インボイス制度への対応で使える補助金とは申請方法や対象経費なども解説
請求書発行システム
2023.03.17
2023.03.17
インボイス制度に対応しようとすると、レジや会計ソフトなどのシステム導入や経理業務のフロー変更など、コストの負担が増える可能性もあります。そこで、インボイス制度には、さまざまな補助金制度が設けられています。 当記事では、IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金といったインボイス制度で使用できる補助金についてわかりやすく解説します。
インボイス制度で使える補助金
ここでは、インボイス制度で使用できる補助金について詳しく紹介します。
IT導入補助金
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者がITツールを導入するときに活用できる補助金制度を指します。 IT導入補助金は、インボイス制度の開始にともない、新しくシステムを導入するときなどに、利用することが可能です。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、持続化補助金と呼ばれることもあり、小規模事業者が自社の経営状況を見直し、持続的な経営をおこなえるように経営計画を作成したうえで、販路の開拓や業務の効率化をサポートするための補助金制度を指します。 小規模事業者持続化補助金は、インボイス制度の導入により、免税事業者が適格請求書発行事業者に登録をおこなう小規模事業者が利用することが可能です。
ものづくり補助金
ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」であり、中小企業などが業務を効率化するうえで、革新的サービス開発や試作品開発、生産プロセス改善をおこなうための設備投資をサポートする補助金制度を指します。 ものづくり補助金は、インボイス制度の導入にともない作られた補助金ではありませんが、インボイス制度に対応するために新しいシステムを導入した場合などに、利用することが可能です。
そもそもインボイス制度とは
インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、売り手が買い手に対して、正しい適用税率や消費税額等を伝えるために、2023年10月1日より開始されます。インボイス制度が始まると、適格請求書発行事業者に登録をおこなった事業者は、買い手から求められたら、適格請求書を発行する義務が生じます。なお、適格請求書の記載項目は、下記の通りです。
- 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
そして、インボイス制度の開始後に、課税事業者が仕入税額控除を受けるには、原則として適格請求書の保存が必要になります。
インボイスへの対応で必要な準備
ここでは、インボイス制度に対応するうえで、必要な準備について詳しく紹介します。
適格請求書発行事業者の登録
インボイスを発行できるようにするには、免税事業者・課税事業者に関係なく、適格請求書発行事業者に登録をおこなう必要があります。適格請求書発行事業者に登録できるのは、原則として課税事業者のみです。 ただし、免税事業者の場合は、2023年10月1日から2029年9月30日までであれば、「消費税課税事業者選択届出書」が不要で、登録を受けられる経過措置があります。
しかし、自動的に免税事業者から課税事業者になるため、インボイス制度の仕入税額控除に関する経過措置などを考慮したうえで、慎重に検討することが大切です。
レジや会計ソフトなどの導入
インボイス制度では、小売業や飲食店業、タクシー業などの不特定多数を相手に取引をおこなう事業者は、適格請求書の代わりに、適格簡易請求書を発行できます。なお、適格簡易請求書では、「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載を省略できます。 また、インボイス制度が始まると、請求書の記載項目や仕入税額控除の計算方法などが変わるため、現行のシステムを改修したり、新しいシステムを導入したりする必要があります。
そこで、適切なインボイスを発行したいと考えている事業者は、自社のニーズにあうレジや会計ソフトなどを導入し、スムーズに業務を進められるようにすることが大切です。しかし、新しいITツールを導入しようとすると、コストがかかるため、補助金制度を活用できないか確認してみることも重要といえます。
インボイスで使える補助金①|IT導入補助金
ここでは、IT導入補助金の詳細や申請方法について詳しく紹介します。
IT導入補助金の詳細
IT導入補助金には、下記の補助金の枠が用意されています。
- 通常枠(A・B類型)
- デジタル化基盤導入枠
- セキュリティ対策推進枠
補助金の対象者は、中小企業や小規模事業者などです。なお、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は、会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトといったITツールを導入して、インボイス制度への対応を推進し、企業間の取引のデジタル化を進めることを目的としています。
また、デジタル化基盤導入枠の補助金は、ソフトウェア購入費やクラウド利用料(最大2年分)、導入関連費に関して、5万円から350万円までです。補助率は5万円~50万円以下の場合は4分の3、50万円~350万円以下の場合は3分の2です。 そして、デジタル化基盤導入枠の補助金には、ハードウェア購入費の補助金もあります。PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機については、補助率は2分の1以内で、補助金の上限額は10万円です。また、レジや券売機などについては、補助率は2分の1以内で、補助金の上限額は20万円です。
IT導入補助金の申請方法
IT導入補助金を申請する場合は、まず公式サイトや公募要項を確認し、補助事業に関する理解を深め、事前準備として、自社の業種や事業規模、経営課題にあわせて、導入するITツールの選定をおこないます。 IT導入補助金の交付申請をおこなうには、GビズIDプライムアカウントを用意しなければなりません。
また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が創設した「SECURITY ACTION(セキュリティアクション)」の自己宣言も申請要件に含まれています。 IT導入支援事業者と申請手続きを進め、事務局から「交付決定」を受けたら、ITツールの発注・契約・支払いなどをおこなうことができます。
なお、「交付決定」の連絡がないうちに、ITツールを導入すると、補助金を受けられないため、注意が必要です。 そして、ITツールの発注や契約、納品、支払いなどをおこなった証憑を提出し、補助金の交付手続きをおこなうことで、補助金を受け取ることができます。
関連記事:IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠とは?インボイス制度対応も可能?
