顧客満足度を測る3つ指標と5つのKPI、アンケート調査に活かすためには!?
顧客満足度調査・NPS
2023.08.16
2023.08.16
消費者の価値観が多様化した現在、企業は顧客満足を意識して商品やサービスを提供することが当たり前となっています。しかし、顧客満足というものは、実際はあいまいなものであり、主観的に判断するしかありません。顧客の満足の度合を示す顧客満足度はどのように測れば良いのでしょうか。今回は一般的な顧客満足度を測るための指標について、徹底的に解説します。
顧客満足度とは
「顧客満足」とは、企業が提供する商品やサービスを購入する際に、顧客が感じるの満足の度合のことで、CS(Customer Satisfaction)ともいわれています。この顧客満足は明確な定義はなく、曖昧なものです。
そこで、この顧客の満足の度合を示したものが顧客満足度です。 顧客は何をどのようにしたら満足するのか、顧客満足度を高めることができるのか、決まった方法などはありません。しかし、現在では、消費者の価値観が多様化し、単にモノを売るだけでは顧客を満足させることは難しいのです。
そのため、企業はモノを提供するだけでなく、顧客が抱える課題を解決することが顧客満足度を高めるポイントとなることは間違いないでしょう。 そこで今回は顧客満足について徹底解説します。
顧客満足度の調査方法
顧客満足度を測る方法としては大きく2つあります。1つ目はアンケートツールや用紙を使用し、独自のアンケートから顧客満足度を測るという方法です。もう1つは、リサーチ会社や調査機関に依頼をする方法です。ここではその2つの方法について紹介します。
顧客満足度の調査方法①:アンケートツール・用紙を使用する
顧客満足度は、一般的にはアンケートをおこなって調査をする場合が多いです。顧客に対して自社の商品やサービスについてのアンケートを作成、送付し、回収したデータを分析します。 顧客満足度調査の最終目的は顧客満足度の維持、向上をさせることです。
アンケート調査においても、自社の現状を正確に把握し、浮き彫りとなった問題を解決することを意識する必要があります。そのため、アンケートの内容は顧客満足度向上のための施策を立案し、実施するために役立つようなものにすることが重要です。
顧客満足度の調査方法②:リサーチ会社や調査機関に依頼をする
顧客満足度を測るために、リサーチ会社や調査機関を利用するという方法もあります。リサーチ会社に依頼する場合、定量調査や定性調査、オンライン調査、オフライン調査など会社ごとにいくつかのリサーチ方法が用意されているので、自社の顧客満足度調査で明らかにしたい内容に合わせて調査方法や調査票を設計していきます。
また、調査機関の場合は、独自のメソッドや調査方法などによって、顧客満足度を測っていることがあります。これを参考にするのも良いでしょう。 ここまで顧客満足度の調査方法について紹介していきました。 アンケートを含め顧客満足度を調査をする際には何かしら指標があったほうが良いでしょう。次では、顧客満足度を測る代表的な指標を紹介します。
顧客満足度を測る指標①:CSI
CSIとは
CSI(Customer Satisfaction Index)とは、アメリカを中心とした約30カ国のさまざま国で政府機関などから提供されている顧客満足度の指標です。 モデルとなるアメリカでの指標はACSIといい、大きなシェアを持つ外国企業と国内企業が提供する製品とサービスの質から、アメリカの消費者の満足度を測るものです。
CSIの歴史は、1994年、アメリカのミシガン大学が算出式を構築し、その後政府が産業別に顧客満足度指数を発表したものが指標とされています。 現在では、毎年25万人の顧客に対して最も多く使用する製品やサービスについて調査を実施しており、この調査結果は約46業種、380社以上の企業や政府機関などさまざまなサービスへの計量のモデルとして役立たされています。
顧客満足度を測る指標②:JCSI
JCSIとは
顧客満足度の指標の1つであるJCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)とは、世界の主流CS解析理論をベースにして、日本版にカスタマイズして開発された日本最大級の顧客満足度調査です。
JCSIは、「Expectation-Disconfirmation Theory(※期待不確認理論)」(Richard L Oliver,1977,1980)を理論的支柱として、顧客満足の指数化を行っています。 この理論は、消費者の視点に立ち、「購入前の期待(Expectation)」と「購入後の効用(Performance)」とが、どのような関係になるかによって満足か不満かという態度が決定されるとする理論です。 ※「不確認」とは、知覚成果が期待に一致しない程度のこと 知覚成果>期待の場合、不確認はポジティブに働く。 知覚成果<期待の場合、不確認はネガティブに働く。
JCSIの特徴
