取引基本契約書とは?収入印紙の必要性や金額、個別契約書との違いも解説
電子契約サービス
2023.08.24
2023.08.24
取引基本契約書とは「継続的取引の基本となる契約書」のことで、3ヶ月以上の取引を行う際に利用する契約書です。取引基本契約書は印紙税法の第7号文書に該当するため、契約書に4,000円の収入印紙を貼付する必要があります。この記事では、取引基本契約書と印紙税法の関係や、収入印紙の必要性、契約書をPDF化するメリットを解説します。

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各社が提供する電子契約サービス。どの軸で比較・検討をすればよいのでしょうか。今回は、自社に適したシステムを選ぶための7つのポイントを紹介します。
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1.取引基本契約書とは?基本的な定義や具体例を解説
取引基本契約書とは、正式名称を「継続的取引の基本となる契約書」といい、3ヶ月以上の継続的な取引をおこなう場合に取り交わす契約書です。
取引基本契約書は契約当事者のどちらが作成してもかまいませんが、契約に不利な条項が盛り込まれるリスクがあることから、自社側が作成するのが一般的です。取引基本契約書の概要や種類について解説します。
1-1.取引基本契約書は「継続的な取引に対する契約書」のこと
取引基本契約書は、3ヶ月以上の継続的な契約を締結する場合に、取引の基本的な条件を明らかにする目的で作成する契約書です。
しかし、継続的な取引であれば、必ず取引基本契約書を取り交わすとは限りません。 国税庁によると、取引基本契約書は「特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書のうち次の文書」を指します。(※1)
1-2.取引基本契約書の種類
- 営業者間において、売買、売買の委託、運送、運送取扱いまたは請負に関する複数取引を継続的に行うため、その取引に共通する基本的な取引条件のうち、目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法または再販売価格のうち1以上の事項を定める契約書(売買取引基本契約書、貨物運送基本契約書、下請基本契約書など)
- 両当事者間において、売買に関する業務、金融機関の業務、保険募集の業務または株式の発行もしくは名義書換の事務を継続して委託するため、その委託する業務または事務の範囲または対価の支払方法を定める契約書(代理店契約書など)
- その他、金融、証券・商品取引、保険に関する基本契約のうち、一定のもの(銀行取引約定書、信用取引口座約定約諾書、保険特約書など)
主な取引基本契約書として、継続的な取引のなかでも「売買、売買の委託、運送、運送取扱いまたは請負に関する複数取引」に関するものが該当します。わかりやすく整理すると、取引基本契約書は以下の3種類に分けられます。
- 商品を継続的に売買するため、基本的な取引条件を定めた契約書
- 製造物などの継続的な供給を目的として、業務提携の基本条件を定めた契約書
- 特定の作業やサービスの継続的な提供を目的として、業務委託の基本条件を定めた契約書
長期的な契約を締結する場合でも、取引基本契約書を取り交わす必要がないものもあります。取引基本契約書の定義や種類を確認しておきましょう。
1-3.業務委託契約書や個別契約書との違い
業務委託契約書とは取引基本契約書のうち、取引先との業務委託契約について適用される事項を記載した契約書のことです。
取引基本契約書は取引のたびに契約書を作成し、取り交わす手間を省くことを目的に作成、締結されます。
一方で、個別契約は取引基本契約と違い、個別の取引に関する内容になります。具体的には個別の数量や金額などです。基本契約書はそもそもの基本的な取り決めやルールを定めているものになります。
1-4.取引基本契約を作成する際の記載項目と確認項目
取引基本契約の記載項目は大きく下記の項目です。
- 契約の目的
- 契約期間
- 報酬について(支払時期や支払方法など)
- 契約の解除について
- 損害賠償
- 危険負担
他にも契約によって必要な記載事項もあるので、事前にしっかり確認しておきましょう。 (※1)No.7104 継続的取引の基本となる契約書|国税庁
1-5. 取引基本契約書はどちらが作成する?