インボイスで使える補助金②|小規模事業者持続化補助金
ここでは、小規模事業者持続化補助金の詳細や申請方法について詳しく紹介します。
小規模事業者持続化補助金の詳細
小規模事業者持続化補助金には、さまざまな種類の補助金が用意されています。そのなかでも、インボイス制度に対応するために設けられた「インボイス枠」では、免税事業者から適格請求書発行事業者に登録をおこなう小規模事業者に対して補助上限額を50万円から100万円に引き上げられます。なお、補助率は3分の2です。
申請要件は、2021年9月30日から2023年9月30日までの課税期間で一度でも免税事業者であった事業者、もしくは免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録が確認できた事業者であることです。ただし、補助事業が終了する時点で要件を満たしていない場合は、補助金を受けられません。
小規模事業者持続化補助金の申請方法
小規模事業者持続化補助金を申請するには、「公募要領」「応募時提出資料・様式集」などを確認して、申請に必要な要件や書類を把握し、申請手続きをおこなうことが大切です。 申請方法は、電子申請もしくは郵送です。持参して申請することはできないため、注意する必要があります。なお、商工会・商工会議所地区によって申請先は異なります。
また、電子申請をおこなう場合は、補助金申請システム(Jグランツ)を利用することになります。 申請後は、申請内容の審査を経て、採択結果が通知され、採択者には「交付決定通知書」が送られます。「交付決定通知書」の受け取り後は、実施期限までに補助事業をおこないます。補助事業が終了したら、その日から起算して30日を経過した日、または最終提出期限のいずれか早い日(必着)までに実績報告書を提出先に郵送する必要があります。期限に間に合わないと補助金が受け取れないため、注意が必要です。そして、補助金額が決定し、補助金の請求手続きをおこなえば、補助金を受け取れます。
インボイスで使える補助金③|ものづくり補助金
ここでは、ものづくり補助金の詳細や申請方法について詳しく紹介します。
ものづくり補助金の詳細
ものづくり補助金には、「一般型(通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠)」「グローバル展開型」「ビジネスモデル構築型」といった補助金が用意されています。なお、補助金の上限額は750万円から3,000万円までで、 補助率は2分の1から3分の2までです。
インボイス制度でシステムを導入する場合には、「デジタル枠」を利用することが多いかもしれません。「デジタル枠」では、DXに対応する革新的な製品やサービス開発、もしくは生産プロセス・サービス提供方法の改善による業務効率の向上に必要な設備やシステムなどの投資をサポートします。
関連記事:ものづくり補助金のデジタル枠とは?対象となる条件や対象経費を紹介
ものづくり補助金の申請方法
ものづくり補助金の申請方法は、インターネットを利用した電子申請に一本化されています。そして、電子申請システムを利用するため、あらかじめGビズIDプライムアカウントを取得しなければなりません。 申請手続きするにあたって、電子申請システムにログインし、 応募者の概要や事業内容、経費、資金調達内訳などを入力し、必要書類を添付する必要があります。
申請自体はシンプルですが、申請したとしても必ず補助金がもらえるわけではありません。そのため、必要な書類などの準備をきちんとおこなうことが重要です。
補助金を活用してインボイス制度に対応しよう!
インボイス制度が導入されるにあたって、適格請求書発行事業者に登録し、レジや会計ソフトなどのシステム改修・導入をおこなうなど、事前準備をする必要があります。 インボイス制度では、IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金などのあらゆる補助金制度があります。まずは、補助金制度の仕組みを確認して、自社のニーズにあわせて申請をおこない、上手くインボイス制度に対応しましょう。
企業のみなさまへ
あなたもDXログにサービスを掲載しませんか?
あなたもDXログに
サービスを掲載しませんか?