなければなりません。
社会保険喪失証明書に決まった書式はなく、会社ごとに作成することが可能です。
もしくは自治体によって、すでに書式が準備されておりホームページでダウンロード可能な場合もあります。
懇意にしている社労士がいるのであれば、社労士事務所にお願いして書式を作成してもらえるかもしれません。
社会保険喪失証明書の書式を自社で作成する場合、必要な情報が記載されているか確認する必要があります。
社会保険喪失証明書に記載されているべき情報は、主に被保険者本人、扶養家族、事業所の3つです。
次の項目で詳しく紹介します。
2-2. 社会保険喪失証明書の作成
社会保険喪失証明書の書式が準備できたら、証明書を作成します。
保険証などを参照しながら必要な情報を入力しなければなりません。
2-3. 社会保険喪失証明書の送付
社会保険喪失証明書を作成したなら、会社用にコピーを取り、原本を退職した従業員に送付します。
社会保険喪失証明書は社会保険の加入資格が喪失したことを証明するものなので、原則として従業員が実際に退職してから作成されます。
したがって、社会保険喪失証明書の原本が従業員に直接手渡されることはまれで、通常は自宅に郵送されるでしょう。
社会保険喪失証明書とともに重要となるのが、被保険者資格喪失届です。
被保険者資格喪失届は、従業員の退職日の翌日から5日以内に提出することが求められている書類なので、社会保険喪失証明書とともに作成し、速やかに提出しましょう。
3. 社会保険喪失証明書に記載すべき内容
社会保険喪失証明書には主に3つの情報が正確に記載されていなければなりません。
その3つとは、被保険者の情報、扶養家族の情報、そして事業所(自社)の情報です。
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
3-1. 被保険者の情報
社会保険喪失証明書には、資格を喪失する被保険者の情報が必要です。
被保険者の氏名、生年月日、住所といった情報が含まれます。
年金手帳に記載されている基礎年金番号、保険者番号、被保険者記号、被保険者番号などの各種番号も記載しなければなりません。
とくに被保険者番号と被保険者記号には違いがあるので注意しましょう。
被保険者としての資格を取得した年月日(基本的には入社日)、資格を喪失した年月日(退職日の翌日)、退職日も明記します。
3-2. 扶養家族の情報
被保険者の情報に加え、扶養家族がいる場合にはその情報も必要です。
扶養家族全員の氏名、続柄、生年月日などの情報を記載しましょう。
これらの情報は保険証から得られます。
さらに、被扶養者の認定年月日、被扶養者の喪失年月日も記載しなければなりません。
扶養家族がいない場合には、当然記載の必要はありません。
3-3. 事業所(自社)の情報
事業所の情報とは、従業員が働いていた会社、つまり社会保険喪失証明書を作成している会社の情報です。
会社の事業所名、所在地、代表者氏名、代表印、電話番号が必要となります。
事業所の情報に加え、証明書の名称や作成年月日も記載する欄を作りましょう。
これらの情報がすべて含まれていれば、とくに書式の指定はありません。
4. 社会保険喪失証明書は速やかに作成・送付しよう
社会保険喪失証明書は、従業員が国民健康保険へ加入するために必須の書類です。
とくに、退職して自営業になる従業員や、一定期間社会保険に加入しない従業員にとって重要な書類です。
社会保険喪失証明書の発行を求められたなら、できるだけ早く作成・送付し、従業員の利益になるようにしましょう。
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