ペーパーレス化とは?なぜ推進が必要?意味やメリット・デメリットを解説
ペーパーレス
2023.10.11
2023.10.11
近年では、働き方改革や法改正の影響も受け、ペーパーレス化が注目されています。ペーパーレス化を推進することで、さまざまなメリットを得ることが可能です。 当記事では、ペーパーレス化が注目されている理由や、ペーパーレス化のメリット・デメリット・導入手順、ツールの活用例について解説します。
ペーパーレス化とは?いつから?
ペーパーレスとは、英語では「Paperless」と呼び、書類・文書などを電子化して伝達・管理して、紙を使用しないようにすることを意味します。ペーパーレス化の例として、紙の契約書を電子化して管理することが挙げられます。
また、ペーパーレス化という言葉はいつから生まれたのか気になる方もいるかもしれません。ペーパーレス化という概念は、1970年頃に誕生しました。近年になり、ビジネスを成功させるためなど、さまざまな目的から企業においてペーパーレス化が注目を浴びています。
ペーパーレス化はなぜ注目されている?
ここでは、ペーパーレス化が注目を浴びている理由について詳しく紹介します。
電子帳簿保存法やe-文書法などの法改正
電子帳簿保存法とは、1998年7月に施行された、国税関係の帳簿書類を電子データで保存することを認める法律です。一方、e-文書法とは、2005年4月に施行され、商法や税法などで保管が義務付けられた書類を電子データで保存することを認める法律です。
政府はペーパーレス化を推進する取り組みのなかで、電子帳簿保存法やe-文書法などの法改正を進めています。たとえば、電子帳簿保存法は2022年1月に改正され、税務署長の事前承認手続きの廃止やタイムスタンプ・検索要件の緩和などがおこなわれています。
SDGsや環境保全などへの関心の高まり
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載され、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標のことです。
SDGsの17のゴールのなかで、ペーパーレスの取り組みは、17番の「陸の豊かさも守ろう」や、12番の「つくる責任 つかう責任」に対応しています。また、ペーパーレス化によってリモートワークなどが可能になれば、8番の「働きがいも経済成長も」という目標の実現にもつながるでしょう。
また、紙は木材が原料であり、生産するには森林を伐採する必要があります。そして、紙の大量生産により、地球温暖化といった環境問題につながる恐れがあります。
このように、SDGsや環境保全の観点から、ペーパーレス化は注目を集めています。ペーパーレス化を推進している企業は、環境を意識した活動をおこなっていることから、企業のイメージアップにもつながります。
ペーパーレス化のメリット
ここでは、ペーパーレス化を推進するメリット(利点)について詳しく紹介します。
ペーパーレス化のメリット①:コスト削減
ペーパーレス化を推進することで、紙で運用していた書類などを減らせるため、コストの削減が期待できます。ペーパーレス化により、下記のコストなどを削減することが可能です。
- 紙代
- 印刷代
- 郵送費用
- 収入印紙代
たとえば、紙で契約をおこなっていた書類を電子化して、メールなどでやりとりすれば、印紙税はかからず、収入印紙を貼る必要がなくなります。
ペーパーレス化のメリット②:業務の効率化
ペーパーレス化により、電子データとして情報を扱えるため、業務効率の向上が期待できます。近年では、PC・スマホ・タブレットといったさまざまな端末や、クラウドサービスが普及しています。電子データであれば、あらゆる端末やクラウドサービスを使用して、時間や場所を問わず閲覧・検索・管理することが可能です。そのため、ペーパーレス化を推進すれば、情報共有のスピードが向上し、業務の効率化を実現できます。
ペーパーレス化のメリット③:多様な働き方への対応
ペーパーレス化を推進することで、オフィスに出社せずとも業務をおこなえる可能性が高まるため、多様な働き方の実現にもつながります。近年では、働き方改革の影響も受け、テレワークが注目されています。
ただし、紙媒体の書類を使用する業務では、オフィスに出社しなければならず、テレワークをおこなえない可能性があります。そこで、ペーパーレス化により、業務において電子データでやり取りすることで、さまざまな働き方に対応することが可能です。
ペーパーレス化のメリット④:業務スペース確保や削減
ペーパーレス化によって、紙媒体の書類を減らしたり、テレワークを推進したりできるため、業務スペースの確保や削減をおこなうことが可能です。紙の書類を管理していたスペースを削減し、本来必要としていたスペースに変えることで、業務効率の向上が期待できます。また、紙の保管スペースが必要ない場合には、オフィスの賃料を抑えられる可能性もあります。
ペーパーレス化のメリット⑤:セキュリティの強化
紙媒体で書類を管理している場合には、物理的なセキュリティ対策が必要になります。たとえば、地震や火災などにより、重要な書類が消失してしまった場合には、大きな損失を被る恐れがあります。
一方、ペーパーレス化を推進すれば、アクセス権限を個人単位で付与したり、データのバックアップをおこなったりできるため、適切なセキュリティ対策を実施することが可能です。このように、ペーパーレス化により、電子データで管理をおこなうことで、セキュリティを強化することができます。
ペーパーレス化にデメリットはある?
