【かんたん図解】SCM(サプライチェーンマネジメント)とは?ERPとの違いも
ERP(基幹業務システム)
2023.06.12
2023.06.12
ERPについて調べていると、SCM(サプライチェーンマネジメント)というワードがよく一緒に検索されていることがわかります。ERPもSCMも、大きく捉えれば企業の生産活動を効率化する活動や仕組みのことですが、SCMのことを詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、SCMの基本情報や再度注目が集まっている理由、ERPとの違いについて紹介します。
SCM(サプライチェーンマネジメント)とは?

DXログ編集部
SCMは、サプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management)の略称です。 まず原材料や部品の調達から製造、販売といった製品を供給する際の一連の流れのことをサププライチェーンと呼びます。
そのサプライチェーンにおけるヒト(企業の人材)、モノ(製品や商品)、カネ(企業の資金)、情報の流れを企業や組織の枠組みを越えて一元的に管理し、全体の最適化をはかる経営管理手法のことをSCM(サプライチェーンマネジメント)といいます。
具体的には、小売店でのPOS入力や販売・受注実績から需要を予測し、発注や出荷、物流、販売などを最適化していきます。そして、それらに沿って生産や購買、物流をおこなうといった流れを作ります。
SCMのメリット

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ここでは、企業がSCMを導入するメリットについて紹介していきます。
コストの削減が期待できる
企業にとって、無駄なコストを削減することは利益の向上にもつながる最優先課題です。 無駄なコストを抑えるためには、最終顧客の需要を正確に把握し、在庫を最適化する必要があります。
SCMでは、製品の仕入れから販売までのさまざまな情報を在庫と結びつけて管理することができるため、適切な在庫数を維持することができます。こうして余剰在庫を減らすことで、コストの削減に期待ができるでしょう。
業務を最適化することができる
SCMによって、物流全体を通じたリードタイムが把握できるようになります。 無駄な作業が生じている部門については作業を改善をおこない、無駄のない業務プロセスを実行できるようになります。 合わせて、どの部門にどれだけの人的リソースを配置するのが適切かもわかるようになり、業務を最適化することが可能になります。
変化するニーズへ迅速に対応できる
消費者のニーズは時代に合わせて変化していきます。 特に現代においては、企業は刻々と変わる消費者の嗜好、市場のニーズをいち早く把握し、自社の製品へ反映させる必要があります。
SCMでは、各部門をまとめて管理するため、そこで集まった情報をもとに市場分析と市場予測をおこなうことができます。 そこから消費者の需要・供給の動きを読み取ることで、スピーディーに適切な製造、在庫管理、販売量の調整などができるようになります。
SCMが注目されている理由

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上述したように、SCMはサプライチェーンの一連の流れを見直し、一元的に管理する仕組みです。このSCMが近年改めて注目を集めています。 その理由はいくつかありますが、まず労働人口の変化が挙げられます。国内では、少子高齢化により働き手の不足が問題となっています。製造や物流業界などにおいても同様に人材不足が深刻化しているため、サプライチェーンの再構築により無駄のない人員配置が求められています。
また、ビジネスにおけるグローバル化も理由の1つです。製造拠点を海外に設けている企業も増えており、国を越えた連携が必要になっています。時間や言語、商習慣が異なる環境においてもスムーズに作業工程を進めるためにはサプライチェーンの一層の強化が必要といえます。
合わせて、近年はAIやIoTなどIT技術の発展により、膨大なデータから顧客のニーズを引き出すことが可能になりました。その結果を利用して従来よりも、もっと効率的でスピーディーな供給体制の構築ができるようにSCMの見直しの必要性が高まっています。
ERPとは?

DXログ編集部
ERPとは、Enterprise Resource Planningの略で、日本語では統合基幹業務システムと訳されます。 ERPを活用することで、人事、生産、調達、販売、会計、財務、物流など各部門の情報を一元管理することができるようになります。 企業全体の情報をリアルタイムで可視化することが可能になり、企業全体の経営資源を有効活用することができるようになります。
ERPのメリット

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ERPを活用し、企業の情報を一元管理することができるようになるとさまざまなメリットが得られます。ここでは、ERPのメリットについて具体的にみていきます。
業務の効率化が期待できる
ERP活用し、各部門の情報を一元管理することで、すべての従業員が必要な時に必要な情報にすぐに参照することができるようになります。 そのため、データを収集するために生じていた工数を削減することができます。
適切な意思決定の材料となる
経営者は意思決定をする際に、さまざまな部門から集められた情報を組み合わせて適切な判断をおこないます。 ERPのなかには経営者が意思決定に必要な情報を抽出してまとめてくれる経営分析機能が備わっているものがあります。 その機能を活用することで適切な経営判断をスピーディーにおこなうことができるようになります。
内部ガバナンスを強化につながる
ERPを導入して情報を一元管理することで、組織間のデータの整合性を保つことができます。 また、ERPでデータごとにアクセス権限やログ管理機能も設定することができるため、安全に情報管理ができます。 近年、企業では内部統制に対しての意識が高まっていますが、上述したようなERPの機能を活用することは内部統制にも有効といえるでしょう。
ERPとSCMの違いは?
ERPとSCMはどう違うのか、その定義について混同してしまう人も多いでしょう。 前述したとおり、SCMは企業のサプライチェーンに関する情報を管理するための手法です。 そのため、管理範囲は生産部門、調達部門、販売部門などといった製品を供給する際の物流部分に対する管理が中心となります。 これに対して、ERPは企業内のすべての部門のデータを管理し、経営全体を可視化することができます。
したがって、SCMの機能はERPに含まれているということになります。 SCMはERPの機能の一部であり、ERPを活用することでSCMだけでは管理できなかった範囲の業務まで効率化することができます。
ERPやSCMを導入して業務を効率化させよう
企業において、既存の機能やシステムの効率化を図り、リスク回避や利益創出をしていくことは重要です。 ERPとSCMでは、管理できる情報の範囲が異なりますが、どちらも企業の業務効率化をサポートしてくれます。 自社の目的に合わせて有効活用し、さらなる業務の効率化を目指しましょう。
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