インボイス制度で一人親方はどうなる?対策や影響をわかりやすく解説
請求書発行システム
2023.12.04
2023.12.04
インボイス制度が開始されると、一人親方にも影響を与えることになります。インボイス制度の導入により、一人親方として売上が不安定にならないためにも、仕組みをきちんと理解しておくことが大切です。当記事では、一人親方にとってインボイス制度は損なのか得なのかや、一人親方でインボイス制度に対応する場合と対応しない場合でどのような影響があるのかなどを解説します。
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インボイス制度総まとめルールBOOK
2023(令和5)年10月に開始するインボイス制度。企業は自社の状況に応じた対応が急務となっています。この資料では、インボイス制度の概要と、課税事業者・免税事業者の対応事項や手順を総まとめします。
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インボイス制度で一人親方は廃業の危機?
一人親方とは、建設業などで、基本的には労働者を雇わず、個人事業主として取引先と契約する方を指します。インボイス制度の導入で一人親方が廃業や減収に追い込まれるのではないかという指摘がありますが、一人親方にメリットが及ぶのか、デメリットが及ぶのかは、取引先の状況や自社の経営状況などによって異なります。
たとえば、自社・取引先が免税事業者なのか課税事業者なのかや、売上と仕入における消費税額の差などによって、必要な対応やリスクも変化します。そのため、まずは、インボイス制度の仕組みを正しく理解して、インボイスへの対応方法を検討することが大切です。
そもそもインボイスとは?わかりやすく解説
インボイス制度は、2023年10月1日から開始される制度であり、適格請求書保存方式のことです。インボイス制度が導入されると、適格請求書発行事業者は、取引先から要求されたら、適格請求書(インボイス)を発行する必要があります。
また、仕入税額控除を受けるには、原則として取引先から交付された適格請求書を保存しておかなければなりません。 そして、インボイス制度には、急激な変化による混乱を避けるために、軽減税率制度が導入されてから10年間(インボイス制度が導入されてから6年間)、課税仕入における一定の割合を控除できる経過措置期間が設けられています。なお、経過措置期間によって、仕入税額控除の適用できる割合は異なります。

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2023(令和5)年10月に開始するインボイス制度。企業は自社の状況に応じた対応が急務となっています。この資料では、インボイス制度の概要と、課税事業者・免税事業者の対応事項や手順を総まとめします。
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一人親方がインボイスに対応しないとどうなる?
ここでは、一人親方がインボイスに対応しないとどうなるのかについて詳しく紹介します。
仕事や報酬額が減る可能性がある
インボイス制度が始まると、課税事業者は仕入税額控除を受けるために、原則として取引先に適格請求書(インボイス)を発行してもらう必要があります。適格請求書を発行できるのは、適格請求書発行事業者に登録をおこなった方です。そして、適格請求書発行事業者に登録できるのは、課税事業者のみです。
なお、免税事業者でも、一定期間は適格請求書発行事業者に登録できますが、自動的に課税事業者になります。 一人親方で免税事業者のままでいると、適格請求書を発行できず、取引先は仕入税額控除を受けられません。そのため、一人親方によっては、仕事の依頼が減ってしまう可能性もあります。また、取引を継続できたとしても、消費税の分の報酬を減らされる可能性も考えられます。
一人親方がインボイス対応をする場合の影響
前項ではインボイス制度に対応しない場合の影響について解説しましたが、ここでは、一人親方がインボイスに対応するとどうなるのかについて詳しく紹介します。
消費税の納税義務が発生する
仕事や報酬額の減少を気にして、一人親方によっては、インボイス制度に対応しようと考えるかもしれません。ただし、免税事業者の一人親方がインボイス制度に対応するために、適格請求書発行事業者に登録をおこなう場合には、課税事業者になる必要があります。これまでは消費税の納付が免除されていましたが、課税事業者になった後は、消費税の納付義務が発生します。
そのため、一人親方によっては、消費税の負担が増加します。しかし、仕入税額控除により、還付を受けられる可能性もあるため、その場合にはインボイス制度に対応してもよいかもしれません。 また、仕入税額控除を適用するために、売上で支払った消費税額と、仕入で受け取った消費税額を一つひとつ管理しなければならないため、経理負担も増えます。
請求書の項目を変更する必要がある