ここでは、ペーパーレス化を推進するうえでのデメリットについて詳しく紹介します。
デメリット①:電子化できない書類がある場合、管理が煩雑になる
ペーパーレス化を推進したいと考えていても、自社のすべての書類を電子化できない可能性があります。たとえば、取引先の承諾の必要な書類や、法律により文書化義務のある書類などがあります。
そのため、ペーパーレス化を推進するにあたって、電子化できない書類がある場合には、管理が煩雑になり、業務負担の増加につながる恐れがあります。ただし、法改正などにより、電子化できる書類が増えていく可能性があるため、最新の情報収集を欠かさないことが大切です。
デメリット②:ツール導入やネット環境の整備が必要
ペーパーレス化を進めるには、紙の書類を電子化したとしても、安定して業務をおこなえる環境を整備しなければなりません。たとえば、新しくITツールを導入したり、ネット環境を構築したりする必要があります。そのため、適切なITツールやネット機器の選定など、ペーパーレス化を推進するにあたり、大きなコストの負担がかかる恐れもあります。
デメリット③:社員のリテラシーによっては不便を感じる場合も
ペーパーレス化により、紙媒体の書類は電子データ化され、一般的にオンラインでやり取りされるようになります。PCやスマホなどの端末や、ITツールの操作に慣れていない従業員にとっては、不便に感じてしまう可能性があります。そのため、ペーパーレス化を実施する際は、業務効率を下げないためにも、従業員のための操作マニュアルを用意したり、研修をおこなったりすることが大切です。
ペーパーレス化するには何から始める?推進の方法
ここでは、ペーパーレス化を始めるための手順・方法について詳しく紹介します。
ペーパーレス化の目的・対象を明確にする
ペーパーレス化は、紙の書類を電子化して管理するだけではなく、業務プロセスそのものを変革させる機会にもなります。まずはペーパーレス化を実施する目的を明確にしましょう。そして、目的にあわせてペーパーレス化の対象を定めることが大切です。
目的や対象が明確になると、ペーパーレス化をおこなうために必要なツールや準備がみえてきます。また、経営層からペーパーレス化の取り組みをリードすることで、ペーパーレス化をスムーズに進めることが可能です。
ペーパーレス化のためのツールを選定する
ペーパーレス化の目的と対象が明確になったら、それにあわせて必要なツールを選定しましょう。近年では、ペーパーレス化を推進するためのツールはさまざまあり、自社に必要な機能の搭載されているものを導入するのがおすすめです。多くの機能の搭載されているツールが魅力的にみえるかもしれませんが、使用しない場合には、コストの増加や、操作性の悪化を招く恐れもあります。
業務フローやルールを変更する
ペーパーレス化のためのツールを選定できたら、実際の業務フローやツールの利用方法などの見直しをおこなうことが大切です。ペーパーレス化を実施した後に、業務のフローやツールの使い方が明確になっていないと、従業員は混乱してしまい、業務負担の増加につながる恐れがあります。
適切な業務フローやルールを策定できれば、ペーパーレス化を実施後、従業員はスムーズに業務に取り組むことが可能です。
ペーパーレス化を実施し、評価・改善する
業務フローやルールが明確になったら、実際にペーパーレス化を実施し、評価から改善までおこないましょう。ペーパーレス化を実施するときは、スムーズに移行できるように、開始時期や対象書類、業務フロー、ツールの使い方などを事前に従業員に周知しておくことが大切です。
また、実施後は評価をおこない、改善点があるかどうかを明らかにしましょう。改善点がある場合には、改善策を練り、再度実施して改めて評価をおこないます。この繰り返しにより、ペーパーレス化の目的の達成につなげることが可能です。
ペーパーレス化ツールの活用例
ここでは、ツールを導入することで、実現できるペーパーレス化の事例について詳しく紹介します。
オンラインストレージ
オンラインストレージとは、閲覧・保存・共有など、電子データを管理するためのツールです。オンラインストレージを導入すれば、インターネット上で電子データを管理できるため、時間や場所を問わず、書類データを利用することができます。
また、オンラインストレージには、書類データにアクセス権限を付与できるため、セキュリティ強化にもつながります。オンラインストレージを導入したことにより、保守費用の削減やバックアップへの不安減少につながったという事例もあります。
電子契約サービス
電子契約サービスとは、契約書を締結する際に、すべてのプロセスをクラウド上でおこなえるように整備されたツールです。電子契約サービスを導入すれば、オンライン上で契約をおこなえるため、端末とネット環境があれば、いつでも業務を実施することができます。
また、書類の印刷・製本・郵送といった手間を省けるため、コストの削減や業務効率の向上が期待できます。電子契約サービスを導入したことにより、大幅な印紙代コストの削減に成功したという事例もあります。
勤怠管理システム
勤怠管理システムとは、出勤・退勤や時間外労働、有給休暇など、勤務状況を把握するためのツールです。勤怠管理システムを導入すれば、PCやスマホ、ICカード、生体認証、PCのログなど、さまざまな方法で打刻することができます。
また、勤怠管理システムには、申請・集計・アラート・分析といったさまざまな機能が搭載されています。紙のタイムカードを使用していた企業が、勤怠管理システムを導入したことにより、集計業務の効率が向上した事例もあります。
ペーパーレス化を実現して業務を効率化しよう!
ペーパーレス化は、法改正の実施や環境保全への関心の高まりから注目を集めています。ペーパーレス化により、コストの削減や業務効率の向上、セキュリティの強化など、さまざまなメリットを得ることが可能です。ただし、ペーパーレス化を実施するうえで、電子化できない書類やツールの導入など注意点もあります。自社の目的にあわせて、適切なツールを選定して、ペーパーレス化を推進することが大切です。
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