海外のCSIを日本版にカスタマイズされたJCSIでは、顧客が商品やサービスを購入したり利用したりする際に共通する心の動きをモデル化することで、顧客の利用前の期待と利用後の満足度を比較することができます。 ここでは日本最大級の顧客満足度調査であるJCSIの特徴について紹介しましょう。
信頼できる日本最大級の顧客満足度調査
JCSIの調査は、公益財団法人日本生産性本部によって、年に1度、約30業種の中から、業種内で売上高が上位に入る約400企業を対象に実施されています。その調査で蓄積された多くのデータと、約12万人以上の利用者からの回答から客観的に判断されているため、信頼できる日本最大級の顧客満足度調査といえるでしょう。
公益財団法人日本生産性本部が定期的に実施する顧客満足度調査は対象企業が限定されていますが、対象外の企業でも問い合わせをすれば個別調査を依頼することができます。
6つの指標での質問で多面的な比較・分析ができる
JCSIの調査は、各指標についての質問は約3~4問で、6つの指標の指数を100点満点で評価します。 この6つの指標の質問によって、多面的にデータを比較・分析することができ、顧客の満足・不満足への理由や、どのように行動したかという因果関係を明らかにすることができます。
- 顧客期待(顧客が利用前に感じる商品やサービスなどの印象や予想、期待)
- 知覚品質(実際に商品やサービスなどを利用した際の品質への評価)
- 知覚価値(利用した商品やサービスなどに感じる価格への納得感、コストパフォーマンス)
- 顧客満足(商品やサービスなどを利用して感じた満足の度合)
- 推奨意向(利用した商品やサービスなどを自発的に他者へ推奨するかどうかの度合)
- ロイヤルティ(今後も継続的にその商品やサービスを利用するかの意向)
業種を超えて比較をすることができる
JCSIの調査は、各企業やブランドが提供する商品やサービスなどについて、全ての業界に共通する質問について顧客から評価をしてもらうことで、業界をまたいでの比較・分析をすることができます。
JCSIの計算方法
上記でも少し触れましたが、このJCSIは「期待不確認理論」を支柱とし、以下のような計算式で顧客満足度を測っています。
つまり、P>Eの場合は顧客は満足感を感じ、P<Eの場合は顧客は不満足を感じるということです。 この計算式をもとにJCSIモデルの6つの指標の質問、回答者の属性質問、サービス品質質問、その他の質問の4カテゴリーの約100個の質問からアンケートが作られています。
調査の方法は、第1段階では約10~20万人の消費者のサンプルから各社のサービス利⽤経験を洗い出します。その後、第2段階のアンケートで第1段階で洗い出したサービス利⽤経験の条件を満たす回答者へ、再度調査を依頼します。 そして各企業への回答が300件満たされたら調査を終了し、顧客満足度を算出します。
そのため、各企業の満足度のみならず、業種を超えての分析もできるのです。
顧客満足度を測る指標③:NPS®
NPS®とは
顧客満足度を測る指標として新たに登場し注目を集めているものとして、NPS®があります。 NPS®とは「Net Promoter Score®」の略で、顧客ロイヤリティといわれる企業やサービスに対する愛着や信頼度を数値化する指標のことです。
NPS®は「あなたはこの商品を家族や友人にどの程度おすすめしたいと思いますか。」というようなシンプルな質問から推奨者と批判者の割合によってスコアを算出します。
NPS®の特徴
NPS®は従来の顧客満足度調査といくつか異なる点があります。 ここではNPS®の特徴について簡単にまとめていきます。
NPS®は適切な課題への着目
NPS®は、まずはじめに顧客との接点を理解しなければなりません。そのため、アンケートを作成する前にはカスタマージャーニーの設計が必要となります。 カスタマージャーニーを設計することで、それを踏まえた仮説や質問を設計するため、顧客との接点ごとの具体的な課題を見つけることができるのです。
ユーザーとその身近な人も対象
顧客満足度調査は商品やサービスを利用したユーザーのみが対象となりますが、NPS®は、商品やサービスに対する満足度を対象ユーザーだけで完結するような質問ではなく、「ユーザーの友人や家族などへおすすめしたいか」という他者も関係した質問をします。これによって対象ユーザーが商品やサービスに対して感じている愛着度を確認することができます。
今後の業績とも連動して考えられる
「あなたはこの商品を家族や友人にどの程度おすすめしたいと思いますか。」というような質問により、今後の収益と連動して考えることができる点も特徴です。 その商品やサービスのユーザーのみならず、今後既存ユーザーの推薦によって新たな顧客を見込める可能性があります。
それだけでなく、家族や友人など身近な相手に推薦するという行為は、商品やサービスに対して本人が強い愛着、忠誠心を感じていると捉えることができます。
そのため、今後もそのユーザーが自社の商品やサービスを利用し続けてくれるだろうと予測をすることができるのです。 このような点からNPS®は今後の収益とも連動して考えることができるといえます。
NPS®の計算方法
