インボイス制度の特例措置!3万円未満の仕入への対応や2割特例についても解説
請求書発行システム
2023.12.04
2023.12.04
インボイス制度は2023年10月1日から開始されます。免税事業者によっては、課税事業者に転換しなければならない場合もあります。しかし、インボイス制度にはさまざまな特例が用意されているので、知識を深めたうえで適切な対応を取ることが大切です。当記事では、インボイス制度の仕組みや特例、例外措置、経過措置、3万円未満の取引における対応についてわかりやすく解説します。
▼インボイス制度についてはこちらもチェック!

【企業担当者向け】インボイス制度対応ルールBOOK
2023(令和5)年10月からインボイス制度が開始されるにあたって、企業が対応すべきことは多くあります。この資料では、企業の担当者向けに、インボイス制度の概要と対応すべき内容をわかりやすく解説します。
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インボイス制度では3万円未満の仕入にも領収書が必要に
インボイス制度が開始される2023年9月30日までは、税込3万円未満の仕入の場合には、請求書などの保存は必要なく、帳簿に法定事項を記載していれば、仕入税額控除を受けられる特例があります。
しかし、インボイス制度が始まると、仕入税額控除を受けるには、税込3万円未満の仕入についても、原則としてインボイスの保存が必要になります。
そのため、仕入税額控除の特例は認められなくなるので注意が必要です。ただし、インボイス制度が導入開始後も、請求書の交付が難しい場合には、帳簿のみの保存で認められることもあるので後ほど解説します。
そもそもインボイス制度とは?
ここでは、インボイス制度で知っておきたい用語や仕組みについて詳しく紹介します。
インボイスとは
インボイスとは、適格請求書とも呼ばれ、下記の項目が記載された請求書のことです。
- 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
- 取引を実施した年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 請求書を受け取る事業者の氏名または名称
インボイス制度では、適格請求書発行事業者に登録をおこなわなければ、インボイスを発行することができません。また、適格請求書発行事業者に登録できるのは、課税事業者のみです。そのため、免税事業者のままでは適格請求書発行事業者に登録できないので、インボイスを発行したい場合には、課税事業者に転換する必要があります。

適格請求書とは?インボイス対応の請求書の記載事項や要件を解説!
インボイス制度が始まると、適格請求書(インボイス)と呼ばれる請求書を保管しなければ、原則として仕入税額控除を受けられなくなります。 当記事では、適格請求書や適格簡易請求書の意味や記載事項、適格請求書を発行する方法や注意点、適格請求書に対応した帳簿の記入の仕方などをわかりやすく解説します。適格請求書の知識を深めたい方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
仕入税額控除とは
仕入税額控除とは、課税期間中の仕入などにおける消費税額を差し引ける制度のことです。
なお、免税事業者については、仕入税額控除を適用できません。 インボイス制度が始まると、仕入税額控除を適用するには、原則としてインボイスの保存が必要になります。
そのため、インボイス制度が開始される前に、取引先に適格請求書発行事業者に登録するのかどうかをヒアリングし、インボイスの発行を受けられないと判明した場合には報酬金額の減額などについて交渉をおこなうことも検討しましょう。

インボイス制度とは?何のため?対象や影響をわかりやすく解説!
インボイス制度は、2023年10月1日より開始されます。インボイス制度により、請求書の発行方法や、仕入税額控除の適用などが変わります。 当記事では、インボイス制度の仕組み・目的・対象・手続き方法や、インボイス制度によって何が変わるのか、免税事業者への影響はどうなのかなどをわかりやすく解説します。インボイス制度について網羅的な知識を身に付けたい方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
また、こちらの資料では現行の保存方式からの変更点や各事業者の対応事項などをまとめています。 インボイス制度について詳しく知りたい方は、こちらの資料をダウンロードしてみてください。

インボイス制度総まとめルールBOOK
2023(令和5)年10月に開始するインボイス制度。企業は自社の状況に応じた対応が急務となっています。この資料では、インボイス制度の概要と、課税事業者・免税事業者の対応事項や手順を総まとめします。
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例外的に帳簿のみの保存で認められるケースとは
インボイス制度が始まると、仕入税額控除を適用するには基本的にインボイスの保存が必要になります。また、適格請求書発行事業者に登録をおこなった者は、買い手から要求されたら、インボイスを交付する義務があります。
ただし、インボイスを交付することが困難である下記のような取引については、必要事項の記載された帳簿を保存するだけで、仕入税額控除を適用することが可能です。
- 3万円未満の公共交通機関による旅客運送
- 適格簡易請求書の記載事項が記載されている入場券などが使用するときに回収される取引
- 古物や質物、建物、再生資源、再生物品などの購入
- 自動販売機や自動サービス機での3万円未満の商品の購入
- 郵便切手類だけを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたもののみ) 通常必要だと認められる出張旅費など
帳簿のみの保存の特例を適用する場合には、帳簿の記載項目に注意する必要があります。たとえば、「課税仕入の相手方の住所または所在地」「特例の対象となる旨」などの記載が必要になる場合があります。
インボイス制度の特例や例外措置
ここでは、インボイス制度の特例や例外措置について詳しく紹介します。
農協特例
無条件委託方式と共同計算方式を満たす委託販売では、売り手と買い手が1対1で紐づかないため、インボイスを交付することが難しいです。
なお、無条件委託方式とは、売値や出荷時期、出荷先といった条件を付けずに委託する方式を指します。また、共同計算方式とは、一定期間の販売額をその期間の平均価格により精算する方式を指します。
この場合には、売り手はインボイスの発行義務が免除されます。農協特例では、JA(農業協同組合)が発行するインボイスにより買い手は仕入税額控除を受けられるため、売り手は適格請求書発行事業者ではなくても問題はありません。

