非居住者の年末調整は必要?海外赴任や非居住者の扶養親族の取り扱いを解説!
労務管理システム
2023.09.21
2023.09.21
グローバル化が進むなかで、海外赴任をする従業員がいたり、外国人労働者を雇う企業は少なくないでしょう。非居住者に該当する場合や、海外に住んでいる扶養家族がいる場合には、年末調整での扱い方が通常の従業員と異なることもあります。 当記事では、非居住者や外国人従業員の年末調整についてわかりやすく解説します。
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年末調整ガイドブック|複雑な手続きをわかりやすく図解!
この資料では、年末調整の必要書類や書き方、源泉徴収の計算方法、年末調整後におこなうべき対応など、年末調整の手続きについて解説しています。2023(令和5)年の年末調整に向けての準備にご活用ください。
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非居住者は年末調整の対象ではない
非居住者は、年末調整の対象外のケースに該当するため、原則として年末調整をおこなう必要はありません。
年末調整の対象外のケースには、下記が挙げられます。
- その年の収入金額が2,000万円を超える人
- 「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」の規定により、その年の給与に対する所得税(復興特別所得税を含む)の源泉徴収について徴収猶予もしくは還付を受けた人
- 2カ所以上から給与の支払を受けている人
- 年の中途で退職した人(年末調整の対象者に該当する場合もあり)
- 非居住者
- 継続して同一の雇用主に雇用されていない日雇労働者など
年末調整とは?
そもそも、年末調整とは、雇用主の義務であり、毎月(毎日)の給与などの支払いのときに源泉徴収をした税額の合計と、その年のすべての給与から計算された納めるべき年税額を比較して、その過不足金額を精算する手続きのことです。
源泉徴収税額は、概算で算出されていることが、過不足金額が生じる理由として挙げられます。また、年末調整では、扶養控除や配偶者控除、保険料控除など、従業員それぞれの事情に応じて受けられる控除や控除額が異なることも、過不足金額が発生する原因のひとつです。
年末調整で、過不足金額が生じた場合には、従業員から新たに徴収をおこなったり、従業員に還付をおこなったりします。たとえば、源泉徴収税額の合計が、年末調整で計算した年税額よりも大きい場合には、還付をおこないます。年末調整を実施することで、大半の従業員は納税が完了するため、自分で確定申告をおこなう必要がありません。
ただし、非居住者のように、年末調整の対象外に該当するケースもあるため、注意が必要です。
年末調整における非居住者とは?居住者・非居住者の定義
年末調整の対象外となる非居住者とは、どのような従業員なのでしょうか。ここでは、所得税法第2条によって定義されている、居住者と非居住者の違いについて解説します。
居住者とは国内に住所がある個人
居住者とは、国内に「住所」がある個人、または、現在まで引き続き1年以上「居所」がある個人のことです。住所とは、生活の本拠地を意味します。居所とは、本拠地ではないものの、実際に住んで生活している場所のことです。なお、生活の本拠かどうかは、その人の生活の範囲や中心がどこにあるかなど、客観的事実により判定されます。
たとえば、日本に1年以上住んでおり、企業で働いている外国人労働者は、居住者に該当するでしょう。居住者である労働者に対しては、年末調整をおこなうことが必要です。
非居住者とは居住者に該当しない個人
一方、非居住者とは居住者に該当しない個人のことです。日本国内に住所をもっていない個人や、居所があっても2〜3カ月しか住んでいない個人を指します。このような労働者は、非居住者に該当するため、年末調整の対象にはなりません。
海外赴任者で年末調整の対象となる場合
ここでは、海外赴任者のうち、年末調整の対象となる場合について詳しく紹介します。
居住者(年末調整の対象)となる場合
海外赴任者のうち、居住者に該当し、年末調整の対象となるケースについて具体的に見てみましょう。
海外勤務期間が1年未満の場合
海外赴任者でも、海外での勤務期間が1年未満で居住者に該当する場合には、年末調整の対象者になります。また、年の途中で海外赴任をおこなう従業員方も、場合によっては、年末調整の対象者になります。出国する日までに確定した収入に対して、出国する日までに年末調整をおこなうことが必要です。
年の途中で日本に帰国した場合
さらに、年の途中で海外から日本に帰国した従業員方も、年末調整の対象者に該当します。「扶養控除等(異動)申告書」を提出したうえで、帰国した日から年末までの給与などの総額について年末調整を実施しましょう。なお、帰国日以降に、海外で勤務した期間の給与などの支給がある場合には、その金額も源泉徴収の対象になります。
非居住者(年末調整の対象外)となる場合
次に、海外赴任者のうち年末調整の対象外となるケースについて確認しておきましょう。
海外勤務期間が1年以上の場合
先述したように、海外赴任の期間が1年未満の場合は、居住者に該当するため、年末調整の対象者になります。
一方、海外赴任の期間が1年以上の場合は、非居住者に該当し、年末調整の対象外になるため、基本的には年末調整をおこなう必要はありません。
ただし、自社の海外支店などに1年以上の予定で転勤する場合には、出国する日までに確定する収入については、年の途中で年末調整が実施されます。なお、給与の支払者は、出国する日までに、年末調整をおこなわなければなりません。
海外でテレワークをする場合
海外を生活の拠点として、1年以上、テレワークによって日本国内の仕事をしている場合、非居住者に該当します。