NPS®の簡単な計算方法を紹介します。 自社の商品やサービスを購入した顧客に対して「あなたはこの商品を家族や友人にどの程度おすすめしたいと思いますか。」というシンプルな質問をします。その質問に対して0~10点の11段階で評価をしてもらい、回答の点数ごとに顧客を分類します。
0〜6点:批判者(不満を持つ顧客) 7〜8点:中立者(特に不満はないが、熱狂的でもない顧客) 9〜10点:推奨者(強い好感を持ち、熱心な顧客) そしてNPS®は以下のような計算式で算出することができます。
顧客満足度の指標に関係するKPI
顧客満足度を測る指標は上記で紹介したようなものがあります。 顧客満足度調査をすることで、自社商品やサービスの改善、新規開発に役立ち、最終的には自社の目的やビジョンに沿い、成長の助けとなるものでなければなりません。 そのために、何が顧客満足度の指標を左右しているのかというKPIは重要なものとなってきます。
そこで顧客満足度に影響を及ぼすと考えられるKPIをいくつか紹介します。 顧客満足度とここで紹介するKPIについてどのような相関があるか確認してみると、顧客満足度の向上の糸口が見つかるかもしれません。
顧客満足度の指標に関係するKPI①:顧客数
顧客数とは、商品やサービスに対してのそれぞれの顧客の数です。 顧客数が多ければ多いほど、よりたくさんの人に利用してもらっているということができ、企業にとって、この顧客数は重要な数であるといえます。 しかし、顧客が多いほど、一人ひとりに寄り沿ったサービスの提供、丁寧な対応、サポートなどをすることが難しくなってきます。
そのため、すべての顧客から顧客満足度において良い評価をもらうことが難しくなる恐れがあります。 顧客数は、顧客満足度調査において母数となる数字なので、顧客数が多くなればなるほど顧客満足度への影響が考えられます。
顧客満足度の指標に関係するKPI②:顧客紹介数
顧客紹介数とは、自社の商品やサービスを利用したユーザーが家族や友人などに紹介をした数です。多くは、新たな顧客を獲得した際に、「このサービスを知ったキッカケは何ですか?」といった質問やお友達紹介カードなどを活用して、顧客紹介数を把握することができます。 顧客が周りの人たちに紹介するということで新規の顧客を見込むことができ、顧客数を増やすことにつながります。
さらに、NPS®で紹介したように、商品やサービスを他者に自ら推薦するという行為は、その商品やサービスについて本人が愛着心や忠誠心を感じているといえます。 そのため、顧客紹介数は、顧客満足度の数値と大きく関わってくる可能性があります。
顧客満足度の指標に関係するKPI③:クレーム発生件数
クレーム発生件数は、企業や提供する商品、サービスに対して顧客が不満を感じ問い合わせをしている件数で、顧客満足度との関係は想像がしやすいKPIだと思います。 顧客からのクレーム発生件数が多いほど、商品やサービスまたは企業についての不満に感じている人が多く、顧客との関係が良好でないことは間違いありません。
しかし、クレーム発生件数が少ないからといって顧客満足度は高いというわけではないので、注意が必要です。クレームを指摘する顧客は氷山の一角です。その多くは不満を感じていても表面化されないサイレントクレーマーであることは心に留めておきましょう。
顧客満足度の指標に関係するKPI④:リピート購入率
リピート購入率は、すべての顧客のうち自社の商品やサービスを何度も継続的に利用してくれる顧客の割合です。 数多くある商品、サービスの中から自社のものを選び、利用し続けるという状態は、自社に対して、または自社の商品やサービスに対して強い愛着や信頼を感じていると考えられることができます。
リピート購入率を高めることは自社の商品やサービスに対して高い満足感を感じている顧客の割合を増やすことに繋がるでしょう。
顧客満足度の指標に関係するKPI⑤:返品率・解約率
返品率や解約率は、すべての顧客のうち購入したものを返品または解約した顧客の割合です。顧客が、商品やサービスを返品する・解約するという行為は、何らかの不満を感じている可能性が高いです。
しかし、必ずしも商品やサービスそのものに対して大きな不満を感じていない場合もあります。 顧客が商品を購入する際に納得しないまま意思決定をしてしまったのか、それともサービス提供のプロセスの中で顧客に不満を与えるような行為があったのか、さまざまな原因が考えられます。
どのような理由で返品または解約に至ったのか調査をする必要がありますが、顧客の満足感を損ねたということには変わりはありません。
そのため、返品率・解約率というのは顧客満足度に影響を与えるKPIとすることができるはずです。
顧客満足度の指標を理解しよう
顧客のニーズに適切に応えることが求められる現在では、顧客満足度調査をおこない、現状把握をしている企業は多いと思います。しかし、顧客満足度の度合を測る指標を理解せず、十分に活用しきれていない企業いくつかあるのではないでしょうか。 企業で顧客満足について考える際に、もう一度、顧客満足度を測る指標を見直してみてはいかがでしょうか。
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