取引基本契約書に限らず、契約書には作成に義務がないため、発注者と受注社のどちらが契約書を作成しても問題ありません。
ただし、下請取引に該当する取引においては、下請法第3条によって親事業者、つまり、発注者側に書面交付が義務付けられているため発注者が取引基本契約書を作成する必要があります。
また、建設工事の請負契約における当事者に関しては、建設業法第19条によって、双方が書面で契約書作成をおこなうことが義務付けられていますのでこの場合は取引基本契約書は受発注をおこなう双方が作成しなければいけません。
2.取引基本契約書を書面で作成する場合は収入印紙が必要
取引基本契約書は印紙税額一覧表の第7号文書に相当する文書です。
したがって、取引基本契約書を書面で作成し、相手方に交付する場合、印紙税額一覧表で定められた金額の収入印紙を貼付する必要があります。 国税庁によると、第7号文書の印紙税額は1通につき4,000円です。
印紙税額一覧表の第7号文書の「継続的取引の基本となる契約書」とは、特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書のうち次の文書をいい、税額は1通につき4,000円です。
引用:No.7104 継続的取引の基本となる契約書|国税庁
たとえば、取引基本契約書を2通作成する場合は、1通につき4,000円の収入印紙を貼付する必要があります。印紙税には連帯納付義務がありますが、負担割合についての定めはありません。
そのため、当事者同士の取り決めによっては、2通分の8,000円の収入印紙の負担が必要なケースもあります。 このように取引基本契約書を利用するにあたり、印紙が多く必要になってきます。特に業種によって契約書を多く作成している企業にとっては大きなコストになっています。
これらの印紙税を削減できれば中長期的にみると大きく経営に影響を及ぼします。
3.取引基本契約書をPDF化すれば印紙が不要になる
印紙税が課税されるのは、印紙税額一覧表に記載された課税文書を「作成」する場合です。国税庁によると、課税文書の「作成」とは、「課税文書となるべき用紙等」に必要事項を記載し、相手方に交付した場合を指します。
印紙税法に規定する課税文書の「作成」とは、印紙税法基本通達第44条により「単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう」ものとされ、課税文書の「作成の時」とは、相手方に交付する目的で作成される課税文書については、当該交付の時であるとされている。 引用:文書回答事例 (別紙)|国税庁
したがって、取引基本契約書をPDFなどの電子データで作成する場合は、課税文書を作成したことにならないため、印紙税が課税されません。 取引基本契約書をPDF化すれば、収入印紙代を節約することが可能です。
4.取引基本契約書のPDF化には印紙が不要になる以外のメリットも
取引基本契約書をPDF化すれば、4,000円の印紙代を節約できることを説明しました。
しかし、取引基本契約書をPDF化するメリットは他にもあります。電子契約を取り入れれば、印刷代や郵送費用などのコストも削減することができます。
また、海外や遠隔地の取引先とリモートで契約手続きを進めることも可能です。印紙代節約以外のメリットを2つ解説します。
4-1.印刷代や郵送費用を節約できる
取引基本契約書を書面で作成する場合、契約書を印刷する際のコピー用紙代やインク代、郵送する際の切手代や封筒代などの費用がかかります。
取引基本契約書はページ数が多く、通常の契約書より製本の手間もかかります。取引基本契約書をPDFで作成すれば、印刷代や郵送費用を節約できるだけでなく、業務効率化を実現することも可能です。
4-2.海外や遠隔地の取引先ともスムーズに契約できる
海外や遠隔地の取引先に対して、取引基本契約書を郵送や手渡しで送付する場合、契約書が相手方に到着するまで時間がかかります。 また、書面契約の場合は契約当事者の押印が必要なため、相手方に押印をお願いし、契約書を返送してもらう手間も発生します。
コロナ禍の影響により、対面でのコミュニケーションが制限されるなかで、押印や書面契約に代わる手段が求められるようになりました。
電子契約を取り入れ、取引基本契約書をPDFで相手方に送付すれば、海外や遠隔地の取引先ともスムーズに契約を締結することができます。
ただし、取引先によっては電子契約への抵抗感が強く、書面主義・押印原則を求められるケースもあります。 書面契約から電子契約に切り替える場合は、電子契約のメリットや安全性を丁寧に説明することが大切です。
5.取引基本契約書をPDFで作成し、印紙代や郵送費用を削減しよう
取引基本契約書は、印紙税額一覧表の第7号文書に相当し、3ヶ月以上の長期契約を締結する場合に取り交わす契約書です。 取引基本契約書を書面で作成する場合、4,000円の収入印紙を貼付する必要があります。
しかし、電子データで作成した契約書は「課税文書」ではないため、印紙税が課税されません。 そのため、取引基本契約書をPDFで作成すれば、4,000円の収入印紙代を節約することが可能です。 また、印刷代や郵送費用を節約し、業務効率化につながるというメリットもあります。電子契約を導入し、コスト削減を実現しましょう。

電子契約サービス選び方ガイド
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