在庫管理システムを自作!エクセル等を使った無料の作り方も解説
在庫管理システム
2023.08.24
2023.08.24
在庫管理効率化のために、在庫管理システムを自作して管理したいと考えている方もいるかもしれません。エクセルを利用すればテンプレートを使用し、簡単に在庫管理表を作成できます。当記事では、プログラミングやエクセルで在庫管理システムを自作するメリット・限界、関数・マクロ(VBA)を用いたエクセルでの在庫管理システムの作り方、クラウドシステムの導入が向いている場合を解説します。
在庫管理システムとは?
在庫管理システムとは、入庫・出庫情報や在庫情報などを適切に管理し、在庫管理業務を効率化させるためのシステムを指します。 在庫管理をおこなう目的は、欠品や余剰在庫が生じないように、適正な在庫量を保持することです。目視などの手作業で在庫管理を実施している場合、人的ミスの発生や管理コストの負担に悩まされている方は少なくないでしょう。
在庫管理システムを導入すれば、業務の一部をシステムで自動化できるため、ヒューマンエラーを防止することが可能です。また、システム上で棚卸や発注・受注などの管理もできるので、無駄なコストを減らし、在庫管理の生産性を高めることができます。
在庫管理システムは自作可能!
ここでは、在庫管理システムを自作する方法について詳しく紹介します。
プログラミングしてシステムを開発する
在庫管理システムはプログラミング技術を用いて、自作することができます。自作する方法にはエクセル(Excel)やアクセス(Access)などのソフトを使用して作成する方法もあります。 しかし、ソフトを利用する場合、仕様や機能などの制約を受けながら作成することになるため、複雑な仕組みや自社オリジナルの機能などを構築するのは難しいかもしれません。プログラミング技術を活用すれば、ゼロからシステム開発をおこなえるので、自由度の高い在庫管理システムを作成することが可能です。
ただし、自社でプログラミングにより在庫管理システムを開発する場合、SQLというデータベース言語や、Java・PHP・Pythonなどのプログラミング言語、ネットワーク、セキュリティといったシステム開発に関するあらゆる知識・スキルが必要になります。そのため、高度なITスキルを保有している人材がいないと、プログラミングで自作するのは難易度が高い可能性もあります。
エクセルやAccessなどのソフトウェアを使って自作する
Microsoft社の提供するエクセルやアクセスなどの無料のソフトウェアでは、オーソドックスでシンプルな在庫管理システムを作成することができます。 たとえば、エクセルを利用して簡易的な在庫管理表を自作し、商品の入庫・出庫数や在庫数を数えた担当者などを管理することで、手軽に在庫管理を始めることが可能です。
アクセスはデータベース作成に特化したソフトウェアであり、エクセルよりも多くのデータを扱うことができます。また、データ処理のスピードが早いのも特徴です。 エクセルやアクセスは普段から使い慣れている人も比較的多いため、自作する際のハードルも、利用する側の抵抗感も低いといえます。
エクセルでの在庫管理システムの作り方
ここでは、エクセルでの在庫管理システムの作り方について詳しく紹介します。
テンプレートをダウンロードする
エクセルで在庫管理システムを自作する場合、インターネット上で公開されているテンプレートをダウンロードしてから作り始めるのがおすすめです。 エクセルでゼロからシステムを作成することも可能ですが、テンプレートをカスタマイズするほうが時間や手間を削減することができます。また、テンプレートは無料で提供されているものも多いため、コストを削減することが可能です。
関数やマクロを活用して自社に適した形にカスタマイズする
使いやすそうなテンプレートをダウンロードし、エクセルにインポートしたら、関数やマクロを活用して、自社のニーズにあった在庫管理ができるようにカスタマイズをおこないましょう。 在庫管理システムをエクセルで作成するうえで、利用することが多い関数は下記の通りです。
- IF
- SUMIF
- VLOOKUP
IF関数を使用すると、ある値と期待値を論理的に比較することができます。たとえば、各商品の適正在庫数を設定し、それよりも少ない場合には「在庫不足」、それ以上の場合には「〇」と表示するようにすれば、発注が必要な商品を明確にすることが可能です。 SUMIF関数を使用することで、指定した条件を満たす範囲の値を合計することができます。たとえば、ある商品の入庫数と出庫数それぞれの合計を算出し、その差を見れば実在庫数を把握することが可能です。
VLOOKUP関数により、検索条件を設定し、その条件に該当するデータを抽出することができます。たとえば、ある商品の情報を他のシートに転記したい場合、商品コードを検索対象に指定すれば、検索範囲の中から商品名や在庫数などを正しく抽出することが可能です。 関数の他にも、 VBA(Visual Basic for Applications)というプログラミング言語を活用してマクロを組むことで、ルーティーン作業を効率化することができます。たとえば、エクセルに入力されている情報を使用して、帳票の作成から印刷までを自動化することが可能です。
Accessと連携すればバーコードの作成も可能