非居住者に該当するかどうかは、日本国内の仕事をしているかどうかではなく、生活の拠点がどこにあるかによって決まります。
海外で長期的にテレワークをしている従業員がいる場合は、年末調整の対象外となるため覚えておきましょう。
【注意】居住者であっても年末調整の対象外となる場合
海外赴任をおこなう従業員のうち、居住者であっても、年末調整の対象外になることがあるため、注意が必要です。
「扶養控除等(異動)申告書」を年末調整を実施する日までに会社に提出した従業員が、年末調整の対象になります。
そのため、「扶養控除等(異動)申告書」を提出していなければ、海外赴任者で居住者に該当する場合でも、年末調整を受けられない可能性があります。
また、その年に支払うことが確定した給与などの支給額が2,000万円を超える従業員は、居住者であっても、そもそも年末調整の対象者から外れるため年末調整はできません。。なお、会社で年末調整を実施できない場合には、原則として自分で確定申告をおこなう必要があります。

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外国人でも居住者の場合は年末調整の対象となる
外国人も日本人の従業員と同様で、居住者と非居住者のどちらに該当するかによって、年末調整の対象者になるかは異なります。外国人従業員が、日本に住所をもっている場合や、日本に1年以上住み続けている場合には、居住者に該当し、年末調整の対象になります。
一方、居住者に該当しない場合、外国人従業員は、年末調整の対象になりません。なお、ほかの一般的な従業員と同様で、年末調整を実施するには「扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらう必要があります。
年末調整における「非居住者である扶養親族」とは?
扶養親族が国外に居住している従業員について、どのように年末調整を進めればよいかわからない方もいるかもしれません。「非居住者である扶養親族」とは、国外居住親族と呼ばれることもあり、国内に住所をもたず、かつ現在まで引き続き1年以上国内に居所を有しない扶養親族のことです。
非居住者である扶養親族がいる場合に、扶養控除や配偶者(特別)控除、障害者控除といった控除を受ける場合には、その国外居住親族に係わる「親族関係書類」や「送金関係書類」を源泉徴収義務者に提出、もしくは提示してもらう必要があります。なお、親族関係書類や送金関係書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文も必要になります。
「非居住者である扶養親族」がいる場合の年末調整の方法
ここでは、非居住者の親族扶養控除を実施する場合の方法について詳しく紹介します。
親族関係書類・送金関係書類を提出してもらう
非居住者の親族の扶養控除を実施するには、親族関係書類や送金関係書類を会社に提出してもらう必要があります。親族関係書類は、下記のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証明する書類です。
・戸籍の附票の写しなど日本国又は地方公共団体が発行した書類及び非居住者である親族の旅券の写し
・外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(非居住者である親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)
送金関係書類は、下記の書類により、居住者がその年に国外居住親族の生活費や教育費のために支払いをおこなったことを証明する書類です。
・金融機関が発行した書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引によりあなたから非居住者の親族に支払をしたことを明らかにする書類
・いわゆるクレジットカード発行会社が発行した書類又はその写しで、非居住者の親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを利用して商品の購入や役務提供を受けたことに対する支払をしたことにより、その代金に相当する額の金銭をあなたから受領し、又は受領することとなることを明らかにする書類
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書に記載してもらう
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書には、国外居住親族に関する情報を記載してもらう必要があります。
「非居住者である親族」の欄には、源泉控除対象配偶者、もしくは控除対象扶養親族が国外居住親族の場合、「〇」を記載するよう伝えましょう。
また、「生計を一にする事実」の欄には、その年に国外居住親族に対して送金などをおこなった金額の合計を記載する必要があります。なお、配偶者(特別)控除を受ける場合には、「配偶者控除等申告書の記載」にも、同様の事実を記載してもらいます。
非居住者の社員がいる場合の年末調整に注意しよう!
非居住者は、原則として年末調整の対象外になります。なお、非居住者とは、居住者に該当しない人のことです。海外赴任をおこなう従業員は、非居住者に該当しますが、場合によっては年末調整を受けられます。また、非居住者である扶養親族がいる従業員の場合、年末調整で控除を受けるときは、提出書類に注意が必要です。
このように、非居住者の従業員や扶養親族がいる場合の年末調整のやり方を理解して、正しく年末調整の手続きをおこなうことが大切といえます。
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