領収書なしで経費精算はできる?紛失時の対応や不要な場合の条件
経費精算システム
2023.09.04
2023.09.04
会社の経費精算をおこなう際に、支払いの証明として必要になるのが領収書です。領収書に誤りや不備がある場合、経費精算を正しくおこなうことができないため、領収書を正しく発行してもらうことはとても重要です。ここでは、経費精算に必要な領収書の記載項目やルールについて紹介します。また、領収書を紛失した場合の経費精算の対応、領収書の電子化についても紹介します。
経費精算は領収書なしでもレシートで対応できる
経費精算の際には一般的に領収書の提示が求められます。
領収書は商品やサービスに対して「金銭の支払いをおこなった」ということの根拠となる書類です。経費精算を正しくおこなううえで、その根拠となる領収書はとても重要な書類です。
とはいえ、社内での経費精算の際に領収書が必要になるのは、客観的な支払いの事実を証明する書類の提示によって、経費の水増しなどといった経費の不正利用を防止するためです。
したがって、客観的な支払いの事実を証明することができる書類があれば問題なく経費精算をおこなえる場合がほとんどです。
領収書の発行を受けていない場合には、レシートや請求書、支払い明細書などレシートの代わりに「何に対して」「いつ」「どこに」「いくら」支払ったのかが証明できる書類を代替書類として提出しましょう。
ただし、「一定金額以上はレシートでの経費精算は認めない」などといった社内ルールが設けられている場合もあるため、事前に確認するか、経費精算の金額が大きい場合には念のため領収書の発行を受けるなどの対策をおこなっておくと良いでしょう。
経費精算や領収書については、こちらの記事でも詳しく紹介しているので、気になる方はこちらの記事も参考にしてみてください。
領収書に必要な5つの要素
消費税法上、領収書には書かれていなければならない要素がいくつかあります。
経費精算の領収書には厳格な規定はありませんが、もし、その領収書で仕入に対する消費税額控除をうける場合には、下記の5つの項目の記載が揃っている領収書の発行を受けるなければいけません。
1.日付
領収書に記載される日付は「支払者から代金を受け取った日付」であり、書き方は以下に示すように、西暦でも和暦でもかまいません。
例:2021年(令和3年)1月5日の場合
- 2021年1月5日
- 令和3年1月5日
- 2021/1/5
2.支払者を示す宛名や会社名
支払者の氏名や名称は正式に記載されている必要があるので、領収書を受け取る際は漢字などに間違いがないかきちんと確認しましょう。
とくに株式会社の場合、(株)という省略形ではなく「株式会社」と表記されていることが望ましいので、その点にも注意が必要です。
また、「お品代として」「上様」などと記載されている場合、領収書として認められない可能性があるので、領収書を受け取る際には必ず確認する必要があります。
3.金額
金額は税込み金額で記載され、改ざんを防ぐために以下のようなルールが守られていなければなりません。
- 冒頭に「¥」や「金」を付ける
- 末尾に「-」「也」「※」を付ける
- 3ケタごとに「,」を付ける
上述したルールが守られた金額の記載例は、以下のようになります。
- ¥30,000也
- 金100,000※
4.取引内容
取引内容には、どのような商品やサービスに対してお金を支払ったかが記載されている必要があります。「交通費として」「講習参加費として」「書籍代として」など、どのような用途であるかが一目でわかるように記載されているかどうかを確認しましょう。
なお先ほども少し触れましたが、「お品代として」という表記が用いられることも多いですが、「お品代」ではどのような用途なのかはっきりしないため、正式な領収書として認められない可能性があることには注意が必要です。
但し書きにのルールや注意点については、こちらの記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
5.領収書作成者の氏名などの情報
領収書作成者の氏名・会社名・住所・電話番号などの情報も、記載されている必要があります。
取引を証明するためや、領収書の偽造や改ざんを防止するために認印が押印されていることが多いですが、法的には必ずしも必要というわけではないので、押印がなくても問題はありません。
経費精算する領収書のルール
ここまで、領収書に必要な記載項目について紹介しましたが、領収書には、そのほかにもさまざまなルールがあります。