在庫管理を効率化する方法として、バーコードを活用することが挙げられます。商品にバーコードを貼付し、バーコードスキャナーで読み取る仕組みを採用すれば、手入力による人的ミスを減らし、作業の生産性を高めることが可能です。 エクセルで在庫管理をする場合でも、アクセスと連携することで、バーコードを作成することができます。エクセルのタブの「開発」から「挿入」を選択し、「コントロールの選択」をクリックすると「Microsoft BarCode Control バージョン名」の項目があります。この機能を活用すれば、エクセルでバーコードを作成することが可能です。
なお、この機能は、アクセスに含まれている機能であり、エクセルから呼び出すことで利用することになります。そのため、アクセスのソフトが使用できる状態でないと、この機能を使うことができません。
エクセルで在庫管理システムを自作するメリット
既に企業でエクセルやアクセスなどのマイクロソフト製品を導入している場合、エクセルで在庫管理システムを自作すれば、導入・運用コストを大きく削減することができます。また、エクセルを普段から使用している従業員であれば、基本的な操作方法は理解できているので、教育コストも少なくてすみます。
プログラミングで在庫管理システムを自作する場合、修正が必要になると、システムエラーが生じないように改修をおこなわなければならず、時間や手間がかかります。一方、エクセルの場合、関数やマクロの修正により、比較的簡単で素早く修正をおこなうことが可能です。
エクセルで自作した在庫管理システムの限界
ここでは、エクセルで自作した在庫管理システムの限界について詳しく紹介します。
データの処理速度や保存容量に限界がある
エクセルの1シートあたりの行数は、1,048,576行(Excel2003までは65,536行)であり、保存できるデータ容量に限界があります。また、アクセスについても、データ容量の限界は約2GBであり、大規模な在庫管理システムを構築したい場合には不向きといえます。 エクセルは表計算ソフトであり、データベースソフトとは異なります。そのため、データ量が大きくなると、動作が重くなり、データ処理に時間がかかってしまう可能性もあります。
リアルタイム更新に対応できない
クラウド型のエクセルも存在するため、リアルタイムでの更新や共同編集がまったくできないというわけではありませんが、利用者が多いのはダウンロード型のエクセルです。 複数拠点でエクセルを利用して在庫管理をおこなう場合、それぞれの拠点で管理しているデータを集計することで、最新のデータに更新することができます。リアルタイムで在庫管理ができないので、情報共有に時間がかかり、機会損失につながる可能性もあります。
同時操作ができない
基本的にエクセルでは同時に編集することができません。そのため、複数人で同じファイルを使用する場合、作業できない人も出てくる可能性があります。 たとえば、いますぐエクセルのファイルを開いて作業したいときに、他の人が作業している場面を想定します。そのファイルを開いている人を把握できない場合、連絡を取ってファイルを閉じてもらうこともできないので、生産性が下がってしまいます。
なお、ダウンロード型のエクセルでも共有設定をおこなえば、複数人で同時のエクセルのデータを編集することができます。しかし、リアルタイムでの更新はできません。また、共有設定をおこなうと、一部の機能が使用できなくなるので、不便に感じる可能性があります。
ファイルの破損や流出の可能性がある
エクセルで在庫管理をおこなっていると、破損によりファイルを開けなくなるリスクがあります。ファイルが破損する原因としては、ウイルスの感染やプログラムのエラーなどが考えられます。ファイルが破損すると、データの復旧が難しくなり、重要な在庫情報を消失してしまう恐れがあります。 また、エクセルでは細かな権限設定や操作履歴の取得・管理ができません。
そのため、アクセス権限の設定が甘いと、従業員が情報を持ち出し漏洩させるリスクもあります。操作履歴が残らないのでトラブルの原因を突き止められず、対策をおこなうこともできません。
同時に複数拠点から利用するにはクラウドシステムがおすすめ
エクセルでの在庫管理には、先述したように限界があります。拠点が一つなど、小さな規模で在庫管理をおこなう場合、エクセルやアクセスを活用した在庫管理でも十分かもしれません。しかし、拠点が複数あるなど、大規模な在庫管理をおこなう必要がある場合、リアルタイムで情報を適切に把握できるように、クラウドシステムの導入がおすすめです。 また、在庫管理システムには、さまざまな機能が搭載されているものがあります。
自社の業種や規模、経営課題などを明確にしたうえで、複数の在庫管理システムを比較し、必要な機能の備わっているシステムを導入することが大切です。
まずは自作のシステムから在庫管理をデジタル化しよう
在庫管理システムはプログラミングやエクセルなどで自作することもできます。しかし、プログラミングの場合は難易度が高かったり、エクセルの場合はリアルタイムで管理ができなかったりするなどの課題があります。 在庫管理を目視などの手作業でおこなっている場合、まずはテンプレートを使用して、簡単な在庫管理表を作ってみることから始めてみましょう。エクセルの在庫管理に限界を感じる場合は、クラウドの在庫管理システムの導入を検討してみるのも一つの手です。
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