小口現金の上限はいくらまで?金額を決める際のポイントを解説
経費精算システム
2023.07.09
2023.07.09
小口現金とは、細かい経費の支払いに利用する少額の現金のことです。小口現金の金額は企業が任意で決めますが、どのくらい入れれば良いのか、上限はあるのかなど、金額を決める際に悩むことも多いでしょう。 この記事では、小口現金の上限や、金額を決める際のポイント、小口現金を運用する方法とよくある課題、運用を楽にする方法について解説します。
小口現金の上限はいくらまで?
結論から言うと、小口現金に法的な上限はなく、金額は企業が自由に決定できます。 企業の規模や従業員の人数によって、小口現金の額を設定しましょう。 小口現金の上限を決めずに運用すると際限なく利用してしまったり、精算業務が煩雑になったりする恐れがあります。そのため、小口現金を導入している企業のなかには、あらかじめ上限額を設けて運用しているところもあります。
小口現金の金額を決める際のポイント
小口現金の金額を決める際に押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
小口現金の運用方法を選ぶ
小口現金を運用する方法は、大きく分けて定額資金前渡制度と随時補給制度の2つがあります。
定額資金前渡制度とは、一定期間中の小口現金の金額をあらかじめ決めておく方法です。期間が終了したら精算をおこない、使用した分だけ補給する仕組みになっています。 定額資金前渡制度の場合、経理と各部署のやり取りがルーティン化されるため運用の手間がかからないことが利点です。 ただ、金額の設定を誤ると、途中で小口現金が不足してしまう恐れがあるため、普段の用途や使用金額をもとに、慎重に金額を決める必要があります。
一方の随時補給制度は、必要に応じて随時小口現金を補充する方法です。とくに期間や上限額は設けず、小口現金の額が減ってきたら都度補充していきます。 小口現金が不足する心配がないところが利点ですが、補充を含む精算業務が頻発してしまうため、多くの企業は定額資金前渡制度を導入しています。
用途のルールを明確にする
小口現金はあくまで、少額の経費を現金払いする際に用いるお金です。口座振替やクレジットカード払いなどを使える支払いまで小口現金で対応しようとすると、使用金額が膨れあがってしまい、管理が煩雑になります。 小口現金の金額を決める際は、あらかじめ使用する場面や1回あたりの使用金額の上限などのルールを明確にしておきましょう。
小口現金の適正金額を調べる
小口現金をいくらに設定するべきか悩んだら、月々の現金支出を集計し、標準偏差を算出してみましょう。部署ごとに、現金払いの合計額を集計し、月々の現金支出の平均と標準偏差を導き出します。 標準偏差とは、特定のデータが平均値からどのくらいずれているかを示す指標のことです。現金支出の平均と標準偏差は、Excelのデータ分析を使用すると簡単に算出することができます。
具体的な手順は以下のとおりです。
- オプション画面にあるアドインから設定を選ぶ
- 分析ツールにチェックを入れ、データタブにあるデータ分析を選ぶ
- 入力範囲で現金の支出金額のデータを選択する
- 統計情報、平均の信頼区間の出力、K番目に大きな値、K番目に小さな値にそれぞれチェックを入れる
標準偏差を求めたら、欠品許容率に応じた安全係数を乗じて安全値を求めます。欠品許容率とは、どのくらいまでなら欠品を許容できるかを表す割合のことです。 欠品許容率に対応する安全係数は以下のようになっています。(※1)
欠品許容率 |
安全係数 |
0.1% |
3.10 |
1% |
2.33 |
2% |
2.06 |
5% |
1.65 |
10% |
1.29 |
標準偏差に安全係数を乗じて算出した安全値に、平均支出額をプラスすれば、小口現金の適正金額を計算することができます。
小口現金の運用方法と課題
小口現金の運用には、小口現金出納帳を使用します。 小口現金出納帳には以下の項目を記載し、小口現金のやりとりの履歴を残しておきます。
- 受入金額
- 日付
- 摘要
- 支払金額
- 支払内訳
- 残高
支払内訳は、小口現金の用途に応じた勘定科目による仕訳をおこないます。 小口現金でよく使われる勘定科目は以下のとおりです。
- 旅費交通費
- 水道光熱費
- 消耗品費
- 通信費
- 雑費
定額資金前払制度の場合、まず会計担当者から決まった額の小口現金を受け入れます。受け入れた金額は小口現金出納帳の受入金額に記載します。 あとは、一定期間中に現金でやりとりした内容に基づき、必要事項を記帳していきます。期間が終了したら、会計担当者へその期間中の小口現金の支払い内容を報告し、精算をおこないます。 精算を終えたら、使用した金額を新たに受け入れ、次期のやりとりに使用します。
小口現金を運用するうえでの課題
小口現金の運用自体はさほど難しいものではなく、基本的な記帳の仕方を知っていれば運用可能です。ただ、小口現金のやりとりが頻発に発生する場合、記帳に手間と時間がかかってしまいます。 また、小口現金はその名の通り、現金のまま管理するため、小銭の数え間違いや紛失、盗難などのトラブルが発生する恐れがあります。
さらに、小口現金は毎日帳簿の内容と残高が一致することを確認しなければなりませんが、1円でも誤差があった場合、経理担当者または小口現金担当者はその原因をその都度細かく調査しなければなりません。 原因の特定に時間がかかってしまうと日々の業務に手が回らず、業務時間を圧迫してしまう可能性があります。
このように、小口現金の運用にはさまざまなリスクがあり、課題の解決に頭を悩ませている企業も多いようです。
小口現金の運用を楽にする方法
小口現金の運用をできるだけ楽にするには、さまざまな工夫を取り入れる必要があります。ここでは小口現金の運用を楽にする方法を2つ紹介します。
経費精算システムを導入する
経費精算システムとは、申請書の作成や承認、仕訳などの精算業務を効率化するシステムのことです。小口現金の管理業務をシステム化すれば、帳簿への記帳や精算業務の手間を省くことができます。 後述する法人カードやICカード、電子マネーなどの利用データを紐付けすれば、データの入力自体を自動化できるため、誤記入などのヒューマンエラーの防止にもつながります。
また、経費精算システムのなかには、経費データを分析できる機能がついているものもあります。蓄積したデータを元に、現金払いの平均支出額などを分析すれば、小口現金の適正金額の割り出しや、無駄なコストのチェックなどをおこなうことが可能です。
法人カード、ICカード、電子マネーを利用する
小口現金による決済を、法人カードやICカード、電子マネーなどで代用すれば、現金そのもののやりとりがなくなります。小銭の数え間違いや紛失、盗難のリスクを軽減できるため、経理や小口現金担当者の負担を大幅に省くことが可能です。 システムと連動させれば記帳も楽におこなえるため、業務の効率化にも役立ちます。
小口現金は適正金額を決めて運用しよう
小口現金に上限はなく、企業ごとに金額を自由に設定できます。ただ、金額を適当に決めると、いざというときに小口現金が不足したり、逆に小口現金を使いすぎたりする原因となります。 小口現金を運用する際は、現金払いの状況をチェックしたうえで、適正金額を設定することが大切です。
また、小口現金の管理は経理や小口現金担当者に大きな負担がかかるため、経費精算システムやキャッシュレス決済などを導入して、業務を効率化することをおすすめします。
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