たとえば、経費精算を管理する経理担当者は、保管期間についても注意しなければなりません。
法人は領収書の保管期間のルールがあります。受け取った領収書は経費精算が終わったからといってすぐに破棄してよいわけではなく、法人の場合は原則として7年間保存しなければなりません。
個人事業主の場合は確定申告を青色申告でおこなう場合は7年間、白色申告でおこなう場合は5年間保存しておく必要があります。
領収書を紛失した際に経費精算をおこなう4つの方法
経費精算をおこなうために領収書を発行したにも関わらず、いつの間にか領収書を紛失してしまっていた、という経験がある方も多いのではないでしょうか。
領収書を紛失した際に経費申請をするための方法を4つご紹介します。
1.領収書を再発行してもらう
もっとも確実なのは、領収書を再発行してもらうという方法です。
領収書は一般的には1度のみ発行する書類ですが、場合によっては領収書の再発行に応じてもらえる可能性があります。まずは再発行を受けられるか確認してみるとよいでしょう。
2.レシートで代替する
レシートにはいつ、どこで、何を購入したかが記載されているので、領収書の代替として利用することができます。ただしレシートには支払者の氏名や名称などが記載されていないので、消費税額控除を受ける場合にはレシートでの代用はできないため注意しましょう。
また、レシートは感熱紙に印字されているという特徴があるため、時間経過や摩擦で記載内容が確認しにくくなってしまうことにも、注意が必要です。
3.利用明細や振込明細書などで代用する
クレジットカードの利用明細やATMを利用した際の振込明細書なども、支払いの証拠として利用することができます。
利用明細や振込明細書だけでは証拠としては弱いですが、決済の記録や販売店とのメールでのやり取りなども併せて用いることで、証拠としての信頼性が増します。
4.出金伝票やメモ書きなどで代用する
現金を支払った際に起こす出金伝票やメモ書きでも、領収書の代用として利用できる場合があります。
出金伝票として成立するためには、「日付」「支払者の名称」「金額」「支払い目的」が記載されていなければなりません。利用明細や振込明細書の場合と同じように、ほかの税務書類とあわせて利用するのが望ましいでしょう。
電子化された領収書でも経費精算は可能
ここまで経費精算のためには領収書が必要不可欠ということを説明してきましたが、2020年に制度改正がおこなわれたことにより、支払いに関するデータが電子化されていれば、経費精算の際に紙の領収書が必要ないようなケースも出てくるようになりました。

2022年1月施行の電子帳簿保存法改正をわかりやすく解説
2022年1月1日に施行された電子帳簿保存法の改正では、事前承認制の廃止や検索要件の撤廃など規制の緩和がおこなわれた部分もある一方で、電子取引要件では、電子データ保存が認知ではなく義務化されました。2023年12月31日までの猶予措置が終了する前にどのような対応をおこなえばよいのか、わかりやすく解説します。
支払いに関するデータが電子化されているとは、クレジットカードや電子マネーなどでキャッシュレス決済をおこなったり、銀行振り込みで支払いをおこなったりといったケースです。
こういった電子化された決済データを、システム連携で取り込むことができるクラウドサービスを利用していれば、そのデータをもって領収書の代わりとすることができます。わざわざ領収書を発行してもらう手間がなくなるため、企業や個人事業主にとっては非常に助かるのではないでしょうか。
領収書の電子化については、こちらの記事でも紹介しています。詳しく知りたいという方は、こちらの記事もご覧ください。
経費精算には領収書が必須!電子化された領収書も可能
経費精算をおこなうためには領収書が必要というのが原則的な考え方なので、備品の購入などをおこなった際には領収書を発行してもらう必要があります。
ただし制度改正によって、電子化された支払いデータがあれば必ずしも紙の領収書は必要ではなくなりました。領収書発行の手間も考えると、電子化されたデータを用いて経費精算をおこなうのは効率的といえるでしょう。
経費精算を電子化するには、電子帳簿保存法に対応した経費精算システムを導入することが望ましいといえます。経費精算システムについて詳しく知りたいという方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
経費精算システムの比較と、選定ポイントを紹介しています。
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