インボイス制度の農協特例とは?農家・農業者が気を付けたいポイントを解説!
インボイス制度が始まると、農業従事者にも大きな影響を与えます。しかし、農業をおこなっている方のなかには、適格請求書を発行するのが困難な場合もあるため、特例が用意されています。 当記事では、農協特例や卸売市場特例、媒介者交付特例といった農業におけるインボイス制度の特例についてわかりやすく解説します。農業従事者でインボイス制度への対応方法を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
卸売市場特例
JAに販売委託した農産物などは、一般的に卸売市場を通して卸業者に販売されます。そのため、流通上の観点から販売されている農産物などの出荷元が免税事業者なのか、課税事業者なのかを判断するのは困難です。 この場合には、売り手はインボイスの発行義務はなくなります。
卸売市場特例では、卸売市場が発行するインボイスにより、買い手は仕入税額控除を適用できるため、農協特例と同様で、売り手は免税事業者でも問題はありません。 なお、卸売市場特例の対象となる卸売市場は下記の通りです。
- 農林水産大臣の認定があった中央卸売市場
- 都道府県知事の認定があった地方卸売市場
- 農林水産大臣の確認を受けた卸売市場
媒介者交付特例
委託者が媒介者(JA直売所など)を介して取引をおこなう場合、売り手が買い手に個別にインボイスを発行することは難しいです。なお、この取引では「無条件委託方式」「共同計算方式」に該当しないため、農協特例を適用することは不可です。
また、卸売市場を通さないため、卸売市場特例を適用することもできません。 しかし、下記の要件を満たせば、委託者に代わって媒介者がインボイスを発行することができます。
- 委託者と受託者の両方が適格請求書発行事業者に登録をおこなっている
- 委託者が受託者に適格請求書発行事業者である旨を取引前までに通知をおこなっている
媒介者交付特例では、委託者は適格請求書発行事業者に登録をおこなっていないと適用できません。そのため、免税事業者のままでは媒介者交付特例を利用することはできないので注意が必要です。
公共交通機関特例
3万円未満の公共交通機関による旅客運送では、公共交通機関特例により、インボイスの発行義務が免除されます。公共交通機関特例の対象となる旅客運送には、下記が挙げられます。
- バス
- 鉄道
- 軌道(モノレールなど)
- 船舶
公共交通機関特例の3万円未満という条件は、取引価額が税込3万円未満かどうかで判断します。
そのため、片道切符など一つあたりの商品金額や、1カ月でまとめるなど各月ごとの金額では判断しません。 なお、特急列車に乗車するための特急料金や、駅構内に入場するための入場料金も公共交通機関特例の対象になります。
2023年度税制改正で設けられた2割特例とは?
2023年度の税制改正では、インボイス発行事業者となる小規模事業者の負担を軽減するための緩和措置として新たに「2割特例」が設けられました。
2割特例とは、インボイスを発行できる適格請求書発行事業者になるため、インボイス制度を機に課税事業者登録をした事業者は、消費納税額を売り上げに係る消費税額の2割にのみに軽減できる特例措置です。
新たに課税事業者になった事業者が対象であるため、元々消費税の課税事業者であった場合や資本金が1千万円以上の新設法人などはこの特例の対象外です。
2割特例は、インボイス制度の適応開始日である令和5年10月1日から令和8年9月30日までの期間が属する課税期間ごとに適用できます。
インボイス制度に経過措置はある?
インボイス制度には、急激な変化によって混乱を招かないようにするために、仕入税額控除に関する経過措置が設けられています。 経過措置期間は、軽減税率制度が導入されてから10年間(インボイス制度が導入されてからは6年間)で設定されました。
インボイス制度が開始するまでの期間は、免税事業者などからの仕入について全額を控除できます。
また、インボイス制度の導入後の3年間は8割、その後の3年間は5割を控除できます。 このように、インボイス制度には経過措置が用意されているため、免税事業者はこの期間を活用して課税事業者に転換する必要があるかどうかを慎重に検討することが大切です。

インボイス制度はいつから開始?スケジュールや必要な対応を解説!
インボイス制度が開始するにあたって、登録申請や経過措置などに期間が設けられています。それぞれの制度がいつから始まるかを知り、いつまでに対応すべきかを把握することで、スムーズにインボイス制度に対応することが可能です。当記事では、インボイス制度はいつ決まったのかや、いつから始まるのか、インボイス制度が開始するまでに準備すべきことなどについてわかりやすく解説します。
インボイス制度の特例について知って適切に対応しよう!
インボイス制度が始まると、仕入税額控除を受けるには、これまでは帳簿のみの保存で問題がなかった税込3万円未満の仕入についても、インボイスの保存が必要になります。 ただし、インボイスの交付が困難である取引については、特例があります。たとえば、農協特例や卸売市場特例、媒介者交付特例、公共交通機関特例などが挙げられます。このような特例を踏まえたうえで、免税事業者から課税事業者に転換が必要かどうかなど、インボイス制度への対応方法を検討しましょう。

【企業担当者向け】インボイス制度総まとめルール
2023(令和5)年10月からインボイス制度が開始されるにあたって、企業が対応すべきことは多くあります。この資料では、企業の担当者向けに、インボイス制度の概要と対応すべき内容をわかりやすく解説します。
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