インボイス制度が開始されるまでは、区分記載請求書等保存方式に基づき、請求書の項目を用意して、発行すれば問題ありません。 しかし、インボイス制度が始まると、適格請求書発行事業者に登録をおこなった事業者は、適格請求書等保存方式に基づき、適格請求書を発行する義務が生じます。その場合には、請求書の記載項目が増え、請求書のフォーマットなどを変更する必要があります。
なお、適格請求書の記載項目については後述します。 取引先から適格請求書を求められて、必須項目が記載されていない請求書を発行してしまうと、取引先に迷惑をかけてしまう恐れがあります。
一人親方がインボイスに対応する際の対策と注意点
ここでは、一人親方がインボイスに対応するうえでの注意点について詳しく紹介します。
免税事業者ままでいる・課税事業者になるメリットを比較する
一人親方の誰もがインボイス制度に対応すべきとは限りません。まずは、免税事業者のままでいる場合と、課税事業者になる場合のそれぞれのメリットを比較して、自社にあった対応方法を選択しましょう。 免税事業者のままでいれば、消費税の納付が免除されますが、適格請求書(インボイス)を発行することができません。 一方、インボイス制度に対応するために、課税事業者になると、適格請求書は発行できますが、消費税の納付義務が生じます。 このように、インボイス制度において、免税事業者と課税事業者には、それぞれメリットとデメリットがあります。
そのため、どちらを選ぶかを決めるうえで、取引先が免税事業者なのか、課税事業者なのかを整理したり、自社の経営状況を見直したりすることが大切です。 免税事業者と課税事業者で迷われている方は、インボイス制度の経過措置期間を活用して、じっくり検討するのも一つの手といえます。
簡易課税制度を利用できるかどうかを確認する
免税事業者の一人親方でインボイス制度に対応する場合、先述したように、課税事業者になる必要があります。課税事業者になると、適格請求書(インボイス)の保存など、消費税の管理負担が増加する可能性もあります。 そこで、簡易課税制度を利用できるかどうかを確認しておくことが大切です。
簡易課税制度は、中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から、事業者の選択により、売上げに係る消費税額を基礎として仕入れに係る消費税額を算出することができる制度です。
引用:簡易課税制度|国税庁
課税事業者でも、簡易課税制度を導入する場合、税抜の売上金額を把握していれば、納付すべき消費税額が把握できるため、適格請求書の保存が不要になります。そのため、事務負担を軽減して、一人親方が本来集中すべき仕事に専念できるでしょう。
一人親方がインボイスを発行する方法
ここでは、一人親方がインボイスに対応する方法について詳しく紹介します。
適格請求書発行事業者として申請・登録する
免税事業者・課税事業者の区分にかかわらず、一人親方がインボイス制度に対応する場合、適格請求書発行事業者に申請・登録をおこなう必要があります。なお、インボイス制度の開始に間に合うように、登録を実施するには、原則として2023年3月31日までに申請をおこなわなければなりません。
免税事業者でも、2023年10月1日から2029年9月30日までで、適格請求書発行事業者の登録を受ける場合には、免税事業者から課税事業者になるために必要な「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要なく登録ができます。
インボイスの書き方を理解する
インボイス制度が導入されたら、先述したように記載項目が増えます。インボイス制度が始まるまでは、原則として下記の項目があれば、請求書として問題ありません。
- 書類作成者の氏名または名称
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
しかし、インボイス制度が開始されると、適格請求書発行業者の登録をおこなった事業者は、取引先から要求があれば、適格請求書(インボイス)を発行しなければなりません。その場合には、下記の項目を追加で記載する必要があります。
- 登録番号
- 適用税率
- 消費税額等
なお、登録番号とは、適格請求書発行事業者に登録をおこなったときに通知される番号のことです。
インボイス制度の注意点を理解して対策しよう
インボイス制度の導入により、一人親方によって損をするか得をするかは異なります。免税事業者の一人親方の場合、インボイス制度が始まると、取引先の仕入税額控除の観点から、仕事や報酬額が減少してしまう恐れもあります。
しかし、免税事業者から課税事業者になると、消費税の納付義務が生じます。そこで、消費税の管理負担を軽減するために、簡易課税制度を適用できないかを確認しておくことも大切です。そして、免税事業者のままでいるのか、課税事業者になるのかで迷われている方は、仕入税額控除に関する経過措置期間を上手く活用しましょう。

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